名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(312); 石田流穴熊に位取り

2016-10-19 | 大山将棋研究
昭和51年11月、毎日特別棋戦とあります。大内延介棋王との対戦、大内先生は初のタイトル(結局1回だけでしたが)だったので企画されたのでしょう。毎日新聞は棋王も棋聖も関係ないのですが。


乱戦かもという出だしでしたが

結局は石田流と位取りになりそうです。

大山先生は4筋の位を取り、大内先生は穴熊に。

大山先生はいつものように7筋の歩交換を許します。

なんだかきれいな駒組みで、大山先生らしくないです。こうなると7筋の歩交換は大きいので大内先生がやや作戦勝ち。

48金左を見て大山先生は角をのぞきますが、成ると53角成同金65桂です。

1手損しただけに終わり、角交換で作戦負けが解消されるかどうか。

1回角を打ちあって35歩の形にするのが大内先生の鋭い感覚です。

歩をたらして

じっと歩を突きだしました。

狙いは44歩から角で割打ち。その間に桂馬を損しているのですが、後手陣が乱れています。

大山先生は反撃にいくのですがこれが悪く、じっと我慢しておくところでした。

大内先生は飛車を取って打ち込み

じっと成っておく。これが受けにくいです。

42歩と打つために成り捨てれば、無視して桂を取る。これが強手でした。前に35歩の形にしたのが利いてきて、34桂があります。

あっという間に寄ってしまいました。

投了図。

大内先生の快勝です。大山先生は手を抜いたというわけでもないのですが、少し前に右翼を厚くしてうまくいかなかったので玉を固めてみようと思ったのでしょう。しかしいいようにやられてしまいました。
石田流穴熊としては理想通りの展開で、いつもこんなにうまくいくのならよいのですが。大内先生が一番強かったころの将棋です。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大内延介棋王
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 5六歩(57)
4 5四歩(53)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八銀(79)
8 4二銀(31)
9 6七銀(68)
10 5三銀(62)
11 7五歩(76)
12 4四歩(43)
13 7八飛(28)
14 4三銀(42)
15 4八玉(59)
16 4二玉(51)
17 3八玉(48)
18 3二玉(42)
19 2八玉(38)
20 4五歩(44)
21 1八香(19)
22 4四角(22)
23 1九玉(28)
24 2二玉(32)
25 2八銀(39)
26 3二金(41)
27 3九金(49)
28 1四歩(13)
29 5八金(69)
30 8四歩(83)
31 9六歩(97)
32 1五歩(14)
33 7四歩(75)
34 同 歩(73)
35 同 飛(78)
36 7三歩打
37 7六飛(74)
38 5二金(61)
39 9七角(88)
40 3三桂(21)
41 7七桂(89)
42 9四歩(93)
43 4八金(58)
44 3五角(44)
45 5八銀(67)
46 6二銀(53)
47 5七銀(58)
48 5三角(35)
49 同 角成(97)
50 同 金(52)
51 6五桂(77)
52 5二金(53)
53 2六角打
54 3五角打
55 同 角(26)
56 同 歩(34)
57 9五歩(96)
58 同 歩(94)
59 7二歩打
60 同 飛(82)
61 4六歩(47)
62 6四歩(63)
63 4五歩(46)
64 6五歩(64)
65 4四歩(45)
66 同 銀(43)
67 6一角打
68 6三銀(62)
69 7四歩打
70 4七歩打
71 3八金(48)
72 4五桂(33)
73 4六銀(57)
74 6七角打
75 7三歩成(74)
76 同 桂(81)
77 7二角成(61)
78 同 銀(63)
79 7一飛打
80 6二金(52)
81 4一飛成(71)
82 4八歩成(47)
83 7三飛成(76)
84 同 銀(72)
85 3四桂打
86 3三玉(22)
87 4五銀(46)
88 同 銀(44)
89 2五桂打
90 2四玉(33)
91 3二龍(41)
92 3四銀(45)
93 3三龍(32)
94 1四玉(24)
95 1六歩(17)
96 投了
まで95手で先手の勝ち



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20161019今日の一手<その404>; 受ける

2016-10-19 | 今日の一手

20161019今日の一手

9月24日の名南将棋大会から、KさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答
仕掛けから見てみると

角交換振り飛車に筋違い角を打ちました。25歩34角26歩23歩21飛26飛25歩28飛に12角

居飛車から見るとちょっとうっかりしそうな角ですが、これで少し困りました。35歩23角同角成同飛34歩45桂

桂馬に逃げられてしまいました。32角24飛33歩成同銀35銀54飛23角成

馬を作れば何とかなりそうに思えました。でも12角と合わせられて57桂成があるので馬が逃げられません。12角同馬同香で問題図。

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが、持ち歩があるので損得なしとします。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。5筋を狙われているので78玉は戦場に近いということです。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は54飛45桂と持ち駒角で3枚。

