名将会ブログ (旧 名南将棋大会ブログ)

名古屋で将棋大会を開いています。
みなさんの棋力向上のための記事を毎日投稿しています。

大山将棋問題集 20181216

2018-12-16 | 大山将棋研究
先手番木村先生の手を考えます。

第1問


覚えておくべき手筋です。
A 64歩 B 54同銀 C 66銀

第2問


2枚金を並べるのも手厚かったですが、ここも守りの手を指します。
A 35歩 B 55歩 C 57歩

第3問


ここは派手な手です。
A 44歩 B 44銀 C 44角

第4問


詰めろの受け方は?
A 17玉 B 15歩 C 25香
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大山将棋研究(1101);四間飛車に玉頭位取り(木村義徳)

2018-12-16 | 大山将棋研究
今日の棋譜20181216
昭和38年5月、木村義徳先生と第11回王座戦です。木村先生はプロ3年目の四段でした。

木村先生の四間飛車はいいとして、大山先生は玉頭位取りです。この戦法自体は古くからあるようですが、流行するのは10年は後の話なのです。この時代に指されているとは思いませんでした。

木村先生の66銀型というのも今風ですよね。第3巻でも大山先生は指していなかったというのに。

後の常識としては43金上の前に62飛と備えることになっています。55同歩は棒銀の要領でさばかれるわけで

大山先生は55同歩同銀の時に62飛。

木村先生は56金として54歩を同銀という手筋は今でも出てきます。

54同金55歩同金同金54歩、これでいったん収まります。

48飛は攻めの継続ですが、大山先生は銀を打って守ります。

すると木村先生の飛車は8筋へ。

8筋の歩と4筋の歩の取り合いになり

66金83歩に56金打。木村先生は手厚い振り飛車を指すものですね。

24角に46歩36歩56金左。蟹のように横歩きです。

大山先生は5筋の歩を捨てて銀を使い

中央で戦います。

先手陣の弱点である3筋も攻めていきます。

木村先生は45歩から57歩。しぶとく受けるものですね。

3筋で金銀の交換になり

木村先生は4筋をねらいます。ここでは少し指しやすくなっているようです。

大山先生は角を追うのですが

守りの金を取られるのではうまくはないです。

木村先生の4筋攻めのほうがわかりやすくて

少し強引でも攻めていけばよいのです。

しつこく食いついて

飛と銀を取り合い

手を戻したところでは飛と金銀の二枚換えです。

89桂を取られては駒得が消えてしまうのですが、玉の堅さは大きく違います。大山先生は自玉を守りにくいので端に手を付けました。

木村先生は端を手抜いて44歩同銀34角。43歩には・・・89竜を取れますね。気が付きませんでした。大山先生もうっかりしたわけではなく、適当な受けがなかったからということなのでしょう。

