湯原温泉郷にある温泉のひとつ、郷緑温泉は、湯原の温泉街よりかなり南方向、米子自動車道の湯原ICの近く、鉄山川沿いにある一軒宿です。
立派な石垣の上に建つ古いお屋敷がここの母屋で、小洒落た暖簾をくぐって宿の人を呼ぶと、笑顔の素敵なご主人が現れ、「もうすぐ空くからちょっと待っててぇ」っと。ここは浴室は1カ所だけで貸し切り専用なんですね。30分貸切で一人500円とのこと。
先客と交代にお湯をいただきます。ひとつしかない浴室は、旅館の規模にしては大きめで、浴槽は二つ、手前が加温の「上がり湯」で、奥がここの白眉、足元湧出の源泉です。
加温のほうには目もくれず、この源泉に浸かってみます。浴槽の底が天然の岩になっていて…っていうか、岩の上に浴槽を設えたかたちになっているのだが、ぱっくりと大きく割れた岩の裂け目からプクプク気泡とともにお湯が湧いてきます。
この辺りの他の温泉と同様、少し青みがかった澄明なお湯で、無味だが僅かに炭酸臭が感じられる。肌触りは柔らかく、低めの湯温と相俟ってとろけそうになってきます。そのうちに気泡のヴェールが体を優しく包み込んでくる…これは贅沢だ!
真冬であれば横の加温浴槽の価値もあろうが、今は真夏。源泉だけで完結してしまいます。貸し切りの持ち時間があっという間に感じてしまう極上温泉、これは値打ちがありますね。
- 泉質:アルカリ性単純泉 34.2度
- 場所:中鉄バス・禾津BSから徒歩30分
- 訪問日:2010年7月20日
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