ポストまで歩いて2分 走れば春 鎌倉佐弓
最近、あまり句を読んで感動するということが無い。この間の日曜の所属同人誌の新年会で最新号を渡され、編集者である女流俳人の作品をあらためて目にした。 ポストまで歩いて2分 これはよくあること。現に、わたしが住んでいる家からちょうど2分ばかりの所に小さな郵便局とポストがある。そして、何とは無しにただ一字を空けて・・走れば春 とある。この時間と空間の飛翔感が凄まじい!この【走る】という一大飛躍があってこその《春》であろう。作者は、一字の空間の奥深く封じ込められた人生の何事かによって、とてつもなく大きな飛躍を経験し、その飛躍によって《春》というかけがえのない自分だけの固有の時間を手に入れることが出来た。何という、生きるということの確信に満ち溢れた清々しい時間なのだろうか。・・・《続く》