名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

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大山将棋研究(315); 四間飛車に玉頭位取り

2016-10-22 | 大山将棋研究
昭和51年11月、有吉道夫先生と第3回名将戦、決勝は3番勝負で第1局です。


大山先生の四間飛車に有吉先生は玉頭位取りです。これが有吉先生が対振り飛車で一番得意にしていた戦法で、一番の使い手でした。

大山先生は腰掛銀で4筋の歩交換を阻止。でもこれは居飛車が有利になりやすいのです。

有吉先生は早めに7筋から動きます。

大山先生は定番の袖飛車。その前に65歩として飛車の横利きを止めておくのが工夫でした。

有吉先生は単純に位を取り返されてはいけないのでカウンターで動けば、大山先生も返します。

位は消えたものの、互いにまあまあの展開です。35銀と出ても33歩なので一回収まるところでしょう。

47の金を左に使うというのが思いもよらない手です。危なさそうなのですが。

さらに寄って、飛車をいじめようということでした。この後しばらくするとなぜか金も右に寄せて、というのが大山流なんですが

中央を厚くしようとしたらちょっとうっかりでしょう。47に銀を引くのでは54銀右から65桂とか狙われてしまいます。先に55歩と抑えるべきか、でもそのあとが難しすぎますね。

金を出て大丈夫と思っていたのかもしれません。でも銀を取られ

桂をさばかれました。

有吉先生は57歩成ではなく重く銀を打つ。このほうが切れないみたいです。

と金が大きく、攻めは続きます。後手陣が堅すぎるので有吉先生勝勢です。

決勝戦なのでもう少し指してみましたがどうにもならず投了です。


大山先生の袖飛車は難しすぎて誰も真似をしません。その思想は穴熊の時の袖飛車に生かされているのですが、美濃囲いの時はどう指せばいいのかわからないのです。
後手をもって、玉頭位取りは良い戦法だなあ、と思うことにしましょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:有吉道夫8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 1四歩(13)
13 1六歩(17)
14 5四歩(53)
15 2八玉(38)
16 5三銀(62)
17 6七銀(78)
18 4二銀(31)
19 3八銀(39)
20 3五歩(34)
21 4六歩(47)
22 3三銀(42)
23 5八金(69)
24 5二金(61)
25 2六歩(27)
26 3四銀(33)
27 2七銀(38)
28 4四歩(43)
29 5六銀(67)
30 8五歩(84)
31 7七角(88)
32 7四歩(73)
33 4七金(58)
34 7五歩(74)
35 同 歩(76)
36 7二飛(82)
37 6五歩(66)
38 7五飛(72)
39 3六歩(37)
40 同 歩(35)
41 3八飛(68)
42 8六歩(85)
43 同 歩(87)
44 5五歩(54)
45 7六歩打
46 同 飛(75)
47 6七銀(56)
48 7四飛(76)
49 3六銀(27)
50 4三銀(34)
51 7六歩打
52 3四歩打
53 5六歩(57)
54 同 歩(55)
55 同 金(47)
56 7三桂(81)
57 6六金(56)
58 8四飛(74)
59 5六銀(67)
60 4二金(41)
61 5八飛(38)
62 5五歩打
63 7五金(66)
64 5六歩(55)
65 8四金(75)
66 6五桂(73)
67 6六角(77)
68 5七銀打
69 同 角(66)
70 同 歩成(56)
71 3八飛(58)
72 5六角打
73 3七飛(38)
74 8九角成(56)
75 8一飛打
76 5六と(57)
77 3九飛(37)
78 4六と(56)
79 2七銀(36)
80 4五馬(89)
81 3六歩打
82 5七桂成(65)
83 2五歩(26)
84 5一歩打
85 2六銀打
86 4七と(46)
87 1七玉(28)
88 4六馬(45)
89 3五歩(36)
90 4五歩(44)
91 投了
まで90手で後手の勝ち

コメント
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