まわる世界はボーダーレス

世界各地でのビジネス経験をベースに、グローバルな視点で世界を眺め、ビジネスからアートまで幅広い分野をカバー。

ワクチン接種がコロナによる死亡を防ぐという事実を報道できない日本

2022-02-21 21:29:15 | 新型コロナウィルス
日本のマスコミ報道はちょっと変だ、と思うことがあります。コロナ報道でもそれをよく感じます。私は去年の12月の頭までシンガポールに数年間いたので、とくにその差を感じるのですが、日本では、ワクチンを打たないという選択に対して、それを決して非難してはいけないという風潮になっています。

同調圧力は悪であるという主張が強く、ワクチンを打っても感染は防げないし、重症化や死亡を防ぐことはできないというニュアンスで報道されています。ワクチン副反応が強調され、ワクチンを打つ効果よりも、ワクチンに対する恐怖が煽れています。テレビの街角インタビューなどでも、ワクチンに対して「副反応が心配」とか、「少し様子を見てから考えたい」という人の声がよく取り上げられます。こういう映像は大衆心理に影響し、その結果、人々はワクチン接種をためらうことになってしまいます。

「ワクチン接種を強制するわけではなく、選択はあくまで個人の自由」というコメントを何度聞いたことでしょう。反ワクチンの人や、「コロナはただの風邪である」という主張する人、陰謀説を信じている人たちもいまだにいますし、人権擁護の立場からワクチン接種の押し付けとならないよう警戒する人々もいます。ワクチン接種が原因ではないのに、接種以降に死亡した人数をもって、ワクチンで死亡した人々がこんなにたくさんいるとしてワクチンの弊害を主張する人もいます。

マスコミには様々な方面からの圧力がかかり、自由な発言はできなくなっています。政府も医療の専門家も、ワクチン接種を促進したいのに、報道も世論も水を差しているような感じです。

そんなわけで、日本ではほとんど報道されないのですが、ワクチン未接種者の死亡率は、ワクチン接種完了者の死亡率よりも圧倒的に高いのです。重症化率も同様です。この数値を見ると、ワクチンは打ったほうがいいとすぐにわかるのですが、日本では、この統計数値はあまり公表されていません。「ワクチンは重症化を防ぐ効果がある」という無難なことしか言えません。

Our World in Dataという世界の統計数値を公表しているサイトがあります。各国のコロナの感染者数や、ワクチン接種率なども常にアップデートされています。この中で、コロナ死者数のデータも発表されているのですが、ワクチン接種完了者の死亡率と、未接種者の死亡率を比較しているので紹介させていただきます。

仮に我々が人口が60人の国に住んでいたとします。



このうち10人がコロナで亡くなったとします。そのうち、ワクチン2回接種完了者が5人、未接種者が5人だったとします。



このような場合、マスコミは「コロナ死者のうち、ワクチン接種完了者が50%もいた。つまり、ワクチンはほとんど効果がないのではないか」と報道しがちです。



ところが、全人口のうち50人が接種完了者、10人が未接種者だったとすると、接種完了者の死亡率は5➗50=0.1、つまり10%なのですが、未接種者の死亡率は5➗10=0.5、つまり50%ということになるわけです。

この考え方に基づいて、Our World in Dataのサイトで公表されている、アメリカ、イギリス、スイスの死亡率の数値を見てみたいと思います。

こちらはアメリカのデータです。



2011年9月25日から2021年の12月4日までのデータですが、未接種者の死亡率が高いのは明確です。



こちらは、アメリカの1週間あたりの死亡率の未接種者、接種完了者、ブースター(3回目)完了者の比較です。未接種者は10%近くにもなるんですね。

次はイギリスです。



2021年3月15日から10月15日までのデータですが、同様に未接種者の死亡率が高いですね。



こちらは2021年10月15日時点での月間死亡率の比較。未接種者の死亡率は23.8%にもなっています。

こちらはスイス。



2021年1月31日から2022年の1月30日までのデータです。こちらも同様の傾向です。年末から1月の死亡率がかなり高くなっていますね。



各国で同じデータが発表されているわけではありませんが、同じような傾向と思われます。

日本はどうでしょう。Our World in Dataの中には、国としての日本のワクチン未接種者の死亡率は出ていませんが、各自治体ベースで、死亡率が発表されたケースがありました。

