まわる世界はボーダーレス

世界各地でのビジネス経験をベースに、グローバルな視点で世界を眺め、ビジネスからアートまで幅広い分野をカバー。

NHKの大河ドラマ『光る君へ』の相関図を自分で作ってみました

2024-02-13 14:13:23 | 文学的な
2024年1月7日からスタートしたNHKの大河ドラマの「光る君へ」も、2月11日にすでに第6回となりました。平安時代は、派手は戰もないし、狭い世界の話なので、最初から脱落しそうな不安がありました。第一話を見た後で、次も見るかどうかを正直躊躇していたのです。

しかし何とかその危機を乗り越え、物語の世界に引き込まれるようになってしまいました。そのきっかけになったのが、この相関図を自分で作るという作業でした。私は、ごちゃごちゃした状況を見ると、整理して図解したくなってしまいます。

NHKの公式サイトなどにも相関図は掲載されているのですが、これがどうもわかりにくく、全体のストーリーを理解するのにはあまり役に立たないと思いました。登場人物の大半が藤原さんだったり、男性も女性も服装の色が微妙に違うだけで、同じようなスタイルで、外見での区別のための手がかりが少ないのです。うっかりしていると、人物の区別がつかないという状況にまでなってしまいそうだったのです。

まず私が明確にしたかったのは、天皇とそれ以下の人々は区別しなければいけないということでした。天皇も登場人物の一人なのですが、それを相関図の中に混ぜてしまうと、わけがわからなくなってしまいます。なので天皇は他の人物と分けて、一番上に並べることにしました。



この大河ドラマは64代の円融天皇の時代から始まり、今のところは65代の花山天皇の治世です。この後、66代の一条天皇の代に代わっていきます。天皇の系図を見るにあたっては、その父親も天皇なのですが、それは誰かということ、そして、天皇に入内して次の天皇になる皇子を産むのは誰かということが重要になります。

この相関図では、入内をオレンジ色の二重線で表現しています。円融天王には右大臣家の藤原詮子(あきこ)が入内し、懐仁親王(のちの一条天皇)を産みます。また花山天王には藤原忯子(よしこ)が入内します。

また、夫婦関係はベージュ色の水平線で結びました。これまでドラマでは描かれていない関係まで先走って出てきているので、ネタバレになってしまい、申し掛けありません。



また親子の関係、兄弟の関係は茶色の線で結びました。これまでのストーリーで権力を握っていくのが藤原兼家の家系ですね。すでに死去していてドラマには出てきませんが、兼家の娘の超子は63代の冷泉天皇に入内しています。また詮子も円融天皇に入内しています。さらに、兼家、道兼、道長の三兄弟がいますし、道綱も異母兄弟です。



道隆には高階貴子との間に、定子、伊周、隆家が生まれています。道長にも入内する娘が産まれますのでこの家系はこの時代、圧倒的な権力を握っていくことになります。

この相関図は、これまでの登場人物をまとめたものですが、今後さらに多くの人物が登場してくるでしょうし、これから出世する人、没落する人も出て、関係性が大きく変化していくことでしょう。なので、少ししたらこの相関図も修正を余儀なくされると思うのですが、この図を眺めているだけで、いろいろと見えてくる気がしますね。


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私の2023年を漢字一文字で表してみると

2023-12-30 18:19:56 | インド
2023年がもう終わろうとしている。本当はもう少し前にこれを書きたかったのですが、ぎりぎりになってしまいました。自分にとっての今年の漢字は「印」です。この一番の理由は、インドです。インドを漢字で書くと「印度」になり、一文字で表すと「印」になります。



今年は、かなりの比重でインドに関わってきましたが、歴史的にみてもインドに関わる出来事がありました。日本では、あまりマスコミで取り上げられなかったのですが、2023年はインドの年と言っても過言ではないでしょう。

1)2023年はインドの年



インドでは2023年にG20が開催されました。グローバルサウスの盟主として、共同声明をまとめ上げるのは至難の技と思われていた状況にも関わらず、インドは見事にまとめあげました。

そして月面着陸の成功。これは快挙でした。そして、今年、インドの人口が中国を抜き世界一に。これまで小学校から世界で一番人口が多いのは中国と教わってきた常識が、今年覆りました。またインド映画がアカデミー賞で作曲賞を受賞しました。これも快挙です。

