名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(682);四間飛車に玉頭位取り(山口英夫)

2017-10-24 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

(負けましたが)後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20171024
昭和57年10月、山口英夫先生と第16回早指し選手権です。

山口先生も振り飛車党のはずですがすんなり譲って大山先生の四間飛車、山口先生は玉頭位取りです。

玉頭位取りの序盤は結構難しくて、この図は失敗です。少し前に吉田先生との将棋を並べましたが同じ失敗です。
正しくは有吉先生の指し方を見てください。

こうなると86角が動かせなくなって、手が詰まります。

大山先生は金を出て85歩。97角には84金から95歩があります。

角金交換で位が消えては山口先生は大失敗です。

金を打って攻めるのですが

角を打たれて

大山先生に大好きな馬を作られました。(46歩同歩47角成というのが筋なんですね。つい歩を取ってしまいそうですが。)

馬を引き付ければ大山先生が十分です。

気持ちの良い歩突きがあり

手順に飛をぶつけて交換します。

前に歩を突き捨てておいた効果でここに歩を垂らせました。

山口先生は角を取り返せましたが

金を2枚打ち付けられて困っています。

どうにか馬と交換してもらえましたが

受けはないですね。

投了図。

玉頭位取りは組むまでの手順が難しいです。これは居飛穴などの持久戦と同じことではありますが、終盤で得をしようと思えば序盤で苦労するのが道理です。振り飛車党が見様見真似でやるとひどいことになる場合があります。
大山先生の馬の使い方、美濃囲いの再構築、46歩の前後、いろいろ学べます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:山口英夫6段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 7八玉(68)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 9四歩(93)
13 5六歩(57)
14 7二銀(71)
15 5八金(49)
16 7一玉(62)
17 5七銀(48)
18 4三銀(32)
19 6八銀(79)
20 5二金(41)
21 7五歩(76)
22 6四歩(63)
23 7七銀(68)
24 8四歩(83)
25 7六銀(77)
26 8三銀(72)
27 6六歩(67)
28 5四銀(43)
29 6七金(58)
30 6三金(52)
31 7七角(88)
32 7二飛(42)
33 8六角(77)
34 4五歩(44)
35 2五歩(26)
36 3三角(22)
37 6八金(69)
38 7四歩(73)
39 同 歩(75)
40 同 銀(83)
41 7五歩打
42 8三銀(74)
43 1六歩(17)
44 8二玉(71)
45 3六歩(37)
46 7四歩打
47 同 歩(75)
48 同 金(63)
49 7五歩打
50 8五歩(84)
51 7四歩(75)
52 8六歩(85)
53 同 歩(87)
54 7四銀(83)
55 2四歩(25)
56 同 歩(23)
57 3五歩(36)
58 同 歩(34)
59 3四金打
60 5一角(33)
61 3三歩打
62 7五歩打
63 8七銀(76)
64 2五角打
65 4四金(34)
66 4六歩(45)
67 同 歩(47)
68 4七角成(25)
69 2四飛(28)
70 2二歩打
71 2三歩打
72 1四馬(47)
73 2八飛(24)
74 2三馬(14)
75 5三金(44)
76 6三銀(54)
77 4五歩(46)
78 3三馬(23)
79 2三歩打
80 6五歩(64)
81 2二歩成(23)
82 同 飛(72)
83 同 飛成(28)
84 同 馬(33)
85 4三飛打
86 7二銀(63)
87 4一飛成(43)
88 4六歩打
89 5二金(53)
90 同 金(61)
91 同 龍(41)
92 3三馬(22)
93 6二金打
94 同 角(51)
95 同 龍(52)
96 6一金打
97 6四龍(62)
98 6三金打
99 3四歩打
100 6四金(63)
101 3三歩成(34)
102 4九飛打
103 7九歩打
104 4七歩成(46)
105 4二角打
106 6三金(64)
107 4三と(33)
108 2九飛成(49)
109 5五角打
110 7三金(63)
111 投了
まで110手で後手の勝ち
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20171024今日の一手(その590);挟撃で寄せる

2017-10-24 | 今日の一手

20171024今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、AさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

後手が32玉を42に移動して詰めろを避けたところです。

☆ 形勢判断をします。
桂と金歩歩の交換で、馬を作られていますが、先手の駒得です。ただし終盤なので重視しません。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は26飛は数えにくいですが66角と持ち駒金銀銀で4枚あります。
後手の攻め駒は74馬と持ち駒銀銀で3枚。24桂も入れてよさそうで、4枚に近いです。

総合すればやや先手もちです。

☆ 大局観として
先手が駒得なので受けておくのもあります。でも桂馬は取れるので取ってからでしょうね。安全に駒得できるので長期戦ならよしです。
1手前は後手玉が詰めろでしたし、33歩成や33角成がありますから寄せを考えたいです。どうやったら早く詰めろをかけられますか?