こちらは埼玉県のデータです。2021年の5月1日から10月7日のデータです。年代別のグラフですが、高齢者の未接種者の死亡率が高いですね。



若い世代の死者はワクチン未接種者ばかりです。

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/covid19/vaccines/efficasy.html

こちらは神奈川県のデータ。2021年の6月1日から9月30日のデータです。



ブレイクスルー感染というのは、2回目接種から2週間経過した後に感染した場合のことです。コロナでの死亡者のほとんどは未接種者ですね。ブレイクスルー感染は高齢者に限定されています。

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/covid19/vaccines/efficasy.html

こちらは東京のデータです。日経新聞2021年9月24日に掲載されていた情報です。



2021年8月1日〜9月20日に死亡した人のうち、感染歴が確認できた人数のみのデータですが、これを見ても死亡者のほとんどがワクチン未接種者というのが明確です。

https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/covid19/vaccines/efficasy.html

こちらは大阪のデータで、読売新聞2021年10月29日のものですが、死亡率も重症化率もワクチン2回接種済みだとかなり少なくなります。



https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/covid19/vaccines/efficasy.html

こういう数値を継続して発表していればワクチン接種の重要さが自ずと伝わるのですが、テレビではほとんど報道されず、また最近の統計はあまり見つからなくなりました。

2021年9月10日の神戸新聞の記事には、西宮市に関して、次のような記述が出ているのを見かけました。

西宮市は従来、死者の接種履歴を明らかにしていた。対応を変えた理由について「接種は個人の意思に基づくもので、同意なしに公表するのは不適切だった。国の指針にも公表対象として定められていない」と説明した。


https://www.pref.kanagawa.jp/docs/ga4/covid19/vaccines/efficasy.html


西宮市のような例は、日本各地の自治体でいくつもあったのではないかと推測されます。しかし、このようなことで、ワクチン接種の効果が記録に残らないことはこれまた問題です。

やがてコロナが収束して、こんな記事を書く必要がなくなるとよいですね。
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ワクチン接種の重要性を訴えるシンガポールの葬儀屋

2022-01-29 22:02:45 | 新型コロナウィルス
シンガポールの葬儀屋のアン・チン・モー社(Ang Chin Moh)の広告コピーが話題になっています。広告と言っても、自社の業務用車両に印刷されたものです。それは、“Vaccinate Now! Because We Care!”(今すぐワクチン接種をしてください。なぜなら私たちは気がかりですので)というものです。

“We Care”というのは、実はダブルミーニングで、「気にする、心配する」という意味もありますが、「世話をする」という意味もあります。コロナ感染で死に至った場合、最終的に世話をすることになるのが葬儀屋ということになります。そうならないように、まだワクチンを打っていない人はすぐに打ってほしいというメッセージなのですね。

シンガポールは2020年のコロナ発生時から、死者数はかなり少なかったのですが、2021年9月末以降死者数が急増しました。急増と言っても1日あたりの死者は最大で18人というレベルですが。

こちらが2020年1月から現在に至るまでのシンガポールの感染者と死者数の推移のグラフです。



2020年1月から2022年1月28日までのシンガポールのコロナ感染者・死者の推移

感染者と死者が急増したのは2021年の10月、11月です。オミクロン株の流行で、2022年1月後半に感染者数は、昨年のピークを更新し、6000人弱までになりました。死者数は、10月20日と11月16日に18人になりましたが、年末からは多くて3人のレベルです。

シンガポールは現時点で88%がワクチン2回接種完了していて、ブースター接種も人口の56%となっています。2022年2月中旬から、これまで「接種済み」の条件が2回完了だったのが、ブースター接種完了がその条件となるようです。「接種済み」でないと、かなりの行動制限を受けるシンガポールですが、ブースター接種が急速に進んでいくものと思います。

