名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(311); 中飛車に袖飛車急戦

2016-10-18 | 大山将棋研究
昭和51年11月、加藤一二三先生と第2期棋王戦です。


加藤先生は急戦で、大山先生は中飛車に。

いわゆる加藤流袖飛車です。3筋の歩を交換して36飛~37桂~45歩という攻め筋。これはとても優秀なのです。大山先生は腰掛銀で変化球。

2筋の歩を交換して55歩と突けば65銀とは指しにくく(後に36飛~45歩が銀に当たる)

大山先生は63銀と引いてから飛車で歩交換です。

55歩からゆっくりかと思いましたが、加藤先生は銀を出て攻めつぶそうとしています。

44歩が入り歩を取れれば十分指せそうです。

55銀が死ぬかどうかが問題ですが、一つ飛車を引いておく。54歩には33角を歩で追うと43歩成から44銀とできるのです。

角の退路を作る12香に45飛とできて一安心。

盤面を制圧して、動いてきなさいと歩を合わせます。大山先生が53歩から反応するのは仕方ないのでしょう。

けれど43歩成から53歩成で技ありです。

72の銀を取る2枚換えにしないで、32銀と打てば

51飛に52歩から金を取れました。

さらに金銀の取り合いで2枚換え。飛車を取る前に金で張り付いて工作です。

銀打の強打、取れば55角から53飛で、これが取れないなら加藤先生が優勢です。

飛車を取って銀で受けておきます。これで攻め駒4枚、後手玉は薄いので大山先生でも受からないです。

角を離して打ってから金合い、まだ難しそうにも見えますが

飛車しかないので受けが無くなって投了です。

加藤先生の快勝譜、この袖飛車急戦は優秀すぎて、でも流行らなかったのが不思議です。軽い攻めに見えてしまうのでしょうか。
居飛車の舟囲いは金銀4枚で、ツノ銀中飛車よりも格段に固く、それでいて攻め筋が多いのです。勝ちやすいのも当然です。
読みに自信のある方なら中盤の55銀以下、いろいろな変化を読み切る訓練をするのに向いています。少し有利なのでどの応手にも対応できるかどうか読んでみましょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:加藤一二三9段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 3六歩(37)
10 5二飛(82)
11 6八玉(59)
12 6二玉(51)
13 7八玉(68)
14 7二玉(62)
15 5八金(49)
16 8二玉(72)
17 6八銀(79)
18 7二銀(71)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 4六歩(47)
22 3二金(41)
23 5七銀(48)
24 6四歩(63)
25 3八飛(28)
26 5四銀(43)
27 3五歩(36)
28 同 歩(34)
29 同 飛(38)
30 4三金(32)
31 5五歩(56)
32 6三銀(54)
33 5六銀(57)
34 5四歩(53)
35 同 歩(55)
36 3四歩打
37 3六飛(35)
38 5四飛(52)
39 5五銀(56)
40 5一飛(54)
41 4五歩(46)
42 同 歩(44)
43 4四歩打
44 4二金(43)
45 3四飛(36)
46 6五歩(64)
47 2四歩(25)
48 同 歩(23)
49 3五飛(34)
50 1二香(11)
51 4五飛(35)
52 4一飛(51)
53 5四歩打
54 5二歩打
55 3四歩打
56 1一角(33)
57 2五歩打
58 5三歩(52)
59 4三歩成(44)
60 同 金(42)
61 5三歩成(54)
62 4四歩打
63 6三と(53)
64 4五歩(44)
65 3二銀打
66 5一飛(41)
67 5二歩打
68 同 金(61)
69 同 と(63)
70 同 飛(51)
71 4三銀成(32)
72 5五飛(52)
73 6二金打
74 6一銀打
75 7二金(62)
76 同 玉(82)
77 6三銀打
78 8二玉(72)
79 5五角(88)
80 同 角(11)
81 7七銀(68)
82 3五角打
83 3二飛打
84 7二金打
85 同 銀成(63)
86 同 銀(61)
87 6三金打
88 7一銀打
89 6一金打
90 投了
まで89手で先手の勝ち
コメント
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