名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(668);四間飛車に袖飛車(高橋道雄)

2017-10-10 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

負けましたが、後手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20171010
昭和57年8月、高橋道雄先生と第8期棋王戦です。

大山先生の四間飛車に高橋先生は急戦です。この頃は大山先生は41金の形で待つのが少なくなりました。

高橋先生は右46銀狙いで袖飛車です。54歩が対策で、35歩同歩46銀は45歩から角交換~64角があるのでやりにくいです。97角~86角~66歩からゆっくり指すのが定跡とされていますが、この頃にはなかったかも。

単に飛で歩を交換して

飛車交換を拒否して

右桂を跳ねて5筋から。加藤先生の対中飛車の急戦みたいです。

これは先手玉が堅いのでうまく攻められれば十分ですが。

大山先生の62角はわかりますが、25歩と自分から突きだすのは見ない手です。意味は26飛を防いだこと。

高橋先生は5筋に転戦して

銀をさばけば十分に見えます。

飛を横に使って

桂の取り合い。でもこの桂を逃げにくい、37と が大きいのですね。実は大山先生のほうが指せていたのでした。

高橋先生は角を使い

52飛に

64角から53歩で角交換。

そのあとに金取りが残っていて、歩切れではやはり悪いです。

駒をさばいた後で粘りに出るのは変調で

大山先生はじっとと金を使います。

この端攻めがどれだけ厳しいかの勝負です。

底歩を打って大山先生は一安心。

85銀も役立っています。

飛を捨てて寄せに出ました。

逆に端攻めで

桂を成り捨て

詰めろ。これは受けにくそうです。

と金も使えて、67金には66歩があるから

高橋先生は王手に角を打ってから金を寄りましたが、角取りが間に合います。

角を取って角を打ち

投了図。

高橋先生の十分な仕掛けに見えましたが、37と が大きいと判断した大山先生の大局観が優れていました。形勢が良くなると大山先生に良い手が多いです。良いと見れば飛車を捨てることも多いですね。自玉の安全度の判断では堅さよりも広さを見ている感じですが、その見切りが良いと気持ちよく勝ってしまいます。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:高橋道雄5段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 5八金(49)
14 7一玉(62)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 5七銀(48)
18 5二金(41)
19 2五歩(26)
20 3三角(22)
21 3六歩(37)
22 8二玉(71)
23 3八飛(28)
24 5四歩(53)
25 3五歩(36)
26 同 歩(34)
27 同 飛(38)
28 4三銀(32)
29 3六飛(35)
30 3二飛(42)
31 3五歩打
32 6四歩(63)
33 4六歩(47)
34 7四歩(73)
35 6八銀(79)
36 1二香(11)
37 3七桂(29)
38 5一角(33)
39 5五歩(56)
40 同 歩(54)
41 同 角(88)
42 6三金(52)
43 4五歩(46)
44 6二角(51)
45 2四歩(25)
46 同 歩(23)
47 5六銀(57)
48 2五歩(24)
49 8八角(55)
50 3四歩打
51 5五銀(56)
52 3五歩(34)
53 5六飛(36)
54 4五歩(44)
55 4四歩打
56 3四銀(43)
57 5四銀(55)
58 同 金(63)
59 同 飛(56)
60 3六歩(35)
61 4三歩成(44)
62 同 銀(34)
63 2四飛(54)
64 3七歩成(36)
65 2一飛成(24)
66 4六桂打
67 8六桂打
68 8五銀打
69 5五角(88)
70 5八桂成(46)
71 同 金(69)
72 5二飛(32)
73 6四角(55)
74 7三金打
75 5三歩打
76 同 角(62)
77 同 角成(64)
78 同 飛(52)
79 5九金(58)
80 6六歩打
81 7七金打
82 6七歩成(66)
83 同 金(77)
84 6六歩打
85 同 金(67)
86 6五歩打
87 6二歩打
88 7一金(61)
89 6七金(66)
90 4四角打
91 7七角打
92 4七と(37)
93 9五歩(96)
94 5八と(47)
95 9四桂(86)
96 同 香(91)
97 同 歩(95)
98 6六桂打
99 8八玉(78)
100 9二歩打
101 9三香打
102 5一歩打
103 5四歩打
104 同 飛(53)
105 9二香成(93)
106 同 玉(82)
107 9三歩成(94)
108 同 桂(81)
109 9四歩打
110 9六歩打
111 5五歩打
112 5九と(58)
113 9三歩成(94)
114 同 玉(92)
115 5四歩(55)
116 7八金打
117 9八玉(88)
118 9七香打
119 同 桂(89)
120 同 歩成(96)
121 同 玉(98)
122 9六歩打
123 9八玉(97)
124 6八金(78)
125 同 金(67)
126 7八桂成(66)
127 9四歩打
128 同 銀(85)
129 9一飛打
130 9二桂打
131 7八金(68)
132 7七角成(44)
133 同 金(78)
134 7九角打
135 8九玉(98)
136 8八銀打
137 7八玉(89)
138 5八と(59)
139 3九角打
140 8四金(73)
141 6七金(77)
142 3八歩打
143 8九香打
144 3九歩成(38)
145 8八香(89)
146 4六角打
147 7一飛成(91)
148 6八角成(79)
149 投了
まで148手で後手の勝ち



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20171010今日の一手(その583);受けのテクニック

2017-10-10 | 今日の一手

20171010今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、MさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答
仕掛けから見てみます。

アマチュアでも角換わりが流行しています。その前の問題と似ていますが、今回は手損なし、実際の手番の、ままです。後手の飛が82ではなくて62なので45同歩と取らず(前回は45同歩75歩同歩45桂同銀同銀86歩同歩88歩という展開でした)、65歩同歩同銀で問題図。

