何もない時間の白さ冬の月
明大タワー私は滲みか冬の月
流山児祥懐かしき冬の月(70年安保世代の劇作家)
母死後の暗黒冬月うすれけり
食べて吐くコンビニ弁当冬の月(過食症の少女)
冬の月新宿消えたが誰かいる
この空虚終りはいつか冬の月
饒舌のシルバー左翼冬の月
さんま缶直火の記憶冬の月
ただ黙るその先にある冬の月
新宿エンパイアステートビル冬の月
冬月の無言を通し砂の城(新宿の俳句コミュニティ)
俳句いまやアヘンにあらず冬の月
負け犬の遠吠えに似て冬の月
横浜をカジノの街に冬の月
俳句下手隠して冬の月に咆ゆ
絶望はただ一度だけ冬の月
変容の時間と空間冬の月
神として生きてはどうか冬の月
眼底検査またもや白に冬の月
我れのゐぬ母の余生と冬の月
片手片足妻が支えて冬の月(故水木しげる)
千代田メモリアルセンター冬の月