名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(672);四間飛車に中央位取り(二上達也)

2017-10-14 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番石田先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20171014
昭和57年9月、二上達也先生と第3回日本シリーズです。

大山先生の四間飛車に二上先生は急戦で

大山先生は78金から袖飛車を狙います。二上先生は55歩としたので中央位取りにしておきます。

38飛に44銀だと中央の位を保持するのが難しくて

大山先生は左銀を使えたので気合いよく攻めていきます。

銀の取り合いになって

互いに56歩44歩を取って金銀が前に出てきます。ここで二上先生は75歩でしたが

まあ手抜いて角を使うのが普通ですよね。75歩の前に86歩を入れておくものなのでしょう。

後からの86歩は入らないのでこの角のさばきがうまくいくかどうか。

二上先生は金を取らせて、桂を取っての飛成りです。

金を取られるのは痛いですが、桂馬は36に打てるので、その差はわずか。

大山先生は桂を食いちぎって91角成。これも大きな手です。

香は26に据えておきます。

玉頭を受けておく手もありましたが、二上先生らしく寄せに出ます。

27竜や55桂を見て、先手玉が危なくなりました。

大山先生は23香成からの寄せ合いです。

決めるだけ決めて銀を打ち

これで2手すき。二上先生は詰めろ以上で迫りたいです。寄せのセオリーで45香同金56銀でしたか(45香に合駒か)。55桂は少し足らず、本譜は49銀で

これで多分詰めろなのですが

竜を取って玉をかわしていくと

詰めろが続きません。また、後手の持ち駒が減ってしまったので合駒を使えず

71飛に玉を逃げてしまうとほとんど詰みです。

投了図。

日本シリーズで30秒ということを考えると多少のミスはあるでしょう。華々しい中盤から面白い終盤になりましたが、二上先生に運がありませんでした。
互いに持ち味が出ていて、大山先生は中盤の金銀の使い方、終盤での馬の利き、玉をかわしながら余していく指し方があります。二上先生は終盤の鋭さですね。大山先生との将棋だけ見ていると切られ役が多くて、何でこんなに薄い玉で戦うのだろうと思ってしまうところですが、中盤で玉の堅さが残っていればその強さが出やすいのです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:二上達也9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八銀(39)
12 5四歩(53)
13 3九玉(48)
14 5二金(61)
15 2八玉(39)
16 7四歩(73)
17 6七銀(78)
18 4二銀(31)
19 4六歩(47)
20 5三銀(42)
21 3六歩(37)
22 4二金(41)
23 4七銀(38)
24 1四歩(13)
25 1六歩(17)
26 8五歩(84)
27 7七角(88)
28 6四歩(63)
29 7八金(69)
30 5五歩(54)
31 3八飛(68)
32 4四銀(53)
33 5六歩(57)
34 同 歩(55)
35 同 銀(67)
36 5三銀(62)
37 3五歩(36)
38 同 歩(34)
39 4五歩(46)
40 5五歩打
41 4四歩(45)
42 5六歩(55)
43 6七金(78)
44 4四銀(53)
45 5六金(67)
46 7五歩(74)
47 4五歩打
48 3三銀(44)
49 6五歩(66)
50 8六歩(85)
51 6四歩(65)
52 8七歩成(86)
53 5五角(77)
54 5四歩打
55 4六角(55)
56 7八と(87)
57 6三歩成(64)
58 8九飛成(82)
59 5二と(63)
60 同 金(42)
61 4八金(49)
62 3六桂打
63 同 銀(47)
64 同 歩(35)
65 9一角成(46)
66 6八と(78)
67 5三歩打
68 同 金(52)
69 2六香打
70 5八と(68)
71 同 金(48)
72 4九銀打
73 3九飛(38)
74 3八銀打
75 同 飛(39)
76 同 銀成(49)
77 同 玉(28)
78 3九飛打
79 4七玉(38)
80 2九飛成(39)
81 2三香成(26)
82 同 玉(32)
83 3五桂打
84 3二玉(23)
85 2三銀打
86 4一玉(32)
87 3八銀打
88 6九龍(29)
89 2二銀成(23)
90 8七龍(89)
91 6七歩打
92 2二銀(33)
93 4四歩(45)
94 4九銀打
95 同 銀(38)
96 同 龍(69)
97 4八金打
98 3八銀打
99 5七玉(47)
100 5五香打
101 4九金(48)
102 5六香(55)
103 4六玉(57)
104 3四桂打
105 3六玉(46)
106 2七銀(38)
107 同 玉(36)
108 2六金打
109 3八玉(27)
110 5八香成(56)
111 同 金(49)
112 3六歩打
113 7一飛打
114 3二玉(41)
115 4三歩成(44)
116 同 金(53)
117 同 桂成(35)
118 2三玉(32)
119 2四歩打
120 同 玉(23)
121 3五銀打
122 同 玉(24)
123 4四角打
124 投了
まで123手で先手の勝ち

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20171014今日の一手(その585);自然な攻めから寄せる

2017-10-14 | 今日の一手

20171014今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、TさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆形勢判断をします。
先手の1歩損ですが、持ち歩があるのでカウントせず、損得なしとします。
玉の堅さは同程度。後手の左金は63にあったのですが、54に移動したところです。
先手の攻め駒は75銀86飛と持ち駒角で3枚。
後手の攻め駒は24飛45銀で2枚。16香も働きそうです。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
後手としては64歩と取り込まれた手に対して74金

