安倍元首相の襲撃事件から1ヶ月余り

　この1ヶ月で世の中の状況はずい分変った。安倍さんが銃撃によって非業の死を遂げたことを聞いた時、頭の中に「本能寺の変」が浮かんだ。8年余りで１強時代を築き、首相の座を降りてからも自民党内最大派閥の長に返り咲き陰ではなく結構表立っての言動が目についた安倍さんの突然の死は、織田信長亡き後の家臣の権力の座を巡る争いと似たような状況を作り出すのではと思ったのである。

　岸田さんの唐突という感のあった記者会見での「安倍さんを国葬にする」という発表は、秀吉の中国大返しのようなものだと感じた。この決断が吉と出るか凶と出るかは、事件の背景が解明されるにつれ分からなくなってきた。

　旧統一教会と政治家との関係がこれえほどまでにクローズアップされるとは岸田さんはあの時点では想定していなかっただろう。当初は「ある宗教団体」という報道だったと思う。「世界平和統一家庭連合 」という名前が報道された時、「統一教会」がまだ活発に活動していたことに驚いた。大学2年生の時に、私は統一教会と深い関係を持ったことがあったので関心は高かったが、2012年に文鮮明が亡くなってからは衰退したと思い込んでいた。「名前が変更されていたのだ」と思わず声を上げてしまった。

　キリスト教がベースであると言っているが、欧米ではカルト教団とされている。今年に入ってから橋爪大三郎さあんや小室直樹さんの本をもとに世界の宗教について独学しているが、キリスト教の教義とはかけ離れていることは明白である。欧米で受け入れられないのは至極当然だと思う。宗教について学ぶ大事さを再認識している。

　権力争いの主導権は、岸田さんが持っていることは確かだが、その器かどうかは未確定な部分が多い。ちょっと注意して見ていこう。政治の世界は少し面白くなってきた。