△ 自然な手は33歩成で

52玉に23と

から24桂を取って入玉狙いでどうか。例えば47銀39金36銀成24飛47馬38歩

入玉できそうでもありますが、まだはっきりしません。

もっと駒得ではなくて、寄せを考えるほうが良いのでしょう。43と

あるいは55桂54銀43と

で寄せを考えます。74馬の利きが41金まで届いているのに注意しなければいけませんが、先手が指せるはず。

戻って後手は51玉

と逃げておくほうが優ります。ここまで来れば71銀72飛82金

という手が見えやすくなると思います。金は82から打ってください。62から打って二枚換えで飛を取っても寄せにくいです。
47銀39金82飛同銀成38金18玉

先手玉に詰めろがかからず、後手玉は42銀からの詰めろです。(この追い方は2手違いですが、飛を渡すと詰めろなのでは先手の勝ち筋です。)

ということはやはり後手としては危なくても52に逃げて43と

のほうを検討したほうが良いのでしょうか。(43と ではなくて71銀72飛82金は同飛同銀成の時に後手玉が詰めろになっていない。)43同玉に46飛は寄りそうで寄らないので、黙って11角成としておきます。

先手よしですがまだはっきり勝勢にはなっていません。


△ 33角成も自然な手で

52玉71銀72飛82金

を見つけられれば先手優勢です。とはいえ先手玉に詰めろが続かないというのが前提で、(47銀39金82飛同銀成38金17玉39金に)55桂

としばって勝ち、ということになるのでまだ気が抜けませんが。


○ 実戦は71銀で

王手をかけないで銀を打つのが正しいのです。

45桂(ここまでは実戦)に82銀成

が一番強い勝ち方です。後手玉は詰めろ、先手玉は詰みなしです。

実戦は45桂に56歩と受けたのですが、72飛には62金

が簡明だったはず。後手玉は詰めろで一手一手の寄りです。

これを逃して33歩成52玉に82銀打?

多分秒読みに追われて金銀を打ち間違えたのでしょう。これで泥仕合になりました。35銀34金26銀43と63玉

と進んで後手の1手勝ちコースです。

後手の工夫は45桂ではなくて47銀

が何度か出てきた詰めろなのですが、受ける余地もありますし、47同金同馬に33角成52玉63銀

以下後手玉を上に追うのですが詰みがあります。


△ 左右挟撃なら72歩

は考えられます。72同飛には61銀

がかなり厳しいです。わずかに詰めろになっていないようですが。
45桂に62金が詰めろ、54歩に63銀

と絡んでおいて勝ち筋ですが、後手玉は詰めろではないので怪しい勝ち方です。


× 他に攻めるなら44歩

ですがかなりひねった指し方です。47銀43歩成51玉39金38銀打

33歩成51玉43と と指したよりも損をしている(桂を取っていない)ですし、43と自体が厳しくありません。


△ 受ける手は悪い手ではなく、47歩とか


47銀とか

33歩成か33角成の後で指す手かもしれませんが、先手やや有利ではあります。


☆ まとめ
すでに先手の攻め駒は4枚ありますから、さらに駒を取る33歩成や33角成は絶対手ではないです。
後手玉を6,7筋に逃がしてしまうとお手伝いになるかもしれません。

取らずに71銀が一番良い手です。72飛には62金と打てます。
もし手駒不足ならば72歩と節約するのですが、この場合は銀を打ったほうがはっきりしています。

33歩成や33角成と追った後でも、71銀72飛に82金と指せれば勝てます。まだ左右挟撃にできました。先手玉に案外詰めろが続かなかったためではありますが。

少し戦力不足の時は(この場合は26飛が攻めに働いていない)左右挟撃あるいは上から押さえる寄せを目指します。

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