今年、クリケットのワールドカップがインドで開催されました。残念ながら優勝はできませんでしたが、インドは世界ランキング1位の国としての実力を世界に見せつけました。また2028年のロサンゼルスオリンピックにもクリケットが公式種目として採用されることになりました。

科学、経済、文化の様々な分野で、インドが存在感を増した年だったと言えるでしょう。

2)インド大使館



今年は東京の九段にあるインド大使館に何度も通いました。いろいろとセミナーが開催されたからなのですが、20回くらい行きました。

インド大使館は、日本武道館や、靖国神社に近いお堀端にあります。大使館の施設は塀に囲まれていて、気軽には入れない雰囲気ですが、施設内に立派なオーディトリアム(シアター)があり、そこで様々なセミナーやイベントが開催されています。

また、今年は、ご縁があって、シビ・ジョージ駐日インド大使に招かれて、最上階にある執務室を訪問することもできました。ベランダからは武道館や千鳥ヶ淵の景色が一望でき、桜の季節の景色は壮観だったということです。

3)インドからの訪問者たち



今年はインドからも様々な方が訪日されましたが、その現場で立ち会うことができました。インド準備銀行総裁のシャクティカンタ・ダス氏や、グジャラート州のパテル首相、オディシャ州首相、ビハール州の政府関係者の方、インド東北地方の国会議員団の皆さんなど様々な方のお話を伺うことができました。

4)インド関係で著名人と会う



公益財団法人の日印協会という組織の会員になっているのですが、そこの主催の朝食会、昼食会などで、様々な著名人の方々のお話を聞くことができました。黒田日銀総裁、小野寺元防衛大臣、当時外務大臣だった林芳正氏、櫻井よしこ氏、上川陽子外務大臣などでした。

5)日印協会





日印協会とは、1903年に、大隈重信、渋沢栄一、長岡護美の3名が中心となって設立された団体で、日本とインドとの友好親善のための事業を行ってきました。



2023年の11月に新宿の中村屋で日印協会の会員交流会が数年ぶりで開催されたのですが、菅元総理やシビ・ジョージ駐日インド大使も出席されました。安倍元首相の後を継いで今年から菅元総理が日印協会の会長になっています。上の写真は私が撮ったものですが、こんなに近い距離で菅さんのお話を聞けるというのはすごいことでした。

6)日本で、世界で活躍するインド人経営者



日印協会の朝食会で、亀田製菓CEOのジュネジャ・レカ氏にお会いしましたが、今年は世界中でインド人経営者の活躍が光りました。



今年、スターバックスのCEOもインド人のラスクマン・ナラシムハン氏になりました。これ以外にもマイクロソフト、グーグル、アドビ、YouTubeなど世界の有名企業のCEOをインド人が務めていますし、英国のスナグ首相もインド人ですね。

7)話題になった印象派





今年は、いろいろな展覧会がありましたが、印象派は相変わらずの人気でした。私は、一昨年、原田マハさんの『ジヴェルニーの食卓』を読んでから、印象派には興味を持っていました。また数年前、シンガポールのナショナル・ギャラリーで開催されていた印象派の展示も鮮明に記憶に残っています。

「印象派」という言葉は、モネの『印象・日の出』(Impression, solely levant)という作品名から由来するのですが、英語、フランス語の"impression"という言葉と、日本語の「印象」という言葉が実にイメージが一致している気がします。

「印象」は心の中にイメージとしてくっきりと残すというような意味です。"Impression"も同じような意味の言葉ですね。

8)Hacoaのキーホルダーに印字



八重洲ミッドタウンにオープンしたHacoaのお店は、福井県鯖江市の木工ブランドなのですが、ここのキーホルダーがずっと気になっていて、いつか買おうと思っていたのですが、12月、ついに購入。名前を印字してもらいました。書体は選べたので、Century Gothicにしました。文字数の制限はなかったのですが、シンプルにしました。ささやかな贅沢です。



9)インボイス制度



「印」の漢字とはちょっと違いますが、読みが同じなので、「インボイス」も入れてみました。

今年の10月から「インボイス制度」が始まりました。私は個人事業主にはなっているし、「適格請求書」が発行できないと、仕事が発注できないケースも予測できたので、適格請求書発行業者登録をしました。消費税の納税などこれからどのようになるのかよくわからないこともありますが、何とかチャレンジしていきたいと思います。

