山陰本線・温泉津駅から太田市生活バス温泉津線で5分ほど。山陰の古湯・温泉津温泉は鄙びた日本旅館が建ち並ぶ、歓楽街など一切見られない静かな温泉地です。
開湯は古く1300年前。戦国時代や江戸時代には石見銀山から産出される銀の積出港にもなったことから、大いに栄えた宿場町でもありました。
その町並みは国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているとともに、銀を積みだしていた港は「石見銀山遺跡とその文化的景観」の一部として世界遺産に登録されています。
温泉津には2箇所の異なる源泉があり、それぞれに共同浴場があります。それらの源泉は旅館へ分湯する程の湯量がないので、旅館内に内湯を造らず、宿泊客は共同浴場に通うという昔ながらの湯治場のスタイルを維持しています。
この元湯泉薬湯は開湯以来の源泉を連綿と保ち続けている温泉津温泉を代表する共同湯です。何気ない単なる古びた建物だが、控えめな唐破風が歴史ある温泉を主張しています。
脱衣所には鍵の付いたロッカーがなく、名前の入ったマイ洗面器がキープされています。地元の方々と湯治客が主な利用者なのでしょうが、バスで訪れる旅行者にはいささか不便です。
浴槽は三つに分かれていて、左側は浅い浴槽、真ん中が適温、右側が熱い浴槽となっています。やや緑がかった褐色お湯は、かなりの金気臭と塩分。浸かっていると体が浮きそうになるぐらいです。
浴場の床は温泉成分が茶色に染み付いていて、独特の造形を織りなしています。濃厚なお湯であることの現れです。熱いほうのお湯に地元の爺さんが何食わぬ顔で浸かっているが、ワタシには手を浸けることさえできません。
建物の外には飲泉場があるが、強烈な塩分と金気臭があり、とても飲めたものではありません。泉質を求められるいま、再びホンモノの温泉を求める湯治客で栄えることを期待します。
・場所:太田市生活バス・温泉津温泉BS
・泉質:カルシウム・ナトリウム‐硫酸塩・塩化物泉 49.9℃
・訪問日:2009年4月13日
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