名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(310); 四間飛車穴熊に中央位取り

2016-10-17 | 大山将棋研究
昭和51年10月、山口千嶺(ちみね)先生と第18期王位戦です。


山口先生は四間飛車の名手、と子供のころNHK杯を見ていて紹介された記憶があります。

大山先生は端の位を取り、石田流への組換えの対策に、もう何度もみましたが46歩と突きます。

山口先生はそれを見て34銀型に。大山先生は中央位取りにスイッチ。

穴熊と中央位取りの対抗になりました。

山口先生は桂馬の裏跳ね。これはたまに出てきます。近年では森雞二先生が後手番で採用していました。(先手番ではひねり飛車というマニアックな選択でした。)

37桂成を受ける26飛に15歩と攻めるのは指し過ぎです。26飛が端の受けにもなっているのでうまくいきません。24歩として待つところ。

端攻めよりも4筋を攻めるほうが厳しいのです。ここでは仕方ないので45同歩だったと思いますが

15角から36歩に対して、角を使うのが当然の対応。11角成とできれば15角が浮いてしまうので二重に気びいしいです。

山口先生は36歩と突いたのに取られて謝るようではどうしようもなく

銀をさばきましたが角は交換してもらえません。

ならばと66銀から角は取れましたが

角を取られて銀損です。さらに53歩成から金も取られます。

大山先生は駒得になったので自玉を固め

桂を取ってから飛車交換、桂打ちで終わりです。


穴熊だからってむやみに戦いを起こしてはいけないという例でした。悪くなってからの山口先生は淡白な指し方でした。性格なのでしょうけれど、振り飛車党は粘り強くないと大成しません。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山棋聖
後手:山口千嶺6段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 5二金(41)
17 5七銀(48)
18 4三銀(32)
19 9五歩(96)
20 3五歩(34)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 6八銀(79)
24 3二飛(42)
25 4六歩(47)
26 3四銀(43)
27 5五歩(56)
28 9二香(91)
29 5六銀(57)
30 9一玉(82)
31 7七角(88)
32 8二銀(71)
33 8八玉(78)
34 7一金(61)
35 7八金(69)
36 6二金(52)
37 6六歩(67)
38 1四歩(13)
39 6五歩(66)
40 1三桂(21)
41 1六歩(17)
42 2五桂(13)
43 2六飛(28)
44 1五歩(14)
45 同 歩(16)
46 1七歩打
47 4五歩(46)
48 1五角(33)
49 1六飛(26)
50 3六歩(35)
51 5四歩(55)
52 3三角(15)
53 3六飛(16)
54 3五歩打
55 4六飛(36)
56 4五銀(34)
57 同 銀(56)
58 同 歩(44)
59 同 飛(46)
60 6六銀打
61 4三飛成(45)
62 7七銀成(66)
63 同 桂(89)
64 4二飛(32)
65 3三龍(43)
66 4九飛成(42)
67 5三歩成(54)
68 5五角打
69 3五龍(33)
70 5八龍(49)
71 6二と(53)
72 同 金(71)
73 6七銀打
74 3四歩打
75 2五龍(35)
76 2四歩(23)
77 4五龍(25)
78 4四歩打
79 5八銀(67)
80 4五歩(44)
81 5四桂打
82 投了
まで81手で先手の勝ち

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20161017今日の一手<その403>; 攻防の手

2016-10-17 | 今日の一手

20161017今日の一手

9月24日の名南将棋大会から、KさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の桂得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。囲いとも言えませんが、比較すればかなり違います。
先手の攻め駒は持ち駒角桂で2枚。
後手の攻め駒は69飛81飛で2枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として

