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まわる世界はボーダーレス

世界各地でのビジネス経験をベースに、グローバルな視点で世界を眺め、ビジネスからアートまで幅広い分野をカバー。

「人権デューデリジェンス」、それって何?

2021-06-27 17:22:32 | ビジネス
シンガポールに「オンランサロン川端会議」という勉強会があり、2020年の10月のスタート時から参加させていただいています。ASEANやアジアの様々な情報を、月に2度ほど、議長の川端隆史さん(元外交官、NewsPicsを経て、現在米国リスクコンサルティングファームのクロールのシンガポール支社のシニアバイスプレジデント)が、いろいろな切り口で、独自の視点で報告してくれる会です。

参加メンバーはシンガポールにいる人だけでなく、日本や、中国や、タイで仕事している方も何人かいます。たとえアジアの中にいても、刻々と変化するアジアの動きは捉えにくいので、こういうところでアジア情報を、マクロxミクロの視点でキャッチアップしていく必要があると感じて、この会に参加させていただいています。興味のある方はこちらをご覧ください。

https://www.oneandco.sg/ja/community/kawabatakaigi/

2021年6月22日(火曜日)の夕方から開催された第18回川端会議の議題は「人権デューデリジェンス」でした。テーマはわりと直前に発表されるケースが多いのですが、今回のこのテーマは、正直、自分にとって関連があるのかどうかよくわかりませんでした。「人権」という言葉と、「デューデリジェンス」という言葉はそれぞれ聞いたことがあったのですが、両社が合体した「人権デューデリジェンス」という言葉を聞いたのはそれが最初でした。

この会議からの学びをベースに、個人的な感想などを付け加えて、まとめたものがこちらの文章です。「人権デューデリジェンス」に関して、これからの企業活動の中で重要な概念になると思ったので、少しでも多くの人に知ってもらっておいたほうがよいのではないかと感じました。私の文章で正確に伝わるのかどうかわかりませんが、とりあえず書いてみたいと思います。またこの中で、川端会議で実際に報告された内容以外の情報も含まれていることをあらかじめお知らせしておきます。

「人権」という言葉について

「人権」に関しては、新疆ウィグル自治区の問題やミャンマーの問題は連日報道されていたので、「人権」が各地で大変なことになっているなというのは感じておりました。

また、私は、香港に2007年から2011年まで住んでいて、その後も数年間は毎年何回か香港に行っていましたので、香港の自由が失われていく過程に、心を痛めておりました。香港では、天安門事件追悼集会が毎年開催されていたし、2014年には雨傘運動などもあり、2019年の民主化デモとその弾圧、2020年には香港国家安全維持法が施行され、そしてつい最近は香港の自由の旗振り役であったApple Daily(リンゴ日報)が歴史に幕を閉じるという悲しい出来事がありました。

香港が1997年に中国に返還された後も、報道の自由を追求していたApple Dailyは個人的にとても好きでした。若者に人気があり、日本企業の広告をこの新聞に掲載したことも何度かありました。巨大な権力に報道の自由が踏み潰されていく瞬間を目撃するのはとても辛い思いがします。

私は、ミュージカルとか演劇が好きで、特にミュージカルの「レミゼラブル」が好きということもあり、心情的には民衆側を応援したくなる傾向があります。民主化運動の中で歌われた、「香港に栄光あれ(願榮光歸香港)」の曲を聞くと、いつも涙が溢れてきました。



「人権」は、ウィグルや、ミャンマーや、香港だけでなく、世界各地で問題化しています。これは現代に限らず、古来から、征服された民族は、差別を受け、排除されるか、奴隷化するのが通例でした。現代でも、人種差別、性差別、児童労働、人身売買、強制労働など様々な形で人権は脅かされています。

こちらにご紹介するのは人権擁護組織、アムネスティの動画です。世界各地の人権に関わる問題が短い映像の中に凝縮しています。



最後の“What we are is up to us”(私たちのあり方は私たち次第です)というメッセージ、印象的です。

「デューデリジェンス」という言葉

「デューデリジェンス」という言葉に関しては、これまた個人的な思い出があります。数年前、私がいた東京の会社が、すでに上場していた会社から出資を受けるということがありました。わかりやすく言えば買収です。その時に身をもって経験したのが「デューデリジェンス」でした。

買収前には、相手側の財務内容だけでなく、あらゆることを徹底的に調べるというプロセスがあります。それを専門用語で「デューデリジェンス」と言います。経理財務などのことだけでしたらいいのですが、買い手側は、我々の仕事のプロセスや、考え方、コスト管理の考え方など、それまで私たちがあまり考えていなかった部分に遠慮なく踏み込んできます。私は当時会社の役員をやっていたので、デューデリジェンスという荒波をもろに被ることになりました。人権的な観点はなかったのですが、経営、財務、人事的な様々な方面からするどい質問を受けることになったのです。

それから何年か後に、今度は自分が買い手として、インドのローカル会社を買収するということも経験しました。インド人はただでさえ妥協をしない感じなのですが、M&Aのような法的交渉事になるとなおさらそうです。今度は自分たちが相手方に対してデューデリジェンスを行うということになりました。インドのローカル会社は、調べてみるといろいろとわけのわからないことが出てきます。ですが、向こうも交渉のプロなので、簡単には実態を開示しません。最終的にはお互いに妥協点を見つけて合意に至るわけなのですが、デューデリジェンスとは、やるほうも、やられるほうも大変だと身をもって感じたわけです。

今回の「人権デューデリジェンス」の話を川端さんに伺っている中で、これはM&Aの時に理解していた「デューデリジェンス」とはちょっと違うのではないかと気付いたわけです。

