ここは近鉄南大阪線の起点の大ターミナルであり、近鉄百貨店の本店が入居している、キタ・ミナミに次ぐ大阪の第三の繁華街、アベノを代表する建物です。
横のラインを強調した流麗な純白の建物ではあるが、手前の曲面の土台は、戦前、1937年、あの南海・難波駅および高島屋と同じ、久野節の建築。
1983年、あべの橋駅の整備と近鉄百貨店新館の建設にあわせて、旧館も今で言うリノベーションによって現デザインになりました。
このデザインはあの村野藤吾。四半世紀を過ぎた今でも華麗な姿を保っています。
この建物の周囲のバルコニーが秀逸。葡萄模様の鋳鉄が全周を覆っている。
遠目でみても判らんが、この細かい模様が建物に奥深い色あいを加えています。
で、なぜ葡萄なのか…この辺りは古代の浪速津、つまり諸外国、特にアジアとの交易の窓口なのです。
葡萄といえば唐草模様の原形。シルクロードの最終到達地である大阪に最もふさわしい文様と村野が考えたのではないしょうか…
この阿倍野ターミナルビル、この旧館部分を建替えて、日本一の高さとなる地上300mのビルになります。
http://www.kintetsu.jp/news/files/abeno20070808.pdf
現在、建替えに向けての準備工事の真っ最中で、今月の20日から、本格的な工事に入ります。
近鉄の社運をかけたビルの建設は胸躍るのには違いないが、この葡萄模様のバルコニーが鉄屑になってしまうのは惜しい…何らかの形で残してほしいな。