天然石標本～ズィンカイト～

今週二度目にご紹介する
お菓子によく似た鉱物は――ズィンカイト（ジンカイトとも）
和名『紅亜鉛鉱』です。
天然石としての紅亜鉛鉱は
自然には結晶しづらいため産出が非常に稀で
色も不純物のために暗紅色に。
それが和名の由来にもなっています。
ここでご紹介するのは純粋な天然品ではなく
いわゆる産業廃棄物として産出された
イレギュラータイプです。
塗料工場の排気口の内面に付着したものが
市場に放出されたのがくだんの石。


購入したのはコバルトカルサイト同様
今年6月の新宿ミネラルショーにて。
店も前回と同じ馴染みの日本人の店でした。
この手のズィンカイトは近年ポーランドから
出回ることが多いみたいです。


『Zincite』
Mine Smelter Olkusz,Poland 産





まるでべっこう飴みたいな色合いです。
口に入れたら溶けちゃいそう。





画像ではちょっとわかりづらいですが
一番尖った部分は黄緑色がかっています。
いかにも秋の風情が漂う石です。





裏側です。
それほど大きくはありませんが
手の平に乗せるとずっしりと重みがあります。


基本は天然ものが好きなんですが
たまに見た目の好みでこういった
変り種の石を購入してしまうことがあります。
（ズィンカイトの場合は半人工結晶とでもいうんでしょうか）


次回更新は来週火曜日を予定しております。
（来週もお菓子に似た天然石の続きです）

天然石標本～コバルトカルサイト～

今回ご紹介する天然石は『味覚の秋』『食欲の秋』と題しまして
お菓子によく似た鉱物――コバルトカルサイト（＝コバルト方解石）です。
（自然の）コバルト成分を含むピンクの方解石
もう見た目からして美味しそうですよね？


購入したのは今年6月の新宿ミネラルショー。
いつもお世話になっている天然石のお店でした。
そこのお店のおばさんはとっても世話好きの話上手。
毎回お客さんにそれぞれの天然石について
親切に教えてくれます。
このコバルトカルサイトも
可愛い色合いを選んだわね、と褒めてもらった品です。


『Cobaltic Calcite』
Bou Azzer District Morocco産





濃いピンクの部分がコバルトカルサイトです。
ルーペで拡大すると花びらのような小さな犬牙状の切片が
寄り集まったとても可愛らしい微結晶の集合体です。





やや上から見た画像です。
母岩部分も併せると
ピンク色の求肥か花びら餅のようです。





裏から見た画像です。
こちらは羽二重餅風でしょうか。
しっとりとした質感があります。


カルサイト（＝方解石）自体は決して珍しい鉱物ではありませんが
このコバルトカルサイトは色や形の美しさから
天然石コレクターの間では非常に人気のある石です。


次回更新は木曜日になります。

天然石標本～オーケン石～

無事旅行先から戻ってきました。
真夏の熱田神宮は非常に暑かったです。

旅の土産話は後日として
今回は変わった形の天然石最後の標本をお届けします。
オーケナイト――オーケン石です。
綿ボールのようなクラスター（＝群晶）を作るので
コットンボール・クラスターとも呼ばれています。
もっともラビットテール（＝兎の尻尾）という別名の方が
可愛くてピッタリですよね。
名前の由来は見たままです。
前回のスコレス沸石同様
とても鉱物とは思えない形状をしています。
思わず撫でてしまいたいぐらい愛らしいです。


購入したのは新宿ショーのミネラルマーケットにて。
グリーン魚眼石やスコレス沸石同様
老舗のインド人のお店でした。
インド産の鉱物です。


『Okenite』





白い繊維状のこんもりとした丸い塊りがオーケン石です。
輝沸石に包まれた晶洞の中で
まるで貝殻の中の真珠みたいなイメージがあります。





正面から見た画像です。
お菓子の雪見大福に似ています（笑）





ズームアップするとこんな感じに。
こちらはマシュマロでしょうか。
隣に並んでいるのは恐らく葡萄石か魚眼石ではないかと。


このタイプの標本はキャビネットサイズと呼ばれ
大型のものが多いです。
ちなみに私が持っているこの天然石も
かなり大きめ。
おかげで保管するのが一苦労です。
天然石を買い込みすぎて
そのうち床が抜けるんじゃないかと
家族から脅されています（苦笑）。


今回をもちまして、変わった形の天然石紹介は終了です。
次回からは暦の上では秋に入ったということで
『食欲の秋』と題して
お菓子みたいな天然石をご紹介したいと思います。
（来週火曜日の更新になります）