駒得なので長期戦にしたいのですが、後手に89の桂を取られそうです。うまく守れるかどうか。
パッと見ると53桂で駒得を拡大したいと思うところですが、少なくとも桂馬を渡すことになりますからそれでよいか。桂馬2枚と交換で、トータル桂金の交換にされるかもしれません。駒得を拡大しようと思うことは危険なものなのです。
89桂を守らないと、87歩成もありますし、だんだんに駒を損していきます。それ以上の攻めを用意しておかねばなりません。
形勢は互角ですが、後手は駒損を回復しながら先手玉を攻めることを考えるだけなのでわかりやすく、先手は薄い玉を気にしながら受けるあるいは反撃も考える必要があります。見た目よりも先手が指しにくいのかもしれません。


× 普通の指し手は53桂です。

51金右41桂成同金と相手をしてもらえるなら78角79飛成69金

と自玉を固めて駒得ですから先手が指せます。

53桂には89飛成で

41桂成同玉45角

となればずいぶんよい気がしますが、32玉63角成71飛

これでうまい攻め方がありません。自玉は57桂と打ち込まれる傷があり、87歩成も防げないのでこの図は後手が良いのでしょう。


× 74歩と打てばもう少し厳しそうで

64銀同金同歩53桂89飛成41桂成同玉63角

は王手飛車です。

後手は53桂に42金と逃げるのでしょう。

61桂成同飛78銀で飛車の捕獲と思ったら57金

で結局飛車に逃げられてしまいます。駒を渡しすぎました。


△ 実戦は54金で

89飛成には98角の予定だったのでしょう。79竜43金22玉53桂51金右41桂成同金86角75歩

これならそんなに悪くない気もします。

実戦では54金に52金右と受けて、65歩89飛成55角62銀67角78歩56角

と進みました。駒得ではなくなり、角2枚が良い位置のようですがこの後の攻め筋が見えなくていつの間にかじり貧になってしまいました。ほかの指し方もあるのですが、検討してもうまく後手玉に迫る順が見つけられませんでした。


× 通常の振り飛車なら86角と さばくものですが

89飛成53角成52金右35馬99竜

馬で先手玉の薄さをカバーしているものの駒損でだんだん悪くなるのでしょう。


× 89桂を守るなら98角です。

62金54金42銀55桂52金上86角57歩成同歩53歩

そのあと54金から後手玉を狙ってみましたが、攻め切れません。


× 79歩も手筋ですが

堂々と79同飛成46角89竜73角成57桂

これを取れなくて59金87歩成は後手の勝ち筋です。
46角を先にしても89飛成で同じことです。


○ 角を打つところを工夫して45角が良さそうで

89飛成には35桂22銀を決めて63角成

71飛に43桂成同玉41馬

となればまだ後手玉を寄せ切るまではいきませんが、かなり迫れます。

45角には52金右と受けるしかないところでしょう。

56角と拠点の歩を払い、79飛成くらいに74歩、64銀同金同歩なら68銀

として飛車を捕獲できます。

74歩に62銀なら35桂

22銀86角88竜95角72歩54金

壁銀にしたので後手も受けにくくなってきます。42金直に62角成同金65角52金右43桂成同金右同金同金53金

3枚の攻めですが壁銀のせいで受けにくくなっていて、43の地点で金銀を入れ替えていけば角を切って42金の筋で寄りです。(42金打44銀53金上同成銀42金打43成銀同金53金42銀43角成同銀42金)
というのが一例ですが、45角+35桂は22銀を強制できるので有力です。



結局受けているだけでは駒損を避けきれません。後手は竜を作れば87歩成~88歩という筋だってあるので桂馬は取れ、場合によっては57桂と打ち込んですぐに寄せられます。先手玉が薄すぎてなかなか互角以上になりません。

どうにかなるのは45角で、35桂22銀と受けさせれば後手玉が弱体化するので玉の堅さが同じくらいになります。
63角成を受けさせて手順に56の歩を払い、77の角も活用できれば勝ち筋が見えてきます。いかにも味の良い手順でした。
形勢が良くないときでも、ただ受けるだけではない攻防の手が指せれば少しずつ指しやすくなってきます。


* 間違いを修正しました。20171017





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする