名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(318); 四間飛車穴熊に銀冠

2016-10-25 | 大山将棋研究
昭和51年11月、有吉道夫先生と第3回名将戦決勝第2局です。


大山先生の四間飛車穴熊で

有吉先生は銀冠、大山先生は石田流に。もちろん有吉先生は26飛と受けています。

居飛車としては後で84歩から攻めたいので歩を交換して持ち歩を増やすというのが当面の目標です。

45歩と打たされましたが、5筋の歩は交換できました。

大山先生は55銀のままでは制圧されるので54歩で追い返すのですが、この時に56飛というのが居飛車の良い形です。石田流に36歩とされても横利きが消えません。また、銀冠のほうが振り飛車穴熊より堅いので飛車交換は問題なし。2筋を攻められて他に争点がなかったとなればだめなのですが、ここでは中央で戦えます。つまり有吉先生の作戦勝ち。

大山先生は銀を引き金を戻して中央に備えるのですが

この歩は意味が解りませんでした。

が角をぶつけるということだったのですね。

大山先生が馬を作れば

有吉先生は香を取って馬が作れます。つまりリードが広がりました。

得した香で中央突破すれば勝ちで

1回55歩同銀(同香は56歩)で止まりましたがもう止まりません。

大山先生は43飛と備えても中央で清算して

これで有吉先生は銀桂得。右の桂香が遊んでいるとはいえ攻め駒4枚です。

大山先生は馬を切って銀取りですが1枚入れて

95桂から55馬で寄せの体制です。

97香にはこんなところに歩が利きました。こういうのは「勝ち将棋鬼の如し」で、角を渡さない限り寄りが無くなりました。

あとは寄せを見るだけです。62銀にも銀を打って

飛車を切る。取れば73角で詰みです。

投了図。

有吉先生の完勝で優勝しました。石田流穴熊には銀冠とか位取りとか、じっくり指すとよいのです。銀の位置の関係で居飛車の玉のほうが堅くなりやすく、相穴熊にしなくても居飛車が指しやすいと思います。
こういう玉を固めた将棋は有吉先生の強さがよく表れます。逆に大山先生の穴熊は堅くないですね。美濃囲いのほうが堅く思えます。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:有吉道夫8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5六歩(57)
12 7二玉(62)
13 9六歩(97)
14 8二玉(72)
15 5七銀(48)
16 4三銀(32)
17 5八金(49)
18 9二香(91)
19 7七角(88)
20 9一玉(82)
21 8八玉(78)
22 8二銀(71)
23 7八銀(79)
24 5二金(41)
25 8六歩(87)
26 3五歩(34)
27 2五歩(26)
28 3三角(22)
29 6六歩(67)
30 3二飛(42)
31 1六歩(17)
32 5一角(33)
33 2六飛(28)
34 7四歩(73)
35 6七金(58)
36 7一金(61)
37 6五歩(66)
38 6二金(52)
39 8七銀(78)
40 7二金(62)
41 7八金(69)
42 5四歩(53)
43 6六銀(57)
44 3四飛(32)
45 8五歩(86)
46 4二角(51)
47 5五歩(56)
48 4五歩(44)
49 4六歩(47)
50 4四飛(34)
51 5七銀(66)
52 4六歩(45)
53 同 銀(57)
54 5五歩(54)
55 4五歩打
56 3四飛(44)
57 5五銀(46)
58 3三角(42)
59 5六飛(26)
60 5四歩打
61 6六銀(55)
62 5二銀(43)
63 8六角(77)
64 6二金(72)
65 7七桂(89)
66 3六歩(35)
67 同 歩(37)
68 4一歩打
69 5五歩打
70 4二角(33)
71 同 角成(86)
72 同 歩(41)
73 5四歩(55)
74 4七角打
75 5九飛(56)
76 3六角成(47)
77 8四歩(85)
78 同 歩(83)
79 8三歩打
80 同 銀(82)
81 5五角打
82 8二金(71)
83 1一角成(55)
84 4五馬(36)
85 3七歩打
86 3三桂(21)
87 5六香打
88 5五歩打
89 同 銀(66)
90 2七馬(45)
91 4六銀(55)
92 5八歩打
93 同 飛(59)
94 4九馬(27)
95 5七飛(58)
96 4四飛(34)
97 4五歩打
98 4三飛(44)
99 5三歩成(54)
100 同 銀(52)
101 同 香成(56)
102 同 飛(43)
103 同 飛成(57)
104 同 金(62)
105 3三馬(11)
106 6七馬(49)
107 同 金(78)
108 4八飛打
109 7八銀打
110 4六飛成(48)
111 9五桂打
112 4九龍(46)
113 5五馬(33)
114 6四歩(63)
115 5一飛打
116 9七香打
117 8九歩打
118 6二銀打
119 8三桂(95)
120 同 金(82)
121 7二銀打
122 8二金(83)
123 8一銀成(72)
124 同 金(82)
125 5三飛成(51)
126 7三銀打
127 6四歩(65)
128 7二金打
129 6三歩成(64)
130 同 銀(62)
131 6五桂(77)
132 投了
まで131手で先手の勝ち


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20161025今日の一手<その407>; 逆転される筋を避ける

