第1問

これは序盤の知識です。後手に理想形を許してはいけません。
A 76歩 B 67金右 C 65銀
第2問

こんな構想がありました。
A 78飛 B 56歩 C 75銀打
第3問

気づきにくい好手です。
A 75銀 B 96銀 C 85歩
第4問

少し困ったようですが。
A 75同金 B 61竜 C 55桂
20181226今日の一手
9月16日の名南将棋大会から、HさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は55銀を入れるかどうかで持ち駒角と合わせて1枚か2枚。
後手の攻め駒は24角と持ち駒銀で2枚。
総合すれば後手もちです。
☆ 大局観として
対抗型で居飛車が急戦を挑むと、玉の堅さで劣る分はどこかでポイントを稼がねばなりません。問題図では後手に持ち角を使わせたこと、先手だけ右桂を跳ねていること、の2つがポイントです。
今は後手の角に働きがある(攻め駒になっていて68角成の含みがある)ので少し苦しいのです。
先手陣は57歩のたたきや56の空間が気になり、55銀も中途半端です。ここで良い手を指さないと苦しくなりそうです。
駒得にするか、先手玉を固めるか、攻め駒を増やすか。先手玉の薄さが目立つので、玉を固める手を優先して考えたいです。
× 自然な攻めの手は25飛で
駒を取りながら飛車を攻め駒にしたというわけです。すぐに68角成同金25飛同桂29飛
金角交換で駒得とはいえ、先手玉が薄すぎるので簡単に負けてしまいそうです。
後手としては33桂として
飛車が逃げたら68角成で先手の飛車を素抜くというのもあります。24飛同飛までは仕方なくて、後手が指しやすいでしょう。
× 35銀と打てば
角を引いて24歩ならば抑え込めます。当然35同角同歩で、36歩25飛
先手玉がもう少し堅ければ十分なのですが、25同飛同桂49飛22飛57歩同金直79銀
普通に寄せ合いで後手の勝ちでしょう。
○ 実戦は31角で
32飛に22銀
というのがおかしな手です。何か誤算か勘違いがあったのだと思いますが、36飛47金26飛27歩76飛77歩74飛
こんなに利かされては桂香を取って駒得で有利とはなりません。それでも21銀成ではなく36歩と我慢したらまだ長いのですが、逆に36歩同金47銀と絡まれて先手劣勢になりました。
32飛には当然75角成とするものでしょう。
馬を作れば駒得です。同時に先手玉が少し堅くなります。36飛47金35飛46銀打
しっかり銀を打って抑え込めば駒得が生きるでしょう。打たずに46銀と引くと75飛から暴れられます。
後手は飛車を引かずに26飛27歩36銀
と暴れてくるかもしれません。26歩47銀成53歩51金引31飛
68角成同玉56歩52銀
寄せ合いに出たら先手の勝ちでしょう。75馬が攻防に働いています。
途中47金と受けずに25飛
もありそうですが、角を切られると怖いのでやめておきましょう。
△ 53歩を打てば、53同金は31角が生じるので62金寄
を利かせることはできます。
△ 23歩は
23同飛32角22飛65角成で馬の位置が違い
75角成よりも得ではないかという意味です。後手の飛車の位置も違うのでその差は微妙です。
後手は桂を取らせて33飛21角成36飛とさばくかもしれません。受けは47金で
この図がどうか。遠く21馬が76歩を守っています。26飛27歩36銀
26歩47銀成で先手の駒得とはいえ、後手の攻めもうるさいです。とりあえずは形勢不明。
23歩には32飛かもしれません。
後手の攻めをしのぐには46歩36飛47金というところですが、26飛27銀38銀
という強攻もあります。26銀47銀成25桂で後手の攻めを耐えられるかどうか。これも難しいです。27歩も打てませんでしたし、後手の攻めを呼び込んだという感じがあるのです。
△ ならば黙って46歩のほうが受けやすいのかも。
54歩66銀46角47金
「大駒は近づけて受けよ」ではあるのですが、68角成同飛26歩
で自信なしです。
54歩の時に53歩62金23歩
歩を2回打って、32飛25飛13角43角
54角成とできるのならば先手の得です。36飛47金37飛成同金33桂28飛55歩
これも先手玉がかなり薄いのですが、13角の利きが止まっていて、41飛からの寄せ合いで勝てるのではないかという図です。長い手順なのでこうならないことも多いのでしょうが、工夫すれば先手もまあまあではないでしょうか。
△か○ 57歩と打って
68角成の筋を避けてみます。56歩に46歩
だと条件が変わります。57歩成同金直54歩では同銀に46角と出る手がないというわけです。
後手は角を移動するか35歩と合わせて使うか、どれも互角くらいのところです。強襲されにくいので受けやすいとは言えます。
× 47歩は35歩
後手の46角を防いでも先手が桂頭を守るために47金と上がれないのではだめです。
× 57銀と投入すると
56歩同銀46銀
46同銀同角47金68角成同飛26歩
