
(負けましたが)後手番大山先生の次の手は?
☆ 今日の棋譜20171022
昭和57年10月、内藤国雄先生と第30回王座戦第2局です。

大山先生の四間飛車に内藤先生は右64銀の急戦のようでしたが、右桂を跳ねました。とりあえずは65桂同歩77角成同桂86歩という狙いです。78銀と受けたら64銀もできるのですが

大山先生は56銀と受けたので中央位取りに。78銀でも中央位取りにすれば2手得ですね。最初から位を取るつもりだったのかも。

駒組みの後、内藤先生は4筋の歩を交換し

大山先生は7筋の歩を交換します。

大山先生は玉を堅くしておいて、なんとかさばこうという作戦です。72歩から と金つくりはその現われなのですが、この歩は形勢を悪化させることのほうが多いのだと思うのです。

と金を使うまでには手数がかかりますし、その間に内藤先生は角をさばくことができます。

57歩のたたきはいれるかどうか悩むところですが、本譜は57歩68金を入れてから歩を成り捨てて

角を成り、さらに桂を跳ねて好調です。もし57歩を入れていないと55歩から飛を使われるところでした。ということは57歩は好手だったと。

角を追って香を取れば駒得で

大山先生は桂馬を取ることでカバーするのですが、89馬から桂金の取り合いにしかなりません。

ここで63歩成97竜53と 以下手が続けばよいのですが、うまく72と を使えないので続きません。仕方なく88金と打って

竜を引き上げられたところでははっきり悪くなりました。

あとは と金を使っていくくらいしかないですが

角を殺され

97金が寂しく残っています。

あとは形つくりだけで

歩切れを突いた内藤先生の24香も光りました。

投了図。
内藤先生の快勝譜。当時王位でしたが、ノンタイトルとはいえ王座も獲得です。
玉を堅く構えて、あとはさばくだけ、という将棋は難しいですね。戦力不足だし、駒損になると先の見込みが悪くなります。
#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手
先手:大山王座
後手:内藤国雄王位
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 6二銀(71)
5 7八銀(79)
6 4二玉(51)
7 6七銀(78)
8 3二玉(42)
9 6八飛(28)
10 1四歩(13)
11 1六歩(17)
12 5二金(61)
13 4八玉(59)
14 8四歩(83)
15 3八玉(48)
16 5四歩(53)
17 2八玉(38)
18 7四歩(73)
19 3八銀(39)
20 4二銀(31)
21 4六歩(47)
22 5三銀(62)
23 5八金(69)
24 8五歩(84)
25 7七角(88)
26 9四歩(93)
27 3六歩(37)
28 7三桂(81)
29 5六銀(67)
30 5五歩(54)
31 4七銀(56)
32 5四銀(53)
33 6九飛(68)
34 6四歩(63)
35 9八香(99)
36 8四飛(82)
37 5九角(77)
38 5三銀(42)
39 2六歩(27)
40 4二金(41)
41 9六歩(97)
42 4四歩(43)
43 7九飛(69)
44 4五歩(44)
45 同 歩(46)
46 同 銀(54)
47 4六歩打
48 5四銀(45)
49 7五歩(76)
50 同 歩(74)
51 同 飛(79)
52 7四歩打
53 7九飛(75)
54 6五歩(64)
55 7二歩打
56 6六歩(65)
57 7一歩成(72)
58 8六歩(85)
59 同 角(59)
60 5六歩(55)
61 同 歩(57)
62 5七歩打
63 6八金(58)
64 6七歩成(66)
65 同 金(68)
66 8八角成(22)
67 5九飛(79)
68 6五桂(73)
69 7二と(71)
70 8七馬(88)
71 9七角(86)
72 9八馬(87)
73 5五歩(56)
74 4三銀(54)
75 6三歩打
76 同 金(52)
77 6四歩打
78 同 金(63)
79 6六歩打
80 8九馬(98)
81 6五歩(66)
82 6七馬(89)
83 6四歩(65)
84 8七飛成(84)
85 8八金打
86 8三龍(87)
87 4五桂打
88 4四銀(53)
89 6二と(72)
90 2四香打
91 3七銀(38)
92 8六金打
93 3八金(49)
94 9七金(86)
95 同 金(88)
96 8八龍(83)
97 6三歩成(64)
98 6五角打
99 5二と(62)
100 4七角成(65)
101 4二と(52)
102 同 玉(32)
103 4八金打
104 2六香(24)
105 同 銀(37)
106 4八馬(47)
107 同 金(38)
108 同 龍(88)
109 3八金打
110 3五桂打
111 5三と(63)
112 3一玉(42)
113 投了
まで112手で後手の勝ち
20171022今日の一手
7月16日の名南将棋大会から、TさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
少し前から見てみます。
先手の角換わり右玉で後手は棒銀でした。しばらく進んで
29飛を69に回り、6筋を制圧したところでは先手よしのはず。後手は逆転狙いで端を突きました。
ここで74歩62銀64角とか、64歩とか、先手が十分に指せたのですが、
56銀引64歩74歩同銀64飛63銀69飛64歩と進み端に手を戻した15歩17歩で問題図です。