こちらのグラフはコロナでの死者のうち、未接種者(一回だけ接種を含む)と、接種済みの年代別の比率です。横軸が年代、縦軸はコロナ死者全体における比率です。



コロナによる死者(2021年5月1日から12月31日まで)の接種状況年代別比較

2020年1月から現在までのシンガポールでの死者数は853人です。死者の大半が高齢者なのですが、このグラフを見ると濃い色の未接種者の比率が圧倒的です。

また、こちらのグラフは、ICUに入っている重症患者の比率です。こちらもワクチン接種者と未接種者の傾向は同じです。



コロナによる重症者(2021年5月1日から12月31日まで)の接種状況年代別比較

これを見ると、コロナに感染して死亡する人、重症化する人のほとんどがワクチン未接種の人なのです。そもそもシンガポールではワクチン未接種の人は少数派で、特に高齢者の接種率は高いので、ワクチンがいかに重要かというのがわかります。



冒頭で紹介した、葬儀屋のアン・チン・モー社は、ワクチン未接種がコロナで死亡する確率が高いというデータに着目し、“Vaccinate Now! Because We Care!”というメッセージを考え出し、死者数が拡大しつつあった昨年10月にこのキャンペーンを開始しました。葬儀屋がそのメッセージを発信することで、社会へのインパクトを最大化できるという戦略もあったようです。

日本では、ワクチン未接種者の死亡率や重症化率が高いという数値はあまり表に出てきません。おそらく同じようなデータがあるはずなのですが、マスコミもなぜかそれには触れません。

日本は接種完了者は8割くらいと言われています。未接種者は2割になります。接種しない人はそれなりの理由があると思うのですが、マスコミはその選択を尊重しています。接種しないことのリスクに関してはほとんど話題になりませんし、未接種者を差別することの問題をことさら強調しているように思えます。

日本はブースター接種が始まるまでにかなりもたもたしていました。マスコミでは、ブースター接種の重要性よりも、副反応の話題を強調しすぎています。一時的な副反応はあって当然なので(無い場合もありますが)、副反応を強調するあまり、ワクチン接種を忌避するように仕向けているのではないかと勘ぐりたくなります。

オミクロン株の流行に伴い、感染してもほとんど重症化しないとか、今のワクチンは効き目があまりないかもしれないとかいう誤った先入観が日本では広がりつつあります。このような状況だと、ワクチン接種を拒否している層は、かたくなに接種を受けようとしないでしょう。いずれ感染は下火になっていくこともあるかもしれないのですが、社会や、会社や、家族を守るために、また自分の命を守るために、ワクチン接種を否定しないでもらいたいと思います。

ご参考までに、アン・チン・モー社のウェブサイトはこちらです。

https://www.angchinmoh.com.sg/

フェイスブックはこちらです。

https://www.facebook.com/AngChinMohFuneralDirectors/

これを見ると1月25日に日本葬送文化学会とズーム会議をしているのが出ていました。

日本葬送文化学会のフェイスブックにもこの会議のことが出ていました。

https://www.facebook.com/sosobunka/

葬儀ということで、日本とシンガポールで情報交換をしているというのは面白いですね。
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3回目接種を受けシンガポールから日本に帰国した私が感じた違和感

2021-12-21 16:41:00 | 新型コロナウィルス
シンガポールから日本に帰国してから2週間が経過し、自宅での待機期間が先週、無事に終了しました。ここではこの待機期間の実態に関して簡単にレポートするとともに、その期間に感じた日本でのワクチン接種やコロナ対策に関して感じたいくつかの違和感に関して書いておきたいと思います。

水際対策としての日本の待機期間
オミクロン株の世界的蔓延を防ぐため、水際対策が強化され、シンガポールから帰国の場合は、帰国後14日間の自宅あるいは宿泊所での待機が必要になっており、以下の項目を守ることが要請され、入国時、誓約書に署名が必要でした。
1)14日間、宿泊所又は自宅で待機。他者との接触を行わない。
2)14日間、公共交通機関を使用しない。
3)14日間毎日、アプリでの健康状態報告、通知が届いたら位置情報の送信、また指示が来た場合はスマートフォンのカメラをオンにして応答。
4)14日以内に有症状になった場合、「受診・相談センター」に電話連絡。
5)以下の感染拡大防止対策を行う。
  *マスクの着用
  *手指消毒、こまめな手洗い
  *3密を避ける

