名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(302); 四間飛車に位取り

2016-10-09 | 大山将棋研究
昭和51年9月、米長邦雄先生と第15期十段戦です。


大山先生の四間飛車に米長先生は玉頭位取りの予定

でしたが、位取りを拒否されました。

米長先生は黙っている棋風ではなく、とがめようとします。

74に拠点を作りました。でもこれは保てません。

これで拠点は消えて

5,6筋の位を取ったということになります。

これで67銀とすればよい形。大山先生から動きます。

85歩(84銀と出たい)同金93桂、金を引くと84銀から7筋を攻められます。

角をぶつければ軽くかわして、大山先生がうまく指している感じです。金取りが忙しいですね。

54歩と突きだして飛車交換(52歩と謝ると歩がなくなるので77桂か)から角を成って

銀を交換して互角のさばき合いです。

銀を投入してみると、金銀の連携で大山先生のほうが堅いです。だから少しリードしているのでしょう。

あとは駒のはがし合いで

互いに桂馬で金銀をはがします。

馬が消えて、大山先生の有利が拡大しました。この時22飛の位置も悪く、王手飛車の筋があります。

そのため23飛成と一手緩めるのがつらいところ。大山先生は攻め駒が4枚ありますからどう寄せるかだけです。

48の馬を57に引いて、格好いい寄せです。

米長先生も粘ろうとしますが、竜も馬も取れないのでは望みがなく

大山先生はきれいに寄せてしまいました。

大山先生の快勝譜、大優勢というわけではないけれど、小さな有利を保って、最後はきれいに寄せてしまいました。米長先生の敗因は難しいです。飛車の打ち場所一つで違いそうですし、玉頭の関係でどの形がよかったか。大山先生をほめておくほうが良いのでしょう。この時代の棋譜を並べるなら大山米長戦が一番面白いです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5八金(49)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 5六歩(57)
16 8二玉(72)
17 5七銀(48)
18 4三銀(32)
19 6八銀(79)
20 7二銀(71)
21 6六歩(67)
22 5四銀(43)
23 7七銀(68)
24 7四歩(73)
25 6七金(58)
26 5二金(41)
27 7五歩(76)
28 同 歩(74)
29 8六銀(77)
30 8四歩(83)
31 7五銀(86)
32 8三銀(72)
33 7四歩打
34 7二金(61)
35 2五歩(26)
36 3三角(22)
37 7六金(67)
38 6二金(52)
39 6五歩(66)
40 7三歩打
41 同 歩成(74)
42 同 金(62)
43 5五歩(56)
44 4三銀(54)
45 6六銀(75)
46 7四歩打
47 7七角(88)
48 3二飛(42)
49 8八玉(78)
50 3五歩(34)
51 1六歩(17)
52 4二角(33)
53 2六飛(28)
54 5四歩(53)
55 同 歩(55)
56 同 銀(43)
57 5五歩打
58 4三銀(54)
59 5六飛(26)
60 3一飛(32)
61 7八金(69)
62 5一飛(31)
63 6八銀(57)
64 8五歩(84)
65 同 金(76)
66 9三桂(81)
67 8六角(77)
68 3三角(42)
69 5四歩(55)
70 同 飛(51)
71 同 飛(56)
72 同 銀(43)
73 5三角成(86)
74 4五歩(44)
75 5四馬(53)
76 6六角(33)
77 7七銀打
78 4八角成(66)
79 8六金(85)
80 2八飛打
81 6四歩(65)
82 同 歩(63)
83 2二飛打
84 6三銀打
85 2一馬(54)
86 8五歩打
87 7六金(86)
88 2九飛成(28)
89 5五桂打
90 7五歩(74)
91 6三桂成(55)
92 同 金(73)
93 6六金(76)
94 7六桂打
95 同 金(66)
96 同 歩(75)
97 同 馬(21)
98 6五金打
99 同 馬(76)
100 同 歩(64)
101 6四歩打
102 7三金(63)
103 2三飛成(22)
104 6六桂打
105 7九金(78)
106 7六歩打
107 同 銀(77)
108 5七馬(48)
109 5九歩打
110 同 龍(29)
111 6九金打
112 7八歩打
113 5九銀(68)
114 7九歩成(78)
115 5一飛打
116 7八桂成(66)
117 投了
まで116手で後手の勝ち



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20161009今日の一手<その399>; 駒取りを急がない

2016-10-09 | 今日の一手

20161009今日の一手

9月24日の名南将棋大会から、KさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答
少し前から。

もとは四間飛車に64銀の急戦で(なぜかこの日は流行していました)、後手は右銀で46の歩を取った分だけ攻めが遅れて桂頭を攻められてピンチ、とりあえず57に歩を成り捨てて桂を逃げた、という局面です。
ここで73歩成57桂成同角93飛と進んで問題図

なんですが、いじめるつもりだった桂馬と守りの金を交換するというのがつまらないと思いませんか?58金は57歩が嫌ですが、66か56に金をかわせばよいものだと思うのですが。
まあそれはともかく、問題図です。

☆形勢判断をします。
金と桂歩の交換で先手が と金を作っています。持ち歩があるので歩はカウントしませんが、やや先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は57角73と と持ち駒桂で3枚。76の飛車も働きそうではあります。
後手の攻め駒は持ち駒金1枚。

