昭和51年11月、大内延介先生と第9回連盟杯争奪戦です。

大内先生の石田流穴熊で

大山先生は左美濃。いつものように7筋の歩を交換させます。

これは微妙な手です。同銀は45歩、65銀なら42角、少し先手がやりにくいですか。

その後は銀を出て飛車を浮いてけん制です。

珍しい筋が出ました。ここでは飛車交換しにくいので75歩と打たせることに成功です。

大内先生は1歩手に入れたので8筋の逆襲ですが

大山先生は67銀が浮いていることに目を付けてカウンターを放ちます。

角を取ってから と金を戻し

角桂と飛の交換です。77の と金は働きそうですし大山先生のほうが駒得です。

大山先生が角を使えば、大内先生は桂馬で金駒をはがし

香車で返し技。少し大山先生のほうが指しやすそうです。

55歩の中合が手筋で、馬の利きを通すために香で銀を取るのですが、と金で攻めたほうが良かったか。(58と38金左57香成、ただし38金左と逃げてもらえるか微妙)

2枚竜は厳しく、受けは角打ちしかないです。

成香を取って香打ち、先ほどの香成が響きました。

大山先生は中段玉で頑張れば、大内先生は と金を活用します。ここでは逆転しています。

と金を使われたら大山先生は金を打って中段で頑張ります。

1枚渡しますが、受けているだけではまずいので攻め味を付けて

竜を取ってまた銀を打ちます。大内先生は桂馬を余計にもらったので馬筋を変える犠打。ぎりぎりの利かしですが、大山先生はここで28馬から21銀はまだ早いとみました。

でも66馬から67馬で筋がずれたので、銀を打てば寄っているように見えます。

41香に55歩では攻め合いで負けそうなので桂を捨て

44金から清算するとさらに1枚損するのですが、上部を抑えました。

香を打てば同金に53竜で寄りと見たんですね。

でも と金のほうを取られてまだ寄せきれません。香を補充して打つのでは失敗した感じです。

2枚換えで持ち駒は豊富、でも後手玉が広いのでまだ詰めろになっていないようで

先手玉にも手が付きました。58飛には角打ちが攻防で、まだ大内先生が残っているようなのですが

後手玉が広いので捕まえにくいです。

自玉に手を入れて55角54金を使えるようにします。

でも竜を切られて角打ちは受けに利くのです。

大山先生は自玉を補強していきます。

55の金を使えば4枚の攻めになるのですが、77角の利きも通るので受けは利きます。

大内先生としては竜や金が当たっているので忙しく、ここでは息切れです。もう少しゆっくり寄せたかったのですが、すると攻められて自玉に駒を投入しなければならなくなります。