14日間は、「隔離期間」ではなく、「待機期間」と記載されています。完全な隔離ではなく、食料や生活必需品の調達のため、近所のコンビニなどに行くことは認められております。

シンガポールで経験した隔離

シンガポールでは、過去14日間滞在していた国によって、また国民、永住権保持者、エンプロイメントパス保持者などによって、条件が異なりますが、隔離機関中はホテルや自宅のドアから一歩たりとも外に出ることは禁じられていました。

2021年2月から後半に一時帰国からシンガポールに戻った私たち夫婦は、2週間のホテル隔離が必要でした。当時、隔離にはMOM(人材省)の許可が必要で、隔離施設(ホテル)での滞在費用と隔離終了時のPCR検査の費用の事前支払いが必要でした。PCR検査は、渡航72時間前と、シンガポール到着時にも必要でした。ホテルは自分では選択できなかったのですが、私たちが隔離を行なったホテルは、食事も含めて非常に満足のいくものでした。

その後、何度か条件は変更になりました。一時、日本に帰っていた妻が10月にシンガポールに戻る直前、日本からの渡航者の隔離期間は2週間が1週間に急に短縮されるということがありました。隔離先も、自宅か、自分で手配した宿泊先でよいということになっていました。

渡航者ではない私は自由に出歩けるので、私が1週間ホテルに滞在し、妻が一人で自宅で隔離することにしました。同じ旅程でない限りは、自宅隔離の場合、他の人間が一緒にいてはダメなのです。

妻は空港でGPS装置と、腕時計のようなGPS端末を渡され、隔離が終わるまでGPS端末を付けたまま生活する必要がありました。隔離期間中に一度、指定された場所でPCR検査を受けるための外出は必要でしたが、それ以外は、自宅から一歩も外出はできませんでした。

シンガポールの場合、隔離場所から勝手に外に出てしまったことが判明した場合、ビザの剥奪などの厳しい制裁が課せられる可能性があるので、隔離中はじっとしていないといけませんでした。

日本での待機期間の実態

日本の場合、入国時に誓約書にサインするのですが、待機期間中は、生活に必要な外出は認められています。しかしながら、一日に2、3回、アプリから現在地の確認連絡が届きます。時間はランダムですが、メッセージが届いたら、アプリのボタンを押さなければなりません。もし、待機場所から離れた場所でそれを押した場合、遠く離れすぎているので、待機場所に戻るようにという警告が表示されます。

一日に一度は、ビデオ通話で自分と室内の背景を約30秒間撮影しなければなりません。突然電話が鳴り、アプリの動画機能が自動的に立ち上がります。自分の顔を画面に入れて、30秒経つと自動的に通話は切れます。

この電話を受けそびれると、時間をおいて再度かかってきます。ビデオ通話は14日の間、一日一回必ず必要のようですが、一回以上はありませんでした。午前中のこともあれば、午後や夕方のこともありました。

また、健康状態報告で体温が37.5度以上だったり、発熱や咳などの症状はないかどうかの確認を一日一回アプリで報告しないといけないのですが、これを忘れていると、催促するメッセージが表示されます。

ということで14日の待機中は、この現在地確認やビデオ通話がかかってくるのが気になって、近くのコンビニに買い物に出るのもタイミングも注意が必要でした。いずれにしても、この14日間、アプリでの毎日の確認を何とか無事にクリアーできたので、ほっとしています。

ブースター接種と日本で感じた違和感

シンガポールから日本に帰ってきてから、いろんな点で違和感を感じたのですが、ワクチン対策という点で気になった点を述べてみたいと思います。

シンガポールでは数ヶ月前からブースター接種が始まっていて、私も10月20日に3度目の接種を受けました。二度目の接種が4月26日だったので、6ヶ月も経っていませんでした。日本が前倒しして7ヶ月とか言っていますが、それよりも短い期間です。ちなみにこちらが私のワクチン接種の証明書の一部です。3回ともファイザーでした。



