まわる世界はボーダーレス

世界各地でのビジネス経験をベースに、グローバルな視点で世界を眺め、ビジネスからアートまで幅広い分野をカバー。

インドの3Dアニメ政治マンガ (Politoon)が面白い!

2020-05-29 17:40:50 | インド
風刺マンガは昔からよくありますが、インドではそれが高度な3Dアニメになっていて、インドのメジャーなチャンネルで放映されて人気です。

India Todayとヒンディー語チャンネルのAaji Takの二つのチャンネル(共にIndia Today Group)で2013年から始まった"So Sorry!"というシリーズが老舗なのですが、2017年にこれに追随してIndia TVが始めたOMG!というシリーズも評判になっています。こちらが5月9日にリリースされたOMG!。各国がコロナに戦いを挑むのですが、皆負けてしまう。そんな中でインドのモディ首相がコロナに打ち勝つというものです。

OMG! (2020/5/9)



ちなみにこちらは今年の5月初旬に発表された、コロナ対策での政府のリーダーシップに対する調査ですが、日本は右端の最下位にランクされていますが、インドは緑で6位ですね。



この調査の元データはこちらにありますので、興味のある方はどうぞ。

https://blackbox.com.sg/everyone/2020/05/06/most-countries-covid-19-responses-rated-poorly-by-own-citizens-in-first-of-its-kind-global-survey

日本の評価が悲しくなります。

でこちらが、India TodayとAaj Takで放映されている、"So Sorry!"のシリーズ。コロナが擬人化して悪役として登場しています。

So Sorry! Corona



このシリーズでもモディ首相が毅然とした態度でコロナと対峙するというのが描かれます。

So Sorry! Corona vs Modi



OMG!とSo Sorry! とても似ていますね。So Sorry!が数年間先行していて、賞を総なめしていたのですが、後発のOMGが、India Today Groupの制作スタッフをかなり引き抜いたみたいですね。この2社の熾烈な戦いも面白いです。ちなみにこのスタジオは2社ともデリーなんですね。映像は、ボリウッドに代表されるようにムンバイが中心地ですが、3Dアニメに関してはデリーに制作が集積しています。このトレンドに関しては今後もウォッチしていきたいと思います。インドの3Dアニメのクオリティ、恐るべしです。

さてこちらは、モディ首相が世界を救うというもの。OMG!のシリーズの4月のものです。ちなみに、どちらの会社も数日に一本の新作をアップしており、これまでの作品数は膨大な量にのぼります。

Modi Saves the World (OMG! 2020/4/18)



孫悟空のようなのが出てきますが、これは古来から存在するインドのヒーローのハヌマーンですね。モディ首相の描かれ方からして、おもしろ可笑しく描かれているとは言え、決してバカにしてはいないですね。これが日本の首相の場合は、決してこんな描かれ方はしないでしょう。

こちらはインドと中国の対決。2017年の作品ですが、これも面白いです。中国が負けてしまうというところが、インド人からすると大喝采ですね。

India vs China 2017



ついでにこちらはトランプ大統領が登場する作品。トランプだからトランペット?アメリカと互角に渡り合っている、というか、アメリカを操っているように見えるモディ首相がすごいです。

Trump



最近はずっとコロナ関連が続いていますが、遡ってみると、色々面白いコンテンツがいっぱいあります。
興味のある方はYouTubeとかで、OMG!やSo Sorry! を検索してみてください。

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インドの警察は強かった

2020-05-26 17:00:41 | インド

世界最大のロックダウンを実行するために、インドの警察の皆さんはあの手この手で頑張っておりました。昔懐かしい体罰なのですが、言ってわからなければ、身体で覚えさせないとわからないということなのでしょうね。日本のような「要請」などという生易しいものではありません。

こちらは、ロックダウンを無視して、入ってはいけない地域に入ってきた外国人ツーリストに対して、I am sorryと500回紙に書かせるという刑罰。口答えさせない迫力がすごい。



こちらも500回書かせるという罰。アンドラプラデシュの路上での風景です。みんな真剣に書いています。罰金とかでなくてこれで済むんだったらいいですね。



スクワットや腕立て伏せもなどの刑罰も日常茶飯事です。日本でも、昔、「グランド3周」とか、「バケツを持って立ってろ」とかありましたが、こういうのが現代のインドで行われているのが何か懐かしい気がします。



