名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(678);三間飛車に45歩急戦(石田和雄)

2017-10-20 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20171020
昭和57年9月、石田和雄先生と第9回名将戦です。

大山先生の後手三間飛車というのが珍しいです。これは急戦を仕掛けられるからで、石田先生なら当然。大山先生は早囲いから

とりあえず45歩に備えます。22飛と52金左が間に合えばよいです。

57銀左までもっていって55歩から仕掛けるというのが定跡です。ただし大山先生は金美濃で違いがどこに出るか。

55同歩に45歩、45同歩は同桂44角54歩で居飛車よし。

43銀に46銀と出るというのが57銀左まで持っていった効果です。56歩もありますが

大山先生は54銀の方でした。石田先生は当然銀をぶつけて交換になり

金を上がって45歩には55銀44銀同金(44歩と打つよりも1歩節約して)23歩

23同飛に変な筋ですが32銀22飛21銀成。後に23飛と修正された(15桂と打たせて21飛と取る)のですが、当時は最新でしょう、21同飛に

45桂。21桂を消去したので桂馬を跳ねられるという意味でした。

これで金を取れば先手優勢というわけではなく、41飛と返されます。42歩同飛11角成から

飛車をさばいてひと段落です。新しい(といっても20年くらい前ですが)定跡は居飛車が15桂を無駄打ちしているので振り飛車よしです。この場合は桂が手持ちなので少し居飛車が良いでしょう。
さて重いようでも52金が正しいのだと思いますが

石田先生は54桂から52香。これで角を取れるので良さそうな手順ではあるのです。

大山先生は飛を引いて桂を取り

二枚換え。これは52金なら金と角を交換できたのですが、桂香で角を取っているわけですから石田先生は少し損をしています。

手順に飛をいじめて香を打たせた、ともいえるのですが、黙って飛をさばくか、馬を引いておくほうが良いのではないかという気はします。

24飛とさばいて馬飛の交換、そこで32銀打というのが良い粘りの手でした。石田先生はここで難しいと思いなおしたのではないかと。

44角が好点で

底歩を打てば後手玉が遠くなりました。すると石田先生は受けなければなりません。

角を合わせてのやりとりで77桂66歩を強いられたのですが、どこかで駒得を生かすために持ち駒の金を投入すべきでした。この図あたりでは逆転しています。

形勢が良くなると大山先生に気持ちの良い手が出てきます。84桂が入り

55桂が入り

さらに26角がうまく受けられなくて、石田先生は寄せ合いを選びます。

しかし大山先生に金を打たれてはそれまで。

投了図です。

この定跡は私も指したことがありまして、20年くらい前でしょうか。その時はは居飛車よしだったけれど振り飛車から新しい変化が出されて、今ではどちらが良いとなっているか。当然後手三間飛車を指す先生は研究しているわけで、自信があるのでしょう。定跡本を参照してください。
終盤に入って大山先生の76手目32銀打以下は振り飛車党なら是非並べてほしいです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:石田和雄8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 2五歩(26)
8 3三角(22)
9 6八玉(59)
10 4二銀(31)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5八金(49)
14 7二玉(62)
15 5六歩(57)
16 5四歩(53)
17 3六歩(37)
18 6二銀(71)
19 4六歩(47)
20 5二金(41)
21 3七桂(29)
22 2二飛(32)
23 6八銀(79)
24 8二玉(72)
25 5七銀(68)
26 7二金(61)
27 5五歩(56)
28 同 歩(54)
29 4五歩(46)
30 4三銀(42)
31 4六銀(57)
32 5四銀(43)
33 2四歩(25)
34 同 歩(23)
35 5五銀(46)
36 同 銀(54)
37 同 角(88)
38 4三金(52)
39 7七角(55)
40 4五歩(44)
41 5五銀打
42 4四銀打
43 同 銀(55)
44 同 金(43)
45 2三歩打
46 同 飛(22)
47 3二銀打
48 2二飛(23)
49 2一銀成(32)
50 同 飛(22)
51 4五桂(37)
52 5一角(33)
53 4四角(77)
54 4一飛(21)
55 4二歩打
56 同 飛(41)
57 1一角成(44)
58 4五飛(42)
59 5四桂打
60 5三銀(62)
61 5二香打
62 4一飛(45)
63 2二馬(11)
64 5四銀(53)
65 5一香成(52)
66 同 飛(41)
67 3三馬(22)
68 5三飛(51)
69 4四馬(33)
70 5一香打
71 2四飛(28)
72 4三銀(54)
73 5三馬(44)
74 同 香(51)
75 5七歩打
76 3二銀打
77 2二飛成(24)
78 4四角打
79 3一龍(22)
80 4一歩打
81 7七角打
82 同 角成(44)
83 同 桂(89)
84 5五角打
85 6六角打
86 同 角(55)
87 同 歩(67)
88 4五角打
89 8八玉(78)
90 8四桂打
91 6七角打
92 同 角成(45)
93 同 金(58)
94 5五桂打
95 5八角打
96 2六角打
97 2二飛打
98 4八角成(26)
99 3二龍(31)
100 同 銀(43)
101 同 飛成(22)
102 6七桂成(55)
103 同 角(58)
104 4二金打
105 6五桂(77)
106 5七香成(53)
107 投了
まで106手で後手の勝ち




