アルペンルート・乗り物と温泉てんこ盛りの旅(1)@長野の続きです
浅間温泉から再び路線バスで松本駅に戻ります。浅間温泉と松本の間、長野大学や高校もあり、通学・生活路線のようで、ほぼ10分おきに発着しているので便利です。
松本駅からJR東日本の大糸線で北上します。2両編成のE127系電車は各駅に停まっていきます。車内には地元の乗客に混じって、相当数の登山やハイキングの格好をした乗客が乗っています。
車窓からはときおり蕎麦の花が咲き誇っているのが見えます。
同じボックス席に座った地元のおじさんが言うには、昨日はいい天気で北アルプスが一望できたが、今日の天気では見ることはできないだろうとのこと。諦めかけていたら、一瞬だけ常念岳(2857m)の頂が顔を出しました。
信濃大町駅は北アルプスの長野側の入り口で、大きなリュックを背負った登山客で賑わっています。重装備の山男たちの中、ひとりお気楽な温泉旅行客は浮いているに違いない。
信濃大町から扇沢までは川中島バスの路線バスです。路線バスといっても、車両は観光タイプの日野セレガの初期のタイプで、乗り心地は上々。延々と上り坂が続くこのルートでも、高出力のエンジンなので、苦もなく登っていきます。
こんな山中に突如現れたのが扇沢駅で立山黒部アルペンルートの長野側の拠点です。ここには広大な駐車場とともに、土産物屋やレストランが整備されています。非常に大きな施設なのは、ダム建設時の基地かなんかで、広大な敷地があったからでしょう。
しかし、駅といっても鉄道ではありません。日本でここだけのトロリーバスの駅なのです。実は、この旅の最大の目的は、キンキンに涼しい高原ではなく、トロリーバスに乗ることにあったのです。乗車の時間になり、平静を装いながらバス乗り場へ着くと、そこには憧れのトロリーバスがずらっと並んでいる。
バスの屋根の上には2本のトロリーポールが据えられています。こうなるともう気持ちを抑えることはできません。ひとり列から離れ、バスを撮りまくる。他の乗客にはかなり奇怪な行動と思われているに違いない…でも、そんなの気にしない!
このトンネルが「黒部の太陽」で描かれていた難工事のそれなのです。トンネルも中ほどを過ぎると、脳内に「風の中のすばるぅ~砂の中の銀河ぁ~」っと鼻をつまんだ声が聞こえてきだしました。
終点の駅もトンネル内。そこから200段の階段を登り切って外に出てみると、眼前には黒部の雄大な景色が広がっています。下界では今にも降り出しそうな天気だったのに、何たる天佑!陽が射してきました。
遊歩道をしばらく歩くと豪快に放流する黒部ダムが姿を見せます。こんな険しい渓谷の中に巨大な壁を造り出す人間の英知に驚嘆。
手付かずの自然が美しいのは当然だが、大自然を切り裂いて造営されたこれらの建造物も、40年以上の風雪が積み重なった現在、灰色のコンクリートも自然に溶け込んできて、別種の美しさを醸し出しています。貴重な文化遺産になっていると言ってもいいのでは。
緑の絶壁と灰色の絶壁を眺めながら地ビールをキューっと一杯。格別の旨さです。
ダムの上辺を歩いて渡り、トロリーバスの駅と反対側の、これまたトンネル内にケーブルカーの駅があります。
このケーブルカーは全線トンネルの中で、40度近い急傾斜を登っていきます。ケーブルの車両は汽車会社製、今の川崎重工です。
終点の黒部平駅でロープウェイに乗り継ぎ、さらに上を目指します。ロープウェイはトロリーバスと同じ大阪車輌製。
空中散歩を楽しむこと10分足らず、大観峰駅に着きました。この時点で、2,316mの高さです。駅の屋上が展望台になっています。つい先程までいた黒部湖があんなに下のほうですね。
駅の土産物屋に、富山限定販売の白えび味のポテトチップスが販売されていました。白えびの珍しさより、オドロキはパンパンに膨らんだこの袋。気圧もかなり低くなっているようですね。
大観峰駅から室堂までは再びトロリーバスでトンネルを抜けて行きます。
トンネルを抜けると室堂駅です。駅の寒暖計は18度を指しています。実に涼しい。黒部とは一転、ガスっていて、しかも、時折雨も降ってきたりします。しかし、一瞬霧が晴れ、立山三山が姿を現したりもします。山の天気は変わりやすいってのはこういうことか…
火山湖のみくりが池は鏡のよう。池の周辺は遊歩道が整備されているが、できるだけ自然のままを保つため、でこぼこしていて、歩きやすいとは言いがたい。また、高山植物を守るため、遊歩道から一切外に出ることはできません。運がよければライチョウにも出会えるらしいのだが、姿を現してくれませんでした。
みくりが池をしばらく歩くと、硫黄の匂いが漂ってきました。原因はこの地獄谷です。亜硫酸ガスや硫化水素などの火山性ガスを噴出させています。
そして火山といえば、例のお約束…
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