一つ前の図と比べると、後手の73銀が63に移動して位置が良くなって、64歩56銀が入った格好ですから、後手が得したのです。
☆ 形勢判断をします。
後手は持ち歩を使い切って端を攻めましたから、先手の2歩得です。
玉の堅さはやや後手のほうが堅いか。
先手の攻め駒は69飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は82飛11香と持ち駒角で3枚。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
端を攻められたのですから、まずは受ける手があるかどうか考えます。
先手玉は4筋ですから、端はたいしたことがないとみて攻め合うのも考えられます。
あまりゆっくりできないので、方針を決めなければなりません。
受けますか?攻めますか?どの筋に目が行くでしょうか?
× 17同香は28角
ですね。39角と打てば馬を作られるだけなのですが、そのあとに角を使えませんから、難しい局面とは言え好んで指したくはありません。
× 38銀15香27銀
と銀を持って来れば受かるのかと思いましたが、18歩成同香17歩
受けたのに駒損ではつまりません。(16歩にも同香以下損失を取り返せない。)
△ 38玉15香27玉と
玉を持って来れば受かります。18歩成同香同香成同玉
後手は角香だけ(33銀が進出していたりすると面倒ですが)なので収まります。ただ先手は1,2筋に手を入れなければいけないので損しているのかも。
○ 14歩と伸ばすと
14同香に12歩
と逆に攻めます。22銀は利かされで45歩
が良い調子になります。
また、13から歩を打つのもあって
22金なら大きな利かしです。
12歩か13歩を手抜くと同じ図になるのですが、18歩成12歩成(か11歩成)19と21と
という取り合いです。この時に19と よりも21と のほうが働いています。例えば17香成25桂24銀11角
と進めば先手有利です。
△か× 25桂は22銀
と引かれた時に24歩が残るので忙しくなります。14歩と突きだせば死なないのですが、やや指し過ぎではないかと。
25桂に24銀と応じてもらえるならやや得だとは思います。
△か○ 実戦は45歩で
先に56銀引としたのですから、4筋を攻めるのは手の流れからは当然です。後手は手抜きも考えられましたが、15香には12歩か13歩を打てば良いです。
よって45同歩に同桂44銀77角43金右46歩
自陣角で攻めたのですが、最後に46歩と打つのがしゃくなんですよね。打たないで65歩があったかどうか。
ここから15香65歩62飛55銀
と攻め、55同銀同角54銀63歩成
と歩を成り捨てたのが軽かったか。63銀と打ちこむほうが普通です。ここから飛交換になり打ちあって
こういう図です。先手玉が左に逃げきれず悪くなってしまいました。
戻って、45歩を取ってもらえたら65歩
自陣角(77角)を打つ前に65歩のほうが受けにくかったはず。狙いは65同歩55角73歩45桂
です。角打ちが先手で入れば良くなります。
○ 65歩は
手の流れはおかしいのですが、65同歩同銀15香64歩72銀13歩
6筋を押さえこんで端を逆用すればかなり指しやすくなっています。(後手は他の応手もあるようでないのです。)
○ 55銀も同じような意味で
64の地点を狙っています。15香に13歩
というのは同じことで先手よし。
後手は86飛87歩84飛
と受けるくらいか。66角(45歩54歩に決行するのもある)74飛75歩84飛44銀
65歩33銀成同桂55角64銀
じっと88角と引いて35歩ねらいで先手よしです。
△ 74歩は
しゃれた感じです。74同銀に64飛では千日手(63銀69飛64歩)かもしれませんが、45歩同歩同桂
と攻めて64飛が狙えます。
ただ後手は74同銀の一手ではないのですが、攻めの幅が広がるので良さそうに思えます。
○ 最後は77桂
と使う手で、86飛には65歩同歩97角
と後手玉をにらみながら6筋を攻めます。82飛64歩54銀65銀
と進めば先手よしか。
77桂に15香だと
76歩の傷があるので13歩とか12歩で良しとは言いにくいのですが、65歩76歩85桂18歩成64歩54銀74歩
後手の端攻めよりは6,7筋を遊んでいた桂馬で攻める方が速くなってしまいました。
☆ まとめ
形勢互角ですから何か好手が欲しいです。その好手は15香に13歩や12歩という返し技。これが見えていれば端を攻められるのは歓迎でした。
右玉に対しての端攻めは急所ではあるのですが、ここでは後手陣に不備がありました。
その筋が分かっていれば、わざわざ14歩と突きださなくても、なにか有効な手を指して待っていればよいわけで、65歩や55銀なのでしょう。
65歩は同歩同銀と進めば先手が得をしています。
55銀は力をためて64銀や45歩をみせています。
実戦の45歩も悪くはないです。ただし45同歩の時にどうするかを悩みます。強く攻めてしまうと後手の15香を期待できないというジレンマがあります。それでも65歩同歩55角(これが好手になる)とすれば、中央で戦って十分に指せました。
他の好手としては77桂で、後手が歩切れですし、1歩手に入れられてもまだ死なないのです。跳ねるチャンスでした。65に跳ねられたら文句なしですが、85に跳ねて82飛の動きを制するのも十分な使い方です。
ということで、端を逆用する筋、両狙いの55角、遊び駒を攻め駒に使う77桂、どれかの好手が実現すれば形勢が良くなります。
問題図では形勢互角、あれこれ考えて良い手がひらめいて実現する、中盤ではこういうのが楽しいのですよね。