旧醒井郵便局から旧街道を東へ100mほど向かうと、右手の地蔵川を渡ったちょっと奥まった所に醒井公会堂があります。建物は木造平屋建、寄棟造桟瓦葺で、玄関を正面中央に設け、正面と側面の前よりは腰にモルタル塗りの壁を廻し、その上は吹き付けのドイツ壁風に仕上げて味を出しています。玄関をフルーティング(溝)付きの柱で囲み、両脇に上部が櫛形アーチの縦長窓、隅の柱はコーナーストーン(隅石)風仕上げにして洋風デザインを取り入れていますが、全体では明治時代の擬洋風建築を思わせる和洋混在のデザインです。
大正~昭和初期の公民館建築は各地方に残っていますが、昔ながらの和風の建物に一部洋風を取り入れた和洋折衷のデザインがほとんどです。当時は役場や郵便局などの公共建築がほとんど洋風建築に建て替えられた時代で、町の公民館にも強い洋風志向が感じられます。
◆醒井公会堂/滋賀県米原市醒井字新町117
竣工:昭和11年(1936)
構造:木造平屋建
撮影:2013/11/23
※国指定登録有形文化財
■建物正面ファサードは洋風にして、堂々とした雰囲気を演出しています
■玄関ポーチの造りは和風で鬼瓦が載る
■特注の鬼瓦は中央に「醒」の文字が入ります
■洋風意匠を凝らした玄関廻りが見所
■宿場町の中心を流れる地蔵川沿いに建つ公会堂(向かって左奥)