「デューデリジェンス」は英語の「Due Diligence」のことで、重要なM&A用語の一つです。もともとは、投資用の不動産取引、または企業合併や買収などで把握しておくべき情報、つまり「企業の資産価値」「企業が受けるリスク」「予想される収益性」などを、状況に合わせて適性に査定・評価する一連の義務活動となるのだそうです。企業M&Aや投資取引ではリスクが伴いますが、収益の見込みや正当な価値を含め、企業を総合的に評価することはとても重要なことです。そのための会社の身体検査のようなものなのですね。

これまで過去の経験から、デューデリジェンスというのは、M&Aの時に単発的に行うプロセスだと理解していたのですが、今回の「人権デューデリジェンス」の話を聞いて、それは、M&Aとは関係なく、企業評価を行うことで、「監査」とか、「企業の信用調査」に近い概念なのではないかと理解するに至ったのです。

「人権デューデリジェンス」はこれから日本で話題になる言葉

さて、「人権デューデリジェンス」なのですが、これは、企業の検査を、財務状況とかではなく、人権という観点で行うということなんですね。人権というと国家レベルの話かと思ってしまうのですが、実は、これは、欧米では、法制化されてい国も多く、企業活動としても非常に重要な要素になってきているということでした。

日本ではまだあまり話題に出てきていないのですが、議長の川端さんは「一般化2年説」ということを言われていました。あるテーマが巷でささやかれ初めて、2年経ってやっと一般化するということです。

「人権デューデリジェンス」というのは欧米ではすでに一般化してきている概念なのですが、日本はかなり遅れを取っている。日本は今年やっと「人権デューデリジェンス元年」と言えるかどうかということで、すでにいろいろと動きがあるけれど、これが一般化して、テレビとか週刊誌とかで取り上げられるようになるにはあと一、二年かかるのではないかということでした。

というようなことを聞きましたので、私としては、なおさら、これが一般化する前にこのテーマに関して触れておきたいと思ったわけです。

2021年1月、アメリカの税関当局が、中国の新疆ウイグル自治区での強制労働をめぐる輸入停止措置に違反した疑いがあるとして、日本のユニクロのシャツの輸入を差し止めていたという事件がありました。これも「人権デューデリジェンス」の世界的なムーブメントの中で生じた事象でした。

ミャンマーもクーデター後、国軍傘下の企業との取引を行ってきた外資系企業は、国軍の資金源となってしまうことを避けるため、撤退ないし業務縮小を余儀なくされています。

「人権デューデリジェンス」は実は2011年に国連人権委員会で承認されていて、各国政府や各企業での実質的なガイドラインとなっていたようなのですね。欧米では法制化がすでに進んでいて、英国では「現代奴隷法」という法律が2015年に制定されたそうです。他の国も同等の法制化が進んでいるそうです。「奴隷」というのはすでに死語となっていると思っていたのに、実態としては、人身取引や、強制労働はいまだに存在しているとのことです。

日本政府が対応を考え出したのはつい最近のことのようですが、まだ日本では法制化の動きにまでは至っていません。欧米に比べると日本の対応は周回遅れとのことです。

「ESG」の重要な一部としての「人権デューデリジェンス」

最近、「ESG投資」ということがよく言われるようになりました。E=Environment(環境)、S=Society(社会)、G=Governance(ガバナンス)なのですが、これまで企業は利益の追求を究極の善として考えていたのが、利益ではなくて、ESGが大切、つまりESGにしっかり対応していない企業は投資する価値がないというようなことになってきたわけです。

投資は英語で“investment”なのですが、その反対語が“divestment”というのも初めて知りました。投資家は、企業のESGの対応如何で投資を引き下げることもあるということなんですね。

このトレンドについては何となく理解していたわけなのですが、ESGと聞くと、環境への貢献、ダイバーシティ、インクルージョンのような部分だけを想像していました。しかし、「人権デューデリジェンス」という話を聞き、これもESGの重要な一部だったのだと気付いたわけです。

ESGや、SDGsの概念は、企業やその商品やサービスを超えて、広く地球環境、地域社会、関連するあらゆる国とその人々を包括していて、「誰も置き去りにしない」という「誰も」というのは、直接繋がっている人(従業員、家族、地域住民、ユーザー、顧客、取引先)だけでなく、間接的に繋がっている人(あらゆる末端のサプライヤー、生産地、我々の子孫たち)をも含む広い概念だったんだと気付いたわけです。そんなダイナミックな広がりの中にこの「人権デューデリジェンス」というテーマが浮上してきているというふうに理解しました。

「紛争鉱物」の話

人権デューデリジェンスの背景として、紛争鉱物の話も出てきました。紛争鉱物とは重大な人権侵害を引き起こす内戦や紛争や戦争によって武装勢力や反政府組織の資金源となっている鉱物のことです。このへんあまり知らなかったのですが、コンゴやその周辺のアフリカ諸国での鉱物資源はこの問題があり、欧米では紛争鉱物を製品に使わないようするというのが一般化しており、あるいはもし使っていることが判明した場合はその製品の不買運動に発展することもあったそうです。

『ブラッド・ダイヤモンド』(Blood Diamond)という映画のことも川端さんが話されていました。これは、2006年製作のアメリカ映画で、シエラレオネの内戦(1991年 - 2002年)での、「ブラッド・ダイヤモンド(紛争の資金調達のため不法に取引される、いわゆる紛争ダイヤモンド)」を巡るサスペンスです。レオナルド・ディカプリオが主演していて、2006年のアカデミー賞の数部門でノミネートされた作品です。トレーラーをこちらに紹介しておきます。



