名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集 20181214

2018-12-14 | 大山将棋研究
先手番大山先生の手を考えます。

第1問


感覚の問題です。
A 69玉 B 48玉 C 58玉

第2問


何か動かねばなりません。
A 64歩 B 75歩 C 44歩

第3問


難しい勝負ですが、寄せ合いしかないでしょう。
A 12歩 B 24歩 C 45歩

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大山将棋研究(1099);力戦相居飛車(升田幸三)

2018-12-14 | 大山将棋研究
今日の棋譜20181214
昭和38年4月、升田幸三先生と第22期名人戦第1局です。大山先生は40歳。升田先生は45歳、名人になったのが5年前、2期保持して失冠、3年空いてまた名人戦に戻ってきたというくらいの間隔です。

相矢倉の出だしで後手の升田先生は64歩を突きました。右四間飛車をねらったのでも右玉をねらったのでもありません。当時の矢倉は5筋を突き合わずに銀矢倉のような形にすることのほうが多かったのです。

升田先生が65歩を突くのは、31角と引いた時に角の利きが通るからです。升田先生は角が好きです。兄弟子の大野源一先生は飛車使いの名人、大山先生は守りの金が好きだと言われました。

大山先生は6筋の歩を交換したので

相矢倉ではなくなりました。

飛車も使って6筋の位を守り

中住まいに構えます。

44銀と出るのが升田流。44歩を突くと攻められるので、銀を出て45歩を突かせて攻めにくくさせようという手なのです。

千日手のような手順が続きましたが、升田先生が端から仕掛けました。中住まいは手がつくと速く崩れるので、後手がうまくやったのかも。

15同歩に16歩か17歩かというのは難しいです。どちらにせよ端は破れているのですが、16歩~17歩成~27と で桂を取りに行くか、17歩~15香~18歩成で香を取りに行くかという違いです。

大山先生は銀を使って反撃します。

と金ができて

27と を防ぐ38金に、升田先生の53歩は手堅く指そうとしたわけなのですが、18歩64歩19歩成63歩成というのもあったはず。

銀を追ってから歩を補充して18歩ねらいでは遅くなっています。

55銀左で44銀をねらわれると54歩しかないでしょう。

69飛の筋が通っているので64歩~63歩成が厳しくなっています。升田先生は先に銀をぶつけ

銀を打ちあって

19香を取る間に飛車を成り込まれました。

互いに と金攻めです。

升田先生の27と は疑問手でしょう。28と寄47金を嫌ったというわけなのですが38と46金48と同玉27と でどうか。あるいは金を取りに行かずに52香や53飛で中央をねらうのもありました。

