まわる世界はボーダーレス

世界各地でのビジネス経験をベースに、グローバルな視点で世界を眺め、ビジネスからアートまで幅広い分野をカバー。

2023年の1月1日に思ったこと

2023-01-01 17:49:18 | Life

2023が始まりました。徒然なるままに、大晦日から今日に至ることを書いてみたいと思います。



NHKの紅白歌合戦の中で特に印象に残ったのは、「時代遅れのロックンロールバンド」でした。かっこよかったですね。実は、このメンバーは1955年〜56年の同学年で結成されたグループ。昭和でいうと30年・31年です。私も同じ学年なので、彼らの歌と演奏は心に沁みました。



この曲がリリースされたのは昨年の中旬ですが、とあるオンラインセミナーで私が自己紹介する際に、上のようなスライドで紹介したことがありました。じつはこの年代、スティーブ・ジョブズ、ビル・ゲイツもいるし、明石家さんま、上沼恵美子、郷ひろみなどもいるんですね。

「時代遅れのロックンロールバンド」の演奏は、我々世代(およびそれ以上)を元気づけてくれるエールでした。昨年見た「トップガン・マーヴェリック」も、ベテランの経験は若さに勝るということを感じさせてくれました。



大晦日の日に、松下幸之助の「道をひらく」の本を買いに、日本橋丸善に出かけたのですが、そこでたまたま見つけた本が、「教養の語源英単語」という本でした。清水健二という著者です。何と、上智大学英文学科卒業とあるではないですか。しかも調べてみると1955年生まれ!私も上智大学英文科卒業なのですが、この人は知りませんでした。私は一年浪人しているので、一学年上なのかもしれません。

さらに驚くことにこの人は、「語源図鑑」という本の著者だったのではないですか?!この本は何年か前に持っていて、イラストの図解が素晴らしく感動した覚えがありました。2021年の暮れにそれまで長年住んでいたシンガポールを引き払う際に、本を大量に処分したのですが、その時処分してしまっていました。

「教養の語源英単語」の本は買いましたが、同学年の人間が活躍しているのはジェラシーを感じてしまいます。と同時に頑張るためのエネルギーももらえる気もします。



大晦日にあわてて日本橋丸善に出かけたのは、松下幸之助の「道をひらく」という本を買うためでした。じつはその日の朝のテレビの番組で、ワールドカップで活躍した田中碧選手がインタビューされているのを見たからです。彼は本を読むのが好きで、愛読書としてこの本のことを話していました。

ビジネスマンが読むならわかるのですが、まさかサッカー選手が、とちょっとその意外性にショックを受け、買わなければと思ってしまったのです。丸善の書店ではこれが最後の一冊でした。



上の画像は「道をひらく」の中の一部ですが、正論ではあるけれどあらためて聞くと、心に染みる言葉です。

今年は始まったばかりですが、そのタイミングを虎視眈々と待ちたいと思います。大袈裟な決意とかではないのですが、勝負の時はまだまだこれからだと思っています。

お読みいただきありがとうございました。皆様にとりましても本年が良い年となりますようお祈りしております。
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「青」 — 2022年の一年間を漢字一文字で表すと

2022-12-30 18:05:12 | Life

2022年の一年が間も無く終わろうとしています。12月12日に清水寺で発表された今年の漢字が「戦」という少々物騒な見かけの漢字でした。しかし、私が個人的に選んだ文字は「青」です。これからその理由を示していきたいと思います。

1) SAMURAI BLUE



今年の話題で印象的なのは何と言ってもカタールのワールドカップでの日本の活躍ですね。ドイツを破り、スペインを破り、クロアチアとも対等な勝負をした日本の活躍は感動的でしたね。東京タワーもサムライブルーになっていました。

また、スペイン戦で勝ち越しのゴールを入れた田中碧選手ですが、名前が「あお」でした。生まれた時、空が青く晴れ渡っていたというので「碧」と名付けられたとのことです。

2)優勝のアルゼンチンも準優勝のフランスもブルー



ワールドカップで優勝したアルゼンチンもフランスも青系統のユニフォームでした。今大会では青のチームが歴史的な活躍をしたと言えるでしょう。

3)サッカー漫画の「ブルーロック」



サッカー漫画の「ブルーロック」も人気となりました。三苫薫選手もゲームのCMに登場していましたね。

4)セ・リーグ優勝のヤクルトもブルー



ヤクルトスワローズの村上宗隆選手は「村神様」として今年の流行語大賞となりましたが、セ・リーグ優勝したのは青を基本的なユニフォームカラーとするヤクルトスワローズでした。

ヤクルトスワローズのエースピッチャーの小川泰弘投手は、たまたま私と出身(愛知県田原市)と出身高校(愛知県立成章高校)が同じだったので、入団依頼ヤクルトスワローズを応援していました。リーグ優勝おめでとう!