これは、シエラレオネ内戦時のダイヤモンドの取引に関連した話なのですが、実際に映画を見てみました。一つのダイヤモンドをめぐって血みどろの殺戮が展開されるのですが、武装勢力、強制労働、子供兵士などの人権テーマが臨場感溢れるタッチで描かれています。

この映画は鉱物と言ってもダイヤモンドだったのですが、本来の紛争鉱物とは、コンゴおよびその周辺国で採れるスズ(Tin)、タンタル(Tantalum)、タングステン(Tungsten)、金(Gold)の4つの鉱物がメインで、武装勢力の資金源となっていることが多いそうです。これら鉱物は、携帯電話や、パソコンや様々な工業製品に使われているので、アメリカでは鉱物供給元開示が数年前から義務付けられているのだそうです。

原料はできるだけ安く仕入れるべしという概念の崩壊

製造業のビジネスの基本として、原材料はできるだけ安く仕入れるというのがありました。許容できる品質の範囲で、より安く調達できる原材料や部品を探して、さらに買い叩くというのが購買部や調達部の腕の見せ所でした。結果的に、商品を競合メーカーよりも安くして、価格競争に勝つというのがかつてのマーケティングの基本でした。

ところが、紛争鉱物や、人権デューデリジェンスが一般化してくると、価格を無理に下げることよりも、これらルールをきちっと守ることのほうが重要になってきます。たとえそれを守ることで、価格的に高くなってしまったとしても、そのほうが社会的には評価されるということになります。単に安ければよい、安いほうがよい、というのは過去の概念になっていくのかと感じています。

しかし、もし世界の大半が人権デューデリジェンスをきちっと守った商品開発、製造を行なっていったとしても、人権デューデリジェンスを全く無視している国があって、その国で製造される製品が圧倒的な価格競争力を持って世界市場に送りだされる場合、市場原理がどのようになってしまうのか心配ではあります。市民が人権デューデリジェンスを理解した上で、不買運動とかで対抗できるのか、それとも安いほうがいいという大衆の力に負けてしまうのかよくわかりません。貧富の差はなかなか無くならないでしょうし、安いほうが歓迎される消費は残ります。その時、金儲けを追求する権デューデリジェンス国ないし、企業はどのような仕打ちを受けることになるのでしょうか?

人権デューデリジェンスが一般化した場合、それに適合しない会社はブランド力や信頼性を失っていくことは考えられます。日本の特にB2C系のメーカーの場合、人権デューデリジェンスの視点を十分理解し、サプライチェーンに関わる調達先の調査、見直しを行い、自信をもって開示できるような体制を目指していかなければいけなくなります。そうしておかないと、世界市場で、日本の携帯電話や家電が負けていったのと同じように、人権デューデリジェンスに対応していなかったからという理由で負け落ちていくメーカーも出てくるでしょう。

今後は、原材料を安く仕入れて利益を追求するというビジネスモデルが崩れ、人権デューデリジェンスを守りながら、価格は適正な価格にしていくということになっていくのでしょう。それを消費者や、顧客に受け入れてもらうためには、情報の開示ということが重要な要素になっていくのだと思います。

率先して人権デューデリジェンスに関しての情報発信をしていくということ

企業は、いろいろなところから叩かれるリスクを持っています。特に、人権デューデリジェンスに関わることだと、サプライチェーン上の調達先のさらにその先の調達先、そして物によっては、さらにその先まで調査し、状況を把握しておく必要が生じます。まったく関係なさそうな国の問題が実は関わっていたというような事態もありえます。

調達先の実態を徹底的に調べていくということが企業に課せられた義務となっていきます。企業は人権デューデリジェンスに関して、マニュアルを整備していく必要があるでしょうし、調達先や取引先に対してもそれを敷衍していくことになるのでしょう。

人権デューデリジェンスだけでなく、ESG全般への対応およびその考え方などは、対投資家や、顧客だけでなく、取引先や、従業員、地域社会に対しても率先して発信していくことが重要な時代になってきています。

ひとつの方法としては、信頼性の高い新聞媒体(およびそのオンラインメディア)を使って、従来型の広告ではなく、記事広告という形で、企業の考え方を開示しておくという方法も考えられます。企業規模によって方法は様々ですが、例えば、Financial Timesのアジアパシフィック版や、シンガポールだとBusiness Times、テレビ系のメディアだとChannel NewsAsiaなどのメディアを使って情報発信をしていくことも考えられます。このへんのアレンジは私のほうで可能ですので、ご興味がございましたら、お問い合わせください。一応こちらがフェイスブックページになります。

https://www.facebook.com/wings2fly.co

国際市場で企業活動をしていく企業は、このように対外的に情報発信していかないと、製品やサービスは評価されていても、企業の信頼性は評価されないという事態になっていく危険があります。そんなリスクを、この「人権デューデリジェンス」というテーマで感じました。ということで、このテーマが一般化していく流れの中で、もっとこれを掘り下げて、勉強していかなければならないと思いました。まとまりのない長文で失礼いたしました。最後までお読みいただき感謝です。何かのヒントになりましたら幸いです。
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アフターコロナを見据えてインドのビジネスエリート層にリーチする方法

2021-06-21 16:42:12 | インド
日本からははるか遠い国インド。コロナの蔓延で、海外渡航が自由にできない状況の中で、インドはますます距離が遠のいている感じです。1日の感染者数も死者数も世界最多を記録した期間もあり、また5月には医療用酸素が欠乏するということもあり、さらに最近ではコロナの「インド株」が世界の脅威となって感染を拡大しています。インドとは距離をおきたくなる気持ちはわかります。

