まわる世界はボーダーレス

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今夜、シンガポールの夜空に響く「Home」の歌

2020-04-25 13:12:27 | シンガポール
本日、4月25日土曜日、私はシンガポールにいます。それまで防疫では優等生と呼ばれていたシンガポールが感染者数を増やしているので、日本のマスコミでは、シンガポールの対策がうまく行ってなかったのではないか、油断があったのではないか、などと報道されております。シンガポールで感染者数が伸びていたのは、シンガポールで働いているバングラデシュやインドなどから来ている労働者の複数の寮でのクラスターが大半ですが、一般市民の感染者数は割と落ち着いていて。昨日は25人でした。日本のマスコミは、シンガポールがパニックになっているというような風潮で煽り立てていますが、シンガポールの死亡者数は、現時点で12人で、現在ICUにいる人は24人。香港や、台湾の方がわずかに少ないですが、医療崩壊に至らず、極めてコントロールされていると言えるかと思います。感染者数では、日本もシンガポールも昨日時点で12000人を超えていますが、日本の死亡者数は昨日までに317人となっています。日本はStayHome週間を呼びかけていますが、外出はくれぐれも控えていただき、感染を広げないでいただきたいですね。

さて、シンガポールの対策で、特筆すべきは、新型コロナに国民全体で取り組むという姿勢が割としっかりできているのではないかと思います。日本は、まだまだ、自分の金儲けを優先したり、パチンコやサーフィンや夜の街など、自分の快楽を追求するばかりで、新型コロナをみんなで防ぐという意識を持っていない人がかなり多いような気がします。震災の時などは、みんな助け合うという雰囲気があったのですが、今回は、補償金くれなきゃやだとか、他人のことは知らないというような態度ばかりが目について、同じ日本人として悲しくなります。

出だしが硬くなってしまいましたが、シンガポールでこれまでに、二、三回、医療従事者を応援する拍手をするというイベントが行われました。欧米の各都市や、インドなどでも行われていますが、私が先日の4月20日に撮影した映像をご紹介します。



ほとんど暗くて見にくいのですが、ブキティマの住宅地から、その先は、ジュロンや西の方面が見えています。どこまで実際に聞こえているのかわかりませんが、国民全体が拍手をしているという雰囲気がして、感動的でした。

これに引き続き、本日の夜、7時55分から、シンガポール人だとみんな知っている”Home”という曲をみんなで自宅の窓から歌おうというお知らせが、昨日SNSで来ました。医療従事者や生活に必要不可欠の業務に携わる人々、外国人労働者の皆さん、そして在宅でステイ・ホームする全ての人々への感謝のための合唱で、シンガポールのメディアが全面協力するイベントとなります。

テレビやラジオのチャンネルを合わせて、みんなで窓やバルコニーから歌おうというものです。で、この曲ですが、どんなものか解説をしておきましょう。

シンガポールは、毎年8月9日のナショナル・デー(独立記念日)の日は、大イベントで盛り上がるのですが、毎年テーマ曲を作っています。1998年のナショナル・デーでテーマ曲となったのが、この曲で、シンガポールを代表する音楽家のディック・リーが作曲しました。ディック・リーは、20年以上前、日本のテレビでも有名だったのですが、大先輩かと思っていたら、何と私より一歳年下でした。ちなみに彼は、1956年の8月24日生まれです。実は十数年前、インドのジャイプールで広告関係のイベントがあった時、ゲストとして演奏していて、生で見たことがあります。繊細なピアノ曲は、インド人にはインパクトがなく、ほとんど誰も聴いてなかったのが可哀想でした。こちらの写真がディック・リーです。



でもこの曲は素晴らしい曲で、数あるナショナル・デーのテーマ曲の中では、個人的には一番好きでした。私がシンガポールで仕事をし始めたのは1997年のことで、1998年のこの曲はリアルタイムで聴いていました。最初に歌ったのは、女性歌手のキット・チャン(Kit Chan)です。その後、何度かナショナル・デーで歌われるのですが、2011年に39人の歌手がフルオーケストラで歌うという企画があり、このビデオの演出はキット・チャンでした。こちらのビデオの最初に歌うのは、ディック・リー、2番目に登場するのがキット・チャンです。他にシンガポールの歌手が次々と登場します。



いろんなバージョンがあるのですが、こちらは、26人の最近の若手ミュージシャンたちが歌うバージョン。



他にも色々ありますが、興味のある方は検索して見てください。あと、歌詞とその翻訳をこちらに記載しておきました。本日、ライブで歌いたい方は参考にしてください。

HOME

Whenever I am feeling low
気分が落ち込んだ時はいつも
I look around me and I know
周りを見渡すと、私はわかる
There's a place that will stay within me
心の中にずっと残っている一つの場所があると
Wherever I may choose to go
自分の選んだ行き先がどこであろうとも

I will always recall the city
いつも思い出すのはその都市のこと
Know every street and shore
通りや岸辺は知り尽くしている
Sail down the river which brings us life
船で下る河は私たちの活気の源
Winding through my Singapore
私のシンガポールを曲がりくねって流れている
This is home truly
ここは本当に故郷
Where I know I must be
私のいるべき場所はここだと知っている
Where my dreams wait for me
私の夢が私を待っている場所
Where that river always flows
河がいつも流れ続けている場所

This is home surely
ここは確実に故郷
As my senses tell me
自分の直感でわかる
This is where I won't be alone
ここにいると私は決して一人ではない
For this is where I know it's home
ここが故郷だとわかっている場所なのだから

When there are troubles to go through
何とかしないといけない問題がある時
We'll find a way to start anew
再始動する方法が見つかるもの
There is comfort in the knowledge
こんなことを思うと安心できる
That home's about its people too
故郷とはすなわち人々のことでもあると

So we'll build our dreams together
だから夢を一緒に作ろう
Just like we've done before
昔やってたみたいに
Just like the river which brings us life
私たちに生命を与えてくれる河のように
There'll always be Singapore
シンガポールはいつもここにある

For this is where I know it's home
ここが故郷だとわかっている場所なのだから
For this is where I know I'm home...
自分が故郷にいることを自覚できる場所なのだから


Homeという言葉を「故郷」と訳しましたが、本当は、「家」という意味、「住んでいる場所」という意味など色々な意味が込められています。また新型コロナと戦うためのStay Homeの物理的な家という意味ももちろんあります。この時期、ぴったりの曲ですね。

ここに出てくる「河」というのはシンガポールリバーですが、こちら私が撮った写真です。国会議事堂や、マリーナベイサンズも見えています。



今日のイベントのお知らせがCNA(シンガポールのニュースチャンネル)でもありましたので、合わせてご覧ください。



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1 コメント

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軸受エンジンピストンピン (グローバル特殊鋼)
2024-04-25 23:10:38
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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