5)YOASOBIの「群青」



YOASOBIは世界的に話題となりましたが、今年は「群青」が村上宗隆選手の入場テーマ曲でした。この曲はもともとブルボンのアルフォートというチョコレートのタイアップ曲でした。

6)プロ野球日本シリーズ優勝したオリックス・バッファローズもブルー



日本シリーズはオリックス・バッファローズが優勝し、日本一になりましたが、ユニフォームは濃いめのブルーを基調としていました。

7)きつねダンスのコスチュームもブルー



日本ハムファイターズのファイターズガールズの「きつねダンス」が今年話題を呼びましたがユニフォームはブルー系でした。

8)インドのクリケットのチームカラーもブルー



インドはクリケットが圧倒的な人気のスポーツですが、インドのチームカラーはブルーです。今年はクリケットのアジアカップで3位、またレジェンドチームが戦う世界大会ではインドが優勝しました。

9)他のインドのスポーツも国際試合ではブルーが基本



上の写真のほとんどは2021年に開催された東京オリンピックの写真ですが、ゴルフ、レスリング、ホッケーなどほとんどがブルー系のユニフォームでした。東京オリンピックの男子槍投げで金メダルを獲ったニーラジ・チョプラ選手は、今年の世界陸上では銀メダルでしたがブルー系のユニフォームでした。

10)インドの国旗の中央部のアショカ・チャクラはブルー



インドのユニフォームがブルー系が多いというのは、インドの国旗の中央部にあるシンボルマーク「アショカ・チャクラ」がブルーという理由のようです。今年はインドの建国75周年でした。あと一年くらいで、インドの人口が中国を抜くと言われています。

11)話題の映画「アバター:The Way of Water」のブルー



映画「アバター」が世界的にヒットしました。すごい映画でしたね。「アバター」とはもともと、サンスクリット語で「化身」という意味なんですね。インドでは青い色の神様がよくいますが、この映画、インド神話の世界観に繋がる部分がある気がします。

12)映画「TOPGUN: MAVERICK」の空の世界



この映画で青い色が出てくるわけではないですが、空と海の世界はやはり青ですね。

13)NHKの朝ドラの「舞い上がれ!」の青



「舞い上がれ!」は、飛行機がテーマで、青い空や海が登場します。学生時代の「なにわバードマン」のユニフォームもブルーでした。20世紀初頭の女性飛行家アメリア・エアハートの引用も素敵でした。

14)飛ぶことの夢とディズニーシーの「ソアリン」



私は昨年の暮に長年住んだシンガポールから日本に戻ってきたのですが、日本で個人事業主として登録した屋号は「Wings2Fly」でした。また、今年、ディズニーシーで「ソアリン」に乗りましたが、昔からの空を飛ぶことの夢をテーマにしたアトラクションでした。

15)エルビスの「ブルー・スエード・シューズ」



映画「エルビス」が上映されましたが、この映画で、エルビスがツアーを始める時にかかる曲が、「ブルー・スエード・シューズ」。もともとはカバー曲なのですが、彼が圧倒的な人気を獲得するきっかけになる曲です。

16)ブルーベリーのスイーツ



今年は東京に戻って、スイーツを食べましたが、ブルーベリーを使ったものを多く食べました。右上の「ゼフィール」というのはロシアのスイーツで、紫色のものはブルーベリーを使っています。

17)Blue Tokai Coffee & Blue Bottle Coffee



インドのコーヒーブランドのブルートーカイが日本に進出してきました。今年、六本木ミッドタウンのポップアップショップに何度か足を運び、インド各地のコーヒーをトライしました。ブルーボトルコーヒーは数年前に清澄白川にできて、その後数カ所に店舗ができました。