体力がある若者はこんなのびくともしないかもしれません。さてお次は、死体を運ぶという刑罰。死体と言っても人形なのですが、罰としてそれを運ばせるというもの。



こちらは、兎跳びのようであって、宗教儀式のような変な歩き方。こんなのもあるんですね。



こちらはドローンを使って、ロックダウンにも関わらず若者たちが集まっているところを発見して近寄るという動画。まさに蜘蛛の子を散らすように逃げていく若者たち。テーブルを取りに戻った青年が、走って逃げる途中で腰布が取れて落としてしまいます。さて青年は…



最後にこちらは、警察は暴力を使っているだけじゃないという映像。警察隊のハンドウォッシングダンスです。なんとも微笑ましい。



大変な事態なんですが、なんか笑えてしまいますね。インドってすごいですね。
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インド警察官のコロナヘルメットに見る感染危険の可視化

2020-05-25 13:42:13 | インド

インドの感染者数が先週中国を抜いて、アジアでトップになった、というニュースがありました。

5月24日の時点で、インドの感染者は約12万5千101人、死者数は3,720人。アジアでは一位ですが、世界ランクで見ると11位です。



検査数の比較グラフがありますが、検査数はインドはダントツに多いですね。一日の数が10万人以上です!



こちらのグラフは、感染者一人あたりに対してどれだけ検査を行っていたかというデータですが、インドは10位です。



インドは、検査をかなり多くやっているので、陽性率も低いし、感染者のうちどれだけが死に至ったのかという致死率(Case Fatality Rate)も低いです。こちらのグラフを見ると、致死率は中国や日本よりもインドは低いです。



さてそんな環境の中で、インドは徐々にロックダウンを緩和しようとする動きがありますが、この二ヶ月くらいの間、世界最大のロックダウンを実行するために、インドの警察の皆さんも大変苦労されていたみたいですが、その一例がコロナをビジュアル化したヘルメット。インドの外から見ると、何かギャグのような感じですが、コロナに対する恐怖を誰にもわからせるための苦肉の施策だったのでしょう。

コロナヘルメット1:こちらは、グジャラート州のSuratの警察の皆さん。作り物のクオリティーがかなりレベルが高いです。



コロナヘルメット2:こちらは、バンガロールの警察。コロナの恐怖を伝えるデモンストレーションなのでしょうが、なんかコミカル。



コロナヘルメット3:こちらはチェンナイの警察。真面目に取り締まりをしています。作り物の形はそれぞれで違いますね。




コロナゾンビ:こちらはデリーの警察の皆さん。子供も怖がっています。




コロナカー:こちらは警察ではないのですが、自主的に作った車。中はバイクですが、こんなものを作ってしまうのですから凄い。



こちらは、ソーシャルディスタンスで犯人捕獲をするための秘密兵器。5フィートの距離を保ちながら蜜を避けるという…



こんなものを作ってしまうのですから、インドの技術力(?)は凄いです。インドは、数字のゼロのような抽象概念を具現化した国でもあり、何千という神々をビジュアル化している国ですので、コロナという目に見えない恐怖を、このような形で具現化、見える化するのにも長けているのだと思います。(最後の事例はちょっと違いますが)

コロナの取り締まりに関してもご紹介しようと思ったのですが、長くなりますので、それはまた次回に。


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世界は美しい観光地であふれている (コロナの時代のツーリズム広告)

2020-05-22 16:02:36 | 広告

国をまたいでの渡航が制限され、海外からの観光客を頼りにしていた国や都市や関連産業は、先の見えない経済の落ち込みで暗い気持ちになっています。しかし、そんな状況にありながら、「コロナが終わったら来てね」とアピールしている広告コンテンツがいくつか見受けられます。おそらく、継続的にリマインドしていないと、徐々にマインドシェアが低下していくということもあるのかもしれません。現実的な渡航ができなくても、そこに行きたいという憧れは、コロナが終わり、渡航制限が解除された後まで持っていてもらいたいのではないでしょうか。おそらくは、すでに、渡航先として選ばれるためのレースが、コロナの期間中に開催されていているのかもしれません。というわけで、今回は観光局の映像コンテンツをピックアップしてみました。どれも、コロナの時代の文法というか、トーン&マナーを守っていて、視聴者のステイホームで我慢せざるをえない辛い気持ちに寄り添うものになっています。

まずは南アフリカ観光局。

South African Tourism



南アフリカってこんなに楽しそうな国だったのという感じで、これまでの印象が随分変わります。さらに南アフリカの続編。



今は来れないけど、後で来てね、というメッセージが実にあたたく響きます。コロナの時代、みんな心がすさんでしまうのですが、やがて旅行ができるようになるというメッセージは、人々の心に希望を与えます。