私は、現在シンガポールにいますが、一昨年末まで在籍していた日系広告代理店のインド法人の責任者をやっていて、インドには二ヶ月に一度くらいは出張で出かけておりました。コロナ蔓延後、現地にいた駐在員は昨年日本に帰任し、現在は日本人を現地に置かずにオペレーションをしているようです。

インドは昨年後半は、感染が一旦減少し、規制緩和をしておりましたが、2020年4月頃感染が急拡大しました。5月頭にピークアウトし、感染者は現在のところ減少傾向にあります。



(出典:worldmeters.info, June 20, 2021)

ワクチン接種は、一回目接種者の数では、現時点では中国に次いで世界の第二位となっていますが、人口が多いので、人口あたりの接種比率では、日本よりも少ないという現状です。インドは、数々のワクチンの緊急使用が次々に認められるようになってきていて、インド政府は今年8月から12月にかけて国内で20億回分を超えるワクチンを製造すると約束しており、年内には全ての成人にワクチンを接種することを目標に掲げています。今後ワクチン接種は一段と加速するものと見込まれています。





(出典:Our World in Data, June 18, 2021)

こんな状況なのですが、JETROインドの情報(2021年6月14日)によれば、デリー準州政府は、6月7日から緩和した活動制限を6月14日にさらに緩和。モール、市場、独立店舗、飲食店など全ての店舗に一部条件付きで営業が許可されたとのことです。また隣接するハリアナ州では、さら に制限が緩和されているそうです。このまま感染第三波を回避できれば、7-9月期は活動制限措置の緩和が進んで景気回復に向かうとみられています。
インドは、今後急速にビジネスが回復基調になっていくものと思われますが、インドで特にビジネス層向けに訴求が必要な方は、先手を打って、対応をしておくのがよろしいかと思います。

ここでは、インドのビジネス層向けに広告、ブランディングを行うにはどのような方法があるのか、ご案内したいと思います。

インドのビジネスメディア

一般の新聞や、ニュース雑誌、テレビなどを使ってもビジネスマン向けの訴求はできますが、それら一般媒体はターゲットのビジネスマン以外の層も多く含まれ、リーチは大きいのですが、媒体の価格は高くなります。従って、コスト・パフォーマンスは悪くなります。ビジネス層に絞って情報発信をしたいのであれば、ビジネスメディアを起用するのが効率がよいです。

ビジネスメディアとしては、新聞と雑誌があります。どちらもプリントとオンラインの両方に対応しています。主要な媒体は、長年の蓄積があり、優良な読者層を抱えていますので、媒体の信用を利用して広告を発信するということが可能になります。

トップ画像に入っているのが主なビジネス媒体なのですが、新聞の場合は、一つ選ぶとすれば、Economic Timesになります。日本の日経新聞や、欧米のFinancial TimesやWall Street Timesのような位置付けの新聞です。インドの英字紙としては最大部数を誇るTimes of Indiaと同じTimes Groupの英字経済日刊紙です。

1961年3月に創刊されたこの新聞は、インド国内14箇所で同時印刷されていて、80万人の読者を持つと言われています。インドのいわゆるC-Suiteと呼ばれる経営者層、企業のシニアマネジメント層、オピニオンリーダー層にリーチするには最適な媒体です。

二番手としては、Hindustan Timesの系列のMintがあります。2007年2月1日に発行されたこの日刊英字紙は、31万4000部の発行部数を誇ります。新聞の場合は、広告を出しても一日だけなので、特別な日に一回だけ出稿するというのでない限り、複数回の出稿が望ましいです。

雑誌では、ダントツはBusiness Todayという隔週刊の英字ビジネス誌です。インドの雑誌として最大部数を誇るニュース誌のIndia Todayと同じIndia Todayグループに属している雑誌です。インドのビジネス誌は、この雑誌もそうですが、隔週刊(fortnightly)、つまり2週間に一回の発行が大半です。昨年、大規模なロックダウンで、ビジネス誌の印刷を止めたところが多いですが、この雑誌だけは定期的に印刷を続けていた唯一のビジネス誌と言われています。

雑誌としては、他に、Business India, Outlook Business, Businessworld, Forbes Indiaなどがあります。それぞれインドでは有名な雑誌です。

ここにご紹介したものはすべて英語の媒体なのですが、インドのビジネスマンに訴求するのに英語でよいのかという疑問が生じるかと思います。インドはヒンディー語が一番の言語です。しかしビジネス向けとなると英語になります。それは何故か?インドは実は、ヒンディー語以外にも、タミール語とか、ベンガル語とか、テルグ語とか様々な言語が混在しています。ヒンディー語を母語とする人は多いのですが、理解できない人も多数いるのです。英語はインド国内での共通語としてとくにビジネスの世界ではデフォルトで使われる言語となっています。

インド全国民の中で英語が話せる人口は、1億人と言われています。全人口の一割に満たないのですが、ビジネスエリートはほぼすべていこの一割に含まれているというわけですね。

印刷物か、デジタルか?

