名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(670);四間飛車に中央位取り(米長邦雄)

2017-10-12 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20171012
昭和57年9月、米長邦雄先生と第41期名人挑戦者リーグです。

大山先生の四間飛車は52金左も多くなりました。米長先生は中央位取りです。

6筋の歩を交換できれば居飛車十分です。

大山先生は石田流への組換えで

米長先生は66銀から97角。この将棋はどこかで見たことがあると思うのですが、記憶があいまいです。

65歩と合わせて同銀直が肝心なところ。64歩には54歩(65歩53歩成の時に銀に当たらない)でさばけます。

大山先生は84角でけん制しますが、米長先生は攻撃続行です。

金銀交換の後は金を打つのが位取りの将棋で、厚みが大切です。

馬を作って米長先生の有利。

大山先生も と金を捨てて飛車を成りますが

69歩を打てるというのがこの位取りの長所で、先手玉は堅いのです。

米長先生は と金を作れば攻めは続きます。

銀を取ったら打ち込んで

馬を出て

74桂が入ったので馬を切って

銀を立つ。これで寄り筋です。

この歩が詰めろで

投了図。

米長先生の快勝譜ですが、大山先生に疑問手が見当たりません。中央位取りの6筋の歩を交換するタイプはかなり優秀なのです。それがみんなに認識されたのがこの将棋のあたりでしょう。単純に歩を交換されない工夫はいつ出てくるのでしょうね。
先手をもって並べ、位取りの破壊力を知ってください。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄棋王
後手:大山王将
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 5八金(49)
12 7二銀(71)
13 5六歩(57)
14 7一玉(62)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 5二金(41)
19 5七銀(68)
20 8二玉(71)
21 5五歩(56)
22 4三銀(32)
23 5六銀(57)
24 6四歩(63)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 6六歩(67)
28 6三金(52)
29 6五歩(66)
30 同 歩(64)
31 同 銀(56)
32 6四歩打
33 5六銀(65)
34 3五歩(34)
35 1六歩(17)
36 7四歩(73)
37 6七金(58)
38 1四歩(13)
39 6八金(69)
40 3二飛(42)
41 2六飛(28)
42 5一角(33)
43 5七銀(48)
44 3四飛(32)
45 6六銀(57)
46 3三桂(21)
47 9七角(88)
48 4五歩(44)
49 6五歩打
50 同 歩(64)
51 同 銀(66)
52 8四角(51)
53 6四歩打
54 7三金(63)
55 7五歩(76)
56 6四金(73)
57 同 銀(65)
58 同 飛(34)
59 6五金打
60 3四飛(64)
61 7四歩(75)
62 3六歩(35)
63 5三角成(97)
64 5二銀(43)
65 8六馬(53)
66 3七歩成(36)
67 3五歩打
68 同 飛(34)
69 5四歩(55)
70 3六と(37)
71 2八飛(26)
72 4六と(36)
73 同 歩(47)
74 3九飛成(35)
75 2七飛(28)
76 4八角成(84)
77 6九歩打
78 5七歩打
79 同 飛(27)
80 2九龍(39)
81 5三歩成(54)
82 1九龍(29)
83 5二と(53)
84 同 金(61)
85 7三銀打
86 同 桂(81)
87 同 歩成(74)
88 同 銀(72)
89 7四歩打
90 8四銀(73)
91 6四馬(86)
92 7三歩打
93 同 歩成(74)
94 同 銀(84)
95 7四桂打
96 7二玉(82)
97 7三馬(64)
98 同 玉(72)
99 5五銀(56)
100 5七馬(48)
101 同 金(67)
102 6三歩打
103 8二角打
104 7二玉(73)
105 5三歩打
106 7六銀打
107 7三歩打
108 6一玉(72)
109 7一角成(82)
110 5一玉(61)
111 5二歩成(53)
112 同 玉(51)
113 5三馬(71)
114 投了
まで113手で先手の勝ち




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20171012今日の一手(その584);筋の良さ

2017-10-12 | 今日の一手

20171012今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、TさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は46角1枚。
後手の攻め駒はありません。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
先手玉のほうが堅くないけれど攻勢を取りやすいのでバランスが取れています。
でも問題図を見ていると先手が得をしているように見えますね。これは先手が手得しているからです。序盤に後手から角を交換して35角46角と打ちあって結局交換しなかったこと(その角を33に移動している)、後手飛の動き(22~52~32)、、左銀の動き(直前に先手66銀後手64銀の形で65銀直とぶつけて53銀と引いたところ)などが関係しています。ですから先手の作戦勝ちとみて良いはず。

でもゆっくり駒組みしていて良いかどうかは別の話で、手得が薄れてしまうかもしれませんし、抑え込みが決まるかもしれません。これは状況次第です。
パッと見ると中央が手厚いので動きたくなることろですが。