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20171020今日の一手(その588);守る時には駒得

2017-10-20 | 今日の一手

20171020今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、KさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の3歩得です。後手の持ち歩がなくなりましたから、先手の駒得だと言えます。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は28飛68角で2枚。
後手の攻め駒は82飛22角65銀で3枚。

総合すれば後手が指しやすそうです。

☆ 大局観として
後手は流行の対矢倉左美濃の急戦ですね。こういうのもあって矢倉の将棋が減っています。(矢倉が減っているのでは流行しているとも言えませんね。)
後手は玉を囲って63金は上がりたくなかったとは思いますが、それでも先手玉よりは堅い状況で先行しました。
先手としては手堅く矢倉に囲ってから攻めたかったのですが、まだ居玉で攻められるのは嫌なものです。
さて、問題図は実質2通りの選択肢しかありません。65歩と取るか、76歩を取るか(これはどちらで取っても同じことになります)どちらを選びましたか?


× それ以外の選択肢は24歩同歩

これくらいは入りますが、さらに23歩から攻めるというわけにもいかないでしょう。手が戻るなら1歩渡しているだけ損をしています。


× あるいは88銀

と逃げる手か。66銀76金で収まればよいですが、67銀不成

で駒損になってしまいます。

となれば66同金

は仕方なく、66同角67銀75角

この歩をかすめ取られるのは損でしょう。


○ ということで2つのうちどちらか。65歩を見てみると

77歩成に同桂は86飛87歩84飛

右銀を使いたいのですが57銀は85桂

と跳ねられて、85同桂は99角成ですし、66銀77桂成同角54桂

と攻められるのも嫌な感じです。

ならば76銀

と投入して57銀~66銀までできれば十分指せるのですが、66歩57金54金

というのは後手の調子が良いです。36歩67銀同銀同歩成同金寄65桂66歩77桂成同金直

後手の攻め駒が増えた(持ち駒になった)わけで、また65歩同歩同金66歩76歩というのでもよさそうです。85桂も受けにくそう。

戻って77歩成を同角

と取るほうが良いでしょう。先ほどの変化は先手の角が使えていなかったので交換してしまいます。77同角成同桂86飛87歩

後手から89角がありますが、68金引

でどうにか耐えているか。

87歩に82飛なら55角

で64歩を狙います。44銀と打たせて46角

か66角か悩むところですが、2つの位が生きていて、突き出しで反撃できそうです。これなら先手も十分指せます。


△ 実戦は76同銀と取って

66銀同金同角、という順ですが

△ 76同金

76同銀同銀66角でも同じ図です。

そして77銀

先手が居玉なので48銀にひもがついているのが幸いして、27金という攻め筋は無効です。
33角に74歩同金75歩という反撃が連続疑問手でした。65金

と出られて、歩を渡して後手の攻め駒を増やしてしまった、という図です。遅ればせながら46角とけん制しましたが、76金73角成67金打で

(ここは77金82馬78金でも指せましたが)詰めろ、67同金同金58銀同金同玉77角成同桂86飛

とさばいて後手の勝勢です。22歩に88飛成68歩67歩

と攻めれば一手一手の寄りです。

さて74歩と呼び込んだのは疑問手ですが、普通は66歩と守ります。

85歩同歩同桂88銀66角

と手順に攻められるては後手有利でしょう。変化はありそう(85歩を手抜くとか)ですが、先手がうまくはありません。

46角と角を使う

のが最善です。45金は気になっても、64歩62金74歩

構わず桂を攻めて、46金73歩成同金46歩

金は後で取り返せば良いだけです。こういう二枚換えなら先手よし。

46角には84飛

と備えられてこれから。なのですが先手は持ち歩が多い(得している)とはいえ金銀交換で銀を打たされています。48の銀が67にあれば指せますが、持っていくのは大変です。
現状は互角でも後手が指しやすいのでしょう。


☆ まとめ
65歩と取ってこの図

くらいまで読んでおきます。
角の交換は攻めている後手の得、ということも多いですが、どうせ守りには役立っていないのですから交換したほうがすっきりしています。攻めの銀と守りの銀を交換したのは損ですが、65歩75歩を生かす展開にならないかなあ、と考えます。何よりもこの図は先手が駒損していないのです。

76同銀か同金はこの図

で角を引かせたくらいまで読んでおきます。
守りの金を攻めの銀と交換させられて、その銀を自陣に打つ、というのは損です。駒損で長期戦を考えているということにつながりますし。
この図は駒損(たいした損ではないですが、金銀交換は守りの金が無くなっていることになります)で攻め筋がないです。46角と使って互角になるかどうか。

みなさんこの2つの図(の1手先)くらいを読んで比較したと思うのですが、どちらが得か分かったでしょうか。
守っているのに駒損は避けたいです。それが金銀交換や銀桂交換くらいであっても。相手が駒得で攻めていれば自分が悪い、と判断してください。ほぼ間違いはないです。
もっとも駒得でも安心できるわけではないというのがつらいところで、攻められている場合のほうが形勢判断は難しくなります。逆に攻めている方は駒損になるのが普通ですから、攻めが細くなり、攻め切れるか、あるいは駒を渡して反撃がきつくなるか、ということがつらいでしょう。



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