上でご紹介したメディアは印刷物とオンラインと両方とも対応しています。デジタル化の進展で実際に紙で読むというのは少なくなっていて、かなりデジタル化にシフトしているというのは、インドに限らず世界的なトレンドです。

しかしながら、インドでは、プリント広告費の落ち込みは他の国に比べてそれほどひどくはありません。まだまだ新聞や雑誌は紙で読みたいという人が多いのかと思います。世界では、新聞は印刷部数を減らし、雑誌も、業績が悪くて廃刊になっていくものが多い現状です。広告費としては、印刷媒体は落ち込み、デジタルメディアは着々伸びています。インドの場合、印刷媒体は落ち込みがほとんどなく(統計による)、デジタル媒体は年々伸びています。

オンラインでは、インドは大半がスマホになります。各メディアはサイト内でバナー広告対応ができますし、記事広告を掲載してもらうということも可能です。オンラインのキャンペーンとしては期間は1ヶ月から可能ですが、期間が長いほど効果は高くなります。

記事広告は基本的には、出版社側でライティングをしてもらえるのですが、ドラフトに準じて書いてもらうということが可能です。会社の紹介でも、商品の紹介でも大丈夫です。Business Todayは文字数は600ワード程度、写真点数は3点というふうになっています。条件によりますが、一ヶ月間での記事のビューは、70万ビューくらいとなります。また、記事は無料で音読してくれて、音声での視聴も可能になっています(Business Todayの場合)。

エネルギーや環境関係の業種ですと、Economic Timesが、ET Energyworld.comというエネルギー業界に特化したニュースサイトもありますので、そういう業界の方はこのサイトで広告をすればインドの業界でのプレゼンスをさらに高めることが可能です。

ビジネスターゲットに限定したバナー広告配信

以上は、ビジネス媒体を使ったキャンペーンですが、グーグルアドネットワークや、様々なネットワークに対応したアドエクスチェンジを使ったDSPバナー広告キャンペーンも可能です。ターゲットオーディエンスは、インド国内の経営者層やシニアマネジメント以上とかセグメントできるので、効率的な訴求が可能になります。期間は一ヶ月くらいからがミニマムですが、期間は長いほど効果を高めていくことが可能になります。インプレッションの数をどれくらいにするかで費用は決まりますが、フレキシブルな管理が可能です。基本はインプレッション数ですが、クリック数を保証するキャンペーンも可能です。

最近行なった事例では、オーディエンスセグメントに加えて、ビジネスサイトやニュースサイトの閲覧を条件に入れました。つまり、ターゲットオーディエンスが、ビジネスサイトやニュースサイトを閲覧している間に、そのサイト上にバナーが表示されるというものです。

キャンペーン期間内に、どのサイトを見ている人が反応がよいかなど傾向がわかってくれば、効果的なサイトに絞っていくなどキャンペーンをさらに効率化していくことが可能になります。バナー広告からのランディングページは、日本のウェブサイトでも、どこのサイトでも大丈夫です。サイト側でグーグルアナリティクスでモニターしていけば、インド経由で流入してきた人の数も把握できるので、どれくらいの人がクリックしたのかもわかります。

シンガポールからワンストップでコントロール

インドの広告媒体を取り扱っていて、デジタル広告も管理できるインド系の会社をパートナーとして持っているので、プリント広告でもデジタル広告でもワンストップで可能です。そこの会社のインド拠点はアドテクノロジーに優れたIT会社なので、安心してお仕事をまかせていただくことができます。

日本からこのようなことをコントロールすることは大変ですが、シンガポールを経由することで、ワンストップでこのようなサービスができてしまいます。

インドは日本からは遠く、なかなか広告の手段も探せません。コロナが収束しない状況ではインドに実際に行くことも難しいし、実際に行けたところで、インドは巨大すぎて、右往左往するばかりで、手がかりがありません。インドとはビジネスの関係が強いシンガポールからだと、インドにいるよりも効率的に広告のコントロールができてしまいます。

もし何かございましたら以下のサイトかフェイスブック経由でお問い合わせいただけたらと思います。
よろしくお願いします。
www.wings2fly.co
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シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の悲劇的結末のきっかけとなった16世紀の感染症

2021-06-13 19:34:35 | シェイクスピア

私たちは今、パンデミックの最中にあります。感染者は減ったかと思えば増え、人々は感染と死の恐怖に怯え、生活や仕事は大きく制約を受けています。しかし、これは今の時代に限ったことではないというのを知った時、人類の存在の脆弱さを痛感せずにはいられません。医学や科学技術が進化しているはずなのに、人類は感染症に苛まれ続けてきました。そしてそれは今も昔と変わっていないのです。

人類史上、大規模な感染症は何度も生じています。英国も16世紀後半から、17世紀初頭まで、ペストが何度も流行します。その頃は、シェイクスピア(1564―1616)の生きていた時代に重なり、感染拡大防止のため、劇場が何度も閉鎖されます。有名なグローブ座ができたのは、1599年。感染が少なくなっていたつかの間のことでした。そのグローブ座もシェイクスピアが名作を書き続けていた間も、何度か閉鎖を余儀なくされてしまいます。

「ロミオとジュリエット」が最初に上演されたのは1595年頃と推測されています。1592年から93年のペストの大流行が一旦収まった後のことでした。今の時代も、劇場や俳優は、コロナ禍で大変な犠牲を強いられていますが、シェイクスピアの時代も大変な状況であったと推察されます。

私は学生時代に、シェイクスピア劇を原語で上演する「シェイクスピア研究会」というグループに所属していました。「ロミオとジュリエット」を上演したのは1978年の5月のことでした。その時、ロミオを演じたのは、今では著名な俳優になっている吉田鋼太郎君でした。私はロミオの親友のベンボーリオと、ロレンス神父の二役を演じました。

これは、運命に翻弄される若き男女の悲劇なのですが、悲しい結末をもたらすきっかけにペストが関わっていることをつい最近知りました。自分で演じている時には全くピンときていなかったのですが、コロナのパンデッミックや隔離を経験した今、あらためてこの作品を振り返ってみると、実は感染症が関わっていたと知り、単なる遠い昔の話などではなかったんだと気付きました。