最後の望みは端を突きだして18香も攻め駒にすることですが

34の金を取られて

寄せがありませんでした。
これは名局に数えてもいいくらいの出来です。188手という長手数ですが明らかな疑問手も見当たらず、互いに秘術を尽くした攻防でした。大内先生の具体的な敗因というのもはっきりしません。
どちらから並べても面白いですが、大山先生の受けを堪能すべく、後手をもって並べることをお勧めします。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大内延介棋王
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 4四歩(43)
5 7五歩(76)
6 6二銀(71)
7 7八飛(28)
8 5四歩(53)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1八香(19)
18 3三角(22)
19 1九玉(28)
20 2二玉(32)
21 2八銀(39)
22 3二銀(31)
23 3九金(49)
24 4三金(52)
25 5八金(69)
26 8四歩(83)
27 6六歩(67)
28 8五歩(84)
29 7六飛(78)
30 9四歩(93)
31 6七銀(68)
32 1五歩(14)
33 5六銀(67)
34 5三銀(62)
35 9七角(88)
36 2四歩(23)
37 7四歩(75)
38 同 歩(73)
39 同 飛(76)
40 7三歩打
41 7六飛(74)
42 5五歩(54)
43 6七銀(56)
44 4五歩(44)
45 7七桂(89)
46 6四銀(53)
47 4八金(58)
48 8四飛(82)
49 6五歩(66)
50 5三銀(64)
51 5六歩(57)
52 7四飛(84)
53 7五歩打
54 8四飛(74)
55 5五歩(56)
56 同 角(33)
57 8六歩(87)
58 同 歩(85)
59 8五歩打
60 8七歩成(86)
61 8四歩(85)
62 9七と(87)
63 7四歩(75)
64 8七と(97)
65 7三歩成(74)
66 7七と(87)
67 5六飛(76)
68 7三角(55)
69 8三歩成(84)
70 5一角(73)
71 5八銀(67)
72 6八と(77)
73 7一飛打
74 3三角(51)
75 8一飛成(71)
76 9九角成(33)
77 5五桂打
78 4二金(43)
79 6三桂成(55)
80 5四香打
81 5三成桂(63)
82 同 金(42)
83 5五歩打
84 同 香(54)
85 7六飛(56)
86 5八香成(55)
87 7二飛成(76)
88 5二歩打
89 6一龍(72)
90 2三角打
91 5八金(48)
92 同 と(68)
93 4二香打
94 同 金(41)
95 3一銀打
96 3三玉(22)
97 4二銀(31)
98 同 玉(33)
99 7三と(83)
100 3三玉(42)
101 6三と(73)
102 4三金(53)
103 5二と(63)
104 5四金打
105 5五歩打
106 同 馬(99)
107 2一龍(61)
108 3六桂打
109 同 歩(37)
110 2一銀(32)
111 同 龍(81)
112 3二銀打
113 6七桂打
114 6六馬(55)
115 5一龍(21)
116 6七馬(66)
117 5三銀打
118 4一香打
119 5五桂打
120 同 金(54)
121 4一と(52)
122 5四金(55)
123 4四金打
124 同 金(54)
125 同 銀成(53)
126 同 玉(33)
127 5五金打
128 3三玉(44)
129 4四香打
130 4一銀(32)
131 4三香成(44)
132 同 玉(33)
133 5四金(55)
134 3二玉(43)
135 9一龍(51)
136 2二玉(32)
137 4四香打
138 4九と(58)
139 4一龍(91)
140 同 角(23)
141 同 香成(44)
142 3九と(49)
143 同 銀(28)
144 5八飛打
145 5五角打
146 2三玉(22)
147 3三金打
148 1四玉(23)
149 3四金(33)
150 2三銀打
151 同 金(34)
152 同 玉(14)
153 5九歩打
154 同 飛成(58)
155 4八銀打
156 5六龍(59)
157 5七歩打
158 5五龍(56)
159 同 金(54)
160 7七角打
161 5三飛打
162 3三歩打
163 4二成香(41)
164 2二金打
165 4三成香(42)
166 4一香打
167 4四金(55)
168 4三香(41)
169 同 飛成(53)
170 3二銀打
171 3四金(44)
172 1二玉(23)
173 1四香打
174 1三桂打
175 3一銀打
176 2一金打
177 2二銀成(31)
178 同 玉(12)
179 1三香成(14)
180 同 玉(22)
181 1六歩(17)
182 3一桂打
183 4二龍(43)
184 3四歩(33)
185 4四桂打
186 2三玉(13)
187 1五歩(16)
188 3三銀打
189 投了
まで188手で後手の勝ち

大内先生の石田流穴熊で

大山先生は左美濃。いつものように7筋の歩を交換させます。

これは微妙な手です。同銀は45歩、65銀なら42角、少し先手がやりにくいですか。

その後は銀を出て飛車を浮いてけん制です。

珍しい筋が出ました。ここでは飛車交換しにくいので75歩と打たせることに成功です。

大内先生は1歩手に入れたので8筋の逆襲ですが

大山先生は67銀が浮いていることに目を付けてカウンターを放ちます。

角を取ってから と金を戻し

角桂と飛の交換です。77の と金は働きそうですし大山先生のほうが駒得です。

大山先生が角を使えば、大内先生は桂馬で金駒をはがし

香車で返し技。少し大山先生のほうが指しやすそうです。

55歩の中合が手筋で、馬の利きを通すために香で銀を取るのですが、と金で攻めたほうが良かったか。(58と38金左57香成、ただし38金左と逃げてもらえるか微妙)

2枚竜は厳しく、受けは角打ちしかないです。

成香を取って香打ち、先ほどの香成が響きました。

大山先生は中段玉で頑張れば、大内先生は と金を活用します。ここでは逆転しています。

と金を使われたら大山先生は金を打って中段で頑張ります。

1枚渡しますが、受けているだけではまずいので攻め味を付けて

竜を取ってまた銀を打ちます。大内先生は桂馬を余計にもらったので馬筋を変える犠打。ぎりぎりの利かしですが、大山先生はここで28馬から21銀はまだ早いとみました。

でも66馬から67馬で筋がずれたので、銀を打てば寄っているように見えます。

41香に55歩では攻め合いで負けそうなので桂を捨て

44金から清算するとさらに1枚損するのですが、上部を抑えました。

香を打てば同金に53竜で寄りと見たんですね。

でも と金のほうを取られてまだ寄せきれません。香を補充して打つのでは失敗した感じです。

2枚換えで持ち駒は豊富、でも後手玉が広いのでまだ詰めろになっていないようで

先手玉にも手が付きました。58飛には角打ちが攻防で、まだ大内先生が残っているようなのですが

後手玉が広いので捕まえにくいです。

自玉に手を入れて55角54金を使えるようにします。

でも竜を切られて角打ちは受けに利くのです。

大山先生は自玉を補強していきます。

55の金を使えば4枚の攻めになるのですが、77角の利きも通るので受けは利きます。

大内先生としては竜や金が当たっているので忙しく、ここでは息切れです。もう少しゆっくり寄せたかったのですが、すると攻められて自玉に駒を投入しなければならなくなります。

