尾道は、瀬戸内海に面した古くからの港町で、近代になると造船の町としても繁栄していた広島県の一都市です。市内中心部は北側の山と南側の海に挟まれているため、東西に延びる国道2号と山陽本線に沿って形づくられています。
初めて訪れた時は、新幹線の新尾道から尾道市交通局の路線バスに乗り換えて尾道の中心部に向かったのだが、その時は狭い道路をバスが超絶技巧ですり抜けていったのが印象的でした。
この地域は平地が少なく山肌に住宅や寺が密集しているのと、戦時中、空襲の被害が少なかったため、傾斜が急で狭隘な道路が保存されたようです。こでが「坂の街」と言われる所以となっているのですね。
このような独特の景観から文学作品の題材として、また映画のロケ地として多く使われています。文学では林芙美子、志賀直哉などが居を構え、尾道を舞台とした作品を発表し、映画では小津安二郎監督の「東京物語」が尾道で撮影され、大林宣彦監督の「転校生」「時をかける少女」「さびしんぼう」は『尾道三部作』として、この町を有名にしました。さらに、NHK連続テレビ小説「てっぱん」は記憶に新しいところです。
ロープウェイで千光寺山に登って眺望を楽しみました。千光寺は広島県尾道市東土堂町の千光寺公園内にある真言宗系の単立寺院。境内からは尾道の市街地と瀬戸内海の尾道水道、向島等が一望できます。写真の川のようなのは海です。手前が本土、奥が向島。
尾道市街と、目の前の向島の間は尾道大橋と新尾道大橋の2本の橋が架かってはいるが、にもかかわらず5本のフェリー航路が現在でも盛況に就航しています。
以前に訪れたときは駅前の船着場からこのフェリーで尾道水道を渡りました。運賃は100円。船内でスタッフが一人ひとり徴収します。そのときは映画「男たちの大和」のオープンセットを見に来たのだが、このセット、とてもよくできていて、近づくとベニヤ板とわかるが、カメラと通したら間違いなく鋼鉄に見える。それよりも日立造船の、めったに入ることのできない造船所に入れたことに値打ちがありました。
いまや瀬戸内の一地方都市の尾道。しかしこんな小さい町が造船や、それを支える工業で戦後の日本経済を支えてきたのかと思うと感慨もひとしおです。
- 訪問日:2011年5月7日
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