10)インミン・ブルー



高校の後輩に日本画家の藤城正晴氏がいますが、彼から新たに発見されたこのブルーの話を聞きました。オレゴン大学の研究室で、偶然に発見された青だということです。Yはイットリウム、Inはインジウム、Mnはマンガンを意味しているそうです。この顔料を藤城氏が日本画に取り入れ、発表したのが「色景」というシリーズ。インミンブルーの青がこの画像だと十分に再現されていないのですが、青と白のミニマルな世界の中に、よく見ると白い雲のリアリティーが再現されているんですね。



北斎が彼の作品に取り入れた「ベロ藍」という色は、もともとはプロシャ(今のドイツ)の研究室で偶然生まれたプルシャン・ブルーという青でした。インミンブルーも絵画の世界で革命を起こしてほしいと思っています。

11)インベージョン



インベージョン=侵略も今年の重要なワードでしたね。ロシアとウクライナはいまだ決着がつかず、今年は新たにハマスとイスラエルの問題が浮上しました。長い歴史的背景があるので、簡単には片付かない問題です。

ところで、「印」という漢字の起源を調べてみました。



一番左の甲骨文字の解析では、この文字を「人を力で押さえつける仰臥させる行為」と定義しています。左上の三本の指のような形は「爪」を意味しているそうです。右側の部分は人が膝まづき、手を後ろ手にして仰け反っているようにも見えます。これは力で人を抑えつけるインベージョンと同じ行為を意味しているのではないかと思ってしまいます。

漢字は甲骨文字から始まって、金文、小篆というふうに進化して現代の漢字になっていくのですが、甲骨文字では仰け反っていた人が、金文や小篆では、前屈した背中を上から押さえつけられているかのように見えます。

「印」の意味は、上から抑えつけるという意味で、スタンプや印鑑を意味するようになるのですが、もともとは力や権力で圧迫するという意味が込められていたんですね。

12)インクルージョン



これまた「印」の漢字とは直接的な関連はないのですが、「インクルージョン」という言葉もまた重要なキーワードでした。日本だと「ダイバーシティー」(多様性)はよく使われるのですが、海外では「インクルージョン」も非常によく使われていますね。性別、年齢とか人種など、区別なく社会の一員として受け入れていくという考え方です。

今年、シンガポールで「&Juliet」というミュージカルを見ました。今まで見たうちで一番素晴らしいミュージカルと言っても過言ではないのですが、「インクルージョン」をテーマにした作品だったのではないかと思います。



ということで、ちょっと無理やりまとめてみた感じですが、今年のまとめとさせていただければと思います。無理やり何かを人に押しつけるという行為こそ「印」という漢字の起源なので、これでよろしくお願いいたします。

2024年が皆様にとりましても良い年となりますようお祈りいたしております。
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2023年の世界のホリデーコマーシャル

2023-12-20 10:32:08 | 文学的な
早めにアップしなければと思っていたのですが、クリスマスが来てしまいそうなので、慌ててアップしておこうと思います。この時期、日本では、年末セールや、宝くじなどの賑やかなCMが多いのですが、欧米では逆に、心あたたまるCMが流れています。

コカコーラや、アップルやアマゾンなどの世界的ブランドは、毎年かなり気合を入れてホリデーCMを制作し、11月頃から放映を開始しています。私は毎年、この時期のCMクリエイティブを見ているのですが、今年の世界のクリスマスCMの中で、世界的に話題になっていた作品は、アマゾンのグローバルCMでした。

今年のアマゾンの作品はちょっとノスタルジックでしんみりとした感じです。では、早速、動画をご覧ください。



"Joy Ride"というタイトルのこの作品に登場するのは、3人のご婦人だけ。日本ではあまりないキャスティングですが、しっとりとした味を出しています。

雪が積もった丘のベンチに座っている3人のご婦人。
古くからの友達同士なのでしょう。この作品には台詞が一切ないのですが、言葉を介さなくてもストーリー展開がリアルに伝わってきます。
この3人のリーダー的な女性は、スマホのアマゾンで、何かを注文しています。実はソリのためのクッションです。

そのクッションを入手して、ソリにセットして滑り降りる3人。その楽しそうな表情が、一瞬、過去の時間にオーバーラップします。それは彼らがかつて経験したことなのでしょうか。滑り終えて、立ち上がる三人。Joy is sharedというキャッチ。日本語で言うと、「楽しさは分かち合える」という感じです。

台詞が一切ないのに、リアルなやりとりが伝わってきますね。

このCMで流れているピアノの曲は、ビートルズの“In My Life"という曲。1965年にリリースされた曲です。

これを制作したプロダクションは、Hungry Manという本社がニューヨークにある制作プロダクション。そして演出は、Wayne McClammyというディレクター。