18)バタフライピー・ティー



日比谷公園内のカフェで、今年初めて「バタフライピー・ティー」というハーブティーを飲みました。青い色をしているのですが、レモンを入れると紫色に変わるというお茶です。

19)南インド料理のダバ・インディアの青い店内



今年は東京でいろんなインド料理を食べました。京橋に長蛇の列のお店があるので何だろうと行ってみたら、ダバインディアでした。南インド料理の名店ですが、とても美味しかったです。青い色の壁が美しかったですね。

20)隅田川、永代橋、東西線



シンガポールを引き払い、東京での生活を始めて一年、住んでいるのは門前仲町。茅場町のコワーキングスペースも通ったので、永代橋は何度も通いました。東西線のカラーはブルーです。

21)茅場町の日本橋山王神社の狛犬がブルーのマントをつけている



今年の中旬から、兜町のKabuto Oneの3階にあるブックラウンジ“Kable"に通って仕事をしているのですが、窓から真正面に見下ろせるのが日本橋山王神社。狛犬が青いマントを着て上を向いています。今年は、この神社だけでなく、日本橋小網神社や、兜神社なども初めてお参りしました。

22)北斎ブルー



今年、六本木ミッドタウンのサントリー美術館で北斎展が開催されていて、たまたま最終日に入ったのがきっかけでした。そこで北斎が、「ベロ藍」と呼ばれていた「プルシャンブルー」を使って風景画を発表し、江戸で大人気になったというのを知りました。その後、墨田区の北斎美術館も訪問しましたが、北斎のブルーの世界にはとても興味をひかれました。江戸の人々にとって、それまでみたことのなかった青の色なんと革命的だったのかと想像するとますます青に魅惑されたのでした。

23)フェルメール、モネ、ピカソの青



西洋でプルシャンブルーが開発される前、ウルトラマリンなどの青はとてつもなく高価な画材でした。はるか東方の地で採れる宝石を原材料としていたので、高くて当然でした。フェルメールはウルトラマリンの画材を買うために財産を使い果たしたと言われています。今年は原田マハさんの本に影響を受けて、マチスや、ビアズレーなど西洋絵画の世界に興味を持ちましたが、ピカソも「青の時代」という青をベースにした数々の作品を残しています。また、北斎はフランスの印象派にも影響を与えたと言われていますが、モネの睡蓮の池は日本庭園の影響を受けたものだそうです。今年日本橋で印象派の絵画を体験するイベントがありましたが、モネの池の水の世界はまさに印象的でした。

24)ウクライナの国旗のブルー



上の写真は木場公園にあったウクライナを応援するための飾りですが、ウクライナの国旗はブルーとイエローでした、今年一年、この青の色は忘れられない色となりました。

25)アメリカ中間選挙のブルー



アメリカの選挙は赤(共和党)と青(民主党)の戦いなのですが、今年行われてた中間選挙、レッドウェーブで赤が圧倒的勝利となると言われていたのですが、そうはならず青が持ち堪えたと言えるでしょう。下院では共和党が多数になったのですが、上院はそうはなりませんでした。

26)英国女王プラチナ・ジュビリー



エリザベス女王は今年亡くなりましたが、今年の頭にはプラチナ・ジュビリーのお祝いがありました。その式典の初日、ロイヤルファミリーの女性たちが着ていた衣装はブルー系でした。

27)故安倍晋三前首相のブルーのスーツ



安倍晋三前首相は今年、日印協会の会長に就任され、私はその就任式典で始めて実物の姿を拝見したのですが、その鮮やかなブルーのスーツが印象的でした。日印協会の朝食会でもお会いできる予定だったのですが、亡くなったのはその二週間ほど前のことでした。

28)東京オリンピックが残した汚れたブルー



今年東京オリンピックの不祥事が報道されましたが、AOKIが話題でした。

29)青色申告



今年、個人事業主の登録をし、区が主催する青色申告のセミナーにも何度か参加しました。

30)イケアのブルー



幕張のイケアにも何度か行きました。

31)ブルー・オーシャン戦略



「ブルー・オーシャン戦略」の本が出たのは10数年前のことですが、この話はかなり刺激を受けました。競争相手の少ないインドなどに着目しているのはその理由です。

32)HOKAのブルー



シンガポールから日本に帰ってきて、HOKAの新しいシューズを買いました。シンガポールでもHOKAのシューズを履いていたのですが、日本で買ったのはブルーの物でした。“Time To Fly"というそのスローガンに惹かれました。