シンガポールは、ブースター接種に対してはいち早く対応していて、60歳以上のブースター接種が始まったのは9月中旬のことでした。12月15日時点で、シンガポールのワクチン接種完了者(2回接種)は87%という世界でも最も高いレベルになっているのですが、3回目のブースター接種を受けた人はすでに31%になったとのことです。

「ワクチン接種完了者」(”Fully Vaccinated”)とは、現在、「二回接種完了者」を意味しているのですが、シンガポール保健省によれば、「三回接種完了者」に変更することを検討しているとのことです。

すでに10月にイスラエルが、世界で初めて、三回接種をもってワクチン接種完了者とするという決定をしたのですが、シンガポールをはじめいくつかの国がこれに追随する動きがあるそうです。

ワクチン接種が未だ行き渡っていない国がある一方で、豊かな国がブースター接種を行っているという批判もあるのですが、オミクロン株を防ぐための唯一の方法がブースター接種ということで、各国はブースター接種を急いでいるのです。

日本は、今月、医療従事者へのブースター接種が始まり、高齢者への接種が来年一月から予定されています。当初の予定から前倒しになっているようですが、シンガポールとかから見ると、ブースター接種に対する対応の遅れが気になります。

日本のマスコミ報道で、未だにワクチン接種は個人の自由であり、「打たない自由」が尊重されるべきで、同調圧力はよくないという論調がよく見られます。ワクチンが感染を防ぐ、あるいは感染しても重篤化を防ぐという効果よりも、ワクチンの副反応への恐怖がいたずらに強調されているのを感じました。

シンガポールでは、ワクチン接種は社会を守るためのものであり、強制力を持つものと考えられています。ワクチン未接種者は、外食もできないし、商業施設にも出入りできない(10月中旬より)のですが、それを差別だ、自由の侵害だという論調はありません。

国のあり方が違うので、単純に比較はできないのですが、日本の論調は、何か偏った思想のように見えてしまいます。

先日、NHKの朝の番組で、ブースター接種の副反応に関しての特集をやっていました。先行接種が始まった医療従事者が、ブースター接種を受けた後、熱が出たとか、倦怠感があったなどと話していたのですが、私はこれを見て、番組の意図に疑問を抱きました。

ブースター接種というまだ日本人が経験していないことを不安視するのはわかります。しかし、世界各国ですでに進んでいるブースター接種の結果を見ても、3回目の接種が、1回目、2回目の接種に比べて副反応の程度が特別であるというデータはとくにありません。

私の場合、2回目の時ちょっと微熱が出て、薬を飲みましたが、3回目は腕の痛みは1回目、2回目と同様にあったものの、それは想定内のもので、熱も出なければ、倦怠感もあまりありませんでした。

ワクチン接種後の副反応はあって当然のものであり、それをことさら強調するのは、ワクチン接種に対する拒否感を増幅するだけだと思います。ワクチンは、コロナ感染を防ぎ、仮に感染しても重症化しないことで命を守るという大目的があると思うのですが、その目的のためならば、副反応として通過すべき発熱や、倦怠感や、腕の痛みは、不安を感じるべきものではなく、むしろ通過すべき当然の事として受け入れるべきものなのです。

NHKの番組では、ブースター接種の副反応の不安が増幅され、結果的にそんな辛い思いをするくらいだったらブースター接種は、積極的に受けなくてもいいと思う人たちを増やすことに繋がっている気がします。テレビ番組で、このような報道をする時間があったら、ブースター接種の意義について論じてほしいと思いました。

日本のマスコミのこういう部分に違和感を感じました。

鼻マスクが許されていることに対する違和感

コロナ感染を防ぐためにマスクが必要だということは世界的な常識になっています。飛沫は防がないといけないし、空気中に漂っているかもしれないウィルスを体内に取り込まないための防御をするためにマスク着用は重要な対策です。

日本では、マスク着用時に鼻が出ている人を多く見かけて驚きました。シンガポールでもたまに鼻を出してマスクをしている人を見かけることはあるのですが、あちこちにマスク着用のルールの表示があり、商業施設などで巡回している監視員に、鼻が出ているマスクを注意されているのを目撃したことがあります。