27と同金17と~27と では金を取るのに手数がかかってしまいます。

飛車を渡せないのでここまで。

端を破ったところでは升田先生が良いのではないかと思うのですが、16歩か17歩かという違い、54銀を追うかどうか、と金で金をはがすべきかどうか、細かい差ではあるのですがその差が形勢を分けました。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1963/04/11
手合割:平手  
先手:大山名人
後手:升田幸三9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 7七銀(78)
6 4二銀(31)
7 2六歩(27)
8 6二銀(71)
9 4八銀(39)
10 3二金(41)
11 7八金(69)
12 6四歩(63)
13 3六歩(37)
14 6三銀(62)
15 5八金(49)
16 7四歩(73)
17 2五歩(26)
18 3三銀(42)
19 4六歩(47)
20 5四歩(53)
21 4七銀(48)
22 6五歩(64)
23 6六歩(67)
24 同 歩(65)
25 同 銀(77)
26 8五歩(84)
27 7七角(88)
28 3一角(22)
29 5六銀(47)
30 9四歩(93)
31 4七金(58)
32 5二金(61)
33 3七桂(29)
34 7三桂(81)
35 9六歩(97)
36 4一玉(51)
37 6五歩打
38 1四歩(13)
39 1六歩(17)
40 4二角(31)
41 6八飛(28)
42 8一飛(82)
43 5八玉(59)
44 3一玉(41)
45 6九飛(68)
46 6一飛(81)
47 8八角(77)
48 4四銀(33)
49 4五歩(46)
50 3三銀(44)
51 9七角(88)
52 5三金(52)
53 8八角(97)
54 8一飛(61)
55 7七角(88)
56 5二金(53)
57 5九角(77)
58 2二玉(31)
59 7七角(59)
60 3一玉(22)
61 5九角(77)
62 5三角(42)
63 7七角(59)
64 4二金(52)
65 5九角(77)
66 2二玉(31)
67 7七角(59)
68 5二銀(63)
69 4八金(47)
70 6三銀(52)
71 4七金(48)
72 5二銀(63)
73 4八金(47)
74 1五歩(14)
75 同 歩(16)
76 1六歩打
77 4四歩(45)
78 同 角(53)
79 4五銀(56)
80 7一角(44)
81 5四銀(45)
82 1七歩成(16)
83 3八金(48)
84 5三歩打
85 4五銀(54)
86 4四歩(43)
87 5六銀(45)
88 1五香(11)
89 5五銀(66)
90 5四歩(53)
91 同 銀(55)
92 9三角(71)
93 6四歩(65)
94 4三銀(52)
95 同 銀成(54)
96 同 金(32)
97 6三歩成(64)
98 4六銀打
99 4八銀打
100 1八歩打
101 7三と(63)
102 1九歩成(18)
103 8三と(73)
104 同 飛(81)
105 6一飛成(69)
106 1八と(19)
107 1四桂打
108 3二玉(22)
109 1二歩打
110 5一歩打
111 1一歩成(12)
112 2七と(17)
113 同 金(38)
114 1七と(18)
115 2一と(11)
116 2七と(17)
117 4五桂(37)
118 5二香打
119 7二龍(61)
120 投了
まで119手で先手の勝ち


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20181214今日の一手(その799);やはり寄せのセオリー

2018-12-14 | 今日の一手

20181214今日の一手

8月26日の名南将棋大会から、AさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが金銀が連結していますが、後手の44馬を守備駒としてみれば後手のほうが堅いです。「馬の守りは金銀3枚」と言われますが、少なくとも2枚分の価値はあるでしょう。
先手の攻め駒は81竜と持ち駒角銀桂で4枚。持ち歩はありませんが数としては十分です。
後手の攻め駒は44馬を入れるかどうかで持ち駒銀桂と合わせて2枚か3枚。

総合すれば互角です。

☆ 大局観として
1手前はこの局面で

24桂同歩23角という筋を受けるために後手は22銀と受けました。壁銀にしてもらえたのでちょっと先手が良くなるのかも、という流れだと思います。(24桂に42玉もあるので22銀は必然ではないです。ほかの受け方、42金寄とか51桂とかもありそうでした。)
先手が対抗型なのに金無双を採用しているという経緯がよくわかりませんが、美濃囲いよりも薄いものの、端攻めに対する耐久力は上がっています。

さて先手の主張は玉は薄くても攻撃力があるということですから、寄せ合いで1手勝ちに持ち込みたいです。
駒得にして長期戦というのは後手の攻め駒も増えてくる(89飛成が有効な手になる)ので次善の策です。

寄せ合いなら寄せのセオリーで考えます。おさらいをしておくと
厳しい攻めから考える
小さな駒から使う
の2つにまとめています。(小さな駒から使うというのは時々書かれているのですが、厳しい攻めから考えると明言しているものは見たことがないです。)
セオリーは「鉄則」という感じで使っているのではなく、背景にある「理論」を含めて表現しています。寄せ合いには速度を求められるので厳しい手から。大きな駒を渡す反動や、後の攻撃が弱くなるから小さい駒から。なのです。


△か× 中盤感覚で自然なのは15歩で89飛成

寄せ合いを考えなければ歩切れですから15歩を取るのが自然です。すると後手が飛車を使って攻め駒4枚になりそう。1筋を攻めれば44馬も攻め駒です。後手玉のほうが堅いですから、後手もちになります。勝敗を分けるのはもう少し先でしょうが。


