正木伸城さんは創価学会元理事長・正木正明氏の息子で、創価中学校、創価高校、創価大学と一貫して創価学園に学んだ経歴を持ち、創価学会本部職員として働いた経歴をお持ちです。
組織のあり方に疑問を持ち本部職員を退職した後も創価学会にとどまり、ライターとして活動していらっしゃいます。
「週刊文春WOMAN」 Vol.16 2023創刊4周年記念号(2023年1月12日発行)に、正木伸城さんのインタビュー記事が載っていました。
以下、「週刊文春WOMAN」の記事の引用をもとに解説します。
「なぜ教団職員を辞めたのですか?」
鈴木エイトが創価学会元理事長の息子
正木伸城と話した “政治と宗教”
正木 実はエイトさんにお会いするの、今日が2回目なんですよ。
鈴木 えっ?
正木 漫画家の菊池真理子さんの出版記念会(『「神様」のいる家で 育ちました~宗教2世な私たち ~』)で名刺交換させていただいて、少しお話もしました。
鈴木 マジですか。ちょっと記憶が……すいません!
正木 いえいえ(笑)。たくさん人も来てましたし。エイトさんはあっという間に有名人になられて……街で顔を指さされたりしませんか?
鈴木 それが実はそんなにないんです。ただ僕、閉店間際のスーパーで半額シールの貼られたお惣菜とか買うのが好きなんですけど、この間ちょうどカゴに入れてるときに「鈴木エイトさんですか?」と声をかけられまして……。 それはちょっと困りましたね。
正木 (笑)。ちなみに「エイト」という名前の由来は何ですか?
鈴木 ああ、僕ずっとバンドやってて、そっちでは数字の7にちなんだ名前を名乗っていたんですね。音楽は才能なかったんで潔く辞めて、次に不動産業をしながら、こういう(執筆)活動をするようになって、7の次は8だろう、とエイトと名乗るようになったんです。ちなみに「鈴木」も、あるシンポジウムで苗字をつける必要があって、コーディネーターの方が適当につけてくれたんです。
正木 あ、じゃあ鈴木も本名じゃないんですね。僕は最近よく友達に「お前も『正木ナイン』になれば」と言われていて(苦笑)。
鈴木 そんな由緒正しい名前をお持ちなのに。「伸城」というお名前はあの池田大作さんが名付け親なんですよね?
正木 はい。ちょうど父(正木正明氏。「創価学会」元理事長)が幹部として勢いが出てきた頃に僕が産まれて、父が池田氏に名付けを頼んだそうです。
鈴木 池田大作さんについて世間の目下の関心は、果たして存命しているのか、というところだと思うんですが、どうなんでしょうか。
正木 正直僕も今の状態についてつぶさにはわからないんですけど、学会内では「お元気な池田先生」というワードが現在も飛び交っています。もし亡くなったとしたら、7日以内に死亡届を出さないといけないとか、いろいろと違法のラインがあるので、ちまたで陰謀論的に語られるような形で死亡を隠すということは、さすがにないんじゃないかなと思います。 鈴木 正木さんのお父様は、学会の組織ではナンバー2だったわけですが、どうやって教団内で頭角 を現してきたんですか。
正木 いろいろ要因はありますよね。演説が上手かったことも一因だと思います。学会では「指導」と言うんですが、会員さんが喜ぶように、信心の理解が深まるように喋ることができるというか。
鈴木 それは息子である正木さんにも引き継がれている?
正木 と、言って下さる方はいましたね。僕は教団内では学生などの若い世代に向けた教義解説をする立場で、29歳のときには、その部門のトップをやっていました。
鈴木 その正木さんが、なぜ教団職員を辞めたのですか?