総合すれば後手が指しやすいです。

☆ 大局観として
先手の攻め駒は2枚ですが、28飛の利きはまだ敵陣に届いていません。25飛と取って成り込んで、と考えるのが普通なのですが、25飛の後23飛成がどれだけの手か、王手飛車のラインにも入りますからいかにも危険です。
後手のほうが攻め駒が多いし玉も堅いという状態では攻め合いは難しく、先に守っておくのでしょう。57の地点をどう守るか、という問題です。


× 25飛を見ておきます。

44銀46銀なら57桂成

で34角の王手飛車。これはだめです。

44銀とぶつけられて、取るわけにもいきませんし(後手の攻め駒が4枚になる)34銀とかわすのですが24歩と打たれて

取れば35角から57桂成です。26飛も35角、28飛は39角、27飛は49角から58角成同金57桂成です。45銀25歩54銀同歩も駒損で飛車交換はだめでしょう。ということで一番自然な手がうまくいかない、というのは形勢が良くないということです。


× 実戦は23角でしたが

39角38飛57桂成

57の地点を破られてしまいます。角の利きを生かして56歩と耐えたのですが、58成桂同金28金

と筋悪く攻められ、以下は36飛に34歩同銀同銀同角成・・・と進むのですが、一応駒得で玉の堅い後手が有利です。


× 57を受けます。後の王手飛車を消して67金右が一石二鳥のようですが

39角には58飛ですね。でも36歩46銀37歩成同桂同桂成同銀55桂

受けているのに駒損ではまずいです。


△ 受けるなら46銀と使うのが本筋でしょう。

ただし34飛とまわられると歩を打つしかありません。35歩24飛

の時に歩切れで27歩が打てないです。45銀26歩15角23飛

ここで少し困ります。33角成同飛25飛35飛ではまずいですし、33角成同飛34銀では27歩成からの王手飛車の筋があります。
味が悪いのですが34歩24銀26角として、35銀に37角でどうか。(途中で27歩には38飛)

64角から74桂という反撃筋があるので、どうにか形勢を保っていて、難しい戦いです。どこかにほころびがありそうで、後手有利になってもおかしくはないところですが。


× 46歩では

34歩でも少し困りますが、39角27飛57桂成同金左同角成同金36金

でつぶれています。飛車交換もできませんし。


△ 角を打つ手しかなく、18角

とすれば桂と飛をにらんでいます。39角38飛57桂成には54角と取れます。

54同歩39飛56角67角同成桂同金直

これは少し駒得ですし、何とかなりそうです。

後手は57桂成の前に57角成とするのでしょう。(57飛成は45角)

57同金左同飛成には45角


なので、57同桂成に54角

のほうが難しく、54同歩57金27角37飛45角成

これが王手で、36歩から35馬もあります。駒損を避けるなら67角36歩45角ですが、37歩成同桂38飛

桂馬を取り返されますし、玉の堅さも違うので後手のほうが勝ちやすいです。

ということで35の銀はあきらめて58飛として

45角成67角35馬に12角成は49銀

飛車を取られるのでは勝ちにくいです。

12角成の前に46金として34馬

これで34角同銀32飛23銀39飛成・・・という戦い方にするのが最善か。金銀と角桂の交換で少し落ち着きます。
後手もいろいろ手が続きますが、互角の戦いです。


△ 18角でなくても36角でも同じですし、76角でも39角

と打てば同じことになりそうです。
39角ではなくて55飛46銀75飛67角・・・ということになる可能性はあるのですけれど。


△ 56角はひねった手ですが

39角38飛57桂成同金左同角成同金56飛

と強襲されても、56同金49角68飛58金67飛

ここで48金57飛58金は千日手、といって58角成は46銀と引いて

これは駒得な分だけ先手有望です。


× 角を打つなら筋違い角のほうが働いていて、48角では

24銀46銀44飛56歩36歩

かなりゆっくりにできるのですが角が攻めに使えません。後手にだけ打開の権利があるという状況です。


☆ まとめ

元があまりよくない局面でしたので、先手有利にはなりません。受けてつぶれないように、駒損しないように、という変化を選びます。

角を使わずに57を受けるなら46銀しかなさそうです。

角を打つなら18角か56角か。
18角は39角以下の攻めをぎりぎりしのいでいるという感じです。

56角は質駒になるので怖いけれど、それ以外の怖い手が無くなっています。44銀とか44歩とか桂取りを受ければ25飛が可能になるので、飛車きりの筋で攻めるのでしょう。変化で書いた39角はかなり強引な手ですが、怖いのはそれくらいです。

どれを選びましたか?
ただ57の地点を受けようというだけでなく、攻めを呼び込む手のほうが強いです。45の桂取りになっているほうが催促できるわけです。


*間違いを修正しました。20171019

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