そもそも、鼻を覆わないとマスクの意味がありません。口だけ覆っているのは、意味がほとんどありません。とりあえず、マスクをしているように見せかけているということでしかありません。

日本では、正しいマスクの付け方を指導したり、注意したりする部署も人もいないので、この問題は放置されています。

ニュースやテレビ番組でも、鼻出しマスクの人がよく映し出されます。喋っているうちにマスクがずり落ちてきてしまうこともあるのでしょう。しかし報道側としては、マスクがずれている場合、きちんと付け直して撮影し直すとか、そのように注意するとかしてほしいと思います。あるいは、マスクがずれているシーンはカットするくらいしてほしいですね。

テレビで鼻出しマスクが映し出されると、それでもいいんだと思ってしまいます。私の場合、正しいマスク着用が徹底しているシンガポールから帰ったばかりなので、鼻出しマスクに対してはとても拒否感を持ってしまいます。何とかしてほしいですね。

検温と手の消毒

シンガポールでは、飲食店や、商業施設、オフィスビルに入る場合、アプリでのチェックインが必要で、ワクチン二回接種の確認できないどこにも入れませんでした。それが日本では、チェックインしなくてもどこでも入れてしまうので、ちょっと不安になってしまいました。

チェックインはないのですが、検温と、手の消毒を義務付けている場所はいくつか経験しました。シンガポールもほとんどの場所で、検温が必要だったのですが、数ヶ月前から検温は姿を消してしまいました。どうしてシンガポールの感染対策から検温が消えたのかはわかりませんが、久々の日本での検温は、何か過去の時代に戻ったかのような気になりました。

手の消毒液は、シンガポールでもあちこちに置いてありましたが、建物に入る際に手の消毒が義務付けられるのはちょっと新鮮でした。ウィルスを室内に持ち込まないために、手についているかもしれないウィルスを除菌するということなのでしょう。

というような感じで、日本での生活が始まりました。マスコミではオミクロン株のニュースなどが叫ばれていますが、コロナ感染が早く収束して、再び経済活動が活性化し、海外への渡航が自由にできるようになることを祈っています。
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ニューノーマルに向けて飛翔しようとしているシンガポール

2021-08-24 18:11:45 | 新型コロナウィルス
シンガポールは8月19日、入国規制を一部緩和するという発表をしました。ワクチン接種率が高まり、大規模感染拡大のリスクが少なくなったので、海外との人の往来を段階的に再開し、経済と国際ハブとしての地位を回復しようというのが狙いです。シンガポールでは重要産業である、観光、旅行、航空などの業界を一刻も早く救いたいという配慮もあります。

ドイツ及びブルネイに関しては、シンガポールとの相互の行き来が可能になりました。今後は、その国の状況によって、こういう国が増えていくものと思われます。日本からのシンガポール入国は、まだ2週間の隔離が必要で、入国許可申請なども必要ですが、隔離先は指定ホテルでなくてもよくなりました。大半の国は、隔離は指定ホテルのみで、さらにインド、バングラデシュ、ミャンマー、ネパール、パキスタンなどはシンガポールへの入国が認められていません。

シンガポールでは、クラスターがいくつか発生していたので、飲食店での店内飲食が7月22日から禁止されていました。その後、感染者が徐々に減ってきて、店内飲食が解禁されたのが8月10日なのですが、店内飲食できるのが、ワクチン接種完了者のみという条件が付けられました。

ホーカーセンターというエアコンの無い飲食スペースでは、ワクチン未接種者も飲食できますが、通常の飲食店は入店時にワクチン接種を確認されます。



シンガポールでは、スマホに入っているアプリで、ワクチン接種完了者かどうか識別できるようになっています。



こちらがシンガポールの追跡アプリのTrace Togetherの画面ですが、この左上に表示されているチェックマークがそれです。2回目接種終了から2週間経ってからこのマークが表示されます。各レストランや、フードコート等の入り口で、係員がこの表示を確認し、フードコートだと、ステッカーをつけられたりします。ワクチン未接種だと持ち帰りのみになります。