33)青森の「青天の霹靂」



たまたま友人が連れていってくれた銀座のクラブが、青森を支援していました。その繋がりで、「青天の霹靂」という青森のお米を初めて食べました。美味しかったです。

34)田原市の青い菊の花



私は愛知県田原市の出身なのですが、東京や横浜で田原市の産物を販売するイベントがありました。そこでもらった青い菊の花は自宅で、一ヶ月ほど元気に咲いていました。田原市は農産物の出荷額では日本トップクラスですが、花卉の生産も日本一です。

ということで今年一年の青にまつわるあれこれを集めてみました。思った以上に数が多くあり、自分でもびっくりしましたが、これを見ても今年が「青の時代」であったことをご納得していただけるかと思います。コロナ禍がひと段落し(中国はまだ大変な状況ですが)、海外渡航への青信号が灯った2022年、未来は青空と大海原の鮮やかな青さに輝いている感じです。そんな時代に自分はいつまでも青年の心で未来に向かっていきたいと思っています。

それでは来年が皆様にとりましてもよい年となりますよう、お祈りいたします。
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2022年2月22日がいかに特別な日であったのか

2022-02-26 16:15:19 | Life
2022年の2月22日は数字の2が並び、特別の日でした。すでに過ぎ去ってしまったのですが、この日がいかに特別の日だったのかを記録として残しておきたいと思います。

日本では、「スーパー猫の日」というのが話題になっている程度でしたが、世界はこの日を特別の日として盛り上がっていました。日本のマスコミでは、中国でこの日に結婚をしたカップルが多かったと報道しているところはありましたが、あくまでも中国ローカルのトレンドとしての報道だったように思います。

しかし、ネットを検索すると、この日のことを特別の日として世界中で騒いでいたことがうかがわれます。何がそれほど特別だったのかまとめておきたいと思います。

1)数字の2が6個も並んだ日
日付の2が6個並んだ特別の日でした。2222年の2月22日は2が7個並びますが、それは200年も先のことです。ゾロ目ということでは、2011年11月11日というのもありました。西暦から日付まで(0が一個ありますが)2ばかりというのがすごいです。日本では、2022.2.22(2022年2月22日)というように表記することが多いですが、アメリカ式では2.22.2022、イギリス式では22.02.2022という風に表記します。いずれにしても2がこれだけ並ぶのは圧巻ですね。

2)右から読んでも左から読んでも同じ日付
いわゆる回文を英語ではPalindrome(パリンドローム)と言いますが、イギリス式で表記した場合、22.02.2022とどちらから読んでも同じ日付になります。これでネットで騒いでいる欧米人も多く見受けられました。日本式では、西暦を22と書いた場合は、22.2.22となり、回文が成立します。回文だけを目指すならば、12.02.2021や、01.02.2010などわりと頻繁に発生します。

3)逆さにしても同じ数字
逆さにしても読める文字をアンビグラム(ambigram)というのですが、電卓の文字でこの日付を表記するとイギリス式で表記した場合、まったく同じになります。


4)2022年2月22日が火曜日という偶然
この日は火曜日でした。火曜日は1週間の2番目の曜日です。数える時は日月火と数えることも多いですが、キリスト教では日曜日は休息日で、仕事は月曜日から始まり、火曜日は二日目です。さらに、中国語でも「星期二」(シンチーアール)と表記します。週の2番目の日という意味ですね。この偶然もすごいですね。さらに、火曜日TuesdayのTueはTwoの音にも似ているので、欧米では“Twosday”としてネットを賑わせておりました。


5)旧正月の22日目であるという偶然
今年の旧正月は2月1日だったので、2022年2月22日は旧正月から数えて22日目でした。旧正月の1日は毎年変わるのですが、2月22日が旧正月の22日目だったというのはすごい偶然です。