最後の望みは端を突きだして18香も攻め駒にすることですが

34の金を取られて

寄せがありませんでした。
これは名局に数えてもいいくらいの出来です。188手という長手数ですが明らかな疑問手も見当たらず、互いに秘術を尽くした攻防でした。大内先生の具体的な敗因というのもはっきりしません。
どちらから並べても面白いですが、大山先生の受けを堪能すべく、後手をもって並べることをお勧めします。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大内延介棋王
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 4四歩(43)
5 7五歩(76)
6 6二銀(71)
7 7八飛(28)
8 5四歩(53)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1八香(19)
18 3三角(22)
19 1九玉(28)
20 2二玉(32)
21 2八銀(39)
22 3二銀(31)
23 3九金(49)
24 4三金(52)
25 5八金(69)
26 8四歩(83)
27 6六歩(67)
28 8五歩(84)
29 7六飛(78)
30 9四歩(93)
31 6七銀(68)
32 1五歩(14)
33 5六銀(67)
34 5三銀(62)
35 9七角(88)
36 2四歩(23)
37 7四歩(75)
38 同 歩(73)
39 同 飛(76)
40 7三歩打
41 7六飛(74)
42 5五歩(54)
43 6七銀(56)
44 4五歩(44)
45 7七桂(89)
46 6四銀(53)
47 4八金(58)
48 8四飛(82)
49 6五歩(66)
50 5三銀(64)
51 5六歩(57)
52 7四飛(84)
53 7五歩打
54 8四飛(74)
55 5五歩(56)
56 同 角(33)
57 8六歩(87)
58 同 歩(85)
59 8五歩打
60 8七歩成(86)
61 8四歩(85)
62 9七と(87)
63 7四歩(75)
64 8七と(97)
65 7三歩成(74)
66 7七と(87)
67 5六飛(76)
68 7三角(55)
69 8三歩成(84)
70 5一角(73)
71 5八銀(67)
72 6八と(77)
73 7一飛打
74 3三角(51)
75 8一飛成(71)
76 9九角成(33)
77 5五桂打
78 4二金(43)
79 6三桂成(55)
80 5四香打
81 5三成桂(63)
82 同 金(42)
83 5五歩打
84 同 香(54)
85 7六飛(56)
86 5八香成(55)
87 7二飛成(76)
88 5二歩打
89 6一龍(72)
90 2三角打
91 5八金(48)
92 同 と(68)
93 4二香打
94 同 金(41)
95 3一銀打
96 3三玉(22)
97 4二銀(31)
98 同 玉(33)
99 7三と(83)
100 3三玉(42)
101 6三と(73)
102 4三金(53)
103 5二と(63)
104 5四金打
105 5五歩打
106 同 馬(99)
107 2一龍(61)
108 3六桂打
109 同 歩(37)
110 2一銀(32)
111 同 龍(81)
112 3二銀打
113 6七桂打
114 6六馬(55)
115 5一龍(21)
116 6七馬(66)
117 5三銀打
118 4一香打
119 5五桂打
120 同 金(54)
121 4一と(52)
122 5四金(55)
123 4四金打
124 同 金(54)
125 同 銀成(53)
126 同 玉(33)
127 5五金打
128 3三玉(44)
129 4四香打
130 4一銀(32)
131 4三香成(44)
132 同 玉(33)
133 5四金(55)
134 3二玉(43)
135 9一龍(51)
136 2二玉(32)
137 4四香打
138 4九と(58)
139 4一龍(91)
140 同 角(23)
141 同 香成(44)
142 3九と(49)
143 同 銀(28)
144 5八飛打
145 5五角打
146 2三玉(22)
147 3三金打
148 1四玉(23)
149 3四金(33)
150 2三銀打
151 同 金(34)
152 同 玉(14)
153 5九歩打
154 同 飛成(58)
155 4八銀打
156 5六龍(59)
157 5七歩打
158 5五龍(56)
159 同 金(54)
160 7七角打
161 5三飛打
162 3三歩打
163 4二成香(41)
164 2二金打
165 4三成香(42)
166 4一香打
167 4四金(55)
168 4三香(41)
169 同 飛成(53)
170 3二銀打
171 3四金(44)
172 1二玉(23)
173 1四香打
174 1三桂打
175 3一銀打
176 2一金打
177 2二銀成(31)
178 同 玉(12)
179 1三香成(14)
180 同 玉(22)
181 1六歩(17)
182 3一桂打
183 4二龍(43)
184 3四歩(33)
185 4四桂打
186 2三玉(13)
187 1五歩(16)
188 3三銀打
189 投了
まで188手で後手の勝ち