先日、明治大学で定期的に開催されている「グローバルマーケティング研究会」の例会があり、世界最大の広告代理店グループ、WPPの中の「グループM」というメディアエージェンシーの大森健一郎さんが、広告業界の状況に関して講演をされました。大森さんは、マツダ自動車からADKに移られ、アムステルダムや上海でも勤務されていた方です。ADKはWPPグループにも入っていたことがあるので、世界の広告業界の変遷とともに生きてこられたような方なのですね。
私が長年勤めてきたのは、海外向けの仕事がメインの日系の広告代理店でした。1980年代には、TBWAと提携をしていたこともあるし、ヨーロッパやアメリカにもたびたび出張する機会がありました。当時は、海外の広告業界の本もいろいろと読みあさっていたし、海外の広告業界紙をウォッチしていました。ここ数年、広告業界のグローバルトレンドからは遠ざかっていましたが、今回の大森さんのお話を伺い、昔の記憶が蘇ってきたわけです。
この記事を書いている途中、1週間ほどシンガポールに行くことになり、旅行中に記事をアップしようと思っていたのですが、結局は帰国してからアップすることになってしまいました。
実はシンガポール滞在中に、電通シンガポールの元社長の紹介で、急遽打ち合わせをすることになった現地広告代理店の社長が、元オムニコムでアジアパシフィックでM&Aを仕掛けていたキーマンだと知り、これがセレンディピティーというやつかと思ったわけです。
この社長は、シンガポール人なのですが、オムニコムの媒体エージェンシーのOMDに数年在籍していて、オムニコムでM&Aを担当、ニューヨークのオムニコム本部でも働くことを勧められたそうですが、それは断ったとのことでした。この人も世界の広告業界の歴史とともに生きてきた人だったわけです。
世界の広告業界は目まぐるしく変化しているので、自分自身のための情報整理という目的で、このような記事を書いてみました。このような内容に興味を持つ人はそれほど多くないかと思いますが、何かの参考になればと思います。
世界の広告業界の変遷
20世紀の広告業界の歴史は、ニューヨークのマジソンアベニューと、ロンドンが中心で、J.ウォルター・トンプソン、サーチ&サーチ、オグルヴィー&メイザー、ヤング&ルビカム、マッキャン・エリクソン、DDB、BBDO、レオ・バーネットなどが業界に君臨していました。
やがて、アメリカでは、ニューヨーク以外にも、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ミネアポリス、オレゴンなどの都市で、ホットショップと言われる小さなクリエイティブ会社が、斬新なクリエイティビティで、広告業界に登場してくるわけです。
そのようなホットショップの代表格が、シャイアット・デイだったり、TBWA、ファロン・マケリゴット、そして、グッビー・シルバースタイン&パートナーズ、ワイデン・ケネディーなどがあります。
20世紀後半から最近まで、広告業界のM&Aが目まぐるしく進展し、うっかりしていると、どことどこが合併したのかがよくわからなくなっていたので、自分の理解をキャッチアップするために、図式化してみたのが冒頭の図です。
広告会社は、WPPやオムニコムなどのホールディング会社が老舗広告代理店を次々と吸収していくのですが、一番上の図は、現在のトップ10の広告代理店を並べてみたものです。世界の広告業界の4大グループは、WPP、オムニコム、ピュブリシス、インターパブリック(IPG)です。その周辺にあるのが、電通グループであり、アクセンチュア、デロイト、PWCなどのコンサルティング系です。あとは、IBM系だったり、ブルーフォーカスという中国の会社だったりします。
昔の広告業界からすると、全く異なった企業名ですよね?おまけに、アクセンチュアとか、デロイトなどコンサル系の企業が広告代理店として電通と同等の規模となっています。コンサル系の会社は、デジタル広告だけをやっているのかなと思っていたら、アクセンチュアは、今をときめくクリエイティブショップのDroga5を買収していたんですね。クリエイティブの分野でもパワーを増強しているようです。
しかも、Droga5の創立者のクリエイターのデイヴィッド・ドロガが、アクセンチュア・インタラクティブのCEOに就任していて、2022年4月には社名をアクセンチュア・ソングと改名しています。
従来の名門広告代理店は合併することでかろうじて規模を保っている感じですが、それをコンサル系が追い上げているという構図です。単独の会社規模では、もはやコンサル系が優位に立っているのですが、大手代理店はホールディング会社の規模で業界での優位を維持している感じです。