端を攻めて

先手玉を追いかけますが、詰みはなさそうです。

99香を取って詰めろ。

木村先生は43金を打ってから玉をかわします。

どうやら先手玉への詰めろが続かなかったようで、飛車を取れば後手玉は詰めろ。

先手玉は詰まないので投了です。

まだ低段者と高段者の差が大きいと思われていたころです。それでも若手の力が爆発することはあります。木村先生の大金星と書かれたことでしょう。
振り飛車党ならば木村先生の手厚い指し回しが参考になりそうです。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.40 棋譜ファイル ----
開始日時:1963/05/04
手合割:平手  
先手:木村義徳4段
後手:大山名人
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 4二玉(51)
9 4八玉(59)
10 3二玉(42)
11 3八玉(48)
12 1四歩(13)
13 1六歩(17)
14 5四歩(53)
15 2八玉(38)
16 5三銀(62)
17 3八銀(39)
18 4二銀(31)
19 5八金(69)
20 3五歩(34)
21 6七銀(78)
22 5二金(61)
23 4六歩(47)
24 3三銀(42)
25 6五歩(66)
26 8五歩(84)
27 7七角(88)
28 4二金(41)
29 4七金(58)
30 3四銀(33)
31 6六銀(67)
32 4四歩(43)
33 5六歩(57)
34 4三金(52)
35 5五歩(56)
36 同 歩(54)
37 同 銀(66)
38 6二飛(82)
39 5六金(47)
40 5四歩打
41 同 銀(55)
42 同 金(43)
43 5五歩打
44 同 金(54)
45 同 金(56)
46 5四歩打
47 5六金(55)
48 3三角(22)
49 4八飛(68)
50 4三銀打
51 8六歩(87)
52 8二飛(62)
53 8八飛(48)
54 4五歩(44)
55 8五歩(86)
56 4六歩(45)
57 6六金(56)
58 8三歩打
59 5六金打
60 2四角(33)
61 4六金(56)
62 3六歩(35)
63 5六金(66)
64 5五歩(54)
65 同 角(77)
66 3七歩成(36)
67 同 桂(29)
68 4四銀(53)
69 6六角(55)
70 5二飛(82)
71 3六歩打
72 3五歩打
73 4五歩打
74 3三銀(44)
75 5七歩打
76 3六歩(35)
77 同 金(46)
78 3五銀(34)
79 同 金(36)
80 同 角(24)
81 3六歩打
82 2四角(35)
83 4八飛(88)
84 4六歩打
85 同 金(56)
86 6七金打
87 7五角(66)
88 7四歩(73)
89 4二角成(75)
90 同 銀(33)
91 3五金(46)
92 同 角(24)
93 同 歩(36)
94 6六角打
95 4四角打
96 3三金打
97 6六角(44)
98 同 金(67)
99 3四金打
100 5七金(66)
101 4四歩(45)
102 4八金(57)
103 4三歩成(44)
104 同 銀(42)
105 3三金(34)
106 同 桂(21)
107 4八金(49)
108 6九飛打
109 4九金打
110 8九飛成(69)
111 4七銀打
112 1五歩(14)
113 4四歩打
114 同 銀(43)
115 3四角打
116 1六歩(15)
117 1八歩打
118 1七金打
119 同 歩(18)
120 同 歩成(16)
121 同 香(19)
122 同 香成(11)
123 同 玉(28)
124 1六歩打
125 同 玉(17)
126 1五歩打
127 2六玉(16)
128 2四香打
129 1五玉(26)
130 1四歩打
131 1六玉(15)
132 9九龍(89)
133 4三金打
134 2二玉(32)
135 1七玉(16)
136 1五歩(14)
137 1八玉(17)
138 2五桂打
139 5二金(43)
140 1六香打
141 2九玉(18)
142 3七桂(25)
143 同 金(48)
144 2七香(24)
145 同 金(37)
146 投了
まで145手で先手の勝ち







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20181216今日の一手(その800);玉頭戦の考え方

2018-12-16 | 今日の一手

20181216今日の一手

8月26日の名南将棋大会から、OさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。


一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
金と銀桂の交換で成銀成桂と金VS馬の作り合いです。明らかに先手の駒得ですね。
相手の駒を考えなければ、玉の堅さは先手のほうが少し堅いです。
先手の攻め駒は53と は入れても良さそう、持ち駒角桂とあわせて3枚。
後手の攻め駒は65馬85桂と持ち駒金で3枚。

総合すれば先手有利です。

☆ 大局観として
先手の駒得で飛車も取れそうです。かなりの駒得なのですが、29桂32成銀33成桂が遊んでいます。攻め駒にも玉の堅さにも関係していません。なので思ったよりも差は小さいです。
銀取りに桂を打たれて、先手玉のほうが薄くなりそう、という状況です。

