「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

JAL支援策失敗、約740万円の保証額減額のために千数百万円の税金投入の愚行

2010-02-23 22:31:00 | 静岡空港
JAL福岡線支援の破綻http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/541.htmlをめぐり今日は各紙でその詳細が伝えられた。

その中で、
2月21日現在の2月の福岡線の搭乗率が74.9%であること、及び、
キャンペーン3企画(①学生25,000円補助ツアー企画、②パックツアー5,000円割引企画、③JALマイレージ登録者向け往復搭乗者への5,000円クオカードプレゼント企画)中の①の利用者が約250人、②の利用者が約千人(いずれも2月19日までの実績)であること(③についてはJALからの途中実績提供がなく不明)、
などが明らかになった。

この事実から、県の「8千万円をかけた支援策によって、(搭乗率保証額)約9500万円分を圧縮させようという試み」(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/536.html)がすでに破綻していた事実が窺えることを以下に検証する。
まず、1月末までの搭乗率保証相当額を計算する。
提供座席数151,163席に対して搭乗者数は97,279人であるため、
ここまでの保証相当額は134,854,580円((151,163×70%?7,279)×15,800円)
そして、2月21日までの2月実績は、
提供座席数席9,576席(76席×2×3×21日)に対して搭乗者数は7,172人(9,576×74.9%)と推計されるため、
2月21日現在の搭乗率保証相当額は127,447,540円((151,163+9,576)×70%?97,279+7172))×15,800円)
と推計される。
よって、搭乗率保証相当額については2月の21日間で約740万円(7,407,040円)減額の効果があったことになるのである。
一方、この間より短い19日間に投じられることとなった税金は、
①の企画分6,250,000円(25,000円×250人)、②の企画分5,000,000円(5,000円×千人)を合わせただけで11,250,000円。
補助金額の同じ③が②と同程度の利用と仮定すれば、19日間で約16,250,000円もの税金が投じられた計算だ。(搭乗実績と同じ21日換算なら約1,796万円

すなわち、搭乗率保証契約を破棄せずに続けJAL支援拡充を選択した県の愚行によって、保証額と補助額を合わせた税金の出血量は、かえって拡大したということである。

以上が、本来あるべき成否の基準(http://navy.ap.teacup.com/hikaritoyami/536.htmlの後段)から見た結果である。

なお、前回紹介(前記ページの前段)の県の考え方から見ても失敗であることも以下に示す。
前記のとおり、1月末までの提供座席数151,163席に対し、97,279人の搭乗者数であり、搭乗率は64.4%(←64.3537%)であることから
2月21日までの座席提供数は9,576席(76席×2×3×21日)を加えた座席数に対し、
搭乗率が1月までのままとすれば、21日までの搭乗者数累計は103,441人(160,739席×64.3537%)が見込まれる。
一方、16,250,000万円相当座席数×21日/19日=1,137席(15,800円/座席)であることから、
21日までの搭乗者数累計103,441人にこれを加えた104,578人が県の考え方でいうところの成否の分岐となる。
これを、2月分の21日までの搭乗実績に換算すると、座席数9,576席に対して、7,299人(104,578人?7,279人)の搭乗者数が必要であり、その搭乗率は76.2%である。
現実は、2月分の21日までの搭乗実績は7,172人(搭乗率74.9%)であるので、今後のさらなる伸びが見込まれなければ失敗と判断できる状況に至っていたと推測できる。

つまり、この事業が当初狙った新たな旅客の掘り起こしよりも、元々利用予定の者への公金給付という側面が強かった失敗企画であることがわかったということである。
すなわち、2月のこの時点での保証額圧縮のためのJALだけ支援策の継続断念という判断自体は極めて理性的なものなのである。
問題は、これで無駄な税金投入策をやめるというのではなく、逆にJALだけ支援をやめてすべての航空会社支援に拡大したことであり、クレージーとしかいいようがない。
この時点でキャンペーン事業がJAL保証額の圧縮という目的とは異なる目的の支援策に転化して、単なる旅行者への税金ばらまきとなってしまったことに気づくべきである。

県の役人の無駄でもなんでも利益誘導のためならお金を余らせないで使い切るという悪しき体質が根深く染みついていることが露呈した格好だ。