正木 これもさまざまに要因があります。大きかったことの一つは、「政治と宗教」の問題です。例えば2015年ごろに注目を集めた安保法制では、僕から見ると公明党の振る舞いが自民党にすり寄っているように見えた。決定的だったのは、そこに抱いた僕の疑問に対して、教団内でちゃんと答えてくれる人がいなくて、頭ごなしに「信心が足りないからだ」と否定されてしまったことです。そういうことが積み重なって、また、うつ病で倒れたりもして、学会本部の組織文化が肌に合わないと痛感し、退職したという流れです。
鈴木 その後、転職活動で非常にご苦労された経験をライターとして「現代ビジネス」に書かれてましたね。あれ、非常にタメになりました。僕もちゃんと就職したことがないんで、200社に応募して全滅とか、転職活動ってこんなに大変なんだ、と。
正木 あれは心、折れました。
鈴木 で、唯一見つかった仕事が 他の宗教法人の職員で(笑)。
正木 エージェントの方が「ピッタリの仕事が見つかりました!」って(笑)。それでも最終的に広報・マーケティング関係の仕事で別の会社に転職することができたのは、本当に奇跡的でした。
エイトさんはもともとどういう経緯で統一教会をテーマにされるようになったんですか?
鈴木 2002年に渋谷駅で偶然、統一教会の信者が手相の勉強と言って勧誘している場面に出くわしたんです。もともと私の身内にも信者がいて興味があったので、「あ、これが統一教会の勧誘だ」と反射的に割って入ったのが最初ですね。以来街頭とかで張り込みして、勧誘を阻止する活動を始めて、今に至るという感じです。で、そうやって偽装勧誘から助けた中に、一人、九州から出てきたばかりの19歳の女子大生がいたんです。それで結構仲良くなって、いろいろアドバイスとかしてあげてたら、急に彼女が「渡したいものがあるんですけど」と言って、一枚の紙を差し出しまして。
正木 おお。
鈴木 「泥の中に花は咲く 池田大作」って書いてあって(笑)。
正木 ああ、それは「如蓮華在水」という法華経に出てくるワードですね。
鈴木 で、僕も学会に勧誘されたので丁重にお断りしたんですけど、彼女を見ていて思ったのは、創価学会というのはいわば巨大な互助会みたいなものなんだな、と。
正木 確かにそういう側面はあると思います。
鈴木 だから田舎から東京に出てきても、とりあえずフォローしてくれる。逆に、学会二世が東京に出てきたのを機に縁を切ろうとしたのに、なぜかポストに聖教新聞が投げ込まれていて恐怖したという話も聞いたことがあります。
正木 「統監」という名簿管理のシステムがあるんです。転居した場合も統監に記録されて、転居の情報が回ることがある。だから転居先でいきなり(見知らぬ)地区のリーダーから電話がかかってきて、「引っ越してきたなら顔出してよ」と言われるというのは、「学会あるある」ですね。
鈴木 今、正木さんがこうやって学会と距離を置いた立場でいろいろ発言していることに対して、学会側の反応というのは?
正木 警戒はされていると思います。息子の私が言うのもアレですが、父は人気があった幹部なので、「正木派」が誕生して盛り上がることを学会本部が恐れていたという話は聞いたことがあります。その関係からなのか、私を敵視している人もいるらしく……。
鈴木 そうなると監視とか尾行の対象になるわけですか?
正木 そこまではないとは思いますが(笑)、例えば、私が今、(学会の本部がある)信濃町に行ったとしたら、監視されるということがあるかもしれません。警備の人たちが周辺をよく見て回っていたので、その体制が変わっていなければ。
鈴木 そのへんは学会のお家芸という気はしますね(苦笑)。ただ、じゃあ統一教会みたいなカルト教団と創価学会を同一に並べて語れるかというと、ちょっと難しいかな、と思うんです。学会は巨大な互助会として、かなり日本の社会の隅々まで溶け込んでいて、その実態が大きすぎて捉えづらい。もちろん「二世」問題とか、多額の寄付問題とかはあるんだろうけど、統一教会のように組織構造的に人権侵害が起こっているカルト教団とは区別しないといけないな、と。
(つづく)
【解説】
警戒はされていると思います。息子の私が言うのもアレですが、父は人気があった幹部なので、「正木派」が誕生して盛り上がることを学会本部が恐れていたという話は聞いたことがあります。その関係からなのか、私を敵視している人もいるらしく……。
という正木さんの発言。
興味ありますね。
お父さんの正木正明氏は、正木伸城さんの言動をどう評価しているのでしょう。
父子が連携することはあるのでしょうか。
注目していきます。
獅子風蓮