名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(300); 中飛車に右四間飛車

2016-10-07 | 大山将棋研究
昭和51年9月、板谷進先生と第9回連盟杯争奪戦です。


大山先生の中飛車に板谷先生は右四間で対抗

それでも32金とするのは大山先生らしいですが、さらに35歩は欲張った感じです。今の目で見ると36歩同歩38飛か、穴熊に組むところです。

板谷先生は45歩と仕掛けたまま、どちらも取らずに駒組みが進みます。先手から見ると44歩と取り込んでから駒組みを進めるのが有力です。55歩には45歩があるのです。

結局ぶつかったまま、角の転回で見たこともない形になりました。

大山先生は銀の位置をずらして受け

板谷先生は端に手を付けてから歩を入手しに行きますが、一目指しすぎです。

桂を捨てる手がありました。

これは完全にとがめられ、大差です。

大山先生は味よく飛車を回り

板谷先生は眉間で受けます。

アマチュアレベルではこういうのが逆転することもあるのですが、駒得を目指すのが切れない指し方で

筋の悪い手ですが、玉の遁走を阻止した手で

危険なところに呼び込んで駒を取ります。

板谷先生の玉に安住の地はなく

駒取りの催促で投了です。

板谷先生がかなり凝った指し方でしたが、指し過ぎをしっかりとがめる大山先生は抜け目ないです。

これで300局並べました。皆さんはどれだけ並べましたか?面白そうなものだけでも並べてみるとだんだんに強くなるものです。
本筋の手が見えやすくなります(これは手早く何度も並べるのがおすすめ)し、手を読んで並べていれば(時間をかけて細かいところも検討します)良い読みの訓練になります。
プロは終盤でどう寄せにもっていくかというのが身につくので、知らない間に終盤力が向上しますよ。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:板谷進8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5八金(49)
8 5二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 4六歩(47)
14 4三銀(42)
15 4七銀(48)
16 5四歩(53)
17 5六銀(47)
18 3二金(41)
19 4八飛(28)
20 3五歩(34)
21 4五歩(46)
22 4二飛(52)
23 9六歩(97)
24 6二銀(71)
25 9五歩(96)
26 3三角(22)
27 6八銀(79)
28 4一飛(42)
29 7七角(88)
30 5三銀(62)
31 8六角(77)
32 5二銀(43)
33 7七桂(89)
34 5五歩(54)
35 同 銀(56)
36 4五歩(44)
37 5六歩(57)
38 6二金(61)
39 5七金(58)
40 5四歩打
41 6六銀(55)
42 6四歩(63)
43 3八飛(48)
44 7四歩(73)
45 9四歩(95)
46 同 歩(93)
47 9三歩打
48 同 桂(81)
49 3六歩(37)
50 8五桂(93)
51 同 桂(77)
52 8四歩(83)
53 3五歩(36)
54 8五歩(84)
55 9七角(86)
56 4六歩(45)
57 4五歩打
58 9五歩(94)
59 4六金(57)
60 9六歩(95)
61 7九角(97)
62 8一飛(41)
63 4四桂打
64 同 銀(53)
65 同 歩(45)
66 8六桂打
67 7七玉(78)
68 6三銀(52)
69 4五金(46)
70 9七歩成(96)
71 5九銀(68)
72 6五歩(64)
73 同 銀(66)
74 5三桂打
75 5四銀(65)
76 4五桂(53)
77 同 銀(54)
78 4六歩打
79 4八飛(38)
80 4七金打
81 2八飛(48)
82 9八桂成(86)
83 同 香(99)
84 8七と(97)
85 6六玉(77)
86 6五歩打
87 同 玉(66)
88 9八香成(91)
89 5五歩(56)
90 8八成香(98)
91 6八角(79)
92 7八成香(88)
93 9五角(68)
94 6四歩打
95 5六玉(65)
96 6九成香(78)
97 3四銀(45)
98 4四角(33)
99 4五玉(56)
100 3三桂(21)
101 3六玉(45)
102 2四金打
103 5六桂打
104 3五金(24)
105 2七玉(36)
106 5三角(44)
107 5四歩(55)
108 同 銀(63)
109 6六桂打
110 9四歩打
111 投了
まで110手で後手の勝ち
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20161007今日の一手<その398>; 手得を生かす、手損を我慢する

2016-10-07 | 今日の一手

20161007今日の一手

9月24日の名南将棋大会から、OさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。堅いというよりは上部に厚いという感じですが、金無双よりは堅いでしょう。
先手の攻め駒は68角1枚。
後手の攻め駒は35銀1枚。

総合すれば互角かやや先手が指しやすいか、というところです。

大局観として

後手は問題図の前に34飛を(勘違いで)24飛~34飛と2手損しています。ですから先手は玉頭方面で十分に組むことができました。
手得を生かすには戦いを始めることです。ゆっくりしていて こう着状態になると得はなくなります。手損を我慢するには戦いを起こさないことがその裏の考え方です。意味のある手損、無意味な手損、悪い手損、いろいろありますが、その基本は戦いが起きるかどうかに関係します。

