かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

米原市醒井宿資料館/旧醒井郵便局局舎(滋賀県米原市)

2013-12-18 | 滋賀の近代建築

11月の勤労感謝の日の祝日、東海道線に乗って滋賀県醒井、岐阜県大垣方面を訪れました。もちろん近代建築探訪がメインでしたが、気ままな町歩きと路上観察も楽しめた秋の一日でした。

醒井は中山道の宿場町として栄え、現在も地蔵川の清流に沿って旧い町並みがよく残っています。国道21号線の南側に沿って旧中山道が通っており、この街道沿いに旧醒井郵便局と醒ヶ井公民館の2件の登録文化財に指定された近代建築が現存しています。

旧醒井郵便局舎は、ヴォーリズ建築事務所設計で大正4年に建てられました。当初は木造下見板張りの洋館風の建物でしたが、昭和9年に現在の姿に改修されました。外観は一見RC造に見えますが木造2階建で、外壁はモルタルを厚く塗り石貼り風に見せています。建物は中央に玄関を配し左右対称、玄関の両脇と角にはフルーティング付きの柱にアーカンサス模様の柱頭飾を施しています。さすがにヴォーリズ建築事務所が手掛けただけあり、堂々とした外観は本格的な西洋建築のツボを押さえた隙のないデザインになっています。

1階が郵便・電信業務や応接室、2階は電話交換室や交換手の宿直室兼休憩室として昭和48年まで使われましたが、現在は米原市醒井宿資料館として生まれ変わり、資料の展示や休憩室として再活用されています。

■ウイリアム・メレル・ヴォーリズについて~
滋賀県の近江八幡を中心とした琵琶湖周辺に、現在もヴォーリズが携わった洋風建築が多数残っています。ヴォーリズは明治38年八幡商業学校の英語教師として来日しました。その後キリスト伝道の傍ら建築事務所を開設、全国で1600にも及ぶ建築設計に携わり、彼が本拠を置いた近江八幡には10件以上の洋風建築が今なお大切に保存されています。

<ヴォーリズの代表作>
大丸心斎橋店、神戸女学院キャンパス、今津教会、堅田教会、滋賀大学陵水館、旧伊庭邸、吉田邸、豊郷小学校旧校舎など、その他にも多数現存








◆米原市醒井宿資料館(旧醒井郵便局局舎)/滋賀県米原市592
 竣工:大正4年(1915)、昭和9年(1934)改修
 設計:ヴォーリズ建築事務所
 構造:木造2階建
 撮影:2013/11/23
 ※国登録有形御文化財 


■建物外観
     


■建物内部(1階展示・休憩スペース)
   


■1階案内板