これは46歩54歩66銀とした変化に似ています。56銀の位置が少し良いけれど、先手が指しにくいのは変わりないです。
× 黙って47金は26歩
2筋を収めることができません。
☆ まとめ
先手が駒得しながら玉を固める手段がありました。馬作りです。大山先生が好きそうな手ですよね。31角32飛75角成(か86角成か)で馬が受けに働いていることを確認して指します。
馬作りがなければ57歩56歩46歩というのが一番耐久力がある受けで、後手の68角成を避けておけば急場をしのげます。
私は対振り飛車は急戦が一番良いと思っているのですが、玉が薄いので苦労することも多いです。
定跡研究でカバーするのですが、もししくじったときはなんとか自陣を固めて粘らないといけないかもしれません。問題図は「少ししくじった」くらいの図なのですが、なるべく斬り合いにせずに自玉を固め、チャンスが来たら強く戦います。
20181224今日の一手
8月26日の名南将棋大会から、HさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。
一昨日の一手の回答
☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損ですが持ち歩がありますから損得なしと見ます。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は28飛1枚。
後手の攻め駒は55銀1枚。
総合すれば互角か先手もちか。
☆ 大局観として
現状は先手玉が堅い分だけ良いのですが、後手の55銀に中央を制圧されています。後手は44飛33角を使えそうで、先手は攻め駒が足りないのです。どうにか互角くらいの攻防にもっていかねばなりません。その後で玉の堅さが生きるのならば先手よしになるのですが。
× 実戦は65歩でした。
先手玉が堅いので強く戦おうという手です。また後手が制圧している中央での勢力争いと見ることもできます。54飛64歩同飛
後手の飛角銀に対して先手は角金だけなので6筋を支えられません。65歩同飛34歩を無視されて66歩
33歩成67歩成同銀66歩
58銀ならば67金、66で清算したけれど先手の金損で敗勢です。
先手の工夫としては34歩が利かなければ66歩
連打で飛車先を止めるということになるのですが、飛を引かれても自信なしですし、清算して銀を埋めたとしても
歩切れでは悪いです。
では連打ではなくて単に66歩がどうか。
35歩と取られていても少し悪いですが、73桂と使われて、84歩同歩37桂85桂
角をかわすとつぶれます。後手の穴熊は薄くなりますが、駒損を甘受しては不利でしょう。
× 34歩同飛37歩
3筋の歩を取り込んでも結局は謝るしかないです。46歩同歩36歩同歩同飛
飛車をさばかれてじり貧になります。
○ 57歩と合わせると
46歩56歩はまあまあ。57同歩成同銀で68銀を使えるので中央の勢力争いの優劣が変わります。56同歩成同銀56歩同銀同銀同金
54飛55歩同角同金同飛24飛
後手の穴熊が堅くないので、寄せ合いは駒得の先手が少し有利です。
後手としては56歩を打たずに35歩くらい。
65歩43飛34歩
44角24飛23歩33歩成
というのが先手にとって理想的な展開です。
後手は24飛を防ぐ意味で34飛
で銀取りを受けるほうが良いです。56銀同銀同金
という戦いか
37桂と跳ねて
54金45桂同金56歩44銀64歩62歩46歩36金66銀
桂を捨てても後手の金銀の働きが悪いだろうという指し方もありそうです。
○ 中央の勢力で負けているのなら、22歩は実利を目指した手です。
22同角24飛は先手十分なので、54飛21歩成65歩58桂
先手は桂馬を取って受けに使います。
73桂98玉85桂88角
駒得なので85歩をかすめ取られても我慢しておきます。66歩同桂同銀同金57歩成55歩68と同飛
桂を取られてしまいましたが、しばらく守って11と や86歩~85歩を楽しみにしておきます。
× あとは思わしい手がなく、26飛46歩
も悪いでしょうし
× 58飛46歩
も悪いです。中央の勢力で負けているので、抑え込みやさばきを見られています。
× もちろんゆっくり58歩では35歩
ゆっくりしていたら歩切れ(あるいは58歩以外なら歩損)が響いてきます。
☆ まとめ
問題図の少し前ですが
後手に56歩を打たれて銀を引いてしまったというのがつまづきの元でした。56同銀か56同金で強く戦わねばなりません。
厚みと実利というのは囲碁の話なのですが、将棋でも玉頭戦になると似たようなことは起こります。この場合も中央を押さえるかどうかが生命線(天王山)になっているのです。
一度引いた銀をまた前に出るというのは指しにくいですが(問題図だけ見たら考えやすいかも)、57歩と合わせるのが本筋です。
もう一つは桂を手に入れる22歩で、取った桂を勢力争いに投入します。囲碁と違って将棋は実利だけで勝てるわけはなく、持ち駒はどこかに使わねばなりません。