名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(304); 石田流穴熊に玉頭位取り

2016-10-11 | 大山将棋研究
昭和51年9月、内藤国雄先生と第26期王将戦です。


どちらが振るかという序盤で、内藤先生が三間飛車に。

さらに穴熊です。これは玉頭位取りに逆らわないという考えですね。

大山先生はいつものように7筋の歩交換をさせて

角をぶつけます。これはわかりやすい指し方です。まねしやすそう。

72飛で歩を謝らせました。

あとは互いに固く囲ってそろそろ戦いが始まります。

内藤先生は7,8筋から動き、大山先生は5筋から軽く飛車をうきます。96香に当たっています。

内藤先生はやむなく角を切って飛車を成り

大山先生は馬を作って香を取ろうとします。

内藤先生は3筋を工作して

先手で桂を取り77桂を逃げ出します。これでうまくいったのかと思ったら

香を据えられてみると玉頭攻めが強力すぎます。大山先生が有利です。

馬は自陣に引いてから

2筋を攻めます。34歩は無視。

飛車取りも気にしなくてよいです。

これで筋に入ってしまいました。

内藤先生は一応受けてみますが

受けにならず。


大山先生の快勝譜。56飛と浮いたあたりで有利なのでしょうが、振り飛車から見ているせいか気が付きにくいです。内藤先生は3筋の工作で角と銀桂の2枚換えのような展開でしたが、玉頭の攻めがより強烈になり、気が付けば斬られていたという感じです。
この大山先生の指し方は真似がしやすそうで、振り飛車穴熊は怖くない、という気がしてきます。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:内藤国雄9段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 4四歩(43)
5 6八銀(79)
6 3二銀(31)
7 6六歩(67)
8 4三銀(32)
9 6七銀(68)
10 3五歩(34)
11 7五歩(76)
12 5四歩(53)
13 7八飛(28)
14 6二銀(71)
15 4八玉(59)
16 4二玉(51)
17 3八玉(48)
18 3二玉(42)
19 2八玉(38)
20 1四歩(13)
21 5八金(69)
22 4五歩(44)
23 1八香(19)
24 5二金(61)
25 1九玉(28)
26 3三角(22)
27 2八銀(39)
28 2二玉(32)
29 3九金(49)
30 3二金(41)
31 4八金(58)
32 8四歩(83)
33 7六飛(78)
34 3四銀(43)
35 7七桂(89)
36 4三金(52)
37 9七角(88)
38 1五歩(14)
39 7四歩(75)
40 同 歩(73)
41 同 飛(76)
42 7三歩打
43 7六飛(74)
44 2四歩(23)
45 6五歩(66)
46 4二角(33)
47 8八角(97)
48 7二飛(82)
49 5六歩(57)
50 3三桂(21)
51 7五歩打
52 5三角(42)
53 9五歩(96)
54 4四角(53)
55 5八銀(67)
56 5三銀(62)
57 4九銀(58)
58 5五歩(54)
59 同 歩(56)
60 同 角(44)
61 9六香(99)
62 4四角(55)
63 9七角(88)
64 2三銀(34)
65 3八銀(49)
66 2五歩(24)
67 8六歩(87)
68 4二銀(53)
69 8五歩(86)
70 5二飛(72)
71 7四歩(75)
72 同 歩(73)
73 同 飛(76)
74 5六飛(52)
75 4二角成(97)
76 同 金(32)
77 7二飛成(74)
78 5七歩打
79 5九歩打
80 3二金(42)
81 7八歩打
82 8七角打
83 3六歩(37)
84 同 歩(35)
85 8四歩(85)
86 7八角成(87)
87 3四歩打
88 同 銀(23)
89 8一龍(72)
90 7一歩打
91 8五桂(77)
92 9六馬(78)
93 7三桂成(85)
94 2三香打
95 9一龍(81)
96 8六馬(96)
97 9二龍(91)
98 3一馬(86)
99 6三成桂(73)
100 2六歩(25)
101 同 歩(27)
102 2五歩打
103 3五歩打
104 同 銀(34)
105 3四歩打
106 2六歩(25)
107 3三歩成(34)
108 同 金(43)
109 4六歩(47)
110 同 飛(56)
111 5七金(48)
112 6二歩打
113 同 成桂(63)
114 2七歩成(26)
115 同 銀(38)
116 同 香成(23)
117 同 銀(28)
118 4八銀打
119 3四歩打
120 3九銀(48)
121 3三歩成(34)
122 同 金(32)
123 6三成桂(62)
124 6二歩打
125 3八金打
126 2八金打
127 同 金(38)
128 同 銀成(39)
129 同 玉(19)
130 4八飛成(46)
131 3八歩打
132 3七金打
133 投了
まで132手で後手の勝ち
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20161011今日の一手<その400>; 馬と交換するもの