ホールディング会社の名前だけだと、実際にどのような広告代理店が入っているのかわかりませんよね?というわけで、4大グループの広告代理店構成を見ていきたいと思います。これらは、現時点での情報をもとに作ったものですが、業界は刻一刻と変化しているので、皆さんがご覧になる頃には状況が異なっているかもしれませんが、ご容赦ください。また、グループ企業のすべてを網羅しているわけではありませんので、そのへんも重要な企業の漏れがあったら、申し訳ありません。
英国発祥の世界最大のWPPグループ
ワンダーマン・トンプソンというのは、広告代理店の老舗のJWT(Jウォルター・トンプソン)とワンダーマンが合併してできた会社です。以前、「電通ワンダーマン」という会社がありました(現在の電通ダイレクトソリューションズ)。オグルヴィーは、元々はオグルヴィー・メイザーという名前の会社でしたが、現在はオグルヴィーという名前になっています。
グレイという老舗代理店は、日本で大広と合弁会社「グレイ大広」という会社を作っていましたが、1999年に合弁を解消。グレイワールドワイドとなっていましたが、サンフランシスコを拠点として世界展開していたデジタル系のAKQAに吸収されていました。
かつては日本に「電通ヤング&ルビカム」という広告代理店がありました。電通とアメリカのヤング&ルビカムの合弁の会社でした。VMLY&Rという広告代理店の後半のY&Rというのがヤング&ルビカムの名残です。
WPPのような大手ホールディング会社は、広告代理店だけでなく、マーケティングコミュニケーションに関わるあらゆる機能の会社を傘下に持とうとします。ブランディング系の会社、マーケティングコンサルタンシー、メディアエージェンシー、PR会社などです。
ランドーアソシエイツは世界的に有名なブランディングの会社です。フィッチも同様なのですが、これが「ランドー&フィッチ」と一つの会社となって、WPPの中にいます。
カンターはマーケティングや調査の会社です。そしてグループMはメディア・エージェンシーですが、この中にマインドシェア、エッセンス・メディアコム、ウェイブメイカーなどの世界的に大手のメディア・エージェンシーが含まれています。
図の一番下の段はPR代理店なのですが、ここも世界的に有名なPRエージェンシーが名を連ねています。ヒル&ノールトンとパブリック・ストラテジーズが合併して、ヒル&ノールトン・ストラテジーズになっています。オグルヴィーPR、FGSグローバル、BCWとPR系も錚々たる会社ばかりです。最後のBCWは、バーソン・マステラと、コーン・ウルフというそれぞれ老舗PRエージェンシーが合併してできた会社です。
WPPはロンドンを拠点に(登記上はアイルランドですが)、マーティン・ソレル(現在はWPPを去っていて、S4キャピタルという独自のエージェンシーを作っています)という英国人が作り上げた、広告業界の大帝国と言えるかと思います。
ニューヨークで生まれたオムニコム
ニューヨークの広告業界の合従連衡で誕生したのがオムニコムです。DDB(ドイル・デーン・バーンバック)と、ニーダム・ハーパー、BBDOの合併のニュースは、当時の広告業界を震撼させました。TBWAはパリを拠点とするヨーロッパ系の代理店でしたが、アブソルートウオッカの米国キャンペーンをきっかけに世界的なエージェンシーネットワークとなっていきます。TBWAは世界各国のローカル広告代理店を次々と買収していくのですが、それが丸ごとオムニコムの傘下に入ることになります。
アップルの広告で一世を風靡したロサンゼルスのシャイアット・デイは、TBWAに買収され、TBWAシャイアット・デイとなりますが、オムニコムに吸収された形となりました。
日本のTBWA博報堂は、TBWAと博報堂の合弁の会社です。
GS&P(グッビー・シルバースタイン&パートナーズ)は、サンフランシスコを拠点とするクリエイティブエージェンシーでしたが、オムニコムの傘下となっています。
DASグループはマーケティングエージェンシー、インターブランドは世界的に有名なブランディング会社です。OMGはオムニコムのメディアエージェンシーですが、OMD、ハーツ&サイエンス、PHDなどのメディアエージェンシーが含まれています。
PRエージェンシーもいくつもあり、フライシュマン・ヒラード、ケッチャム、MMC、ポーター・ノヴェリなどの会社があります。
オムニコムはWPPに次ぐ世界第二位のグループですが、こちらもオムニコム帝国という感じです。