6)2は中国語で愛の溢れた日
日本でも、語呂合わせ数字というのはありますが(例えば4649でよろしく等)、中国語でも数字の語呂合わせというのがあります。「私はあなたを愛してる」という意味で、520という文字が使われるそうです。520の発音はwǔ èr líng、我爱你のwǒ ài nǐと似ているのですね。さらに2013 (èr líng yī sān)= 爱你一生(ài nǐ yī shēng)、つまり「一生愛してる」ということだそうです。20999 (èr líng jiǔ jiǔ jiǔ)=爱你久久久(ài nǐ jiǔ jiǔ jiǔ)=「永遠にあなたを愛してる」という用例もあります。発音は完全に一致しているわけではないのですが、2の数字が「愛」という文字として一般的に使われているのですね。ということは、2が6つ並んでいるのは、愛がいっぱいという意味で、この特別な日に結婚したカップルが中国や中華圏で非常に多かったというのは納得できます。ちなみにこの日に結婚したカップルは北京では4700組、シンガポールでも約500組あったそうです。また、中国系でない人も、アメリカでも結婚したカップルはかなりの数に上ったそうです。

7) 自分にとっての特別の2
自分にとって2という数字はあまり縁がなかったのですが、シンガポールで会社を登記した日付が2020年の1月22日でした。また9桁の登記ナンバーにも2が3個入っていました。シンガポールの携帯電話の一番最後が2で日本の携帯電話番号の最後の二桁が22でした。またシンガポール登記した会社の名前がWings2Flyという名前で、社名の中に2が入っていました。翼は2つで一つのセットになっているので、2にはそんな思いも込めました。2年前から、数字の2が自分にとっての重要なナンバーになった感じです。そして今年、2022年2月22日という日が訪れました。

「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし」と言いますが、私の場合、「いくつもの2を負うて遠き道を行くがごとし」という感じになりますね(笑)。


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「栄冠は君に輝く」に向けてのエール

2020-10-31 11:12:15 | Life

NHKの朝の連続テレビ小説『エール』の第100回を神回と呼ぶ人も多い。山崎育三郎さんが演じる佐藤久志が、戦時歌謡の歌い手としての負い目から立ち直り、甲子園のマウンドで、『栄冠は君に輝く』をアカペラで歌う。山崎さんが、こんなにも説得力のある歌を歌える人なんだとあらためて感心したと同時に、ドラマとしての構成が素晴らしいと思ったのでした。



山崎育三郎さんも小学校時代は野球少年だったそうです。今年は、コロナのせいで、甲子園での高校野球が中止になってしまったということもあり、この歌には様々な思いが込められてました。ドラマの中でも、様々な登場人物が未来に向かって立ち上がるためのエールとなっていたのです。

主人公の小山裕一は言います。「作詞した多田さんは16歳の時、試合中のケガで足を切断して甲子園の夢を失ったそうだ。もう二度と野球ができないという葛藤の日々を乗り越えて、多田さんはあの詞を書いた。自分にできることは、未来ある若者を応援することだって。絶望を経験した彼だからこそ、あの詞を生み出せたんだと思う」と。



多田良介さんを演じたのは、寺内崇幸さん。じつは、元巨人軍の内野手。2006年ドラフトで巨人軍に入り、何年か一軍で活躍するのですが、脚の故障もあり、2018年戦力外通告。現在は、栃木ゴールデンブレーズスの監督をされている方。実際に悔しい思いをした方だからこそ、ほんの数秒のシーンであっても圧倒的な存在感を出しているます。言われないとわからないですが、見事なキャスティングですね。こちらがその寺内崇幸さんが登場するシーン。



そして、裕一の久志への説得は続きます。「僕たちも多田さんの思いを形にして、未来ある若者に一緒にエールを送ろうよ。勝った人にも負けた人にも、頑張ったね、頑張ろうねって、一生懸命な姿を見せてくれて、ありがとうって。久志、君なら歌える。おまえじゃなきゃ、ダメなんだよ」 感動的なセリフです。このドラマが「エール 」というタイトルになっているという意味がここに表現されています。

