五社英雄監督が生んだ松竹版女賭博師シリーズの第三弾
前作「陽炎2」に引き続いて高島礼子さんの主演で作られてます
その役名通り凛とした佇まいの高島礼子さんはこの作品では、完全に水を得た魚の如き存在感を示してきたんですが
前二作目まではある意味映画を回してきてる存在だったもので
クライマックスの大立ち回りに関しても不知火のおりんは完全に第三者的存在として
一作目では仲代達矢さんに二作目では原田芳雄さんに譲ってきてたんですが
どうしたことでしょうか二作目の入りが芳しくなかった?
ある意味これが松竹の女賭博師であるっていうようにある意味本筋には胴師として絡んでくるもののクライマックスに絡まないとなると
まぁイロモノとしての女剣戟ドラマとして客が寄ってこない
そんなわけで盆越しの胴師だけではあかんっていうことに・・・
個人的には映画会社のカラーが出てて大映の江波杏子さんの”女賭博師“シリーズのようにきちんと他社と女賭博師の立ち位置をシリーズ通して殺陣はやらない
クライマックスは盆茣蓙の勝負での緊張感で見せるって言うポリシーをある意味貫き通して欲しかったものの
この映画三作目になるとなんとも東映さん日活さんで作られている
凡百の典型的な二組の対立抗争の中に嫌が上に巻き込まれ、ヒロインの加担する組長やその他が惨殺されての我慢の緒が切れての殴り込みって言うプロットに変わってしまい
そうヒロインに変わって最後に殴り込みに行く男優さんも出演せず
ヒロインがドスを振り回す凡百の任侠映画にシフトダウンしてしまったようですね
まぁそれはそれで見てて楽しいしカタルシスも得られるんですけどね
女性映画の松竹と言った前二作の松竹的なカラーが消えてしまっていたのはある意味残念ですよね
でもまぁ「暴れん坊将軍」で覚えた立ち回りが高島礼子さんにはこう言った形で生かされる結果
そうさらにはこの立ち回りが東映さんの「極妻」新シリーズへとつながっていくんですから
女優人生って言うのもわからんもんですよね
1997年製作、日本映画、松竹作品
吉田啓一郎監督作品
出演:高島礼子、石山律雄、遠藤憲一、深水三章、あらいみち子、梨本謙次郎、火野正平、長門裕之