ロレンス神父は、ロミオとジュリエットを結婚させてしまった手前、パリスとの結婚を回避するため、ジュリエットに薬を処方し、仮死状態にするという作戦を実行します。その間、マンチュアという町に追放になっているロミオに状況を説明する手紙を書き、彼らが再び会えるような段取りをします。で、その手紙を仲間のジョンという修道士に託します。



こちらの写真は1968年の映画「ロミオとジュリエット」の中で、手紙を託すシーンです。右がロレンス神父、左が修道士のジョンです。



映画の中では、ジュリエットの葬儀を目撃したロミオの召使いのバルサザーが、ジョンを追い越して先にロミオにジュリエットの死を知らせるという流れになっています。このすれ違いがまた切ないのですが、原作はこの部分が異なっています。

原作では、ジュリエットが墓所に送られた後少したって、ジョンがロレンス神父を訪ねてくるシーンがあります(5幕2場)。「ロミオは何て言っていた?ロミオからの手紙とか持ってないの?」とロレンス神父はジョンに尋ねます。するとジョンは「実は、マンチュアに行こうとしていたんだけど、一緒に行こうと思っていたやつが、行く前にちょっと病人を訪ねないといけないと言って、寄っていくんだね。その後、検疫官に質問を受けて、あなた方はペスト患者の濃厚接触にあたるので、在宅隔離が必要です、と言われ、家に閉じ込められて、外出ができなかった」と言うのです。

「じゃあ、誰が手紙をロミオに届けてくれたのかな?」と訪ねるロレンス神父に、ジョンは、「手紙はここにある。これをこちらに送り返そうにも、みんな感染を怖がって誰も協力してくれなかったんだ」と答えます。ロレンス神父は、「なんということだ!」ということで、42時間後に仮死状態から目覚める予定のジュリエットをしばらく自分のところで匿い、別途ロミオには新たな手紙を書くというプランBを計画するのです。ところが、バルサザーの報告を受けてロミオは一足先に行動に移していたということで悲劇の結末になるのです。

私は舞台で、ジョンの報告を受けた際には、正直あまり彼の言い訳がよくわかりませんでした。感染隔離のために家に閉じ込められて出られないなんて理由は、言い訳のための理由としてしか思えませんでした。「なんでこんなやつに頼んでしまったのかな」という後悔は感じていたのですが、今思えば、感染隔離が引き起こした悲劇だったわけです。今から思うと、ジョンの弁明がよく理解できます。今更ですが、理解が足らず申し訳なかった、とジョンの役をやった人に謝っておきたいと思います。

今も昔も感染症って大変ですね。皆さん、十分用心してこのパンデミックを乗り切りましょう。
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BTSの“BUTTER”の歌詞を理解する上で知っておくべき7つのこと

2021-06-13 10:41:52 | 音楽
2021年5月21日にリリースされたBTSの“Butter”が数々の記録を塗り替える大ヒットとなっています。私はBTSのファンというわけではなかったのですが、妻から教えてもらって、この“Butter”を何度も聴いています。なんか懐かしい雰囲気もあり、男性で、しかも年齢的にはこの曲のターゲット層からはかけ離れてしまっているオジサンなのですが、この曲の虜になってしまいました。BTSとしては、虜にしたいのは、本来は若い女性なのでしょうが、こんなオジサンが虜になってしまってなんか申し訳ない気がしています。ファンの皆様にもお詫び申し上げておきます。

この曲を何度も聴くうちに、この歌詞に、背景を知らないと、ちょっとわかりにくいところがあると思いました。いろいろと調べて、自分なりに解明できた部分をメモとして書いておきたいと思います。ファンの皆様の参考になりましたら幸いです。自分勝手な解釈もあるかもしれませんが、そういう箇所がありましたらご容赦ください。

まずはこの曲の動画をご覧ください。



そしてこちらがこの曲がリリースされる前に使われていたティーザー動画。固形のバターが溶けて、ハートの形になり、さらにそれが溶けていくというアニメなのですが、何とオリジナルは1時間もの長さです。



このイラストもフォントも可愛いですよね。私はもともと黄色が好きなんですが、イラストのタッチもすごく好きです。この動画のように、女性のハートがとろけていくというのがテーマなのですが、この動画を見て、私の心もとろけそうです(笑)。

さて、この曲の歌詞でポイントとなるところを7点ほど解説したいと思います。

1.SMOOTH CRIMINAL

“Smooth like butter”という歌い出しです。「うまくいく」とかいう意味もありますが
これを訳すとすれば、文字通り「バターのように滑らかに」としたいですね。その後に続く“Like a criminal undercover”ですが、「姿の見えない犯人のように」という感じかと思います。これらはすべて、少し後の“Breakin’ into your heart”「あなたの心の中に侵入していく」という言葉にかかっていきます。実はこの部分は、マイケル・ジャクソンの名曲“Smooth Criminal”をモチーフとしていると言われています。

“Smooth Criminal”の曲のストーリーは、アニーという少女が、何者かに部屋に忍び込まれ、殴り倒されるという犯罪事件。みんな犯人捜しに大騒ぎしますが、Smooth Criminal(鮮やかな手口の犯罪者)は、跡形もなく消えているというもの。参考までにこちらがそのMVです。



この巧妙な犯人のように、そしてバターのように、あなたの心の中に忍び込むというような意味になります。出だしのダンスアクションがこっそり侵入しているような仕草をベースにしていますね。

2.POP LIKE TROUBLE

3行目で問題になるのが、“trouble”という単語。日本語でも「トラブル」というのは、問題とか、いざこざとか、苦境などを意味するのですが、実は、ここで言う「トラブル」とは、アメリカではおなじみのボードゲームの名前なのです。これを知らないと、ここの歌詞がさっぱりわかりません。