とぶつけるほうが良かったようです。金を渡して63に打ちこまれるのも嫌な感じではあるのですが、8,9筋に玉を逃げ出せます。54金では守りが薄くなりました。
先手のチャンスで、63に駒を打ち込みたいわけです。どのタイミングで何を?という問題です。
後手の攻めとしては18歩成ですね。これがどれだけ厳しいかを確認して、受けるべきか寄せ合いに出るかを考えます。


× 受けるとしたら形は17桂ですが、37歩

を打たれるのが嫌な感じです。銀では取れず、金で取れば17香成~25桂と攻められます。(この時に後手は桂馬を持っているのでお代わりできる。)となれば49玉とかわして、17香成同香25桂に26香

これなら後手の攻めが遅れます。

後手が急ぐなら桂を跳ねずに17角成同銀27飛成ですが

63香のほうが29竜58玉38歩成よりも速そうで先手有望です。

後手はすこしゆっくり67歩として

67同金55桂66金46歩

と(先手玉を下に落としたのですから)上から押さえつける攻めのほうが良いです。
桂馬を渡すとまずい変化があります。


△ 17香ならどうか。

17同香成同銀37歩同金25桂

今度は49玉と逃げにくいことになり、両取りを食らいます。けれど26香と反撃して、37桂成同桂25歩45桂26歩同銀

かなり薄くされましたが、63に打ちこむ駒をもらいました。互角ですが先手有望ではないかと思います。


△ 37銀は

受けたというよりもかわしたという感じです。18歩成に46歩29と45歩

は難しそう。45同桂に63銀同金同歩成同玉61角

で72銀打には16角成か。何とも言えません。

他に37銀18歩成の時に寄せ合いに出るのもあります。


○ 攻めるとすれば84銀が自然です。

84同銀同飛83歩に63銀

63同金同歩成同玉64歩同金41角

52銀64飛同玉52角成

これは必至です。

63銀に82玉なら

62銀成84歩61角

71角は案外に寄せにくくて、61から角を打ちます。92銀には72角成93玉95歩

これも必至。

83銀と受けても75歩

と打っておけば詰めろで、持ち駒飛だけでは受けにくいです。

あとは蛇足みたいなものですが、後手の粘りで84銀に92銀と引くと83歩

これで82歩成同玉93銀成を狙えばよいです。82歩成を取らないと難しいですが、18歩成82歩成61玉43角51玉16角成

としておけば自玉が安定して負けません。

84銀に74銀とかわすと

75歩85歩74歩86歩63銀

飛を捨てて攻めます。63同金同歩成同玉41角52銀73歩成

で寄せきれます。

75歩に83歩

というのがややこしくて、74歩84歩同飛64金

先手の74歩が存在しているので64歩を払われるのが厄介。でも63歩と焦点に打てば、63同金直52銀

と打つのがぴったりで寄ります。


△ 実戦は82歩

と後手玉を危険地帯に呼ぼうとしました。(82玉は本当に危険か?という気はしますが。)82同玉には後で63に駒を打ち込むのは甘くなってしまいます。63歩成同金52角

で両取りの狙いでしょう。16角成は許せず、18歩成63角成28と同玉72銀打

これは84銀同銀同飛83銀打71銀

で寄ります。

74銀打でも

84銀同銀同飛83銀打に同飛成

と切って84歩から寄せてしまえばよいです。

ということで実戦では82歩を取れずに18歩成。

81歩成28と同玉19香成に84銀

という寄せ合いです。84同銀同飛83歩に71銀

がきれいな詰めろ、に見えたのですが、飛車を取られて後手玉が詰まず、着地失敗です。
ここでは71銀ではなく63銀と打ちこめば詰んでいました。清算して41角から75桂の筋です。

後手としては19香成が甘くて、26歩

がはるかに厳しかったのです。26同歩は同角~48角成で勝ち筋。26歩を取れないで84銀27歩成39玉37歩

というのでは後手有望の寄せ合いです。

さらに戻って、先手は18歩成に37銀

としておけば良いのかも。代わりに82玉63歩成同金52角~16角成が甘くなりますが。


× 他の手としては63角の打ち込み

はまだ早くて、63同金同歩成同玉84銀74銀

で余されます。


△ 41角ならありそうで

63へ駒を打ち込むのが厳しくなっています。つまり18歩成に84銀

は先手の勝ち筋。

41角には21飛

と追われて、32角成24飛41馬21飛、で千日手という可能性もあります。


△ 43角は香取りで

後手は香取りを受けるのもばからしい(84銀で危ない)ので18歩成16角成28と同玉

これで先手玉がしっかりします。63香の打ち込みもあるので先手有望なのかも。


☆ まとめ
少し有利になったら、自然な攻めで勝つというのが一つの理想です。
攻めの棋風だとしたら、自然な84銀から読んで、84同銀同飛83歩に63銀、これが寄りかどうかを確認します。今回は変化を多く書きましたが、大駒が2枚攻めに参加しているなら、1枚くらいは捨てて攻める手、つまり攻めの好手が入れば(もとの形勢が良ければ)寄せきれるものです。自然に攻めて寄りと見たら強く寄せきる、というのが理想なのです。

実戦の82歩は手抜かれて81歩成がまだ詰めろではありません。さらに84銀としても詰めろではないとするとかなり手数がかかっていますから、危ないところでした。でもチャンスをもらったのに寄せきれず。

もしすぐに攻めても切れてしまう、となったら、41角とか43角とか置いて、後で63への打ち込みを厳しくする、という考え方をします。

この場合は受けておくと駒をもらえそうで、その駒を63に打ちこむのを決め手にすることもできそうです。形は17桂ですが、桂馬を渡すのが危なくて、17香が正しいようです。

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