このTraceTogetherのアプリですが、昨年から使われていて、飲食店、オフィスビル、ショッピングモール、各店舗に入る際には、このアプリからQRコードをスキャンする必要がありました。



最近はQRコードの代わりに、こんな端末が設置してあり、アプリを立ち上げた状態で、スマホを翳すと、チェックインができるようになりました(QRコードのみの所もありますが)。チェックイン端末は、スマホやタブレットなどで行っているところもいくつかあります。



さらに体温測定も多くのところで行われています。人がいちいち体温計でチェックするのではなく、体温を測る装置が固定で置かれていて、入場者はおでこか、手のひらで体温を測り、熱がある場合は入れないということになります。

シンガポールは、追跡アプリは徹底的に活用しているのですが、ワクチン接種に関してもかなり強力にプッシュしています。8月22日時点で、人口の78%が2回目接種を完了しています。これは世界でもトップレベルの数値です。



コロナ感染が原因で重篤化したり、死に至るのはワクチン未接種者がほとんどだとわかっているので、政府は人命を救うためにワクチン接種をさらに推し進めています。

こちらは高齢者でまだワクチン接種をしていない人に語りかけるシンガポールのリー・シェンロン首相の動画です。



かなり強い口調で、「まだ接種をしていない人は接種してください」と訴えています。

日本のように「打つかどうかは自己判断です」とか「打たないという選択も自由です」などとは言いません。非常時で生命が危険にさらされている状況では、打たないという選択を積極的に認めたくはないのです。ワクチン未接種者は、やがて感染し、重篤化するというリスクを負い続けるわけですので、そういうリスクを最小限にしたいということなんですね。

ワクチン接種に関するデマを放置しないための対策はずっと行われてきましたし、副反応の不安よりもワクチン接種することの意味を強調することにより、ワクチン接種率を高めてきました。

シンガポールでは、ワクチン未接種者は、レストランで食事もできないし、コンサートやイベント等への参加も難しくなってきます。また旅行などもワクチン接種が条件となります。しかし国民の大半が接種完了することで、飲食が自由にできるようになり、結婚式や宗教的な儀式に参加できるようになり、スポーツ観戦や、コンサート、演劇、イベントができるようになります。そして経済は立ち直り、観光も、海外旅行も、出張もできるようになります。あくまでもワクチン接種という条件がつくのですが。

日本はまだワクチン接種完了者が40%程度です。ということは半数以上の人がコロナに感染するリスクを負っているということで、非常事態宣言を何度も出し続けなければいけない状況が続くのです。日本政府はもっと必死になってワクチンを確保しないといけないし、国民の命を守るための努力を続けなければならないのだと思います。
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“Quarantine”(検疫)という言葉の語源はイタリア語の40日間!

2021-07-22 19:32:55 | 新型コロナウィルス
2020年からのパンデミックにおいて、国境を超えて世界に「蔓延」した言葉はいくつかありますが、“quarantine”という言葉はその代表です。日本語では、空港や港湾などで「検疫」と訳されていて、「植物検疫」、「動物検疫」などのように、以前から使われていました。

英語では、“quarantine”と呼ばれます。フランス語で“quarantaine”、スペイン語で“cuarentena”、ポルトガル語でも同じく“cuarentena”、ドイツ語で“Quarantäne”、デンマーク語で“karantæne”、スウェーデン語でも“karantän”、ロシア語でも“Карантин”(発音はカランティンのような感じ)、マレー語でも“kuarantin”、インドネシアでも“karantina”。これ以外にもいろいろとあるのでしょうが、ほとんど同じような音です。元のルーツはイタリア語の“quarantena”。実はこれはもともと「40日間」を意味する言葉だったのです。

イタリア語で数字の40は“quaranta” (クワランタ)。ほぼ“quarantena”です。これが今、世界中で同じ意味で使われている。なぜ検疫のルーツがイタリアなのか、なぜ40日なのか、ちょっと不思議に思われるかもしれませんが、そのあたりを解説していきたいと思います。

なぜ検疫のルーツがイタリアなのか?