× 実戦は64角と飛車取りに打って89飛成。

ここで強力な攻め筋があれば先手よしですが、たいした手がなさそうで後手もちだと思います。
91竜16歩46香17歩成

(これは3手かけて44馬を攻めただけなのでかなり遅い攻めです。)馬取りに構わず17歩成が詰めろ。受けるのは難しいです。17同香同香成49金27成香同玉49竜

受けは見つからず、駒損になっていくのでは敗勢です。


さて寄せのセオリーに戻って、いきなりの王手や、手数をかけても直接後手玉をねらう手は難しそうです。
× 41竜

41同玉に何かあれば、ですがまだ早いでしょう。


であれば玉の近くの守備駒、22銀は難しく、41金も難しい(先ほどの41竜もまだ無理でした)です。52金か44馬を攻めることになります。52金を考えてみると
○ 62歩成

が小さな駒です。取られてなんでもない、ではありません。62同金には64角89飛成41竜

きれいな攻めが決まります。

とすれば62同馬しかない(と金が残れば大きい)わけで、77角

こちらにも好手がありました。89飛成22角成同玉41竜

受けは31銀くらいですが、26桂42桂33銀

というのが一番良さそうです。33銀以外の手でも勝てそうなところですが。


○ 次に考えるのは(62歩成が良い手だとわかれば読まなくてよいですが)64桂。

これが普通に自然な寄せ方です。42金寄51銀

移動した金を追いかけていきます。53金ならば72竜42桂62歩成

自然に手がつながりました。52と を受けられません。

後手はどこかで攻め合いに出るのでしょう。51銀に89飛成

42銀成同金52桂成同金41角

42玉に52角成では少し足りないので61竜

これで後手は受けにくい形ですが詰めろにはなっていません。26桂(取れば詰み)28玉16歩

後手からの詰めろが先になりました。銀桂を渡したのは指し過ぎだったようです。

ならば桂を捨てずに52金

2枚目の桂を渡さなければ1手勝ちという感じです。


× 64桂で良ければさらに蛇足ですが、61銀42金寄

では後続の手が見えません。


× 61角42金寄

でも同じですね。竜の利きを止まっているのが原因です。


○ 44馬を攻めるならば小さい駒、56桂

から考えます。
33馬ならば64桂42金寄62歩成

と金ができれば寄せが簡単です。

55馬には64角

両取りなので馬を消せます。

35馬には77角

前にも出た22角成から二枚換えの筋です。


△か× 36桂と打つと33馬

の時に64桂がありません。受けの意味はありますが不満です。

あるいは55馬とされて56歩33馬

かもしれません。いずれにせよこの後が難しいです。


△か○ 銀で44馬を攻めるのは難しいので71角。

99馬ならば62歩成42金寄51と

51同金53角成同金51竜

駒損ですが受けにくいのです。53金を取れそうなので先手よし。

後手が53銀と受ければ

36桂99馬72竜

53角成と62歩成のねらいがあります。(99馬ではなく35馬でも46銀から追ってしまえばよいです。)

ということは後手は馬を逃げにくくて71同馬

71同竜44角91竜89飛成46香

これは2手分かけて44角を攻めている感じです。しかし99角成に62歩成同金43香成というのをねらえるので先手有利でしょう。


△ 最初に91竜89飛成46香

というのも2手かけて香で44馬を攻めています。この場合は33馬や53馬もあるわけで、71角よりは劣ります。


☆ まとめ
攻め駒が4枚あって寄せを考える場合には、寄せのセオリーで考えるのが良いでしょう。
厳しい手から考えて、攻めが続くようなところまで攻めの対象を比較していきます。
攻めのねらいが決まったら小さな駒から考えます。
多くの場合はこれが有効で、今回は好手もありました。
セオリーから外れるのは、駒の価値が変わっている時です。渡してはいけない駒や穴熊で金銀の価値が高くなっている時にはセオリーから外れてしまうことがあります。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする