名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(674);中飛車に居飛車穴熊(中原誠)

2017-10-16 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20171016
昭和57年9月、中原誠先生と第21期十段戦です。中原王位で、名人を失った後ですね。

珍しく大山先生の中飛車です。中原先生は持久戦で

居飛車穴熊に。

大山先生は中飛車をやめて最初から三間飛車みたいな組み方です。こうなると後手の穴熊が薄く見えます。

四手角(三手ですが)を許さず向い飛車

でもう少し駒組みです。金を32に引き付けたので穴熊が堅くなっていきます。

4枚穴熊にされては堅さが逆転しました。こうなると動かないほうが良いのですが

86歩に75歩で手にされてしまいました。66角を防いで金を寄るのですが、銀を上る人のほうが多いでしょう。

ゆっくりになって67金~76金みたいになれば指せるのでしょうが、角を出られては損です。

金角交換で と金と馬の作り合いです。金を持ち駒にした四枚穴熊は堅すぎて、振り飛車が勝ちにくいでしょう。

大山先生は飛を追って91の香を取り

馬取りにも精一杯頑張るのですが

ここで中原先生の手番です。77飛成や77と ではなくて57歩が本筋。

馬を取って

と金を作って張り付きます。攻め駒4枚ですから十分です。

大山先生も懸命に守りますが

中原先生は一度76歩から77角成と、88飛の守りを崩しに行きました。

金を打ってしまえばゆっくりになって

飛車を追えます。

飛車の横利きがないと先手玉が薄いのです。大山先生は遠くから角を打って守りますが

この反撃は形つくりみたいなもので

投了図。

大山先生の作戦勝ちかと思ったら、その後穴熊を固める前に手を出すことができず。玉の堅さで劣るのに自分から手を出すと、うまくいかなければひどいことになります。そのあとで頑張っても及ばず。でも先手番なのに千日手にするわけにもいきませんから、こういう時の指し方は困ります。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:中原誠王位
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 5四歩(53)
5 6八銀(79)
6 6二銀(71)
7 5八飛(28)
8 3四歩(33)
9 6六歩(67)
10 4二玉(51)
11 4八玉(59)
12 3二玉(42)
13 3八玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(38)
16 3三角(22)
17 5七銀(68)
18 4四歩(43)
19 3八銀(39)
20 5三銀(62)
21 1六歩(17)
22 2二玉(32)
23 3六歩(37)
24 4三金(52)
25 4六歩(47)
26 1二香(11)
27 7八飛(58)
28 8五歩(84)
29 7七角(88)
30 1一玉(22)
31 5八金(69)
32 2二銀(31)
33 4七金(58)
34 3一金(41)
35 2六歩(27)
36 7四歩(73)
37 3七桂(29)
38 5一角(33)
39 1五歩(16)
40 9四歩(93)
41 9六歩(97)
42 6四歩(63)
43 5九角(77)
44 8四角(51)
45 8八飛(78)
46 7三角(84)
47 2七銀(38)
48 4二金(43)
49 3八金(49)
50 3二金(42)
51 2五歩(26)
52 4二銀(53)
53 7七角(59)
54 3三銀(42)
55 4八銀(57)
56 8四角(73)
57 8六歩(87)
58 7五歩(74)
59 5七金(47)
60 7六歩(75)
61 5九角(77)
62 6五歩(64)
63 8五歩(86)
64 6六角(84)
65 同 金(57)
66 同 歩(65)
67 8六角(59)
68 6七歩成(66)
69 5三角成(86)
70 7二飛(82)
71 7五歩打
72 4二銀(33)
73 4四馬(53)
74 7五飛(72)
75 6四角打
76 7四飛(75)
77 9一角成(64)
78 7七歩成(76)
79 同 桂(89)
80 4三歩打
81 7五歩打
82 同 飛(74)
83 6四馬(91)
84 7六飛(75)
85 5四馬(64)
86 7四飛(76)
87 5五馬(44)
88 5七歩打
89 4五桂(37)
90 5四飛(74)
91 同 馬(55)
92 5八歩成(57)
93 3七銀(48)
94 5七と(67)
95 5三桂成(45)
96 4七金打
97 4二成桂(53)
98 同 金(31)
99 5五馬(54)
100 5九角打
101 2六銀打
102 4八と(58)
103 3九香打
104 3八と(48)
105 同 銀(27)
106 7六歩打
107 6五桂(77)
108 7七角成(59)
109 5三桂成(65)
110 同 金(42)
111 8二飛打
112 3一金打
113 2四歩(25)
114 同 歩(23)
115 8一飛成(82)
116 5五馬(77)
117 同 歩(56)
118 7七歩成(76)
119 8六飛(88)
120 3八金(47)
121 同 香(39)
122 4七と(57)
123 9二角打
124 3七と(47)
125 同 香(38)
126 6七角打
127 1六桂打
128 4九角成(67)
129 3八角成(92)
130 3九銀打
131 投了
まで130手で後手の勝ち


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20171016今日の一手(その586);欲張らない

2017-10-16 | 今日の一手

20171016今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、IさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は65銀で1枚。55歩も後手の守備陣形の一部と思えば77角も加えてよいのですが。
後手の攻め駒は34飛24角で2枚。