2016-10-11 | 今日の一手

20161011今日の一手

9月24日の名南将棋大会から、SさんとAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手が3歩損で馬を作っています。持ち歩があるので歩はカウントせず、先手が少し駒得です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は34馬と持ち駒桂で2枚、37飛も入れてよさそうなので3枚です。
後手の攻め駒は持ち駒桂1枚。
総合すれば先手が有利です。

大局観として

形勢判断の3つの要素すべてで先手が上回っていますが、どれも少しだけのリードです。形勢がよいので自然な手を重ねていけばよいです。
持ち歩が1つしかないのですが、3,4,5,7筋に使えるので攻め筋は豊富ですから攻めることを考えます。逆に受け中心では76歩に傷がありますし、後手の攻め駒が働いてきそうです。
今は駒がぶつかっていますから馬の処理を考えるわけですが、駒損になるからと逃げるだけはなく、攻めにつなげる手を選びましょう。馬を捨てても攻めが続けばよいわけです。


○ まずは馬を逃げる手。2か所ですが56のほうが良さそうです。

83馬と24歩の両にらみです。76歩68銀13銀83馬に73銀くらい。

こういう時にノータイムで飛車を取って21飛と思ってはいけません。(それでも悪くはないのですが)75桂が痛打ですね。62飛63桂成同金72歩61飛56馬

駒得が広がりましたから決めるだけ決めて馬を引いておきます。歩切れですがこれなら文句はないです。

後手が76歩68銀を決めなければ75桂はありませんが、74歩は打てます。

74同銀に72馬同角71飛61角打84桂

と打てばこれも楽勝です。

74歩に82銀が最善で、これが難しい。飛車を取って21飛かもしれませんが角を渡すと28角があるので、84馬74角56桂53金75銀

というほうを勧めます。角を引けば74歩から85馬という要領、83銀には73歩、73銀には同馬同飛62銀です。


× 実戦は24歩でした。

34歩に61銀82飛52銀成同玉

敵玉が広くなって、馬を失っては攻めにくいです。飛車が働くならまだよいのですが。23歩成同金55歩76歩同銀86歩

後手の攻め駒が多すぎて受ける手段がありません。

工夫としては61銀ではなく53歩ですが42金右

で続きません。

33歩同金45桂は24金

これも歩切れでたいした攻めがありません。


○ 銀と交換するなら23馬のほうが手筋で

23同金24歩34金23歩成

これなら4枚目の攻め駒ができます。28角47飛19角成にも35歩44金33と

という調子です。これは飛車も使えそうです。

後手は と金を作らせないように22金と引くのですが、53歩とたたきます。

もう1歩あるのが心強く、53同金45桂となれば優勢、42金とかわして52銀同金同歩成同玉53歩

前の変化では(割打ちで1歩省略したとはいえ)ここに打つ歩がありませんでした。取れないので42玉(か62玉)に83金74飛84金同飛75銀

としてしまえばこれも優勢。後手の工夫は考えられますが、先手の攻めも相当に続きます。


○ 先に53歩とたたくのも有力で

馬を取れば金銀を取って2枚換えです。53同金は後で(23馬からの変化)45桂が利きます。42金右と逃げたら45馬

13銀に55桂75角54馬82飛63桂成51歩64馬

と攻められます。

後手は角にひもを付けておかなければいけないので62金です。

ここで23馬同金24歩34金には26桂

28角にも34桂が詰めろなので優勢でしょう。

やはり24歩には22金なのですが

すぐに23馬の変化で53歩に62金と限定させているのでより攻めやすいです。35桂28角47飛31桂23歩成

で決まっています。


× 42歩も指してみたいですが、42同玉

で後続がありません。


☆ まとめ
自然な手を心がけると56馬から83馬を思いつくでしょう。これで有利なのは間違いないですが、次に飛車を取ると駒得は消えます。21飛から香をとれても後手も28角から香をとれるので駒得にはなりません。飛車を取る前に75桂が打てれば75桂、打てなければ74歩を考えてみましょう。

馬で飛車を取ってもつまらない、とKさんは攻める手を考えて24歩と銀を取ったのですが、34歩23歩成同金の形に隙がありませんでした。銀の割打ちも玉を逃がして安全にさせるだけ、大駒を切ったら性能の良い駒が減るわけですから、上から攻める形にしたいのです。

23馬同金24歩と進めるほうが厳しく、その24歩が残ります。金を上にかわせば23歩成、22金には23銀とかぶせてもまあまあ指せますが、2歩と銀桂を持っているので53歩が厳しい寄せです。金を持ったら最悪83金があるので何とかなりそうです。

23馬の前に53歩とするのがさらに厳しそうです。63角にひもが無くなれば45馬があり、でも取れないので62金と利かせれば攻めやすくなります。


結局は馬を何と交換するかということになるわけですが
72飛と交換するだけではつまらないです。もっといじめることを考えましょう。
24銀と単純に交換するのでは損です。
銀と持ち歩と24歩の拠点、3つとの交換ならよいでしょう。

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