獅子風蓮のつぶやきブログ

日記風に、日々感じたこと、思ったことを不定期につぶやいていきます。

石橋湛山の生涯(その84)

2024-10-20 01:29:55 | 石橋湛山

石橋湛山の政治思想に、私は賛同します。
湛山は日蓮宗の僧籍を持っていましたが、同じ日蓮仏法の信奉者として、そのリベラルな平和主義の背景に日蓮の教えが通底していたと思うと嬉しく思います。
公明党の議員も、おそらく政治思想的には共通点が多いと思うので、いっそのこと湛山議連に合流し、あらたな政治グループを作ったらいいのにと思ったりします。

湛山の人物に迫ってみたいと思います。

そこで、湛山の心の内面にまでつっこんだと思われるこの本を。

江宮隆之『政治的良心に従います__石橋湛山の生涯』(河出書房新社、1999.07)

□序 章
□第1章 オションボリ
□第2章 「ビー・ジェントルマン」
□第3章 プラグマティズム
□第4章 東洋経済新報
□第5章 小日本主義
□第6章 父と子
□第7章 政界
□第8章 悲劇の宰相
■終 章
□あとがき


終 章

(つづきです)

羽田に湛山一行を見送りに来た人々は三千人もいた。湛山は、訪中を前にして語った。
「訪中に当たって私はこれを言っておきたいのです。まず、人間の幸せは資本主義とか共産主義とかいうイデオロギー面で対立するのは不幸である、ということです。今はアイゼンハワーとフルシチョフの米ソ相互訪問が予定されるなど、緊張緩和の兆しが見られることです。日中両国は将来、提携する運命にあります。従って経済問題だけ解決すればよいというのでなく、政治と経済は分離できないのです。とはいえ、私は目下の日本政府が行なっている安保条約改定交渉に支障をきたすようなことは絶対に致しません。中国は人民公社などが建設期にあり、その成否のほどは不明ではあるが、日本はこうしたことに協力するのが望ましいと考えます。日本の現在の姿を中国首脳に説明し、その立場を認めさせ、日中両国の共存が可能かどうかを話し合ってくるつもりでおります」


湛山は疲れてはいたが、まず廖副主席と会談し、次に周首相と2時間も会談した。会議は終始和やかなムードの中で進んだ。ただ、共同声明の起案部分で難航した。岸内閣の中国敵視政策や二つの中国を作る陰謀、といった問題がネックになったのだった。湛山は「石橋三原則」に添って反論した。


「石橋・周共同声明」は5本の柱からなるものであった。

一、石橋、周双方は両国民が手を携えて極東と世界の平和に貢献すべきであると認めた。

二、この目的を実現するために日中両国民は領土主権の相互尊重、相互不可侵、内政不干渉、平等互恵、平和共存の五原則と、バンドン会議の十原則に基づき、両国民の友好の促進に努力し、国民の相互信頼を深め、両国現存関係を改善し、また一日も早く両国の正常な関係を回復するよう協力するべきである。

三、周恩来はこのために日本が外来の干渉を振り切り、中国敵視政策を排除し、二つの中国を作る陰謀に参加すべきではないと指摘した。石橋はこれに対して良識ある日本人士はかかる思想や行動を容認したことはなく、今後も容認しないと表明した。

四、石橋は日中両国の政治、経済、文化の交流と発展は実情に応じて努力すべきものと語った。周はこれに同意すると表明し、そして日中両国の政治、経済の発展は必ず結合して行うべきで、分離できないと指摘した。石橋もこれに同意した。

五、石橋は以上に関連して、日本の現状と現存の国際関係は満足できない点があり、最大の努力を尽くして一日も早く改めるとともに、その実現を逐次促進すべきであると表明した。周はこれに対し歓迎の意を表するとともに、日本が一日も早く上述の希望を達成することを望み、中国人民はこの目標の実現のためになされる日本国民の努力を大いに支持し、日本の国民の独立、自由民主、平和と中立の願望に心から同情を寄せるものであると述べた。

(つづく)


解説

「石橋・周共同声明」は、今読んでも素晴らしい内容だと思います。

池田大作氏は周首相と会談したことを終生の誇りとしていましたが、その前に、この石橋・周会談があったのですね。

おそらく、池田氏は湛山の行動の軌跡を丁寧になぞったような気がします。

 

獅子風蓮



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