フランスが作りあげた世界帝国、ピュブリシス
ピュブリシスは、パリを拠点とするネットワークですが、ピュブリシス・サピエント、レオ・バーネット、サーチ&サーチ、BBHなどのクリエイティブエージェンシーを傘下に持っています。ピュブリシス・サピエントは、サピエント・ニトロ、レーザーフィッシュ、DMB&B(ダーシー・マシアス・ベントン&ボウルズ)などをピュブリシスに吸収統合したものです。
サーチ&サーチは英国のサーチ兄弟が作った世界的なクリエイティブエージェンシーですが、アメリカのファロン(元はファロン・マケリゴット)も吸収していました。
ピュブリシスは他にデジタル系のMSLとメディアエージェンシーのピュブリシスメディアを持っています。ピュブリシスメディアの中には、スターコムやゼニスなど老舗メディアエージェンシーなどが含まれています。
4大ネットワークの一つ、インターパブリック(IPG)
インターパブリックグループの中核になっているのはマッキャンとFCBですが、マレン・ロウ・グローバル、R/GAなどが含まれています。マレン・ロウ・グローバルの中には、ロウ&パートナーズ、アミラティ・プリス・リンタス、マレンなどが含まれます。いずれも由緒あるエージェンシーばかりです。
デジタルやエクスペリエンス・エージェンシーとして、MRMやモメンタムなどがあります。またメディア・エージェンシーとしてUMがあります。
PRエージェンシーとしては、ウェーバー・シャンドウィックがあります。
これ以外に、電通や、コンサル系の代理店があります。またWPPの創始者のマーティン・ソレル率いるS4キャピタルの動向も見逃せません。
広告業界のレジェンドたち
世界の広告業界を牛耳ってきたレジェンドたちです。これ以外にも多くのレジェンドがいて、誰を入れるべきかは悩むところですが、とりあえず私の個人的な印象でリストアップしてみました。
広告代理店のありかた自体も変化の途上にあり、「広告」という言葉自体もこのままでいいのかという議論もあります。業界は今後ますます変化していき、20世紀の広告業界を作ってきたレジェンドたちの功績もどんどん過去のものになっていきます。
会社の名前に残っていたレジェンドたちの名前さえも、次々と消え去っていくのが何とも悲しいですが、どんなに業界が変化していっても数多くの天才たちが広告を通して世の中を面白くしていたという事実は決して忘れてはならないと思います。
私が長年勤めてきたのは、海外向けの仕事がメインの日系の広告代理店でした。1980年代には、TBWAと提携をしていたこともあるし、ヨーロッパやアメリカにもたびたび出張する機会がありました。当時は、海外の広告業界の本もいろいろと読みあさっていたし、海外の広告業界紙をウォッチしていました。ここ数年、広告業界のグローバルトレンドからは遠ざかっていましたが、今回の大森さんのお話を伺い、昔の記憶が蘇ってきたわけです。
この記事を書いている途中、1週間ほどシンガポールに行くことになり、旅行中に記事をアップしようと思っていたのですが、結局は帰国してからアップすることになってしまいました。
実はシンガポール滞在中に、電通シンガポールの元社長の紹介で、急遽打ち合わせをすることになった現地広告代理店の社長が、元オムニコムでアジアパシフィックでM&Aを仕掛けていたキーマンだと知り、これがセレンディピティーというやつかと思ったわけです。
この社長は、シンガポール人なのですが、オムニコムの媒体エージェンシーのOMDに数年在籍していて、オムニコムでM&Aを担当、ニューヨークのオムニコム本部でも働くことを勧められたそうですが、それは断ったとのことでした。この人も世界の広告業界の歴史とともに生きてきた人だったわけです。
世界の広告業界は目まぐるしく変化しているので、自分自身のための情報整理という目的で、このような記事を書いてみました。このような内容に興味を持つ人はそれほど多くないかと思いますが、何かの参考になればと思います。
世界の広告業界の変遷
20世紀の広告業界の歴史は、ニューヨークのマジソンアベニューと、ロンドンが中心で、J.ウォルター・トンプソン、サーチ&サーチ、オグルヴィー&メイザー、ヤング&ルビカム、マッキャン・エリクソン、DDB、BBDO、レオ・バーネットなどが業界に君臨していました。
やがて、アメリカでは、ニューヨーク以外にも、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ミネアポリス、オレゴンなどの都市で、ホットショップと言われる小さなクリエイティブ会社が、斬新なクリエイティビティで、広告業界に登場してくるわけです。
