名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
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大山将棋研究(324); 四間飛車に中央位取り

2016-10-31 | 大山将棋研究
昭和51年12月、米長邦雄先生と第29期棋聖戦第1局です。


大山先生の四間飛車に米長先生は中央位取りです。

6筋の歩が交換できれば先手のポイントです。

46歩と突かないで銀が出られるようにするというのは(大山先生はやらないのですが)現代的(というか近代的か)ですがここでは79角がないので方向違い。

結局銀を戻ることになりました。単なる手損だと思うのですが。米長先生は序盤があらいとはいえ、こういうところ勢い重視して右から手を作るかとも思ったのですが、何もなくてごめんなさい、というところ。

左に戻して7筋の歩を交換し

銀を1手で立て直せるので、影響はなかったようです。

米長先生の左翼は部分的にはよい形です。6,7筋に歩がないので手厚くはないのですが、2歩持って攻めやすいです。(相手から75や65に打たれるので受けるにはよくない形)

ここで大山先生の25桂が悪手。意地を張ったのですかね。65同歩と取ってやってこいのほうが良かったです。2筋から動くにしても、24歩からゆっくりしかなかったでしょう。

このタイミングで89飛が絶好。36歩には45銀があるので

大山先生は24飛から17桂不成と捨てて飛車を成りますが

85歩を取れなくて52歩と謝るようではつぶれそうです。金銀4枚で固めているのですが

55桂からくさびが入り

84歩の取り込みも取れません。

それでもこの歩は悩ましいのです。攻めるには飛車で取るのですが、19竜はかなり嫌味です。

米長先生、踏み込みました。

そのあと62成桂で詰めろ。75歩は詰めろ逃れ(74玉を用意)ですが85銀で変わらず

投了図。

大山先生の指し手がおとなしくて、組み上がりは米長先生の作戦勝ちです。金銀4枚に角で固めていても、飛角桂桂で歩が利いては受けきれませんでした。飛車を見切ったのが鮮やかな寄せです。位取りから飛車の転回と、居飛車の理想的な将棋でした。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄8段
後手:大山棋聖
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 9四歩(93)
13 5六歩(57)
14 7二銀(71)
15 5七銀(48)
16 7一玉(62)
17 6八銀(79)
18 5二金(41)
19 5五歩(56)
20 4三銀(32)
21 2五歩(26)
22 3三角(22)
23 5六銀(57)
24 6四歩(63)
25 6六歩(67)
26 6三金(52)
27 6五歩(66)
28 同 歩(64)
29 同 銀(56)
30 6四歩打
31 5六銀(65)
32 7四歩(73)
33 5八金(49)
34 3五歩(34)
35 5七銀(68)
36 3二飛(42)
37 1六歩(17)
38 1四歩(13)
39 6八金(69)
40 8二玉(71)
41 6七金(58)
42 8四歩(83)
43 4六銀(57)
44 5一角(33)
45 2六飛(28)
46 1三香(11)
47 5七銀(46)
48 3四飛(32)
49 6六銀(57)
50 3三桂(21)
51 7五歩(76)
52 同 歩(74)
53 同 銀(66)
54 7四歩打
55 6六銀(75)
56 5二銀(43)
57 6五歩打
58 同 歩(64)
59 同 銀(66)
60 6四歩打
61 7六銀(65)
62 4五歩(44)
63 8六歩(87)
64 6二角(51)
65 2八飛(26)
66 7三角(62)
67 2六飛(28)
68 6二角(73)
69 2八飛(26)
70 7三金(63)
71 6六角(88)
72 6三銀(52)
73 7七桂(89)
74 8三銀(72)
75 3八飛(28)
76 7二金(61)
77 3九飛(38)
78 5四歩(53)
79 同 歩(55)
80 同 銀(63)
81 5五歩打
82 6三銀(54)
83 6五歩打
84 2五桂(33)
85 8九飛(39)
86 2四飛(34)
87 5四歩(55)
88 1七桂(25)
89 同 桂(29)
90 2八飛成(24)
91 8五歩(86)
92 5二歩打
93 5五桂打
94 5四銀(63)
95 6四歩(65)
96 同 金(73)
97 6三歩打
98 5三角(62)
99 8四歩(85)
100 9二銀(83)
101 6五桂(77)
102 8八歩打
103 5三桂成(65)
104 8九歩成(88)
105 6二成桂(53)
106 7五歩(74)
107 8五銀(76)
108 7九と(89)
109 7七玉(78)
110 7八飛打
111 8六玉(77)
112 6二金(72)
113 同 歩成(63)
114 7四桂打
115 9七玉(86)
116 投了
まで115手で先手の勝ち
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20161031今日の一手<その409>; 4枚で攻める

2016-10-31 | 今日の一手
20161031今日の一手

10月8日の名南将棋大会から、IさんとFさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答
序盤から見ておきます。