先手玉を安全にできれば簡単です。
それが無理ならば寄せ合いを考えます。


○ 21成銀は悪い手のような気もしますが

手をかけて飛車を取りに行ったので、取れないのならひどいだろうという気もします。21同馬は41飛

で攻め合いでも、43歩で馬を封じ込めても先手よしでしょう。

後手はいつでも取れるのですが、77桂成同金まで想定して

後手としてはどう攻めたものか。85銀66桂76歩

数を足して76歩をねらってみます。先手も桂を打って寄せ合いに出るとどうなるか。74桂83玉(74同馬は76歩を取る)82金74玉66桂

73玉72金同金74歩

こんな調子で先手の攻めは続きます。後手からは77歩成から追いかけても28飛の利きがあって詰みにくいので先手の一手勝ちなのでしょう。

後手は急いでもうまくいかないので56歩

から57歩をねらうほうが良さそうです。57歩成は受けにくくて、66歩76歩同銀同馬同金67銀86桂

やはりこの筋の桂打ちが厳しいのです。76銀成74桂83玉は77歩。

一度受けに回り、上部に抑えの駒ができれば先手の勝ちになりそうです。

2つ前の図から、73歩74桂同歩と我慢されたら63金

が詰めろなので、まだ長いのでしょうが先手が有利のはず。


× 実戦は66銀左でしたが77歩

を打たれるので一目失敗です。89桂があって、この歩を同桂と取れるならば話は別ですが、取れば駒損で(1歩もらいましたが)1手パス、逃げると金を打ちこまれて先手玉が薄くなります。それでも77同銀が最善で形勢不明だったのでしょうが、77同金同桂成同玉66馬同銀76歩

玉頭戦とみれば、後手が玉頭を制しているのです。66銀もはがされそうで明らかな劣勢です。


× 86銀とかわしても

やはり77歩があり、手筋としては85銀78歩成同飛85歩

なのですが、飛車を使って攻める手がない(反動が強すぎる)です。


○ 66歩が普通の受けで

銀を逃げられないので部分的に駒損になっても、後手の馬を追ってしまいたいのです。
77桂成同金76歩

玉頭戦は多少の駒損は関係なく、互いの玉の間の空間を制したほう(そこに自分の駒が残ったほう)が有利になります。後手は馬を逃げずに76歩と攻め合うのが正しいのです。
76同銀同馬同金67銀86桂76銀成74桂83玉77歩

21成銀56歩が入っている図(再掲します)とどちらが良いか

ここでは57歩成で困ることは少なさそうなので、飛車を取っているほうがよいのでしょう。どちらも先手よしですが。


△か× 76歩だと手堅いようでも駒に当たっていないので56歩

と垂らされます。66銀直77桂成同金66馬同金77歩同玉57歩成

77歩同玉を利かされると、57と の存在が大きいので後手もちか。


○ 寄せ合いならば66桂

が王手で金を取れるので厳しいはず。75金には76歩

77桂成同金66金同銀同馬の時に74桂

を打ってから馬を取ればわかりやすいです。(打たないで66同金74桂はややこしいのです。)

後手としては金を逃げずに56歩

攻め駒を増やそうとする方が優ります。76銀右57歩成74桂同馬75歩

後手から77桂成同金を決めるのも、56馬に85銀と取るのもあまり違いはなくて、85同歩74桂73玉21成銀

飛車を取ると後手玉が詰めろになるので先手の寄せ合い勝ちです。玉頭は先手が抑え込んでいます。


△ 86桂でも同じようですが

75金76歩66金打

桂の位置が違うので、66金打の強手があります。75歩77桂成同金同金同玉76歩

68玉77金59玉67金

この図は後手玉は詰まず、先手玉は詰めろ、後手有利です。

66金を66同銀直と取って

同金同馬77金打

とうければどうにかなるようです。44馬を引いたら74桂83玉に66歩と打っておきます。

これも先手が玉頭戦を制したという図です。


△ 後手の65馬の働きが良いので43角

あるいは54角と合わせる手は考えられます。後手は自分から交換するのは損なので、56歩66桂57歩成

というような指し方でもたれて指します。これは複雑なので

先手としては65角成同金66歩

が43角打を生かした指し方でしょう。57歩成65歩77桂成同金68銀

で先手玉は詰めろ。でも74桂83玉68飛

が詰めろ逃れの詰めろなので先手の勝ちか。


△ 攻めの手としては62歩71金

を利かすことはできそうです。でも66桂~74桂の厳しさが落ちますし、66歩を打てないというのがマイナスです。


☆ まとめ

後手の攻め駒は3枚なのですが、56歩~57歩成という手があるのです。受けきりにするのが結構面倒で、寄せ合いを考えないといけないのでした。

横から攻めるならば21成銀~41飛~51歩成~61と でやっと詰めろの5手すきでは負けでしょう。
66桂~76桂など玉頭から迫るほうがはるかに速いです。
つまり玉頭戦が課題なのでした。玉頭戦では駒の損得は脇に置いて考えます。代わりに攻め駒受け駒の数は保たねばなりません。特に盤上にある自分の駒の価値が高いのです。
後手の66馬や74金を消去する手が好手になるはずで、問題図では66歩、66桂あるいは86桂、43角あるいは54角というところに目が向かねばなりません。

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