そのようなホットショップの代表格が、シャイアット・デイだったり、TBWA、ファロン・マケリゴット、そして、グッビー・シルバースタイン&パートナーズ、ワイデン・ケネディーなどがあります。
20世紀後半から最近まで、広告業界のM&Aが目まぐるしく進展し、うっかりしていると、どことどこが合併したのかがよくわからなくなっていたので、自分の理解をキャッチアップするために、図式化してみたのが冒頭の図です。
広告会社は、WPPやオムニコムなどのホールディング会社が老舗広告代理店を次々と吸収していくのですが、一番上の図は、現在のトップ10の広告代理店を並べてみたものです。世界の広告業界の4大グループは、WPP、オムニコム、ピュブリシス、インターパブリック(IPG)です。その周辺にあるのが、電通グループであり、アクセンチュア、デロイト、PWCなどのコンサルティング系です。あとは、IBM系だったり、ブルーフォーカスという中国の会社だったりします。
昔の広告業界からすると、全く異なった企業名ですよね?おまけに、アクセンチュアとか、デロイトなどコンサル系の企業が広告代理店として電通と同等の規模となっています。コンサル系の会社は、デジタル広告だけをやっているのかなと思っていたら、アクセンチュアは、今をときめくクリエイティブショップのDroga5を買収していたんですね。クリエイティブの分野でもパワーを増強しているようです。
しかも、Droga5の創立者のクリエイターのデイヴィッド・ドロガが、アクセンチュア・インタラクティブのCEOに就任していて、2022年4月には社名をアクセンチュア・ソングと改名しています。
従来の名門広告代理店は合併することでかろうじて規模を保っている感じですが、それをコンサル系が追い上げているという構図です。単独の会社規模では、もはやコンサル系が優位に立っているのですが、大手代理店はホールディング会社の規模で業界での優位を維持している感じです。
ホールディング会社の名前だけだと、実際にどのような広告代理店が入っているのかわかりませんよね?というわけで、4大グループの広告代理店構成を見ていきたいと思います。これらは、現時点での情報をもとに作ったものですが、業界は刻一刻と変化しているので、皆さんがご覧になる頃には状況が異なっているかもしれませんが、ご容赦ください。また、グループ企業のすべてを網羅しているわけではありませんので、そのへんも重要な企業の漏れがあったら、申し訳ありません。
英国発祥の世界最大のWPPグループ
ワンダーマン・トンプソンというのは、広告代理店の老舗のJWT(Jウォルター・トンプソン)とワンダーマンが合併してできた会社です。以前、「電通ワンダーマン」という会社がありました(現在の電通ダイレクトソリューションズ)。オグルヴィーは、元々はオグルヴィー・メイザーという名前の会社でしたが、現在はオグルヴィーという名前になっています。
グレイという老舗代理店は、日本で大広と合弁会社「グレイ大広」という会社を作っていましたが、1999年に合弁を解消。グレイワールドワイドとなっていましたが、サンフランシスコを拠点として世界展開していたデジタル系のAKQAに吸収されていました。
かつては日本に「電通ヤング&ルビカム」という広告代理店がありました。電通とアメリカのヤング&ルビカムの合弁の会社でした。VMLY&Rという広告代理店の後半のY&Rというのがヤング&ルビカムの名残です。
WPPのような大手ホールディング会社は、広告代理店だけでなく、マーケティングコミュニケーションに関わるあらゆる機能の会社を傘下に持とうとします。ブランディング系の会社、マーケティングコンサルタンシー、メディアエージェンシー、PR会社などです。
ランドーアソシエイツは世界的に有名なブランディングの会社です。フィッチも同様なのですが、これが「ランドー&フィッチ」と一つの会社となって、WPPの中にいます。
カンターはマーケティングや調査の会社です。そしてグループMはメディア・エージェンシーですが、この中にマインドシェア、エッセンス・メディアコム、ウェイブメイカーなどの世界的に大手のメディア・エージェンシーが含まれています。
図の一番下の段はPR代理店なのですが、ここも世界的に有名なPRエージェンシーが名を連ねています。ヒル&ノールトンとパブリック・ストラテジーズが合併して、ヒル&ノールトン・ストラテジーズになっています。オグルヴィーPR、FGSグローバル、BCWとPR系も錚々たる会社ばかりです。最後のBCWは、バーソン・マステラと、コーン・ウルフというそれぞれ老舗PRエージェンシーが合併してできた会社です。