何十年も前から人気のゲームなのですが、4人でプレイして、中央部にサイコロが収納されているドームのようなものがあります。ドーム部分を押すと、サイコロが飛び上がるという仕組みなのですが、これを「ポップ」と言います。日本のすごろく的な部分もあり、サイコロの目の数、左回りに駒を進めていき、一周してゴールを目指すというゲーム。対戦相手が陣地に侵入してくると、やっかいなことが起こります。説明してもよくわからないと思いますので、こちらの動画をどうぞ。



私も実際にやったことがないので、よくわかりませんが、このボードゲームでサイコロを振って、いつの間にか相手陣地に侵入しているかのように、あなたの心の中に入ってくる、というようなイメージです。

あと、このトラブルというゲームボード、メーカーによって違うのですが、4つのホームベースが赤、青、黄色、緑に色分けられています。ミュージックビデオの中で、体育館のようなスペースで登場する7人のジャージの衣装が、赤、青、黄色、緑をベースにしているのは、何かこのボードゲームの色彩のような気がするのは私だけでしょうか?



3. MELT YOUR HEART INTO TWO

ここでひっかかるのが、あまりに魅力的な男子が、女子の心をとろけさせるというのは理解できるのですが、「心がとろけて二つになる」という箇所が疑問でした。とろけたら二つに別れることは物理的にはありません。

実はこの歌詞の前に、“When I look in the mirror”というフレーズがあります。鏡を見ているんですね。ここもマイケル・ジャクソンの“Man in the Mirror”を意識しているのかどうかは不明ですが、鏡を見ているということは、自分と、鏡に映った自分の二人がいるということになります。スーパースターとしての自分と、本来の素の自分という二人と言ってもよいかもしれません。こんな鏡を見ているスーパースターというプライベートな空間を共有できるファンはまずいないと思いますが(この状況を想像してしまうだけでファンは胸キュンなのでしょう)、鏡の中と、その前に立っている男性の両方に溶けたハートが二つに分離していくということですね。どっちも魅力的なので、ファンのハートは困ってしまうのです。こんな表現が許されるのはBTS以外にはいないでしょうね。

4.HIGH LIKE THE MOON, ROCK WITH ME, BABY

“Side step, right, left to my beat”「僕のビートに合わせてサイドステップ、右、左」に続いて、“High like the moon, rock with me, baby”「月のように高く、僕と一緒に踊ろう、ベイビー」というフレーズが続きます。マイケル・ジャクソンと言えば、ムーン・ウォークが有名ですが、この“moon”にそれがあるかどうかはわかりません。しかし、“rock with me”というフレーズは、マイケル・ジャクソンの若い頃のヒット曲“Rock with You”をかなり意識したものだと言えるでしょう。ちなみにこちらの動画が、その曲です。



5.DON’T NEED NO USHER

最初のうちは、この“Usher”というのは劇場などの「案内人」という一般名詞かと思っていました。しかし、歌詞をよく見ると、最初の“U”が大文字になっています。これはミュージシャンのUsherのことで、その次の“To remind me you got it bad”に登場する“You Got It Bad”というのは、Usherの20年くらい前のヒット曲です。ここの部分は、「あなたが(僕に)いかれてしまっていることを再認識させてもらうためにUsherは必要ない」という文脈になります。

Usherの“You Got It Bad”の動画はこちらです。



6.ICE ON MY WRIST, I’M THE NICE GUY

“Ice”というのはヒップホップの世界では、ダイヤモンドが散りばめられた時計のこと。ブレスレットでもよいのですが、氷のようにキラキラ輝く装飾品です。この部分、ネットを検索すると、“No ice on my wrist”(ダイヤモンドを手首につけてないけど)と表記してあるのも散見されるのですが、曲を聴いてみると“Ice on my wrist”で、明らかに“No”は入っていません。

ここの部分の補足です。“Ice on my wrist"と表記しているサイトと、"No ice on my wrist"と表記しているサイトあります。オフィシャルビデオのテロップが"No ice on my wrist"になっているので、これが正しいように見えてしまいます。しかし、歌詞をアップしている以下のいくつかのサイトでは、"Ice on my wrist"と表記しています。
- Genius Lyrics
- AZ Lyrics
- Billboard
- Cosmopolitan
- Stylecaster.com
- Seventeen
- Elle
- lyrics4kpop.com
- kpopcords.com

Genius Lyricsによれば、「ミュージックビデオでは、“No ice on my wrist"と書かれているが、正確を期するために音源を重視し、Genius Lyricsとしては“Ice on my wrist"とした」とのことです。また、このパートを担当しているSUGAをはじめ、メンバーの何人かが高級時計の所有者として知られているので、"Ice on my wrist"だと説明がつくとのことです。日本のサイトでは、“No ice on my wrist"が主流になっているので、ここは今後の論争になる可能性があります。ARMYのパワーには負けてしまうかもしれませんが。

ミュージックビデオでは、このラップのパートを担当しているSUGAが手首のブレスレットを見せています。


ダイヤモンドかどうかはわかりませんが、なにやらいろいろと付けています。ですので、この部分は、「手首はじゃらじゃら付けているけど、僕はナイスガイ」ということかもしれません。“N-ice guy”と書かれているのは、アイスと韻を踏んでいるわけです。

7.HOTTER, SWEETER, COOLER, BUTTER!