2016-10-25 | 今日の一手

20161025今日の一手

10月1日の名南将棋大会から、MさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の香得で と金もできています。終盤ですから重視しなくてよいのですが、先手の駒得です。
玉の堅さは後手のほうが(横からは)堅いです。上からなら同じくらい。
先手の攻め駒は11竜86香持ち駒角桂で4枚、33と もすぐに使えるので5枚に近く十分です。
後手の攻め駒は76角と持ち駒桂で2枚。24の飛は使えそうですがまだ足りません。

総合すれば先手有利。

☆ 大局観として
穴熊は堅いというのは一般論で、後手の穴熊は51金61金52銀が玉から離れているので囲いとしては堅くなく、でも壁を作っているので横からの攻めは遅らせられる、という形です。
つまり86香を生かして上から攻めたくなります。後手の囲いを崩してしまえば3つの要素で上回るので先手が優勢になります。
また、33のと金をうまく使って金か銀と交換できそうで、駒得にもなりそうなのです。これが落とし穴で、駒得を拡大しようとしたら自玉が危険になったというのはよくある逆転の例です。
つまり、後手玉を一気に攻略できるか、あるいは自玉を固めておこうか、という選択です。


○ まず目につくのは75桂です。

穴熊の攻略手筋ですが、でも71桂と受けられて74歩から桂馬が死ぬのでつまらない、と切り捨ててしまうところです。しかし71桂には72歩がありました。

ということでかなり有効です。

65角(あるいは94角)と受ければ、66歩74角と追って43と同銀33角

これで2枚換えにできれば勝勢です。

後手は84歩と受ければ

やはり77歩65角66歩74角と追って43と同銀33角

とすればよいです。


○ 25歩として

今なら同飛でしょうから、75桂に84歩の変化がなく、(94角か)65角66歩74角

に限定することができます。(75桂84歩の後で25歩は74飛かもしれない。またこの図で83桂成同銀75歩は駒得でもあまりよくはない。)今度は16角29飛成43と とすれば銀が取れます。25歩52と同金右

角筋は止められても金が囲いから離れるしかなく、72銀と打てば71桂同銀不成同銀83桂不成

とやっていけば以下は簡単に寄りです。


× 72角も鋭い筋です。71桂に42と があります。

よって72角には29飛成で寄せ合いを目指し、83香成同銀同角成82香

でうっちゃりを食らいます。

この筋は75桂84歩の時に72角とすれば

破壊力が上がります。今度は72同金しかなく51飛成29飛成

の時に、一直線に52竜87角成同玉69竜72竜

とすると、95桂か89竜で先手玉が詰んでしまいます。

戻って、52竜としないで68金寄25角77金打

と固めてから34歩~52竜を狙えば先手が優勢です。


× 実戦では42と として

75桂79桂(この交換は29飛成の後かも)42金15角29飛成

とされ、87桂成の筋があるので42角とは行けず、68金寄41歩

となれば形勢は互角に近くなりました。それでも42角成同歩66金43角44歩25角75金36角打

の時に59桂と受ければまだまだでした。一つ前の図で43歩成(これは43同歩47歩同角成59桂のつもりだったか)としたので69角成であっという間に敗勢です。
この説明が後回しになりましたが、21~87のラインに角があるまま飛車を成らせてはいけないということだったのです。


× 43とも同じようなもので

43同角33角29飛成51角成87角成
(途中75桂79桂を入れても同じです)と進めば

87同玉89竜61馬89竜88歩95桂77玉75金

というのはかなり受けにくく、後手が勝つでしょう。実戦ではこの87角成の筋を受けたのですが、それでは形勢は互角になってしまいます。


○ 先に受けておく手、玉を固める手もよい手で、77歩

に65角66歩74角と追ってしまえば43と

で最初のころにやったのと同じ(77歩が75桂になっていた)ことです。駒得で攻めており、自玉に怖いところがありません。


○ 68金寄を先にして

75桂には79桂、29飛成44歩42歩12竜

とゆっくり攻めてもよいです。24飛が移動したら44歩と突きだせます。(42歩と謝らせてから取りに行くほうが受けにくいし後で44歩が生きます。)

また、75桂に77金

と受けることもできます。ここはお好みで。


☆ まとめ
攻めるほうと受けるほう、どちらを考えましたか?

逆転してしまうのは87角成の筋を残したまま29飛成とされることで、そこで受けたら互角に近く、87角成同玉69飛成を食らったら負けます。これは穴熊の遠さを生かされた、ということになるのです。逆転される筋を考えてそれを避けるというのがわかりやすいでしょう。

攻めるなら75桂あるいは25歩同飛75桂、または72角や25歩同飛16角や43と同銀33角の筋で、これは寄せのセオリーの考え方ですが、小さな駒から使うほうがよく、(25歩同飛をいれるかどうかで)75桂を考えるのが先です。うまく組み合わせたら穴熊なんて簡単に攻略できます。

受けるなら二通りで、76の角を追ってから 後で と金を使って金銀をはがすというのがスマート。68金寄と先に受けて、後で と金を使えばよいとうのが堅実です。

いずれにしても先手有利ですから正解は複数あります。棋風によって選べるところだと思います。

*間違いを直しました。20171025

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