○ 24歩同歩

1歩渡しますが、これから激しく戦うなら良い手になります。駒組みを続けるなら疑問手でもないですが早すぎます。とりあえずほかの変化では突き捨てなしで解説します。


△ 95歩同歩

は大分早い感じがしますが、激しい変化になれば得かもしれません。後からだと手抜きの可能性がありますから。


△ 実戦は54銀とさらに突進しました。

42銀と引かれて何もなければだめですが、24歩同歩同角22飛23歩同飛33角成

で飛と角銀の二枚換えにする変化があります。この時に飛を取られるのが26の位置であることや37桂と跳ねていることがプラスに働きますから先手有利です。

ということで実戦は54同銀。

54同歩には単に52飛とすると43銀が気にはなりますが51飛

で43の銀の働きが悪いのです。34銀成はなかなか実現しませんし、後手からは45歩があるわけで、銀を打つのは先手の損です。

55銀と立っても56銀

が嫌ですし、単に52飛が優りました。

実戦は43銀

と妥協して、55銀52飛65銀64歩

と中央での戦いです。64同銀右54銀同銀同飛55銀打51飛54歩56歩

66歩63歩53銀成同金同歩成同飛54金

54同飛同銀45歩同桂66角77桂55金

55同角同角62歩71金51飛44角打35歩66銀67銀打

という進行は互角です。
ただこうなると24歩同歩を入れていたら先手が指せるのではないか、最後の図では先手の歩切れが気になるし、26飛の働きが弱い(いつでも35角が入りそう)、という感じです。さらには95歩同歩が入っていたら、など、終わってみればの反省がいくつかあるでしょう。最後は寄せ合いで先手の負けになってしまいました。


○ 54銀よりは54歩のほうが筋が良いです。

歩が前に進むほうが、銀が前に進むよりも筋が良いと感じます。角筋が通りますし、56銀の進出の可能性も出てきます。実戦の54銀は同銀同歩で後手番であるという比較です。
42銀と引けば24歩同歩同角22飛23歩同飛33角成

が先手よし、というのは同じことです。銀を取って53歩成のおまけつき。

ということは64銀しかなく

4手前は55歩の形で後手番だったのですから、先手が2手得しています。64同銀同歩同角52飛65銀

53銀や31角成が残っていますから先手が指しやすいです。
ここでも24歩同歩を入れておいた方が得ですね。35歩同歩も入れておきたくなりました(けれど24角の変化がなくなる)。


○ 77桂と待っておくのも有効で

64歩に54歩です。

65歩53歩成同金65銀

としておいて少し指しやすそうです。77桂はここで後手の45歩に備えていたわけです。

64歩に54銀だと

42銀には24歩以下があるので銀は死にません。54同銀同歩52飛

勢いは64角54飛65銀64飛同銀45歩

これは後手から57歩が厳しいのでまずそう。
ここでも銀を出る(54銀)よりも歩を突く(54歩)方が筋が良い、ということになります。


○ 66歩でも

同じような意味で、次に67金右と組みます。64歩には54歩以下

77桂の形と66歩の形どちらがいいとも言えません。お好みで。


× 75歩は銀を引こうという意味で

64歩に76銀です。

これが形が良い、とは言えないのです。位を取るなら隣り合っているほうが安定していて、一間飛びは安定しません(例外は飛車先の25歩と45の位)。というのは

75の位を保つのは大変で

55の位を狙われたら76銀の働きが悪い、というわけです。だからお勧めしません。


× 35歩は

35同歩に54歩や54銀で激しくできるなら考慮に値します。35同角51角36歩34飛

というのは失敗です。32飛と備えられたところを攻めるのは筋が良いとは言えません。



☆ まとめ
形勢互角でも手得という事情があり、作戦勝ちになりそう。こんな時は筋が良い手を選びましょう。

54銀よりも54歩のほうが筋が良い、というのは感覚的なもので説明は難しいところですが
角筋が通って歩を突きだすというのは是非考えたいです。
24歩同歩は飛先の突き捨てですが、26飛が攻め駒になるわけで、攻める前にはついておきたいです。
95歩同歩は99香も攻め駒になるかも。
24歩同歩95歩同歩54歩、というのが一連の筋で、その先を読んで優勢にもっていければいうことはないです。

54銀とぶつけても「取ってもらえるなら」という限定つきですが、筋が悪いというほどではありません。ただ後手の手番というのが嫌な感じなんですよね。

77桂または66歩と自玉のまわりに手が行くのも、守りの駒の働きを向上させよう(77桂は薄くなっても寄せの時に役立てよう)というわけで、筋が良い部類です。64歩と突かれて54歩と返すのが筋が良い、とみているわけでもあります。

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