名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋研究(684);石田流に位取り(森安秀光)

2017-10-26 | 大山将棋研究
☆ 昨日の復習

(負けましたが)後手番大山先生の次の手は?

☆ 今日の棋譜20171026
昭和57年10月、森安秀光先生と第21期十段戦です。

森安先生の三間飛車で、大山先生は相振りをやらないので

居飛車に構えて6筋の位取りです。

石田流には3筋の歩を交換させてしまうのが大山先生の指し方です。そのあとはいろいろですが、角をぶつけて35歩を打たせようというのがわかりやすい指し方。本譜は角交換になりましたが。

先手玉の囲いはきれいなのですが、角を持ちあっているときは不安です。後手陣は薄くても32金の形は角打ちに強いわけで、58金と上がったのが危険でした。後手の森安先生の方から見ると、36歩と合わせる筋、39角と打つ筋があります。

その組み合わせですが、36歩同歩同飛37歩の時に39角、というのが良い組み合わせでした。このタイミングなら応手を27飛に限定できて

横歩を取れます。大山先生は二枚換えではまずいので

銀を引きましたが、森安先生はあっさり飛を切り

馬を作り

桂馬が取れました。これで二枚換え。

後手玉が堅くないのですが、と金を作れば攻めには困りません。

3筋に壁を作って手を稼いで

寄せ合いです。

すぐに飛を取らないで64桂が入り

金を上ずらせれば飛打ちが厳しくなります。

と金を捨てて桂馬を跳ねれば

金を取って優勢、あれ、本当かな?62歩71金53角という筋は受けがよくわかりません。62歩71金61金と重く攻められても一手違いです。ということはずっと形勢不明で、森安先生はもっと工夫が必要だったと。工夫は32金を取られる前に逃げるくらいだったでしょうか。

大山先生は66歩~79金打と受けました。

森安先生は自玉を顧みなければ攻めは続きます。飛を切り成桂を寄って

馬を使えば難しくはないです。

かなり渡しましたが、これでほぼ受けなしです。後手玉は

詰まなかったようで、投了図。

森安先生がずいぶん景気よく攻めていましたが、実は難しい形勢でした。大山先生は銀冠になったあたりで寄せ合いに出れば勝ち筋ではなかったかと。受け続けて駒をもらっての即詰みに期待したけれど及ばず、という熱戦でした。どちらから並べても面白いです。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.31 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山王将
後手:森安秀光8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3五歩(34)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 5六歩(57)
8 6二玉(51)
9 6八玉(59)
10 7二玉(62)
11 7八玉(68)
12 4二銀(31)
13 5七銀(48)
14 1四歩(13)
15 6五歩(66)
16 4四歩(43)
17 6八銀(79)
18 4三銀(42)
19 6七銀(68)
20 3六歩(35)
21 同 歩(37)
22 同 飛(32)
23 2六歩(27)
24 1三角(22)
25 6六銀(57)
26 8二玉(72)
27 3七歩打
28 3四飛(36)
29 9六歩(97)
30 9四歩(93)
31 7九角(88)
32 同 角成(13)
33 同 金(69)
34 1五歩(14)
35 8八玉(78)
36 7二銀(71)
37 7八金(79)
38 3二金(41)
39 7五歩(76)
40 3三桂(21)
41 2五歩(26)
42 4五歩(44)
43 8六歩(87)
44 5四歩(53)
45 5八金(49)
46 3六歩打
47 同 歩(37)
48 同 飛(34)
49 3七歩打
50 3九角打
51 2七飛(28)
52 5六飛(36)
53 7七銀(66)
54 5八飛成(56)
55 同 銀(67)
56 4六歩(45)
57 2四歩(25)
58 同 歩(23)
59 4六歩(47)
60 2五歩(24)
61 3六歩(37)
62 4八角成(39)
63 6七銀(58)
64 3八馬(48)
65 5七飛(27)
66 2九馬(38)
67 5九飛(57)
68 6五馬(29)
69 2一飛打
70 4七歩打
71 7六銀(67)
72 6四馬(65)
73 1一飛成(21)
74 3一歩打
75 2三歩打
76 4八歩成(47)
77 6九飛(59)
78 5五馬(64)
79 2二歩成(23)
80 5八と(48)
81 6七飛(69)
82 5七金打
83 3二と(22)
84 6四桂打
85 8七銀(76)
86 6七金(57)
87 同 金(78)
88 6九飛打
89 7八金打
90 5七と(58)
91 同 金(67)
92 4五桂(33)
93 3一龍(11)
94 5七桂成(45)
95 6六歩打
96 7六金打
97 7九金打
98 8七金(76)
99 同 玉(88)
100 7九飛成(69)
101 同 金(78)
102 6七成桂(57)
103 8五角打
104 7七成桂(67)
105 同 桂(89)
106 6六馬(55)
107 7八金打
108 7六銀打
109 同 角(85)
110 同 馬(66)
111 8八玉(87)
112 8七銀打
113 同 金(78)
114 同 馬(76)
115 同 玉(88)
116 7六金打
117 8八玉(87)
118 8七金打
119 8九玉(88)
120 7七金(76)
121 7一銀打
122 同 玉(82)
123 6二銀打
124 8二玉(71)
125 7一角打
126 同 金(61)
127 同 龍(31)
128 9三玉(82)
129 投了
まで128手で後手の勝ち


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20171026今日の一手(その591);強い受け

2017-10-26 | 今日の一手

20171026今日の一手

7月16日の名南将棋大会から、KさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金歩歩と飛香の交換で、持ち歩があるので歩をカウントせず。馬も作っていますから先手の駒得です。ただし終盤なので重視しません。
玉の堅さは後手のほうがかなり堅いです。(先手玉が薄すぎます。)
先手の攻め駒は28飛と持ち駒飛銀銀香で5枚。十分です。
後手の攻め駒は56角と持ち駒金銀で3枚。

