小さいながらも風格の漂う有馬の老舗旅館です。ここ有馬で「坊」のつく旅館が多いのは、もともと宿坊だった名残。なので、坊を名乗る旅館はたいがい老舗です。有馬温泉のバスターミナルから、この温泉街のメインストリート(といっても路地みたいな狭さですが…)を少し上ったところに小さいながらもぴかっと光る温泉旅館、上大坊があります。今回、ここのお湯にじっくり浸かっていたくて、近くながら宿泊してみることにしました。
案内された客室は6畳間。トイレはあるものの和式なのでやや不満。でもまあ、この有馬で素泊まりで一人当たり8,000円を切るんだから文句はないか。
さっそく温泉へ。脱衣所から階段を降りていく構造だが、なんか廃墟に侵入していくような感じ…あちこちの温泉に入って修行を積んでいる身には、これは良泉の予感。
浴室に入ると、強烈な金気臭が襲ってきます。意外に広い浴室の中には澄明のお湯の満たされた中ぐらいの浴槽と、茶褐色のお湯が掛け流されている小さい浴槽があります。澄明のほうは沸かし湯だそうだが、小さい方がいわゆる金泉ですね。
金泉の浴槽の壁は温泉の成分で変色してしまっています。新湯は竹の樋を伝って滴り落ちている。これで温度を下げているんでしょうね。
お湯を舐めると猛烈に塩辛く金気臭も著しい。鉄工所の臭いです。そして、この湯に浸かったら不思議なことに体が安定しません。尋常でない濃度のため体が浮いてくるんですね。
浴槽の底には温泉の泥がたまっていてプチ泥湯。この湯で顔を洗うとヒリヒリするし、誤って目に入ったら大変なことに。これほど濃い湯を保てるのは天神源泉に近いことと、浴槽を大きくしていないからではないかな。
この旅館の温泉に至る途中の小さなロビーに古ぼけた卓球台があって、無料で卓球することができる。久しぶりに浴衣&スリッパ姿で卓球をしてみました。この卓球台、表面はボコボコでピンポン球はイレギュラーバウンドしてしまうのだが、これぞまさしく温泉卓球。意外に楽しめました。
- 泉質:含鉄-ナトリウム-塩化物強塩高温泉 82.4度
- 場所:神戸電鉄有馬温泉駅
- 訪問日:2011年8月31日
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