話は14世紀に遡ります。ベニス(ヴェネツィア)は地中海貿易のハブとして栄えます。その前提として、十字軍や、モンゴル帝国、その成果としてのシルクロードを経由しての東西交易などがあるのですが、まさにグローバリゼーションの時代でした。マルコ・ポーロ(1254ー1324)はベニスの商人でしたが、絹や、香辛料などヨーロッパでは珍しかった東洋の産物が船で運び込まれる港がベニスだったのです。

東洋の産物だけでなく、感染症も持ち込まれました。14世紀から数世紀に渡って幾度となく感染拡大を繰り返し、ヨーロッパ全土に蔓延したいわゆる黒死病(ペスト)も、イタリアを経由してヨーロッパ各地に広がりました。

シルクロードを通って、エジプトや、トルコや、地中海東岸から多くの船がベニスに到着するのですが、黒死病の水際対策として取られた対策が40日間の検疫でした。感染の可能性のある船舶は、ベニスの港に入る前に40日間の停泊が義務付けられたのです。

ウィルスの実態もわからず、治療法もわからなかったのですが、40日間検疫をすれば、感染拡大を防げるということは当時の人々も理解をしていて、これが検疫システムとして、徹底して行われることになります。これが、英語の“quarantine”の語源になったのです。

なぜ40日なのか?

検疫のシステムを作ったのは、ベニスだけではありませんでした。今のクロアチアにドブロフニクという風光明媚な都市があります。ここも東洋交易の拠点でした。その昔、ダルマチア国のラグーサ(Ragusa)と呼ばれていたのが今のドブロフニクです。



ラグーサ市内での感染を予防するための水際対策として、陸路で来た旅行者はCavtat(ツァウタット)という町で、船舶は近くのMrkanという島で、30日間の検疫を受け、30日を過ぎて問題なければラグーサの市内に入れるというシステムでした。

ベニスでも同様のシステムで展開され、15世紀には、検疫だけでなく隔離治療する施設が、ラザレット・ヴェッキオという島と、ラザレット・ヌオヴォという島に作られました。





ベニスでは、水際対策を強化するために30日ではなく、40日となるのですが、これにはキリスト教の影響が大きく関わっていると言われています。

40という数字は、聖書の中にたびたび現れるマジックナンバーだったのです。ノアの方舟の話で、雨が降り続くのが40日、イエスキリストが荒野での断食を行う期間が40日と、いろいろと40日が出てきます。また、キリスト教の四旬節(レント)というのがありますが、灰の水曜日からグッドフライデーを経て、イースターまでの期間が40日となっています。おそらくこれらに合わせて40日としたのではないかと言われています。

日本語の「検疫」と“quarantine”の意味の微妙な乖離

日本語では「検疫」と訳されているのですが、「検疫」というとニュアンス的には一時的な検査の感じが強いです。PCR検査とか、検査という行為に重点が置かれているような感じです。隔離という行為はそれほど含まれておらず、隔離が必要な場合は、「ホテル隔離」とか「自主隔離」というふうに使われています。「検疫」という概念は一時的なもので、そこを通過してしまえば後は大丈夫という雰囲気でとらえがちです。

ところが英語の“quarantine”は、もともとの意味に「40日間」という期間が含まれていることからもわかるように、検査だけではなく、隔離という意味も含まれています。いろんな国で行われている“quarantine”はホテルなどの施設に一定期間閉じ込められ、その間に病気が発生するかどうかを見極める、それにより、不用意に感染が広がらないようにするという対策を意味しています。検査と隔離がセットになっている概念なのですね。さらにその単語は名詞でも使われるし、動詞としても使われるので、いろんな使われ方が可能です。

日本で水際の感染予防対策が徹底していないように思えるのは、このへんの言葉の意味の違いによるところがあったのではないかと言う気がしてなりません。日本が“quarantine”を「検疫」ではなく、日本人の好きなカタカナ語の「クォランティーン」としていたら、水際対策の意識も異なり、感染状況も多少違っていたのかもしれないと思ったりもしますが、今更の話ですみません。
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