最近では最も多くの有名CMを制作しているプロダクションの一つです。

昨年まで、アマゾンのCMは、英国のLucky Generalsという広告代理店が制作していましたが、今年は、アマゾンがインハウスで制作したことになっています。昨年は、Lucky Generalsの下に、Hungry Manが入っていたのですが、広告代理店は外されてしまったんですかね?どういう事情なのかよくわかりませんが。

ちなみにこちらが、2022年のアマゾンのCM。



これも素晴らしいですね。こちらも制作プロダクションはHungry Manです。

あともう一つ、今年話題になったアップルのホリデーCMもご紹介しておきましょう。



ストップモーションアニメを使って、上司に対するストレス発散をしている社員のお話しです。エンディングで救われますが、2023年のホリデーコマーシャルの話題先はちょっとしっとりした感じですね。

それではメリークリスマス!
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インド人のハートに刺さる、アルセロールミタル・ニッポンスチール(AM /NS India)のブランドCM

2023-12-11 17:47:46 | 広告
2023年11月29日に東京の帝国ホテルで、来日中のインド・グジャラート州のパテル首相ら州政府デレゲーションによるプレゼンテーションが行われました。



その中で、グジャラート州に貢献の大きな日本企業として、スズキとアルセロールミタル・ニッポンスチール(AM/NS India)の2社のプレゼンテーションがありました。

アルセロールミタル・ニッポンスチールはヨーロッパの鉄鋼大手と日本製鉄の合弁会社なので、純粋な日本の会社というわけではないですが、久保田佳司氏がインドへの取り組みを説明されました。



その説明の中で、久保田氏はブランド広告キャンペーンについて触れられました。



ブランドスローガンは「よりスマートな鉄鋼でより明るい未来を」というものですが、その下の"Banuanga Main, Banega Bharat"というヒンディー語のフレーズがキャンペーンテーマです。「私が作ると、インドができる」というという意味になります。

この”Bharat"という単語、今年インドで開催されたG20での招待状が"India"ではなく”Bharat"だったので話題を呼びました。インドが国名を”Bharat"に変更するのかと世界を騒がせました。

この「私が作ると、インドができる」というメッセージは、インドのモディ首相が2014年から提唱している"Make in India"に完全に合致したもので、一人一人がインドの発展に貢献しているというのをアピールするものになっています。



上のものはグラフィックのキャンペーンですが、キャッチフレーズはいずれも同じ、と思いきや、最初の女性のバージョンは、最初の単語が"Banaungi"となっています。そういえばヒンディー語は、動詞も主語の性別を受けて、男性女性で変化するのでしたね。ジェンダーフリーが進む世の中で、インドにはこういう部分に男女の区別が残っているんですね。

ブランドコマーシャル映像がこちらです。



こちらは1分35秒のバージョンですが、明るくてポジティブで覚えやすいメロディの楽曲が秀逸です。いろんな技能者がいろんな現場で、まるでミュージカルのように歌っています。



電力インフラ、クリーンエネルギー、航空産業、自動車産業、海運、宇宙開発など様々な「現場」が登場しますが、それぞれがインドの未来を作っていて、ここに描かれているシーンのほとんどに鉄が使われています。

今年の8月24日、インドの月面探査機チャンドラヤーン3号が月面着陸に成功するのですが、そのシーンも描かれています。この瞬間はインドの人々にとっては歴史的な一瞬だったのですね。実際の中継の動画も挿入されていて、実に見事な編集です。



学校の授業中にこのニュースを見る子供たちという設定のシーンも、素晴らしい演技力です。

このCM全体に言えることですが、キャスティングも、ロケーションの設定も、カメラワークも見事です。私もコマーシャル映像の制作には何度か関わってきているのですが、映像作品として見事ですね。

このテーマの「私が作れば、インドができる」というフレーズ、どこかで似たようなセリフがあったなと思っていたのですが、それは映画「フィールド・オブ・ドリームズ」の中のセリフでした。とうもろこし畑の中で主人公に聞こえてくる、"If you build it, he will come."という言葉です。



彼はその言葉に導かれ、自分の夢だった野球場を作るのですが、そこに野球選手が集まり、観客がはるばるこの球場に集まってくることになります。

アルセロールミタル・ニッポンスチールのこのキャンペーンを作ったコピーライターが、この映画を観ていたかどうかは知りません。が、この映画の感動が、この広告キャンペーンのキャッチフレーズに重なってきます。