角換わり相早繰り銀の先後同型です。これは先手有利とされています。後手は64銀ではなく73銀のまま95歩などで待つべきなのです。
35歩同歩同銀に86歩同歩85歩

はよくある反撃の手筋ですが、24歩同歩同銀同銀同飛23歩28飛86歩83歩同飛84歩同飛66角

長いけれど一本道で両取りが決まります。(この筋を避けるために73銀で待つ。また42玉の形で55角の返し技があるけれど、33歩を入れて飛車の取り合いがクロスカウンターという定跡も。)82飛11角成87歩成同金同飛成88香

として先手優勢。(先手が68玉の形は78金があるけれど)というのが昔流行った定跡です。大ベテランMさんはご存知でしょうが、なにかうっかりしたのでしょう。

途中で気が付いて87歩成ではなく55角

として、55同馬同銀88歩

歩2枚と香の交換でこれならまだいい勝負です。

88歩はおとなしい指し方ですが歩切れなので、86銀同飛88香76飛77歩

として、75飛には84角、36飛には45角でよさを求めたかった気がします。88香は後で81香成とできます。

さて、問題図は終盤です。

☆ 形勢判断をします。
先手の香得です。終盤ですから重視しません。
玉の堅さは左金の位置の違いでやや先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は28飛53銀35香と持ち駒角で4枚。十分です。
後手の攻め駒は82飛と24角は(今は)数えにくく、45桂と持ち駒銀で2枚。

総合すれば先手有利あるいは優勢です。

☆ 大局観として

小さな差ですが、3つの要素すべてで上回っています。ですから受けるよりは攻めるほうが良いでしょう。攻め駒を減らさないように注意して後手玉に迫ります。
後手に角を打たれたところで、受けとしてはなかなか良さそうな手ですね。半面質駒になりますし、悪い手にできそうな感じです。

寄せのセオリーとしては小さな駒を使うのですが、53銀や35香を移動してもつまらない、この位置のまま働いています。持ち駒の歩、角、あとは28飛を使うという順番です。


× 持ち歩を攻めに使うところがなさそうなので持ち駒の角をつかうところから考えてみます。実戦は33角でした。

一番厳しい手、王手です。33同角同香成同金34歩32金33角

香を失って攻め駒が減りました。金で取ってもらえば と金ができるのでよいのですが、41玉15角成24角同馬同歩33角35角24角成同角同飛23香

とややこしい手順ですが飛車を出て殺されました。以下は33歩成から取り合いですが、後手玉を逃がしているので寄せにくく、先手の負けになりました。
どこかで33角を金で取ってもらえればよいのですが、強制できませんでした。であれば攻め駒が3枚ですから戦力不足に陥ります。


△ 15角

と打つことはできますが、15同角同歩24角で状況はほぼ変わりません。後手は24角と打たないかもしれません。


× 34角は

少し急所からずれています。35角に23角成も53角

とされて、22馬はあるものの飛車先を止められます。後手玉が安定したので先手の敗勢。

35角に43角成は48歩

が味の良い手です。後手の攻めが速くなりますし、先手の攻め駒3枚で、やはり負けそうです。


× 31角は53銀にひもを付けています。

35角36歩57角成52歩

57の歩を取らせて歩を打てるようになりました。でも52同金同銀成同玉53金61玉

では戦力不足。

53金ではなく22角成としても56香

くらいで負けそうです。


○ ということで、35の香を取られては攻め駒が減るのでいけないのです。香を逃げるよりは36歩

のほうが良さそうですね。57桂成にも31角が厳しく、41銀と受けても25歩

で角が殺せます。42角に同銀成同飛(22金を守る)同角成同銀84角

寄せは遠のきましたが、駒得でゆっくり指せます。

後手は57桂成では届かないので、42銀(または52銀)

と受けるのが粘りのある手です。25歩がありますが、35角42銀成同玉35歩57桂成


あるいは25歩に53銀24歩同歩31角44銀上

どちらも先手が良さそうですが、まだ難しいです。


○ もっと厳しい手は24飛で

大きな駒を渡すのですが、24同歩31角57桂不成(69飛のねらい)に84角

が見えていればよいでしょう。57桂不成以外の手には33角や42角打が厳しいです。

では84角ではなく攻め合ったらどうか。42角打41玉22角成です。

角を渡せば先手玉は詰みそうですが、42飛には31馬なので無効、69飛から追いかけられても先手玉は詰まず、どうやら先手の勝ちのようです。


☆ まとめ
先手は4枚の攻め駒ですが、35香を失うと攻めが切れてしまいそうです。なので角打ちはいろいろありますが、どれもうまくいきません。

一度36歩と我慢して、57桂成に31角なら厳しい寄せになります。
36歩に42銀または52銀と受けられると、まだまだ難しいです。

先手の攻め駒は4枚ですが、28飛は23飛成と成れるくらいでないと(後手玉は51ですから)寄せに働いたということにはなりません。であれば角を取って攻めるというのが最強の手順です。35香を守ったことにもなります。
飛車を渡すと57桂不成が怖いのですが、王手で抜く手順か、駒を渡さないで詰めろをかけられれば勝ちです。それが31角から84角あるいは42角打という順です。

せっかく攻め駒4枚だったのですから、4枚をキープして攻めたいのです。香1本でも失うと攻めが切れてしまいます。激しい手を考えているとついやりがちなミスです。気をつけましょう。

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