WPPはロンドンを拠点に(登記上はアイルランドですが)、マーティン・ソレル(現在はWPPを去っていて、S4キャピタルという独自のエージェンシーを作っています)という英国人が作り上げた、広告業界の大帝国と言えるかと思います。
ニューヨークで生まれたオムニコム
ニューヨークの広告業界の合従連衡で誕生したのがオムニコムです。DDB(ドイル・デーン・バーンバック)と、ニーダム・ハーパー、BBDOの合併のニュースは、当時の広告業界を震撼させました。TBWAはパリを拠点とするヨーロッパ系の代理店でしたが、アブソルートウオッカの米国キャンペーンをきっかけに世界的なエージェンシーネットワークとなっていきます。TBWAは世界各国のローカル広告代理店を次々と買収していくのですが、それが丸ごとオムニコムの傘下に入ることになります。
アップルの広告で一世を風靡したロサンゼルスのシャイアット・デイは、TBWAに買収され、TBWAシャイアット・デイとなりますが、オムニコムに吸収された形となりました。
日本のTBWA博報堂は、TBWAと博報堂の合弁の会社です。
GS&P(グッビー・シルバースタイン&パートナーズ)は、サンフランシスコを拠点とするクリエイティブエージェンシーでしたが、オムニコムの傘下となっています。
DASグループはマーケティングエージェンシー、インターブランドは世界的に有名なブランディング会社です。OMGはオムニコムのメディアエージェンシーですが、OMD、ハーツ&サイエンス、PHDなどのメディアエージェンシーが含まれています。
PRエージェンシーもいくつもあり、フライシュマン・ヒラード、ケッチャム、MMC、ポーター・ノヴェリなどの会社があります。
オムニコムはWPPに次ぐ世界第二位のグループですが、こちらもオムニコム帝国という感じです。
フランスが作りあげた世界帝国、ピュブリシス
ピュブリシスは、パリを拠点とするネットワークですが、ピュブリシス・サピエント、レオ・バーネット、サーチ&サーチ、BBHなどのクリエイティブエージェンシーを傘下に持っています。ピュブリシス・サピエントは、サピエント・ニトロ、レーザーフィッシュ、DMB&B(ダーシー・マシアス・ベントン&ボウルズ)などをピュブリシスに吸収統合したものです。
サーチ&サーチは英国のサーチ兄弟が作った世界的なクリエイティブエージェンシーですが、アメリカのファロン(元はファロン・マケリゴット)も吸収していました。
ピュブリシスは他にデジタル系のMSLとメディアエージェンシーのピュブリシスメディアを持っています。ピュブリシスメディアの中には、スターコムやゼニスなど老舗メディアエージェンシーなどが含まれています。
4大ネットワークの一つ、インターパブリック(IPG)
インターパブリックグループの中核になっているのはマッキャンとFCBですが、マレン・ロウ・グローバル、R/GAなどが含まれています。マレン・ロウ・グローバルの中には、ロウ&パートナーズ、アミラティ・プリス・リンタス、マレンなどが含まれます。いずれも由緒あるエージェンシーばかりです。
デジタルやエクスペリエンス・エージェンシーとして、MRMやモメンタムなどがあります。またメディア・エージェンシーとしてUMがあります。
PRエージェンシーとしては、ウェーバー・シャンドウィックがあります。
これ以外に、電通や、コンサル系の代理店があります。またWPPの創始者のマーティン・ソレル率いるS4キャピタルの動向も見逃せません。
広告業界のレジェンドたち
世界の広告業界を牛耳ってきたレジェンドたちです。これ以外にも多くのレジェンドがいて、誰を入れるべきかは悩むところですが、とりあえず私の個人的な印象でリストアップしてみました。
広告代理店のありかた自体も変化の途上にあり、「広告」という言葉自体もこのままでいいのかという議論もあります。業界は今後ますます変化していき、20世紀の広告業界を作ってきたレジェンドたちの功績もどんどん過去のものになっていきます。
会社の名前に残っていたレジェンドたちの名前さえも、次々と消え去っていくのが何とも悲しいですが、どんなに業界が変化していっても数多くの天才たちが広告を通して世の中を面白くしていたという事実は決して忘れてはならないと思います。
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