このコマーシャルを作ったクリエイティブ・エージェンシーはどこかと調べてみたら、ムンバイのCreativeland Asiaという会社でした。



この会社のウェブサイトに出ている言葉”We are not an agency. We are a creative culture."(私たちは代理店ではありません。私たちはクリエイティブ・カルチャーです)という言葉がいちいち実にかっこいい。こういうクリエイティブな会社だからこそ、こういう素晴らしい作品が作れるのだと思いました。

最後に、アルセロールミタル・ニッポンスチールのようなB2B企業(消費者には直接関係ない産業)が、このようなブランディングキャンペーンを行ったということに拍手を送りたいと思います。日本ではB2B企業は、リクルート目的で認知度アップの広告をよく行っていますが、海外ではこういうことにあまり予算を投下しません。消費者には関係ないので、広告は意味がないと考える担当者が多いです。

しかし、日本に比べて認知度のない海外市場で戦っていくためには、B2B企業にこそブランド広告は必要です。いかに技術力が優れていても、いかに品質が高くても、いかに値段が安くても、聞いたこともないような会社から買いたくはありません。ブランドコマーシャルやブランド広告でメッセージを発信していくことは、B2B企業にこそ必要なアクションなのです。

インドやその他海外市場での広告展開に関してのご相談がありましたらどうぞお気軽にコンタクトしてください。
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2023年のクリケット・ワールドカップで絶好のチャンスを逃したインド

2023-12-10 16:03:45 | インド
ODI形式による2023年クリケット・ワールドカップは、インドで10月5から開幕しました。クリケットの試合は伝統的な競技方法では5日間くらいかかるのですが、投球数等に制限を設け、1日(約7時間)で終了するようにした方式がODIです。さらに投球数を短くして約」3時間くらいで勝敗がつくようにしたものがT20という形式になります。こちらもワールドカップが開催されていますが、今年インドで開催されたものはODIのワールドカップでした。ODIのワールドカップは4年に一度開催されています。



10カ国が参加し、総当たり戦でグループステージを戦い、準決勝に進出したのは、1位インド、2位南アフリカ、3位オーストラリア、4位ニュージーランドでした。1位のインドは全戦全勝でした。名門イングランドは勝ち残れず、アフガニスタンはあと少しで準決勝に残れるところまで行きました。

準決勝を勝ち残ったインドとオーストラリア。その決勝戦は、11月19日に、グジャラート州のナレンドラ・モディ・スタジアムで開催されました。そこまで無敗で勝ち進んできたインドは、グループステージでオーストラリアに勝利しています。インドの勝利はほぼ確実でした。

世界ランキングの1位はインド。しかも10戦全勝。インドが準決勝でニュージーランドと戦ったのは11月15日、オーストラリアが南アフリカを破った試合は11月16日、決勝の11月19日まではインドのほうが1日分休養できています。オーストラリアは慣れない国での長期滞在で、しかも負傷者の数も多く、どうみてもオーストラリアは不利です。さらに、ここ数年、ワールドカップで勝利するのは、ほぼホスト国という事実もありました。

さらに2023年のインドは、いろんな出来事で国威が最高潮に盛り上がっている時です。



まず国際政治の分野では、今年インドでG20が開催され、モディ首相が政治的手腕を見せつけました。アフリカなどグローバルサウスをG20に引き込んだという功績が評価されていました。次にインドの無人探査機チャンドラヤーン3号が、8月23日に月面着陸に成功しました。南極に着陸したのは世界初でした。また人口が中国を抜き、インド映画のRRRがアカデミー賞で歌曲賞に輝きました。そして、クリケットでインドが勝利すれば、今年は大フィーバーになるはずでした。



さらに、決勝戦が行われるのは、モディ首相のお膝元のグジャラート州アーメダバード。13万2000人収容可能というこのスタジアムは、クリケットだけでなく、サッカーやフットボールの競技場と比べても世界トップクラスのスタジアムです。しかもそれが開催されるのが、インド最大の祭りであるディワリが終わった直後という盛り上がり最高潮のタイミング。

しかし、何ということか、インドはオーストラリアに敗北してしまうのです。オーストラリアはコイントスで後攻を選ぶのですが、先攻のインドは、次々とウィケット(アウト)を取られ、何とか50オーバーまで凌ぐのですが、ランの数は240。ウィケットの数は10でした。通常は打つのがうまい選手を前半に集めるのですが、インドは11人目の選手まで打順が回ってしまいました。

