山陰本線・江津駅より石見交通バス有福線で30分ほど、およそ1300年前に開湯したとされる有福温泉は、石段が入り組む山峡の斜面に9軒の小規模な旅館と、3箇所の共同浴場があります。
実に鄙びた、時が止まったかのようなこの温泉街の斜面の上方に、小さな温泉街に似合わぬほどの立派な建物が有福を代表する共同湯、御前湯があります。
その御前湯の裏手にある旅館「よしだや」は、家族的な雰囲気で宿泊料も高くないことから、有福温泉でのお宿として何度かお世話になったところです。
源泉の豊富なこの温泉地では共同浴場だけでなく、各旅館でさえ自家源泉を持つところも多く、この旅館も自家源泉です。
無味無臭の、しっとりとした浴感はこの温泉の特徴そのもの。惜しげもなく掛け流されているお風呂には夜中でも入ることができる…これぞ宿泊者の特権です。
何回も何回も浸かっているうちにひと皮めくれた感じがしてきます。これは一種のピーリング、アルカリ泉ならではのことですね。女性には嬉しいと思います。
料理も手堅くまとめられている。贅沢な素材を使っているわけではないが丁寧に拵えられていて美味い。享楽とは対照的な温泉情緒を味わいたいなら、この有福温泉はかなりお奨めです。
・場所:石見交通、広島電鉄(高速バス)・有福温泉BS
・泉質:アルカリ性単純温泉 42.2度
・訪問日:2009年4月12日