そして次はアイルランド。

Ireland “I will return”



「私はここに戻ってくる」というメッセージ、いいですね。ビジュアルとしては、荒涼とした風景で、通常だと個人的にはそんなに憧れることのない景色なのですが、外に出られない今の時期だからこそ、このようなワイルドで粗野な景色が輝きを増すのかもしれません。アイルランド、頑張れ、と応援したくなってしまいます。

さて次はクロアチアのザグレブ。

Zagreb Loves You



ザグレブはクロアチアの首都なのですが、実は、今年の3月22日にマグニチュード5.3という、140年ぶりの地震がこの街を襲い、街のシンボルでもある大聖堂の尖塔の一部が破壊されたのだそうです。上の映像の最後のイラストがそれを示しています。コロナと地震のダブルパンチから復興して、やがて自由に旅行できるようになれば、是非ザグレブに来てねというメッセージ。ザグレブ、応援したくなります。

そして次はハワイ。

Share Aloha



これは観光局のコンテンツではないですが、観光プロモーションではなく、アロハスピリットをアピールするものになっています。コロナを疫学的にやっつけるのではなく、スピリットで癒すという感じで、とても安らぎを覚えます。「ハワイは地球上で最も陸地から離れた島」というコピーもいいですね。島自体がソーシャルディスタンスです。そして最後の虹の美しさ。ハワイに行きたくなります。

お次はジャマイカ。

Soon Come Jamaica



ステイホームの状況とは対極の明るい、楽しい、夢のような世界ですね。

そしてこちらはオーストラリア。

With Love from Aus



大自然、動物たち、海の美しさ、素晴らしい!

こちらはマドリッド。

Thank You, Madrid



観光誘致ではなく、市民への感謝を示したもののようですが、観光地としての魅力も十分伝わってきます。

こちらは観光局ではなく航空会社のコマーシャル。中東ドバイを拠点とするエミレーツのものです。



以前にもこのブログでご紹介しましたが、コロナが終息した後の未来から今を振り返るという視点で語っています。

こちらはカナダのニューブランズウィック州。カナダの頭部の大西洋に面する州です。

New Brunswick #NBalways



ナレーションの中で、「希望」はパワフルであるというのが印象的です。そして、「間も無くお互いに会える」というフレーズも、奇病を与えます。

最後はチリのラタム航空。

チリの航空会社Latam航空の#FurtherTogether



航空業界は新型コロナで最も打撃を受けている業界の一つです。おそらく経営的には大変な状況だと思います。ナレーションは飛行機の機内アナウンスの体裁をとっています。「乗客の皆さま、停止する時間が参りました」という出だしで、旅ができなくなった時代になったことを伝えます。「皆さまがご覧になれる地平線は、飛行機の窓からではなく、バルコニーや裏庭からになります。未来のために、エンジンをしばし止めることが、我々全員の使命だからです」というナレーション。そしてその後で「でも誰かが飛ばないといけないのです」と語り、このような困難な状況でも飛行機での輸送が必要な例を列挙していきます。この航空会社は、何があっても飛び続けるという決意を語るのですが、こういう会社は、応援したくなります。商売を度外視した企業姿勢に好感を持ちます。

みなさん、コロナの間に世界旅行した感じになったのではないでしょうか?早く渡航が解禁されて、自由に旅行できるようになると良いですね。
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世界中が泣いた勝武士さんの死

2020-05-16 20:33:04 | 新型コロナウィルス

大相撲力士の勝武士(しょうぶし)さんが5月13日に、28歳の若さで亡くなった。このニュースは、世界中に驚きを持って伝えられた。

主要メディアだけでなく、たまたま調べただけでも、ナイジェリアの新聞、ジンバブエの新聞、インドのケララ州のマラヤラム語の新聞、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、ロシア語、アラビア語、ギリシャ語、デンマーク語、ポーランド語、ハンガリー語、トルコ語、中国語、インドネシア語、マレー語、タイ語など、ほとんど全ての言語のメディアで、Shobushiという名前、相撲レスラー、28歳、新型コロナで死亡ということが報道された。上の画像は、たまたま目にした各国のニュースの見出しのみを切り貼りしたものだが、国際的にはほぼ無名のアスリートの名前が、世界の隅々にまで知れ渡ったことが、これまでにあったろうか。

