「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

静岡県、8千万円JAL支援策、成否分岐点の検証

2010-02-12 21:24:00 | 静岡空港
今日は批判の的となっている県によるJALだけ支援策について客観的に分析する。

「県の見込みでは、支援策は少なくとも3千人の往復客を増やす効果があり、年間搭乗率に換算すると3・3%増になるという。搭乗率保証は1%下回るごとに2870万円の支払いが生じるため、8千万円をかけた支援策によって、約9500万円分を圧縮させようという試みだ。」(朝日新聞1月26日)

ここで重要なことは、
3.3%増というが、県にとって、いったい何パーセント増なら成功で、何パーセントを下回れば失敗ということなのか?
ということであり、事後の成否の評価基準(あくまで県の事業正当化の自己主張上での評価であって、競争阻害による他路線の利用者減などのデメリットの評価を含むものではないことに注意のこと。したがってこれさえもクリアできないということは自他ともに認めるべき失敗事業と評価すべきこととなる。)として先に検証しておかなければならない。
以下明らかにする。
1月末現在の県発表の搭乗実績は、
提供座席数151,163席に対し、97,279人の搭乗者数であり、搭乗率は64.4%(←64.3537%)である。
2月と3月の座席提供数は26,904席(76席×2×3便×59日)
搭乗率が現状のままとすれば、2月と3月を加えた搭乗者数累計は114,593人(178,067席×64.3537%)が見込まれる。
県の想定どおり3.3%増の67.7%なら120,551人(178,067人×67.7.%)の利用が見込まれ、その差5,958人分が事業成果となる。
搭乗率保証額は一座席15,800円であるので、9,414万円(約9,500万円)の圧縮といえる。(ちなみに、より正確に9,500万円とするためには3.33%増の67.73%が必要)

いわゆる損益分岐となるのは8千万円かけて8千万円の圧縮というケースであるので、これを求めると、
8千万円相当座席数=5,063席
であることから、
前記搭乗者数累計114,593人にこれを加えた119,656人(67.2%、2.8%増)が分岐となる。
これを、2月3月の2か月搭乗実績に換算すると、座席数26,904席に対して、22,377人(119,656人?7,279人)の搭乗者数が必要であり、その搭乗率は83.2%である。

すなわち、県が事業を正当化した理由に沿って評価しても、2月、3月の2か月の平均搭乗率が83.2%を下回れば失敗と推論されることになるのである。(注:推論というのは客観的前提条件と異なる個別事情が客観的に存在することが証明できればこれを考慮し補正できるという意味である。)
つまりこれが、事業費8千万円の多くが元々利用するはずだった旅客にプレゼントされて、本来の目的の空席を埋める役目を十分に果たさなかったということを意味する失敗に相当する。

ちなみに、私の考える搭乗率上の成否均衡点は異なる。
2月、3月の2か月の平均搭乗率で88.8%である。
なぜかは下の算出式から類推してほしい。
(178067×70%【)×15,800=(151163×70%?7279)×15,800
y=116112
z=(y+5063)?7279
z=23896
r=23896/26904=88.8%


すでに2月になって10日以上過ぎJALや県は状況の推移を把握しているはずである。
現状、支援をやめないということは見込みありと判断しているということであろうが(そうでなければ職務怠慢)、もし達成見込みがないとなればその時点で賢明な判断をし間違っても傷口を広げることのないよう、その程度の能力があることくらいは期待しておきたい。