リゾートホテルの草分けとして格式を誇るとともに、上高地の旗艦ホテルとしてあまりにも著名なクラシックホテル。ヨーロッパの山岳リゾートホテルのような瀟洒な外観は、今や上高地のランドマークといっていいですね。今回、奮発してここに泊まることにしました。なんといってもここのレストランの食事を一度味わってみたかった…
ディナーの時間になってダイニングルームに赴きます。このダイニングルームは宿泊者専用。ディナーのみの営業で2種類のコース料理からのチョイスになっています。また、食事時間は5時半からと8時45分からの2回転。各回、全員が同時にコースをスタートするスタイルです。入店時間のエントランスではオルゴールが奏でられ、雰囲気を盛り上げていますね。
前菜はホタテとタラバのアンサンブルです。柚子の香りが効いています。こんな山の中でホタテやカニを素材にするなんて、贅沢の極みですね。交通や冷凍の発達した現代だからこそのお料理。
スープはトリュフと地元産茸のコンソメです。パイ包み焼きになっていて、パイをコンソメに浸していただくことができます。このコンソメが実に香り豊かで濃厚。茸の旨みを見事に抽出しています。あまりの美味しさに肝心のコンソメの写真を撮り忘れるほど夢中になってしまいました。
魚料理はヒラメのワイン蒸しです。ヒラメのしっとりとして淡白な味わいに、マシュルームの風味がアクセントになっています。魚料理によく合うとされるノイリープラットが華やかさを演出していますね。
肉料理は牛フィレ肉のパルマンティエ風…この「パルマンティエ」というのは人の名前だそうで、フランスに土の林檎…すなわちじゃがいもを広めた人だそうで、フランス版青木昆陽。柔らかではあるがしっかり肉の味がある上質のフィレ肉と、キタアカリのハーモニーがいいですね。パン粉が食感に変化を与えているのも印象を深める。
デセールとなりました。ひょっとして、これがメインイヴェントかもしれない。ゲストの目前でオレンジピールを潜らせたブランデーで栗をフランベし、アイスクリームとともにサーブします。
フランベするときには灯りを消して青白い炎を見せる演出がリゾートホテルっぽいな。
あらかじめコンポートされた栗に、洋酒の風味が加わって大人の味わい。全体的に堅実なお料理は、クラシックホテルならではですね。
翌朝、同じレストランで朝食です。アメリカンブレックファストなので、肉料理、玉子料理がチョイスです。最初にトマトジュースとサラダが、パンはトーストやロールパン、クロワッサンが用意されています。
その後にメインのお皿が来ました。ベーコンとボイルドエッグをチョイス。ベーコンはカリカリに焼いてあります。玉子は、これはもっときっちり注文しとくべきでした。ワタシの好みはユルユルの玉子が好みなんだが、これはちょっと堅すぎでした。
いずれにせよ、お客のさまざまな要求にもサラッとスマートに応えてくれるのは、さすが日本を代表するホテルですね。値段はそれなりにするが、4月下旬から11月上旬までの半年だけしか開けられない雪深い山の中で、しかも東京のホテルスタッフがこの期間を合宿のように泊り込みでこのサーヴィスを維持していることを考えたら、決して高くはないでしょう。
- 場所:上高地
- 訪問日:2012年9月13日
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