この曲の締めくくりとして出てくるフレーズ。最初の三つは形容詞の比較級なのですが、最後に“BUTTER”を持ってくるところが面白い。形容詞のように使っているところがとてもキュートな感じがします。この曲のヒットを通して、“Butter”という単語も変化していくかもしれませんね。

この他にも、いろいろと面白い表現があって語り尽くせないのですが、これはまたの機会に解説したいと思います。皆様の参考になりましたら幸いです。
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魔法の言葉“WIIFM”を知っておくと、説得力が向上する

2021-06-12 17:14:41 | ビジネス

この言葉を知ったのは、つい最近のことです。知らないと、新しいラジオのFM局か何かかと思ってしまいますが、全然違います。ある英語のフレーズの頭文字ですが、これを理解しておくと、プレゼンテーションや、セールストークなどに説得力が出てきます。企業や、組織で、多くのスタッフを動かさないといけないときにも、これを押さえておくとうまくいきます。簡単な概念なので、ご存知ない方はこの機会に覚えておきましょう。

この言葉は、“What’s In It For Me?”という言葉の頭文字。「ウィーフム」と発音します。「それが自分にとってどんなメリットがあるのか?」ということなのですが、これを明確に伝えておくことが、プレゼンテーションにおいても、スタッフを説得する場合にも重要なポイントになるということです。逆にこれが共有されていないと、どんなに強制的に「俺の話を聞け」とか「言うことを聞かないとひどい目にあわせるぞ」とか脅しても効果は期待できません。

私がこの言葉を聞いたのは、EXAFORUM 2021というオンライン展示会でのことで、元インテル社エバンジェリストであり、未来学者でもあるSteve Brown氏のセミナーの中でのことでした。ベストセラー「the Innovation Ultimatum」を出している方で、めちゃくちゃわかりやすい、面白いセミナーでした。AIやIoT、ロボティクスなどの複数の技術が融合し、社会を変えるテクノロジーの津波になるという話です。企業はデジタル・トランスフォーメーションを進めないといけないのですが、なかなかうまくいかない。抵抗勢力が出てきて、その動きが潰されてしまうというのです。それを克服する方法は何かという文脈の中で出てくるのがこの言葉です。



ビジネスリーダーは、明確なビジョンを持ち、変化を拒む人たちを助けなければいけません。そこで必要になってくるのが“WIIFM”であると、Steve Brown氏は語ります。ここはDX(デジタルトランスフォーメーション)の話をしている中でのことだったので、「DX後の未来の世界では、あなたの役割はこう変わり、あなたにとってすばらしい世界になります。新しい役割であなたは成功するでしょう。そういう未来図を説明できないのであれば、DXは大変困難になるでしょう」と語っています。



概念としては前からあったと思いますが、“WIIFM”という言葉ができて、さらにこの目的意識の明確化にフォーカスがあたってきました。最近はやたら新しい言葉が出てきました。DXもそうですが、SDGs、ESG、CSRなど、ちょっと勉強していないと置いていかれそうな言葉が次から次へと出てきます。

ビジネスリーダーの皆さんもついていくのが大変かと思いますが、中途半端な理解しかしていない状態で、これをやれと命令するだけでは、スタッフはどんどん脱落し、誰もついてこない状況になってしまいます。何でこれをやらなければいけないのか、それをやることで、どんないいことがあるのかを自分事として納得してもらわなければならないのです。

これはプレゼンテーションの場合も同じです。みんな忙しく、それぞれ抱えている問題は異なります。これを聞いてどんなメリットが自分にあるのかわからない状態で長いプレゼンテーションに付き合っている余裕はありません。これを聞いたら、どういうことがわかるのか、それがわかるとどんな得をするのかなどを冒頭で押さえてもらえると、聴衆は積極的に話を聞くようになります。

私は、広告会社に長年いて、海外向けの企業広告や、コマーシャルや、会社案内や、商品カタログなどを作ってきました。ここで学んだことは、企業が伝えたいことを一方的に伝えるのでは誰も聞いてくれないということでした。あるカメラメーカーのアメリカ法人のマーケティング責任者はいつもFAB(Feature, Advantage, Benefit)を明確にするようにと言っていました。製品特長だけをアピールしても消費者は興味を示さない。アドバンテージとは、その特長が、他社と比べてどれほど優れているのか。そして最も重要なのが、その特長やユーザーにとってどのような利便があるのかということでした。

商品広告や商品カタログでは、製品の特長や優位点を洗いだし、考えられる限りのベネフィットを書き出すというのが重要な仕事でした。どんな些細な特長でも、何かしらのベネフィットがあります。製品の重さが軽ければ、持ち運びが楽とか、旅行に便利、長く持っていても疲れないとか、筋力のない人でも持てるなどのベネフィットが考えられます。こういう考え方は、“WIIFM”に共通するものがありますね。相手の立場にたって、どんな得があるのかということを探すということですので。

商品マーケティングではユーザーの立場にたってベネフィットをアピールするというのは昔から基本的なことですが、デジタルトランスフォメーション(DX)や、SDGs、ESGなど新しく、抽象的で捉えにくい概念の場合は、“WIIFM”が特に重要になります。それがないと、何だかんだできない理由をつけて、変化することを阻んでくる人たちによって、プロジェクトは頓挫していくわけです。

今後は、世の中の変化に伴い、こういう新しい概念は続々と出てくるでしょうし、落ちこぼれそうになっていく人たちを救うために、“WIIFM”が活躍していくのでしょう。

トップ画像は私が描いたチョークアートです。この言葉があまりに厳かに思えたので、何か視覚的にインパクトのある形にしたかったのです。私にとっては、こうやってビジュアル化したいほど魅力的な言葉だったわけです。皆さんにとってはあまり意味のないことだったかもしれませんが、所詮自己満足なので、笑って流してくださいませ。

コメント (1)
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