総合すれば先手有利、と言いたいところですが先手玉の薄さが目立つので互角に近いでしょう。

☆ 大局観として
問題図を見てわかる通り、後手は飛を切って寄せに出ました。56角と打ったのがやや甘いので先手に選択肢があります。

何と言っても先手玉が薄く、後手に67歩成がまわると4枚目の攻め駒ですから受けきれなくなります。
攻め駒は豊富になるので寄せ合いがあるかどうか。
寄せ合いがないのなら受けるしかありません。今は3枚の攻めですから受ける手段はありそうですが。


× 攻め合いは22歩で

22同玉は61飛が金取りです。42金寄66飛成

とできれば大成功。

22同銀なら

55馬67角成(か67銀か)23香

で22銀を見て優勢です。

22歩は手抜かれて67銀

が難しくて、21歩成同玉23香32玉

後手玉に詰めろをかけられず、自玉は68銀成同飛67歩成が詰めろ。これは後手の寄せ合い勝ちでしょう。なにか良い手があればひっくり返りますが、22歩を手抜かれてまずいようです。


△ であれば受ける手しかないわけで、実戦は78銀と埋めました。67銀と打たれて

秒読みで間違えたのでしょうね。69歩と受けたのがポカで、78銀成同金67歩成

と4枚目の攻め駒を作られては受けがありません。

69歩では69香

くらい、67の地点に利きを増やしておけば、78銀成同金67銀に77金

とかわしておいて、かなり不安ですが後手が攻めあぐねていたと思います。

後手は68銀成と金を取って

68同香67金69銀

と受けていけば千日手模様でした。


△ これは先に69香と受けても

同じことになるかも。67銀にほかの受けがあると良いですが、多分78銀と埋めることになります。


× 58銀という受けは

67銀78銀に88金

88同玉68銀成69金78成銀同金67銀79銀78銀成同銀68金

手数は長いですが、金銀を打ち換えて67金打が生じるので受けがありません。


△ 61飛は攻防に見えます。

67金78銀同金同金67銀69銀

は千日手模様。

(最初の67金ではなくて67銀66飛成でも同じようなことですが)69銀ではなくて66飛成だと

78銀成同飛同角成同玉28飛

というのは難しい形勢です。


× もう少し強い受けを見てみましょう。角取りになる受けです。46馬から。

67銀78銀には68銀成

どれで取っても強攻されるのですが、68同飛78角成同玉67銀

というような図です。(先手の取り方で変化はあります。)飛を取られた時に46馬が浮いているので両取りに飛を打たれたり、桂馬を取られて54桂があったり、これは前の竜を作って飛を打たれる図よりも損をしています。

ということで67銀には56馬

と角と交換すればまだ指せるのですが、これは馬が消えて後手は角を手持ちにしているので、問題図よりも先手が損をしているのです。
56銀成に61飛

としておいて、まだ千日手にできるかもしれませんが。


△ 55馬のほうが少し得で

67銀に66馬と歩を払えて、68銀成同飛

という図は先手優勢、に見えました。でも67歩と打たれたらちょっと困っています。馬でも飛でも取りにくく、28飛に65金

という図は何とも言えません。後手の攻めが重くなりましたが、先手玉はさらに薄くなっています。


△ であれば57銀

と投入して、67角成に61飛

がどうか。後手は72銀と自陣に打つのもありますし、51金寄もあります。どちらにせよ65飛成から受けきれるかどうかということになります。(66飛成で良ければ先手有利ですが。)


○ 銀を温存して57歩ならば

67角成78銀76馬77銀打

と2枚銀を打って堅くなります。攻め駒は減ってしまいましたが、81馬から少しゆっくり攻めることになります。


○ 57歩と比較するのは57香で、67角成78銀76馬に77歩

さらに49馬に58銀と打ってどうか。この比較です。59香ではないのは49馬が香取りになるためでした。


× 強い受けでも57金では

67角成同金同歩成78銀68銀

68同飛と取るのは自信なし。



☆ まとめ

先手玉は薄いけれど、飛の横利きがあるのでまだ詰めろはかからず現状は3手すきです。
寄せ合いはかなり有力なのですが、22歩を手抜かれて1手負けのようです。21歩成同玉で詰めろをかけられず。

単純な受け、つまり67の地点に駒を足しておく78銀や69香では千日手模様です。

58銀は飛の横利きを消してしまうので、悪い受けでした。(角筋ではありますがどこかで78銀と埋める必要があります。)

61飛は攻防の感じですが、実際には後手玉への寄せにつながらず、飛で受けている手でした。けれど66と間接的に67に利きが届きます。ですから千日手で受けることは可能でした。打開して66飛成とするのは形勢不明です。

この場合の強い受けというのは56角取りにする手です。後手は3枚の攻めなので56角が(当面の)攻めの主役になるわけで、角取りには何かしらの対応が必要です。

46馬が良さそうな受けなのですが、67の地点を受けていないと後手が強引に飛を取ることができ、その時に馬が浮いてしまって自信なし。
55馬なら66馬とできて、ずいぶん良さそうに見えましたが、先手玉がさらに薄くなるので難しいところです。

あとは57銀、57歩、57香の比較で、どれも56角(馬)を追いながら先手玉を固めます。57銀よりは57歩か57香のほうが堅くなります。馬は作られても銀2枚を自陣に埋めて補強できた、というわけでした。
馬を作られても駒得ですから長期戦でも大丈夫、という背景があります。


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