名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(676);四間飛車に45歩急戦(内藤国雄)

2017-10-18 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

先手番大山先生の次の手は?


☆ 今日の棋譜20171018
昭和57年9月、内藤国雄先生(挑戦者で当時王位)と第30回王座戦第1局です。王座はノンタイトルですが挑戦制で3番勝負です。

大山先生は四間飛車で内藤先生は急戦のようですが

ここで46歩は見ない手です。大山先生の袖飛車を決め打ちしたのでしょうか。

大山先生は普通に52金左だったので内藤先生の仕掛けは難しそうでしたが。45歩といきました。これは取らないで12香とか64歩でどうしたものか。

大山先生は取っても悪くない、と気合いで取るのですが、これは居飛車の玉が堅くて攻めがある、ということになり、まずは十分でしょう。

46歩から45桂というのは反撃の筋ですが

本来は33角なのですが、23飛成が角取りになってしまいます。13角から22飛狙いはあったかも。44から打つのは

馬を作られても28歩がある、ということですが

26歩と押さえこもうとしたのに35歩と動くのは、手の調子がおかしいです。

飛取り36歩も22歩成があって、角で取るのですが、かなり利かされた感じです。

内藤先生は飛を成れるのに25飛、というのが不思議な手です。34銀には33歩同角21飛成、だから桂を守りにくいだろうと。

大山先生は桂を取らせて と金を引きます。これが良い大局観で、歩切れの先手は駒得ではないのです。

むしろ駒得なのですから、角をぶつけずに35と~45と と使いたいと思うのですが。たしかに馬を逃げてもらえれば大きな利かしですから交換になり、

角交換から21角はあるけれど

馬は使えないでしょうと。内藤先生は馬を切り

1歩得たので93歩から端攻めを狙います。ここでいつもの大山先生なら84歩から83銀と丁寧に受けそうに思いましたが

43角は不思議な手なのです。飛は取れないし、端を受けにくくなりました。飛車を逃げて76角を期待したのでしょうか、自陣を強化したのでしょうか。

端を飛で守ったけれど取られてしまい

金を打って受けます。けれどこれで案外に難しいのです。内藤先生は92飛くらいかと思いましたが82香から

桂を取って84桂、これはきれいな攻め方のようですが

攻め駒が減ってしまうので難しいと思います。54銀と打てば角が取れて有利ではあるのでしょうが。

大山先生は83角で(すが、ここでなにかなかったか)

銀を捨てて64香から飛を取って攻めようとしました。でも先手玉は遠いのですよね。

内藤先生の53歩成から63と が良い手で

投了図。71玉に94竜で詰めろ。

大山先生らしいのですが、角に関する間違いがあったのではないかと。角や馬が特に好きなんです。だから先手の馬を消そうとしたり、自陣角を打ってみたりですが、それが裏目に出ました。もっとゆっくり指せば悪くもないと思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:内藤国雄王位
後手:大山王座
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 5八金(49)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二銀(71)
13 9六歩(97)
14 9四歩(93)
15 5六歩(57)
16 7一玉(62)
17 6八銀(79)
18 4三銀(32)
19 3六歩(37)
20 8二玉(71)
21 5七銀(48)
22 5四歩(53)
23 4六歩(47)
24 1四歩(13)
25 1六歩(17)
26 5二金(41)
27 2五歩(26)
28 3三角(22)
29 4五歩(46)
30 同 歩(44)
31 3三角成(88)
32 同 桂(21)
33 2四歩(25)
34 同 歩(23)
35 同 飛(28)
36 4六歩(45)
37 4八歩打
38 4五桂(33)
39 6六銀(57)
40 4四角打
41 3一角打
42 3二飛(42)
43 7五角成(31)
44 2八歩打
45 同 飛(24)
46 2六歩打
47 2三歩打
48 3五歩(34)
49 2六飛(28)
50 3六歩(35)
51 2二歩成(23)
52 同 角(44)
53 9五歩(96)
54 同 歩(94)
55 2五飛(26)
56 3七歩成(36)
57 3三歩打
58 同 角(22)
59 4五飛(25)
60 3六と(37)
61 1七桂(29)
62 4四銀(43)
63 2五飛(45)
64 2四歩打
65 6五飛(25)
66 4二角(33)
67 同 馬(75)
68 同 金(52)
69 2一角打
70 3三飛(32)
71 5四角成(21)
72 5三金(42)
73 同 馬(54)
74 同 飛(33)
75 9三歩打
76 同 香(91)
77 7七桂(89)
78 4三角打
79 8五桂(77)
80 9四香(93)
81 8六桂打
82 5四飛(53)
83 5五歩(56)
84 8四飛(54)
85 7五金打
86 7一玉(82)
87 8四金(75)
88 同 歩(83)
89 9四桂(86)
90 8三金打
91 8二香打
92 8五歩(84)
93 8一香成(82)
94 同 玉(71)
95 8四桂打
96 9四金(83)
97 7二桂成(84)
98 同 玉(81)
99 5四銀打
100 同 角(43)
101 同 歩(55)
102 8三角打
103 4一飛打
104 6四香打
105 4四飛成(41)
106 6五香(64)
107 5三歩成(54)
108 6六香(65)
109 6三と(53)
110 同 玉(72)
111 4五角打
112 6二玉(63)
113 5三銀打
114 投了
まで113手で先手の勝ち