4筋と6筋の取り込み合いでは飛の応援がある分だけ後手のほうが強力だからと、後から突いた65歩に応接しました。

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同じようなものでも右金の位置の違いでやや後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は65銀と持ち駒角で2枚ですが、62飛も加えてよいでしょう。73桂は跳ねることができれば加えます。

総合すれば後手が指しやすい局面です。

☆ 大局観として
先手が先攻できなかったわけで、このままでは面白くないです。
まずは素直に応じたらどうなるかを考えますが、ちょっと旗色悪し。
後手の攻め駒をさばかせないように考えなくてはなりません。どうにか互角にもっていければ十分とします。


△ 24歩同歩は

この後の変化によっては有効です。1歩渡すので悪くなる変化もあります。
同じような意味ですが、15歩は手抜きもあるので緩手です。


× 65同銀は一番自然な応手ですが

65同桂66銀47銀

47同金に38角は(その時に先手の思わしい手がないので)まずいです。49金にも46角

で受けきれません。後手の右桂が攻め駒になっているのでだめだ、と判断しましょう。


× 44歩と取り込めば

56銀同歩47歩

やはり取れば38角ですし、38金は57角、58金は46角、57金は65桂、どれもまずいです。


× 銀交換がまずいとすればかわすわけですが、67銀と引くと

66歩58銀45歩

1歩補充されると46歩もあるので45同桂44銀46歩くらい。75歩同歩76歩

68銀では55角が厳しく、88銀では形がひどいです。劣勢まではいきませんが、後手の有利が広がっています。


× 47銀と引くと

75歩同歩76歩88銀66銀

67銀よりも悪くなっているかも。

68に銀を引くと66角です。

88角同角成同金66銀なら前の図と同じようなものです。


○ 55銀とかわす手はたまに出現します。

75歩同歩76歩68銀

とされても66銀や66角はありません。

後手は54銀のほうが普通の応手で

54同銀同歩24歩同歩44歩

43銀を見てまあまあ指せます。

後手の54銀に84角

とカウンターを打つのもあります。これには64角と応じられないタイミングです。55銀73角成ならば先手が指せるのかも。


○ 63歩と叩いてみると

63同飛に55銀

歩切れが気になりますが、54銀同銀同歩72角

ここに角を打つのが楽しみです。


△ 64歩と控えて打つと

64同飛55銀62飛44歩

は言い分が通った形です。

後手は56銀と取って

56同歩47銀に63銀

63同金同歩成同飛44歩48銀成43歩成

という攻め合いは、やや心細いものの勝負になります。


○ 実戦は84角で

73桂62飛を狙った角打ちです。これには56銀73角成67銀打62馬

というのが直線的な変化で、78銀成同玉67角88玉78金98玉62金51飛22玉

24歩同歩23歩か24桂か56歩か、難しい寄せ合いです。

他には64角

と打ち返すのもあって、65銀同桂62角成同金

これが案外に大変なのです。飛を打ちこんでも取れるものはなし、66銀とかわしてどうか。

と、84角には難しい応手があったのですが、実戦では72飛

と受けられて、これは大きな利かしになりました。24歩同歩44歩56銀同歩44銀61銀

これはやりたい放題みたいです。46角88玉62飛52銀成同飛47歩64角63金

73桂は守られても、角を追っての両取りを打って笑いが止まりません。82飛に66角なら楽勝でしたが、73角成同角同金42飛69飛62歩

ちょっとしくじった感じでも優勢です。ゆっくり63歩とか、51角とか、26桂とか、どれでもよさそうですが、男らしく62同飛成同飛同金と行って、86歩同歩87歩同金69飛61飛41歩

68歩~52金とか63角とか、受けるなら46角とか、いろいろあるところを大事を取って98玉としたら78銀

いっぺんに敗勢になってしまいました。金を持っていないと受かりません。


○ 46角

とこちらから角を打つ方が多いのですが、84角55銀54銀

46角と84角の打ちあいは46のほうが得だと前に書きましたが、ここでは銀を交換して良しにはならず、55銀とかわすのでは今一つ。
ここで選択肢が多く、64銀65桂73銀不成77桂成ではおもわしくないか。44歩45歩54銀46歩63歩82飛43歩成とか、64歩65桂を入れるとか、なんでもありそうです。
54同銀同歩44歩55銀同角同歩24歩同歩43銀同金右同歩成同金45桂

というのをあげておきます。駒損でも4枚で攻めれば互角です。先に攻めているなら有利なのかも。

なお、46角に56銀73角成67銀打62馬

と進むと、84角の変化と同じになります。


☆ まとめ
素直な応手(65同銀)が思わしくないというのは、少し形勢が悪い(作戦負け)という証拠かもしれません。それは後手玉がやや堅くて攻め駒が多いからです。
後手の攻め駒を増やさないように、銀をかわすのが本線。けん制に角を打つのがそれに続きます。

銀をかわす55銀、その前に歩切れになるけれど63歩あるいは64歩を打つかどうかです。
これは争点をずらすテクニックです。65の地点で戦ってはいけません。


84角あるいは46角と打つのは、単に桂取りを受けて(飛や金で)もらえば得でしょう。
実戦では84角に72飛と受けてもらったので大成功でした。後手を持ったら、先に攻めたのですから引いたら悪くなるのが道理です。

84角には64角、46角には84角が得かどうか、という判断が必要です。

受けずに56銀73角成67銀打以下の変化に自信がなければ指せませんし、相手の顔色をうかがって指すものかもしれません。


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