後手の石田流を攻略するには角交換が有効です。(その対策として升田式みたいな考えもあるのですが。)あるいは玉頭位取りの感覚で、歩を交換するか。その二通りだと思います。


× 36歩が狙い筋です。

36同銀に13角成同香23角

23角では31角とするのもあります。結果的には同じようなものです。
35飛12角成47銀成

これは取れません。39金37歩13馬36飛

38歩成が防げなくて、それより速い攻めはありませんからこれは失敗です。


○ 16歩が工夫した手で

16同歩同香14歩36歩同銀37歩

1歩手に入れればこれで先手よしです。これが一番うまくいったとき。

ごては36歩に44銀でしょうが

13角成同香23角36飛37金

16飛に17歩と打てます。37同飛成同桂36歩41飛

この後は44飛成ではなく34角成が厳しい手です。馬で金を取れば尻金で追って行って詰みますね。

後手は16歩同歩同香に15歩同香14歩

とするのでしょう。この時36歩同銀13角成同香37歩

として銀香交換にするか

途中23角と打って

24飛12角成37歩

13馬38歩成(飛車は逃げきれない)24馬

のほうがいいのかは悩みますが、どちらも先手が指せそうです。

最初に戻って後手は16歩に46歩なのでしょう。

46同歩16歩同香15歩同香14歩36歩

44銀14香同飛17歩

としておいて、香と歩3枚の交換でも少し良いですし

46歩に15歩として

47歩成同金46歩48金24角14歩15歩

としても先手が少し指しやすいと思います。


△ 16歩の筋がなかったとしたら48金として

26歩同歩28歩に36歩

36同銀13角成同香37歩27銀成23角

というのも考えます。でも24飛12角成29歩成13馬26飛35馬

というのはありそうです。以下は21飛29飛28成銀89飛27飛成36馬・・・という感じです。


× 39金も工夫した手で

金にひもが付きました。46歩に36歩

と軽く戦えて、36同銀46角47銀成に13角成

こういう時に金にひもが付いている効果が出ます。13同香23角36飛37歩

と後手からの37歩の垂らしを防ぐのですが、歩切れですから37同成銀で困っています。後手から86桂がある(取れば39飛成、逃げると78角)のです。


△ 実戦は55銀と出ました。

54歩で追い返されますが、66銀46歩に55歩として

2手損しても争点を作るという手筋でした。47歩成同金44飛49飛46歩57金右

これで悪くないと思っていたのですが、26歩54歩同飛64歩同歩56金直27歩成

と金で焦らされています。55金34飛36歩同銀35歩同角46角同角同飛

後手玉に嫌味をつけて角をさばいてどうにかなる、と思っていました。でも45歩56飛47銀不成

38飛成が速く、後手優勢です。途中に思わしい手は見つからず。

前に戻って、55銀54歩66銀46歩には同歩です。

なんだか利かされに思いましたが、46同銀47歩35銀55歩

こちらも2手損したので、局面を落ち着かせて歩を入手するというのが正しい考え方でした。持ち歩が増えると、後で64歩同歩63歩とか65歩とか、74歩同歩73歩とか75歩とか、位を生かした攻め筋があるのです。



歩を持つことが大きなことだという問題図でしたが、縦からの攻めが有効な戦型ですから歩の価値が高いのです。
それと角交換を狙う筋、石田流に対して(角交換できるようにして)角交換を迫るというのは有力な対抗策です。逆に石田流から13角を強引にさばいて勝負することも多いですから、面白いものです。

すぐに36歩は危険な感じです。36同銀の時に37歩と打つ1歩がほしいのです。

素早く歩を手に入れるなら端を突くのが常道で、16歩がぴったりした手でした。歩を手に入れて36歩から角交換で香を取るという狙いです。これは後手の手損をとがめているという意味もあるのです。少し後手が不十分な態勢ですから、戦いが起こればなんとかなります。

48金や39金というのは玉から遠い金を活用するという考えで、考慮に値します。この場合は隙を作るのでなかなかうまくいきにくいのですが、うまくいったときには効果が大きいです。

16歩から歩を手に入れるという筋が少しも見えず、55銀54歩66銀~55歩のほうを考えてしまいました。手損して争点を作ったのですが、それなら落ち着いた展開を目指すべき。
手の遅れを気にせず強く戦ったら攻めが間に合わなかったというのが実戦の順でした。


敗戦を振り返るのは楽しい作業とは言えませんが、得られるものも多いです。みなさん是非自分の指した棋譜を保存してください。こうすれば勝てるのだというイメージをもって、次の対局に挑みましょう。


ところで、棋譜を覚えていて記録できるのは棋力に比例していないようなので疑問に思っておりまして、この将棋の後の打ち上げで数人に聞いてみました。
(後輩の強豪K君によると)事務処理能力に関係するというのが有力な説です。心当たりありますか? 多分事務処理能力には手順の記憶という要素があって、相関が高いのでしょう。

私は事務処理能力が高いとは思わないのですが、エピソード記憶は得意な気がします。まあ将棋に関することしかろくに覚えていない(≒思い出さない)のですが、棋譜を並べていると指した時のことを思い出します。数字などデジタルデータは覚えられないのですが、アナログデータはわりと覚えています。

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