総合すればやや先手よし、作戦勝ちくらいです。

☆ 大局観として相振り飛車で互いに美濃囲いだったのですが、後手の52金が43に上ずったために玉の守りの堅さに差が出ました。その分だけ先手が指せます。
ここでは攻め駒の数が足りないので、一気に後手玉を攻略するというわけにはいきませんが、攻め駒を使って戦果をあげることはできます。あるいはじっと待って作戦勝ちを主張しておくのもあるでしょう。


○ 実戦は45歩53銀55角と

角をさばきました。これなら77角が確実に攻め駒になったということになります。両取りなので最初に考える手でしょう。実戦は64歩と応じて、これに11角成65歩21馬

で金当たりで馬を作っての二枚換えですからわかりやすく先手よしでした。

後手としては64歩ではなく73桂にして銀を取る図

のほうが57桂成があるので優ったでしょう。これでも21馬32銀22馬57桂成73歩同銀65桂

の攻め合いで先手が少し良いです。

実戦は64歩に11角成ではなく54歩と欲張りました。

54同金同銀同飛11角成

これは(銀金交換で)香を取って馬を作りましたから先手がかなり得をしています。以下は後手が57歩以下攻めたところで香を打っての反撃があり

55同飛からの切り返しに

54同馬から寄せ合いに行き

この飛取りを受ける(88飛が受けにも利く)ほうがわかりやすかったのですが、52金から寄せ合い続行です。

後手玉を端に逃げて粘られたのですが、88香を打って上から攻めれば寄せられたはず。それを逃して85桂~84玉の形が寄せられずに負けてしまいました。

さて戻って、54歩が良い手だったかどうか。

後手は取る手しかなさそうに見えますが、33角とぶつけて

33同角成同桂53歩成に75角

が王手飛車です。28玉に53金と戻せば

飛銀の両取りが残っているので銀得だとは言えません。43にいた金が守りに働きだしたわけですから互角の形勢です。

同じように64歩ではなく73桂だったとして54歩なら

62銀74銀54飛

11角成74飛21馬53金

というのも後手の左金が守りに使えているので有利とは言いにくいです。

11角成は良いけれども、54歩は欲張りすぎた、というのが結論です。


○ 他には84歩も飛車を攻め駒にする(さばく)自然な手です。

84同歩同飛83歩74飛73歩76飛33桂

はすっきり歩を得したのですが、次にどう攻めるか悩みます。

1歩交換するだけ(84同歩同飛83歩86飛)

のほうが74銀を狙ってわかりやすそうです。

ただ後手から37歩同銀36歩28銀を利かされる

と先手陣が乱れます。後手の持ち歩が減った(83歩を打つと歩切れになる)わけで、互いに損得があります。


△ 74銀と歩を取ると

73歩に65銀では
42角88飛64歩76銀54金

で後手陣も立ち直ってきます。

73歩に83銀成同銀84歩が利くか。

74銀83歩成85歩に72歩

を打てるので、62玉88飛83銀82歩

で桂を取り返せます。

まあこんな複雑なことをやらないで、84歩同歩82歩

の変化のほうがわかりやすいかも。これは次の変化で書きます。


○ 37歩と打っておくと先手玉が堅くなり、後手から37歩を打たれることが無くなります。

これで84歩と交換に行けば先手が指しやすくなります。嫌なのは64歩74銀73歩

と銀を攻められる筋ですが、84歩同歩82歩同玉83歩

と8筋を連打して、83同銀(逃げると84飛)同銀成同玉75銀85銀

という銀の打ちあいは先手のほうが得です。以下は66飛53銀97桂という感じ。玉の堅さが違うので乱暴も利きそうです。

後手は82歩の時に74歩と銀を取ると

81歩成同玉36桂

で銀を取り返せば駒損を解消できます。これも37歩の効果です。


△ 他に先手玉を強化するなら36歩とか


47金とか

もあります。この比較はお好みですが、37歩が一番手堅いのではないかと思います。36桂と打つ変化になるかもしれませんし。


△ あとは66角と出て33桂77桂

となれば左桂も使えてよい感じです。

けれど66角に64歩

と引っ張り込まれると少し損かもしれません。76銀からの組換えは37歩同銀36歩28銀46角が嫌です。


勢いで74銀73歩84歩同歩82歩、と前にやった変化ですが

74歩81歩成同玉84飛83歩88飛

36桂がない場合は飛を引いて73歩を狙うくらいです。後手の駒得なので82銀と埋められたらどう指すか悩みます。


☆ まとめ

45歩同銀55角と角をさばくのが両取りなので、最初に考えるだろうと思います。64歩か73桂と91香取りを受けられた時に悩むのです。シンプルに11角成65歩(あるいは65桂)21馬で金取りだからよし。というのがわかりやすい判断です。駒得を急がない心がけが良いのです。駒得は少しだけに収めておくもので、リスクをおかしてさらに大きな駒得を狙うのは危険なものです。
55角64歩に54歩は33角で王手飛車が残ります。55角64桂に54歩は62銀と引かれて後手玉が堅くなります。そこで74銀に54飛は危ない感じです。

他には
じっと84歩同歩同飛83歩に86飛と戻っておく
じっと37歩と守っておいて84歩や74銀を狙う
というちょっと抑えた感じの手が有効でした。攻めの手段(攻め筋)が多いので悩む局面だったのですから、力をためておくほうが後手は困ったのです。

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