ナイジェリアの新聞、Sundiata Postの見出しは印象的だった。
Tears Flow As Sumo Wrestler, Shobushi Dies Of Coronavirus At Age 28
(相撲レスラーの勝武士がコロナウィルスで28歳で亡くなったことに涙が止まらず)
ナイジェリアの人たちが日本の相撲のことをどれだけ知っているかわからないが、勝武士さんの名前、年齢をきちんと伝えてくれていることに感動してしまう。この”Tears Flow”という表現は、ジンバブエなどアフリカのいくつかの国の新聞でも使われている。

私はシンガポールに住んでいるが、シンガポールの新聞、ストレーツ・タイムズの記事を読んで、涙が止まらなかった。

He developed a fever over April 4-5 but had trouble contacting the local public health office because phone lines were constantly busy.
4月の4日、5日に、熱が出たが、地元の保健所が常にお話し中で、電話が繋がらないという問題があった。
He was then turned away by several hospitals before finally being admitted to a Tokyo hospital on the evening of April 8 after he started coughing up blood, it added.
いくつかの病院に断られ、4月8日、血痰が出た後、最終的に東京の一つの病院に入院。


先進国と言われている国家で、電話が繋がらないために治療が受けられない、そして結局は救える命も救えずに、結局は亡くなってしまう。電話回線が行き届かない途上国の僻地の話ならわかるが、東京都心でそのようなことが起こるなんて、なんともやるせない。「4日間は自宅で様子を見る」という目安の問題、保健所が全てのスクリーニングの権限を持つというシステム、確認方法がアナログの電話という手段しかないという問題、そんなことで、将来のあるアスリートの命を救えなかった体制のなんと情けないことか。

勝武士さんの所属する高田川部屋は、江東区の清澄白川にある。小名木川の南側で、清澄通りと、万年橋通りのちょうど間あたり。東京の実家は門前仲町にあるので、正月には、深川七福神でお参りをするのだが、この地域には相撲部屋がいくつもある。熱を出したとき、さぞ大変だったんだろうなと思う。

日本のマスコミは、「日本はコロナの封じ込めに成功していて、死者が圧倒的に少ない」と報道している。本当だろうか。欧米に比べれば感染者数も、死者の数も圧倒的に少ない。それで喜んでいてよいのだろうか。どのようなファクターによるのかは専門家でないので、なんとも言えないが、中国を除いて、たまたまアジア諸国が感染者数、死亡者数が低かったというだけで、日本の対策が優れていたからということは言えないのではないだろうか。

感染者のうちどれだけ死に至ったかを致死率というが、欧米に比べれば低いというものの、アジアの中では、決して低くない。5月15日時点の数字で、日本の致死率は4.38%。そして不気味なことに、日本の致死率は徐々に増加している。これは何だろう。こちらのグラフは日本の致死率の増加を示している。



一方、シンガポールは、感染者は増えているが、死者をあまり出していないので、致死率はどんどん低下している。中国を含めて、アジアの他の国も、横ばいか、低下してきている。こちらはインド、オセアニアを含むアジア諸国の致死率の推移のグラフ。コンスタントに上昇しているのは日本だけだ。



5月15日時点の各国の致死率の数字だけ並べたものがこちら。



死亡者数の数でいくと、中国、インド、インドネシア、フィリピンは日本よりも多いが、他の大半のアジアの国々は日本ほど死者を出していない。日本は高齢者が多いという問題はあるだろうが、新型コロナの死者を本来はもっと低く抑えられたのではないだろうか。医療設備や医療キャパの不足、医療レベルの低さが原因とは思えない。勝武士さんが、もっと早く治療を受けていたら、助かっていたとは断言できないが、様々な理由で、治療を受けられなかったから症状が悪化してしまった方も多くいるのではないかと思う。それを思うと、16日の時点で725人の新型コロナでの死者の数を、こんなに少なくてよかった、と自慢するのは間違っていると思う。725人もの方が亡くなっている。これからさらに増加していくかもしれないが、死に至る人を一人でも少なくできるようにしていただきたい。

最後に、勝武士さんの今年の二月の初切(しょっきり)の動画があるので、ご紹介したい。初切とは、相撲の禁じ手を面白おかしく紹介する見世物で、相撲の取組の前に、決まり手四十八手や禁じ手を紹介するために江戸時代から行われていたものだが、勝武士さんは、この初切の名手だった。エンターテイナーだ。返す返すも惜しい青年を亡くしたものだと思う。悔やんでも悔やみきれないだろうが、天国でもみんなを楽しませてほしい。勝武士さんのご冥福をお祈りいたします。


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