総合すればやや先手が指しやすいです。

大局観として

先手が劣っているのは玉の堅さだけです。でも現状は後手の攻め駒が少ないですから問題はないです。方針は二つで
玉を固めつつ待つか
攻め駒4枚で後手玉に迫るか(後手玉を薄くする)
ということを考えます。もっと駒得にするというのは逆転される元になります。方針に沿って考えましょう。


攻める方から考えてみます。
× 実戦では93角成だったのですが

攻め駒ではなかった飛車を攻め駒の角と交換することになります。後手の攻め駒が増えるだけですから、好んでやりたい手ではないです。
93同香82飛51金寄62と同金寄54桂

両取りですがこれでも駒得にはなりません。53銀62桂成同銀72飛行成45角

この図では後手玉が少し薄くなりましたが、駒の損得はほぼなくなり、先手の攻め駒は3枚です。後手の攻め駒は22角を除いて3枚あります。ですからこの局面での形勢判断はほぼ互角です。
少し進んでこの図

53に銀を打った局面だと思うのですがこれでは攻めが遅く、55角46金66角52歩49角成

であっさり寄せられてしまいました。

73の と金と持ち駒の桂を使って金1枚とっただけ、飛車を成っても3枚の攻めにしかならなかったというのが問題でした。寄せられないのなら遊んでいる飛車を取って相手の攻め駒を増やしてはいけません。


× 26桂は手筋ですが45銀

で効果はありません。端攻めもないですし、45銀がなくても33角という受けもあります。ほかの変化にプラスして出てきそうなので先に書いておきます。


△ 62とと捨てる手は

62同金71飛成61歩

ここで54桂として、93飛を取っていない分だけ実戦より良いのですが、ぱっとしません。まあ互角ですね。

ところで問題図をひっくり返して

この図で居飛車側を持てば48と同金39飛成というのは気になる手なのです。でも底歩を打って頑張れそう、金も持っているし安心、と確認しておく手なのでしょう。(感想戦を見ていて居飛車側から見ると気になる手なので、私が指摘したのですが杞憂でした。)


○ 63歩成として

63同歩64歩同歩63歩

とすれば攻め駒は増えそうです。歩切れなのが難点ですが、確実な攻めなので後手の反撃をいなしつつゆっくり攻めます。と金が後手の金と交換になって飛車が成り込めば4枚の攻めです。


ではゆっくりしたほうを考えてみましょう。
○ 一目77桂ですね。

これは85桂92飛83と とすれば後手の飛車は取れます。でもそれは含みとしておいて、22角から99の香を守ったという意味合いです。いざとなれば65桂から攻め駒に使えるし、問題図ならこの一手という感じです。(これが居飛車のほうから見ると候補として見えないのが不思議なところです。)振り飛車は左桂のさばきが大事、と多くの先生が言いますね。元は大野源一先生あたりでしょうか。
後手は角筋を通して45銀でしょう。これに85桂56歩39角99角成93桂成

としても十分指せますが、後手玉が堅くて攻め駒4枚に近いですからやや危険です。

確実に飛車を取れそうなのでもっとゆっくり指しましょう。45銀に46歩として、56歩と返されたら

84角46銀62と

という と金の使い方だってあるのです。これは十分ですね。

戻って45銀46歩に54銀なら

56銀55歩47銀引56金84角

という調子で、左銀も守りに使いながら、手に乗って反撃する感じです。99角成とできなくなった時に85桂から飛車を取りに行きます。


△ 58銀は玉を固めた手で

指したくはあるのですが、45銀77桂56歩93角成同香62と同金71飛成61歩

以下63歩成同金61竜・・・という戦いで、どこかで65桂と使って勝負です。でも後手の56歩の拠点も大きいので互角なのでしょう。

93角成がつまらないので、途中飛車を取らないで84角とかわしておくほうがよく

これなら指せるのでしょう。ただ、56歩58銀の関係が少し嫌なので、(前の変化)先に77桂として左銀を47までもっていくほうが良いと思います。
つまり、ここで53銀85桂99角成93桂成54香

というのがあまり思わしくないということです。


× 84角として62とを狙うと

53銀引54歩64銀

64の歩を払われるのがしゃくです。


△ 56銀は

55歩65銀45銀77桂56歩

銀が前に出ましたが攻め駒にまではならず、ややつまりません。でも84角51金寄46歩同銀56銀という感じで中央の嫌味が消えたら85桂を狙えばよいのでしょう。


☆ まとめ
振り飛車党なら77桂が一目、ではないのでしょうか。でもOさんが逃したのですからそうでもないのですかね。
形からは77桂としておくものだ、という反省をしておけばよいです。さらには左銀も中途半端ですから守りに使うことを考えましょう。

飛車を取りたくなる心理というのは、特に級位者のころはあるのですが、飛角交換は得でない場合も多いです。取った飛車を使って有効な攻め筋がある場合は取っても良いのですが、この場合は舟囲いも金銀4枚、持ち駒の金も使えますから横からの攻めには堅いです。
飛車を取るなら小さな駒で取るのがよく、ここでは桂馬で取れます。ただし後手からの99角成は(何度か書きましたが)思っているより大きな手ですから、その対策をしてからです。遊んでいる飛車を3手かけて取るのですから、局面を落ち着けてからのことです。駒得を急ぐと逆転されやすいものなのです。

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