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20171018今日の一手(その587);石田崩し

2017-10-18 | 今日の一手

20171018今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、IさんとAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。と言っても実際は二択ですね。どちらを選びますか?その先の選択肢でもう少し枝分かれします。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は77角1枚。
後手の攻め駒はありません。

総合すればやや先手もち。作戦勝ちでしょう。

☆ 大局観として
6筋の位取りと石田流の対抗です。先手だけ1歩持っている、角筋が通っている、玉が堅い、ということからこの局面では先手もちなのですが、仕掛けもあります。じっと待つのもあります。
52金が離れ駒であること、82玉のこびんがあいたことから、仕掛けのチャンスと言えます。できることなら仕掛けたいのです。


○ 実戦は15歩で

15同歩に14歩22角(14歩は取れない)15香

と攻めました。香が攻め駒になったというわけです。ここから14香同香同飛17香34飛

なにか先手Iさんに誤算があってのことでしょうが、これは後手の11香をさばかせただけで損をしています。66銀73桂16飛11歩14飛

で飛交換にもっていきましたが、17香を打っているのでもったいなかったです。

香を交換しないで24歩が手筋でした。

24同歩14香25歩16飛

となれば十分ですし

24同飛

ならば24同飛同歩23飛

角を追ってから香や桂を取れます。

別の攻め方もあって、15歩同歩同香

と行く順です。これは持ち歩がなくても(陣形次第ですが)成立します。
14歩に同香同飛33角成

(どれか定かではありませんが)古い定跡書で読みましたが、今の本にも載っているのでしょうか?この場合は18飛成が先手でないので成立する可能性があり、18飛成14歩31角24歩(11馬もある)42角11馬24歩44桂

と(後手の25香があっても)強攻する順もあります。


△ 24歩と突くと

24同飛で飛交換なら先手よしです。24同角に22歩

と打って、攻めてきなさいと言います。後手からたいした手がなさそうで、21歩成~22と~23と で焦らせれば十分指せそうです。

24同歩には15歩

25歩16飛24角14歩15歩

を構わず15同飛と取れます。角を持てば23角で後手の飛を取れるのです。
飛を取らずに36歩17飛35角27飛26歩17飛

というような戦いは形勢不明。先手玉のほうが堅いので、駒損をしないで飛をさばけば十分になりますが。


△ 46歩は

位取りの将棋でよく見る歩の交換です。居飛車は持ち歩が多い方が手を作りやすい。46同歩にはもちろん同飛

で飛成があります。45歩26飛73桂66銀36歩同歩

ここで後手は46歩か46角か43銀か62金左か、どれもありそうで形勢不明です。


× 55歩43銀は

疑問手とは言いませんが、せっかくの持ち歩を使ってしまうので味消しです。


△ 待つなら66銀73桂68角

と引き角の位置に持ってくる手です。狙い筋は62金左に15歩同歩24歩同角36歩

とやるのですが、後手陣も堅くなりましたから、このタイミングでは仕掛けにくい感じはします。
36同歩に35歩か、24角か、場合によっては24飛同歩23角とか、互いの玉の堅さが関係してきます。

なお途中で後手が36歩と動いても同飛

と取れるので大丈夫です。


△ 他の待ち方は66角として

73桂77桂62金左86歩

これは終盤で85歩と突くのが急所になります。


× 今風は68銀62金左79銀

から穴熊狙いかも知れませんが、36歩同飛同歩25桂11角成39飛
は桂馬に逃げられていますし、79角成の筋が付きまとうので好ましくはありません。

36歩を同歩と取って46歩同歩同角

というのも嫌な感じで、よくある返し技は35歩同角36飛ですが79角成

を誘発します。


△ 最後は55銀とぶつける手

55同銀同角が王手になるので目に映ります。
65銀のかわしには44銀42金36歩同歩35歩で

一丁上がり、に見えましたが、35同角36飛44飛35飛54飛

は案外難しそうですね。

もっとも55銀には43銀と引かれて

角筋が止まっただけなので効果は今一つです。


☆ まとめ
石田流は姿が良い=攻め駒の配置が効率的 なので人気があるのですが、反面にもろいところがあります。34飛でカバーしてはいるとはいえ、15歩から攻められるのは怖いです。
他には角交換や36歩同歩35歩という筋、これは石田流から36歩で角交換などから攻める筋もあって、その裏返しみたいで面白いところです。
石田流本組に対して、居飛車が角の筋が通っていれば(後手が45歩の形)そのチャンスです。15歩や24歩や36歩と突いて手がないか考えてみましょう。その時に玉の堅さが関係してくるので、居飛車は左美濃や穴熊のことが多いかもしれません。

待つのなら、66角から85歩狙いもやってみたいです。銀冠も8筋を攻めたらもろいことがあります。一番備えていそうなところなのですが。
引き角にして角交換を狙うというのも考えたくはありますが、成立するかどうかは条件次第です。自分から動くと反動が怖いです。

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