後攻のオーストラリアは、240以上のランを稼げば勝利となります。当初の予想ではインドは300以上のランを達成するとみられていたのですが、240は楽勝とは言わないですが、わりと達成可能な数字です。最初は、オーストラリアがそこまで行けないのではないかという感じもありましたが、二番手のトラビス・ヘッドがセンチュリーを達成します(100ランを稼ぐこと)。最終的には137ラン稼ぐのですが、規定投球数をまたずに241ランを達成して勝利してしまいました。



インドの落胆といったらありませんでした。勝てるはずの試合に、負けてしまったのですから。

インドのヴィラット・コーリが、今回のワールドカップを通してのMVPとして表彰されたのですが、決勝に負けていたのであまり嬉しそうではありませんでした。彼はこの大会で765のランを稼ぎ、ランの数ではナンバーワンでした。また平均ラン数も95.62というすごいものでした。ODIでの累積のセンチュリーの数(100ラン以上を達成すること)も、このワールドカップのニュージーランド戦で50を達成し、これまでインドのレジェンドのサチン・テンドゥルカルの記録を超えて、世界のトップとなっていました。



一回の試合で最も多くのランを稼いだのは、オーストラリアのグレン・マックスウェルでした。これはアフガニスタン戦で、負けそうな試合をこの選手の活躍で覆した試合でした。



あと、こちらはボウラー(投げる側)のランキング。いずれのカテゴリーもインドの選手がトップです。



インド選手の活躍は目覚ましいものがあったのですが、最後の決勝戦で不運に見舞われ、勝利を逃してしまいました。

ちなみに、今年、南アフリカで開催された女子T20ワールドカップもオーストラリアが優勝していました。



2024年に行われるワールドカップはT20が男女とも開催されます。男子が西インド諸島と米国の共同開催。女子がバングラデシュでの開催です。その翌年、はODIの男子がパキスタンでICCチャンピオンシップトロフィーという大会が予定されていますが、女子はインドでのワールドカップがあります。26年はT20ワールドカップの男子がインド・スリランカで、女子がイングランドで開催されます。27年は南アフリカ。ジンバブエ、ナミビアでのワールドカップ、そして28年はT20男子ワールドカップもありますが、ロサンゼルスオリンピックです。

2024年のT20ワールドカップ(男子)は、ロサンゼルスオリンピックの絡みもあって、アメリカがクリケットの国際舞台に登場してくるという重要なイベントになります。開催場所および時期はすでに確定しています。アメリカは3都市、西インド諸島は4都市で、期間は2024年6月4日から30日となります。参加国もすでに決まっています。

トータルで20カ国が参加するのですが、ホスト国は自動的に参加資格を持つので、アメリカと西インド諸島は参加します。また2022年大会での上位8カ国も自動的に参加。あとは国際ランキングの上位国から追加(今回でいうとアフガニスタンとバングラデシュの二カ国)。さらに地域予選の勝者が追加となります。日本はEAP(東アジアパシフィック)の地域予選のグループに入るのですが、2023年の予選で、EAPからはパプア・ニューギニアの出場が決まりました。

2024年女子T20ワールドカップはバングラデシュで開催予定ですが、参加国は、ホスト国としてバングラデシュが、2023年のワールドカップの上位6カ国(オーストラリア、イングランド、インド、ニュージーランド、南アフリカ、西インド諸島)、2023年のICCのT20女子世界ランキングから一カ国(パキスタン)残り二カ国は2024年に開催される予選を勝ち残った国となります。

この予選に参加できる国は、アイルランド、スリランカ、そして地域予選の勝者となります。日本は2023年の9月に行われたEAP(東アジアパシフィック)地区予選に参加したのですが、残念ながら勝ち残れませんでした。勝者はバヌアツでした。世界との壁はまだまだ高いですね。



こちらは最近のワールドカップ、そして今後の予定です。2028年にはロサンゼルスオリンピックでクリケットが公式種目で採用されています。世界ランキング一位という威信をかけてインドが金メダルを目指してくるでしょうが、オーストラリア、南アフリカ、ニュージーランドなども見ものです。もちろんクリケット発祥の国であるイングランドもプライドはありますし、アメリカ、西インド諸島は開催国の意地もあります。グローバルサウスの国の活躍も期待できますね。今後のクリケットの盛り上がりに注目していきたいと思います。

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