岐阜市の中心部と山県市高富町を結ぶ国道256号線(長良橋通り)を北上、長良橋を渡ると国道のすぐ東側を並行して走る旧高富街道沿いに旧久保田外科医院が建っています。
旧街道沿いに東向きに建つ建物は、一見ロマネスク教会を思わせ、正面2階部分の三連続のアーチ窓や両脇の丸窓、軒下の連続小アーチ(ロンバルト帯)が印象的です。しかし玄関廻りに目を転じると、ねじれた円柱や階段状に迫り出したアーチはどこか中近東を思わせるサラセン風で、全体的に異国情緒が漂う洋風建築です。
道路に面した医院部分は洋風でまとめていますが、西側の住居部分は和風で、全体では和洋折衷の店舗付住宅形式の建物になっています。
◆旧久保田外科/岐阜県岐阜市長良福光2651
竣工:昭和4~9年頃
設計:五十嵐某
施工:千代田組
構造:木造2階建
撮影:2012/09/02
■建物東側正面~外壁は塗りなおされ玄関ドアや窓枠はサッシに変更されていますが、それ以外は当時の佇まいをよく残しています
■建物北東側
■三連続のアーチ窓には張り出しの手摺を設け、両脇の丸窓は金属製の紋様入り
■北側には金属製の格子が入った大きな丸窓
■異国情緒漂う玄関廻り
■玄関には迫り出しアーチドームを設け、扉框上にはステンドグラス、脇の隅柱には紋様入りタイルが貼られる
■植物の葉っぱの柱頭飾りが付いた渦巻形紋様の円柱はかなりのインパクト
※旧久保田外科は以前このブログで取り壊し情報をアップしましたが、住所が長良北町から長良福光に名称変更されたため、前回の訪問時に建物を見つけられず、取り壊しと勘違いしてしまいました。訂正してお詫びいたします。