そして、曲の盛り上がりに挿入される登場人物それぞれのカットが見事です。











それぞれが、戦争で精神的に傷つき、どん底を経験し、新しい時代に向かって立ち上がっていく。そしてそれを応援する人々。まさに「エール」が凝縮しています。

「栄冠は君に輝く」の山崎育三郎さんのアカペラも素晴らしかったのですが、オリジナルの伊藤久男さんの音源がYouTubeにあったのでシェアさせていただきます。



あと、100回記念大会のダンス編、こちらも何度見ても感動します。



私は、高校一年の時に母校(愛知県立成章高校)が春の選抜に出て、応援団として甲子園に行きました。そんなこともあり、また、音さんが地元の豊橋出身という設定もあり、今回の「エール 」は格別です。来年は、コロナも収まり、甲子園で、未来ある若者にみんなでエールを送れるようになれると信じています。
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朝ドラ『エール 』に感じる音楽の力

2020-10-24 12:46:50 | Life

大きな試練から立ち上がろうとする人々を応援する音楽の力—それを感じたのが今週のNHK朝の連続ドラマの『エール』でした。打ちひしがれた人々の心に、生きるための希望を与える。音楽がそれを可能にすることができる。そんなことが見事に表現されていたと思います。

人々を戦争に駆り立てる手助けをしてしまったという罪の意識から、作曲できなくなっていた古関裕而さんが、苦しみを乗り越えて、戦後間も無く作った『鐘のなる丘』そして、『長崎の鐘』。一週間の間にこの二つの名作が完成するのですが、このドラマは、ストーリーだけでなく、そのストーリーに音楽が絡み合っているところが、これまでと異なります。

主人公の古山裕一を支える妻の音が豊橋出身で、私の出身地の近くなので、故郷を応援するという目的もあり、今回の朝ドラを欠かさず見ているのですが、このドラマの中で登場する音楽、そして実際に音楽に関わっている出演者の皆さんが、このドラマを特別のものにしています。

森山直太朗さん、野田洋次郎さん、山崎育三郎さんなど歌を本業とする方が見事な演技を見せているし、薬師丸ひろ子さん、菊池桃子さん、松井怜奈さんなども歌手としても有名だった皆さんです。スター御手洗役の古川雄大さんも、夏目千鶴子役の小南満佑子さんも、『長崎の鐘』を歌った山藤太郎役の柿澤勇人さんも、藤丸役の井上希美さんも、藤堂昌子役の堀内敬子さんも、もともとはミュージカルの出身。柿澤さん、井上さん、堀内さんも劇団四季でミュージカルに出ていたんですね。柴崎コウさんは歌手としても有名です。あと、岩城役の吉原光夫さんも劇団四季出身のミュージカル俳優で、帝劇の『レミゼラブル』でジャンバルジャンを演じられていた方だったんですね。

「ラジオドラマ『鐘の鳴る丘』は、昭和22年(1947年)7月5日から始まり、1950年(昭25)12月まで続いたそうです。今に続く連続テレビ小説の基となったドラマでした。私が生まれたのは、1955年だったのですが、主題歌「とんがり帽子」の歌は、母がよく歌っていたのを覚えています。YouTubeにあった『とんがり帽子」の曲の動画をシェアさせていただきます。



『長崎の鐘』は、もともとは藤山一郎さんが歌って大ヒットした曲ですが、ドラマでは山藤太郎として、柿澤勇人さんが歌っていました。柿澤隼人さんは、彩の国の『アテネのタイモン』で演じた将軍アルシバイアディーズの赤いマントの颯爽とした姿を鮮明に覚えています。そんな彼が歌う『長崎の鐘』、感動的でした。
YouTubeに映画『長崎の鐘』の動画があったのでシェアさせていただきます。



あと、忘れられないのは、薬師丸ひろ子さん演じる充子が焼け跡で歌う『うるわしの白百合』という賛美歌。この演出は、薬師丸ひろ子さんの提案だったそうですが、とても感動的でした。



このドラマには、『船頭可愛や』とか、『紺碧の空』、『六甲おろし』とか、『暁に祈る』、『若鷲の歌』など、古関裕而さんが作曲された名曲も散りばめられていますが、子供の音が歌う童謡「朧月夜」、教会の賛美歌、双浦環が教会で歌うプッチーニ、椿姫など、数々の音楽が登場しています。ミュージカルではないのですが、これはひょっとして音楽劇と呼んでもよいのかもしれないなどと思ったりします。

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