花にまつわる幾つもの話

子供時代の花にまつわる思い出や、他さまざまな興味のあることについて書いていきたいと思ってます。

天然石標本~アイオライト~

2010年09月30日 | 天然石標本
今週二回目にご紹介する『花』にまつわる天然石は
アイオライト――菫青石(きんせいせき)です。
和名に大好きな菫(スミレ)と青の文字が
入っているのは勿論のこと
私にとってはラッキーストーン
とも言うべき特別な石。
天然石検定1級試験に無事合格できたのも
この石のおかげといっても過言ではないかも(笑)。


このアイオライト
正式な鉱物学名を『コーディエライト』といいます。
フランスの地質学者コルディエの名前から
この名がつけられました。
そしてもう一つの別名は
二つの色をもつ石という意味の『ダイクロアイト』。
ちなみに一般的に普及している『アイオライト』の名前の由来は
ギリシャ語でスミレ色を意味する「ion」と
石を意味する「lithos」からの造語からきているようです。


実際のアイオライトはというと
三つの色(紫がかった青色、淡い青色、灰色がかった黄色)の
特徴が見える多色性(=眺める方向によって
鉱物の結晶の色が変化する性質)の強い石です。
その色合いは花芯部分の黄色から、群青色を経て、
紫へと変わっていく、まさにニオイスミレそのままのイメージ。


『iolite』(または『cordierite』)
 Karur Tamil Nadu,India産





タンブル(=樽磨き)ほどではないですが
多少表面が研磨されています。
特に真ん中にある少し細長い石が
最も綺麗な夜空の色をしています。





拡大してみました。
『ウォーター・サファイア』
(こちらもなかなか素敵な名前です)
というフォールスネームがあるのも
あながちわからなくも。





左右の幾つかの石にうっすらと
黄色味帯びた部分があります。
光に透かすとさらに黄色がはっきりします。


アイオライトには他に
『桜石』(=別名、菅公石とも。日本水石界三大花紋石の一つ)
と呼ばれる結晶構造の異なる
薄紅色の桜の花びらの形をしたものがあります。
こちらは見た目からして桜そのもの。
同じ天然石でありながら
菫と桜、二つもの花の名前を持つなんて
とても贅沢な石ですよね。


この『桜石』実は俗名で
アイオライトがホルンフェルス(=変成岩の一種)の中で
風化して誕生したのだそうです。
また、別名の菅公石ですが 
この石が菅原道真ゆかりの神社と言われている
桜天神で採れるからだとか。
昔は厄除けとして、参拝者に配られていたらしいですね。
(現在は採掘量が制限されていると聞いています)


私もこの桜石を手に入れるまでには
数年かかりました。
一度、池袋のミネラルショーで見かけ
(その際は入手しそこないました)
その後、ようやく新宿のミネラルショーにて
京都の老舗の石屋さんで見つけた時は
ものすごく興奮しました。
(桜石については後日、改めて画像をアップしたいと思います)


幾つもの名前を持ち
不思議な色合いや形態を持つアイオライト
私にとって蛍石がコレクター意欲をそそる石だとすれば
アイオライトはさしずめ
縁(えにし)の深い石というところでしょうか。
きっと一人一人にその人にぴったりと寄り添う石が
あるのかもしれませんね。


それでは次回更新は来週火曜日になります。
(次回もまた花にまつわる天然石の続きです)


※ フォールスネームとは、宝石業界において
  より価値を持たせるために名付けられた名前のことで
  誤称という意味があります。
コメント
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