第1問

感覚の問題です。
A 69玉 B 48玉 C 58玉
第2問

何か動かねばなりません。
A 64歩 B 75歩 C 44歩
第3問

難しい勝負ですが、寄せ合いしかないでしょう。
A 12歩 B 24歩 C 45歩
20181214今日の一手
8月26日の名南将棋大会から、AさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが金銀が連結していますが、後手の44馬を守備駒としてみれば後手のほうが堅いです。「馬の守りは金銀3枚」と言われますが、少なくとも2枚分の価値はあるでしょう。
先手の攻め駒は81竜と持ち駒角銀桂で4枚。持ち歩はありませんが数としては十分です。
後手の攻め駒は44馬を入れるかどうかで持ち駒銀桂と合わせて2枚か3枚。
総合すれば互角です。
☆ 大局観として
1手前はこの局面で
24桂同歩23角という筋を受けるために後手は22銀と受けました。壁銀にしてもらえたのでちょっと先手が良くなるのかも、という流れだと思います。(24桂に42玉もあるので22銀は必然ではないです。ほかの受け方、42金寄とか51桂とかもありそうでした。)
先手が対抗型なのに金無双を採用しているという経緯がよくわかりませんが、美濃囲いよりも薄いものの、端攻めに対する耐久力は上がっています。
さて先手の主張は玉は薄くても攻撃力があるということですから、寄せ合いで1手勝ちに持ち込みたいです。
駒得にして長期戦というのは後手の攻め駒も増えてくる(89飛成が有効な手になる)ので次善の策です。
寄せ合いなら寄せのセオリーで考えます。おさらいをしておくと
厳しい攻めから考える
小さな駒から使う
の2つにまとめています。(小さな駒から使うというのは時々書かれているのですが、厳しい攻めから考えると明言しているものは見たことがないです。)
セオリーは「鉄則」という感じで使っているのではなく、背景にある「理論」を含めて表現しています。寄せ合いには速度を求められるので厳しい手から。大きな駒を渡す反動や、後の攻撃が弱くなるから小さい駒から。なのです。
△か× 中盤感覚で自然なのは15歩で89飛成
寄せ合いを考えなければ歩切れですから15歩を取るのが自然です。すると後手が飛車を使って攻め駒4枚になりそう。1筋を攻めれば44馬も攻め駒です。後手玉のほうが堅いですから、後手もちになります。勝敗を分けるのはもう少し先でしょうが。
× 実戦は64角と飛車取りに打って89飛成。
ここで強力な攻め筋があれば先手よしですが、たいした手がなさそうで後手もちだと思います。
91竜16歩46香17歩成
(これは3手かけて44馬を攻めただけなのでかなり遅い攻めです。)馬取りに構わず17歩成が詰めろ。受けるのは難しいです。17同香同香成49金27成香同玉49竜
受けは見つからず、駒損になっていくのでは敗勢です。
さて寄せのセオリーに戻って、いきなりの王手や、手数をかけても直接後手玉をねらう手は難しそうです。
× 41竜
41同玉に何かあれば、ですがまだ早いでしょう。
であれば玉の近くの守備駒、22銀は難しく、41金も難しい(先ほどの41竜もまだ無理でした)です。52金か44馬を攻めることになります。52金を考えてみると
○ 62歩成
が小さな駒です。取られてなんでもない、ではありません。62同金には64角89飛成41竜
きれいな攻めが決まります。
とすれば62同馬しかない(と金が残れば大きい)わけで、77角
こちらにも好手がありました。89飛成22角成同玉41竜
受けは31銀くらいですが、26桂42桂33銀
というのが一番良さそうです。33銀以外の手でも勝てそうなところですが。
○ 次に考えるのは(62歩成が良い手だとわかれば読まなくてよいですが)64桂。
これが普通に自然な寄せ方です。42金寄51銀
移動した金を追いかけていきます。53金ならば72竜42桂62歩成
自然に手がつながりました。52と を受けられません。
後手はどこかで攻め合いに出るのでしょう。51銀に89飛成
42銀成同金52桂成同金41角
42玉に52角成では少し足りないので61竜
これで後手は受けにくい形ですが詰めろにはなっていません。26桂(取れば詰み)28玉16歩
後手からの詰めろが先になりました。銀桂を渡したのは指し過ぎだったようです。
ならば桂を捨てずに52金
2枚目の桂を渡さなければ1手勝ちという感じです。
× 64桂で良ければさらに蛇足ですが、61銀42金寄
では後続の手が見えません。
× 61角42金寄
でも同じですね。竜の利きを止まっているのが原因です。
○ 44馬を攻めるならば小さい駒、56桂
から考えます。
33馬ならば64桂42金寄62歩成
と金ができれば寄せが簡単です。
55馬には64角
両取りなので馬を消せます。
35馬には77角
前にも出た22角成から二枚換えの筋です。
△か× 36桂と打つと33馬
の時に64桂がありません。受けの意味はありますが不満です。
あるいは55馬とされて56歩33馬
かもしれません。いずれにせよこの後が難しいです。
△か○ 銀で44馬を攻めるのは難しいので71角。
99馬ならば62歩成42金寄51と
51同金53角成同金51竜
駒損ですが受けにくいのです。53金を取れそうなので先手よし。
後手が53銀と受ければ
36桂99馬72竜
53角成と62歩成のねらいがあります。(99馬ではなく35馬でも46銀から追ってしまえばよいです。)
ということは後手は馬を逃げにくくて71同馬
71同竜44角91竜89飛成46香
これは2手分かけて44角を攻めている感じです。しかし99角成に62歩成同金43香成というのをねらえるので先手有利でしょう。
△ 最初に91竜89飛成46香
というのも2手かけて香で44馬を攻めています。この場合は33馬や53馬もあるわけで、71角よりは劣ります。
☆ まとめ
攻め駒が4枚あって寄せを考える場合には、寄せのセオリーで考えるのが良いでしょう。
厳しい手から考えて、攻めが続くようなところまで攻めの対象を比較していきます。
攻めのねらいが決まったら小さな駒から考えます。
多くの場合はこれが有効で、今回は好手もありました。
セオリーから外れるのは、駒の価値が変わっている時です。渡してはいけない駒や穴熊で金銀の価値が高くなっている時にはセオリーから外れてしまうことがあります。